手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

独創的(独走的?)な治療法と出会ったときには

2010-12-11 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
前回ご紹介したような、患部から離れたところに働きかける遠隔的治療には、さまざまな考え方があり、これらはある種パターン化されているのが特徴です。





私もできるわけではないのですが、聞いたことがあるものを思い返しただけでも、ギックリ腰の治療に手の甲を刺激する方法や、足関節の操作で噛み合わせや顎関節の調整をする方法。


どのような異常でも、仙腸関節には必ずアプローチするというものもありますし、仙腸関節よりも腰仙関節のほうが重要なのだという考え方もあります。


はたまた股関節の異常はL1・2、膝関節ならL3・4、足関節ならL5を治療するという話も聞いたことがあります。


そういえば「首は首に通ず」といって、頚部(首)の治療をするために手首と足首を利用するという考えを、ずいぶん昔に教えられたこともありました。


おなじみの手のひら、足うらのツボや、反射ゾーンの刺激療法もこれに含まれるでしょう。


このように手技療法の世界には、身体の診立てについて独創的(独走的?)な治療法が数多くあります。





遠隔的治療についても背景にある考え方は、神経系の反射や構造的なバランスを調整することで状態を変化させるというものですが、エビデンスがハッキリしていなかったり、常識的な考えでは???というものも少なくありません。


現在の常識では考えられないからといって、すばらしい発見が含まれている可能性もあるわけですから、一概に否定はできませんが、玉石混交という感じもぬぐえません。


結局はいろいろ理屈はついていたとしても、そのセラピストの好みに合うものを用いているという印象を持ちます。





ですから、どのような治療法を学んでもよいのですが、新しい治療法と出会ったときには、はじめから素直に鵜呑みにせず、かといって頭から否定もせず、よく考えて取り入れなければいけません。


とくに学生・新卒の方、そして、いろいろあってちょっと自信をなくしている方は、新しい治療法と出会ったときに注意して見ていただきたいところがあります。


それはセミナーの講師など、その方法を教えてくれている先生の様子です。





セラピストも人間ですから、いろいろな人がいます。


なかには断定形で、その治療法は非の打ちどころもない、すばらしいものであると自信にあふれて語る先生もいます。


パフォーマンスも見事なもので、まるで“ジャパネットたかた”の社長さんみたいに、グッと引き込んで会場内に有無を言わさぬ雰囲気を作ってしまいます。


こうなると「講師の先生」が「講師の専制」になるわけです。





人間弱いものですから、不安や迷いが大きい時は、このような人の言葉を聞くと、気持ちがそちらにコロッと転がりやすいものです。


私も経験があるので分かります。


学生や新卒で右も左も分からないうちも、転がりやすいかもしれません。





転がってしまうと、そこから先は科学ではなく信仰の世界になってしまう可能性があります。


神様や仏様を信仰するならともかく、ひとつの治療法や、教えている先生をその対象になるのは大問題です。


というのもそうなると、「エライ先生が言ったのだから間違いない」となって思考が停止し、仮に間違った方向に進んでいるときでも、ブレーキをかけたり軌道修正ができないからです。





そこで、もしそのような先生の話にコロッといきそうなら、自分自身に次の問いかけを行ってみるとよいでしょう。


「その治療法の問題点や欠点にはどのようなものがあるのか」


勇気があれば、直接質問してみてもよいかも・・・。





何の問題や欠点もない治療法などありません。


ですから質問をして、先生がきちんとその回答をするのではなく、感情的な反応をもししたなら、のめり込む前に冷静になって考えましょう。


もしかしたらその先生は、自分の治療法や考え方への思い入れが強すぎて恋に落ちてしまい、「恋は盲目」や「アバタもエクボ」になって、問題点が見えなくなっているのかもしれません。


相手の欠点もわかった上で恋をするならよいのですが、バカップルになるのはちょっといただけませんよね。





次回も、このテーマをもう少しお話ししたいと思います。

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