手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

体性機能障害の評価の流れ4 ~ エンドフィール 2 ~

2010-07-03 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
関節の終端感覚、つまりエンドフィールは、以下の3つに大別できます。

  軟らかい弾力性(Elastic Soft / ES)
  硬い弾力性 (Elastic Hard / EH)
  骨性の硬さ (Bony Hard / BH)


前回は 「軟らかい弾力性」 と 「硬い弾力性」 の質的な違いを感じ分ける方法を紹介しました。


その中で 「軟らかい弾力性」 は正常としましたが、注意が必要なのは 「可動性亢進(または過剰可動)」 の存在です。







可動性亢進は、関節周囲の靭帯などが弛緩することにより、正常以上の可動域をもってしまっている関節のことです


つまり、抜けかけの歯のようにグラグラになっている関節です。


可動性亢進関節には、関節モビライゼーションは禁忌です。


グラグラになっているところに、グラグラになるような刺激を加えるのは、とんでもないことだからです







では、いかにして可動性亢進関節を見分けるのか?


肩関節のルーズショルダーや、内反捻挫を繰り返した足首ように、四肢でそれをみつけるのはさほど難しくありません。


けれども脊柱に関しては、可動性が減少した関節をみつけるよりも、難易度は高いと思います。


可動性亢進は、胸椎よりも頸椎・腰椎に多くみられます







私が感じている感触ですが、可動性亢進関節を動かしたときは、とくに動かし始めに 「フワッ」 と抵抗なく動く感じがします。

正常な関節なら周囲の軟部組織には、力を抜いていたとしても、ある程度のトーヌスがあるので、軽くても自転車をこぎ始めたときのような抵抗感があります 

ところが、可動性亢進関節にはそれが乏しく、まるでチェーンの外れた自転車をこいだときのようなあの感じ
わかりますか?

自転車に乗っている人なら、一度は経験あるのではないでしょうか


それに近い感覚を覚えます。







「スカッ」 という感じ、ともいえるとかもしれません。


他には、「肩すかしをくらった感じ」 「のれんに腕押しという感じ」 そんな感じが、動かし始めの可動性亢進関節にはあります。


ほんのわずかな感覚ですよ


いつくか並べてみましたが、これは感触なので体験して感じる意外に伝える方法がありません。


それまでは、ご自分にしっくりくる表現をイメージしておいて下さい







「早くこの感覚を身につけないと、不用意に脊椎の可動性亢進関節を動かしてしまうなんてことはないのですか?


と、心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、それは大丈夫です


「硬い弾力性」 の関節はどこかをみようという意識で調べているなら、正常よりも動きの大きい可動性亢進関節は自然と除外されています。


(ただし治療をするには、刺激を限局化させるローカリゼーションの技術は身につけておく必要があります


ですから、はじめのうちは徹底的に「硬い弾力性」 の経験値を重ねることを私はおすすめします。


その経験があるレベル以上になると、対極に位置する 「軟らかすぎる」 という感触も知覚しやすくなります。


あせらず地道に進んで下さい


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