南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

日本人が失ったもの

2010-01-20 20:54:39 | Weblog

『昔の「日本人の生き方・生活の美しさ」を失った現在を残念に思う』、というコメントが本ブログに寄せられていました。
お寄せくださった“右隣”さん、いつもありがとうございます。
私もそれは同感ですが、失ってしまったものは取り戻せないかといえば、そんなことはないと思います。
「坂の上の雲」や「龍馬伝」などの大河ドラマにも、明治時代にはあって現在は失われている“なにものか”を取り戻そうというメッセージが込められています。
その“なにものか”を私流に考えると、「学問のすすめ」であり“独立自尊”になります。

「天は人の上に人を造らず 人の下に人を造らず」の初編からはじまり、17編の「人望論」に至るまで一貫して流れているのは“独立の気概”です。
新渡戸稲造の「武士道」や、中野孝次の「清貧の思想」にも感銘を受けましたが、同様にこの福沢諭吉の「学問のすすめ」にも心惹かれました。

鎖国から一転して外の世界が雪崩れ込んできて大混乱している時代に、まずは“一身の独立”なくして“一国の独立なし”と喝破した痛快さ。
道理が通らなければ、イギリスやアメリカはおろか世界万国を敵としても恐るることは無しとした勇気。
そしてその勇気はただ読書しても得られない、読書は学問の技術であり、学問は物事を進めるための技術であり、物事を実行し経験することでしか勇気は生まれてこないと私たちに教えます。

面白いのは諭吉が当時(明治初頭)の世相を次のように嘆いている部分です。
『方今わが国においてもっとも憂うべきは 人民の見識 いまだ高尚ならざるの一事なり』
今、我が国で最も心配なことは、国民の見識がいまだに低いことである。

『しからばすなわち、人の見識を高尚にして、その品行を提起するの法いかがすべきや。
その要訣は事物の有様を比較して上流に向かい、みずから満足することなきの一事にあり』
人間の見識・品格を高めるためにはどうしたらいいだろう。
その要点は物事のようすを比較して、上を目指し、決して自己満足しないようにすることである。

きっとどこかで日本人は自己満足してしまったんでしょうね。
その結果が今ここにあることは紛れもない事実です。
「善因善果、悪因悪果」、すべての結果は今の行いにあります。
「天網恢恢、疎にして漏らさず」、誰が見ていなくとも「お天道様は見てござる」ですね。
まずは私たち自身が“独立自尊”の生き方を学び実行することからスタートし、その気概を仲間とともに地域に広めていくことで、失ってしまったものを取り返すことができるかもしれません。
私はそう信じ、そう生きていきたいと思います。


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