南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
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欧州不安の再燃

2011-09-07 12:45:54 | 経済
円と並んで通貨高に悩むスイスが大きな賭けに出ました。
ユーロに対してスイスフランは4ヶ月で21%も上昇し、8月10日には1ユーロ=1.03フランの最高値をつけました。
輸出産業への悪影響を避けるために、スイス政府は1ユーロ=1.20フランを上限とする為替目標を掲げ、その水準を達成するまで無制限に為替介入すると発表したのです。
日本に置き換えれば、1ドル=80円まで無制限に為替介入するとしたようなものです。
これは事実上、為替介入による対ユーロ連動相場制の導入です。
素人考えながら極めて危険な賭けだと思います。

肝心のユーロの行方はどうでしょうか。
7月23日ブログ「消去法」でも述べたように、ギリシャの財政危機がユーロ全体に波及する恐れがあります。
そのギリシャでは、EUやIMFの金融支援を受けるための条件である財政赤字削減策が、国民の抵抗にあって難航しています。
10年物国債の利回りが20%近くまで上昇したギリシャ政府は、急きょEUとIMFとの協議中断を決定しました。
債務危機に陥ったギリシャが金融支援を受けられなくなると、いよいよデフォルトは避けがたいものとなります。

財政不安が広がりはじめた2010年5月につくられた「欧州金融安定化基金」(EFSF)は、財政不安に陥っているEU加盟国の国債を買い支える最後の砦として位置づけられています。
しかしその発動はユーログループ全会一致が条件であり、当然ながら現下の情勢を見れば、各国議会の承認には大きな抵抗があります。
これまで支え続けてきた国々も、膨らみ続ける損失に対して、全体のためとはいえどもどこまで耐えていけるでしょうか。
現実問題としてドイツでは現政権が選挙で手痛い審判を受けています。

英BBC放送は、米国の銀行が欧州の金融市場から資金を引き揚げ、欧州の銀行も米国に資金を移していると伝えています。
その米国もまだ記憶に新しい今年の夏、政府債務の上限引き上げをめぐって政治の混乱が続きました。
わが日本でも、東日本大震災の復興財源のための増税案に反対の声がくすぶっています。
いずこでも財政再建策が最大の政治テーマであり、苦しみの源でもあります。

これからの世の中をどう見るか、将来に大きな展望を描いて、覚悟を決め決断し実行する国(組織)だけが、混沌から抜け出るものと思います。
それもあれもリーダー次第であり、極論すればリーダーの生き方の問題です。

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