南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

原理主義者

2009-12-15 15:14:39 | ユニオン

“原理主義”とはあまりいい意味で使われませんが、私はその根本主義的考え方は大切にしています。
そもそもキリスト教根本主義を意味する用語でしたが、変じて宗教上の原典を絶対視する主張や態度を指す意味で使われています。

労働運動は宗教ではありませんから原典はありませんが、運動の“原点”はあります。
それは産業革命の時代に生まれた小さなお店「ロッチデール公正開拓者組合」、発足当時は28名の小さな組合のことです。
この小さな組合が世界を大きく変え、働く人々の心の支えとなりました。
産業革命により大きな工場ができて機械化が進み生産性は大きく向上しました。
それで人々の生活は潤ったかというとそうではなく、人手のかかる手工業は潰れてベテランの熟練工は職を失いました。
失業者は町にあふれて、わずかな手間賃を求めてさまよいます。
お金がないから生活物資をツケ(借金)で買います。
給料が入ったら払う、また借りる、際限もなく続く毎日に嫌気をさして酒におぼれる人たちも増えていきます。
その悪循環を断ち切ろうとわずかな人たちが立ち上がりました。
『みんなで生き方や生活態度を根本的に変えよう。
一生懸命働いて、週2ペンスずつ貯めよう。
それは、生活費の4~5%だ。
できないはずはない。
1口1ポンド(100ペンス)を元手に、自分たちが主人公の協同組合をつくろう』
こう誓い合ってできたのが協同組合のスタートです。
そしてその理想は脈々と現代にまで続いています。(いるはずです)

組合は、飢えた労働者が飢餓から這い出るためにつくられたのではありません。
よりよい社会を築いていこうという理想から組合はつくられていったのです。
理想なくしては何も始まりませんでした。
理想がなければ初期の困難も乗り越えることはできなかったでしょう。

労働組合も労金も労済もその原点は「ロッチデール」にあります。
そのことを私たちは決して忘れてはなりません。
「ロッチデールの開拓者」たちに恥じることがないように主張し行動することで、私たちが“原理主義者”と呼ばれてもむしろそのことを誇りに思いましょう。