朝寝-昼酒-夜遊

日々感じたことを思いのままに書き散らすのみ。
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上野鈴本演芸場七月上席昼の部(初日)

2022年07月07日 10時32分17秒 | 落語・講談・お笑い
用事があり、4,5年ぶりに東京にやって来た。

翌日も夕方にZoomの会議があるだけだったので、
そのまま泊まることにした。
どこか行こう、と検索していたら上野鈴本演芸場の顔ぶれが目に止まった。

鈴本に行くなんて、いつ以来だろう、と思って検索してみると、
2011年に旅行中に行っているのが最後。
上野鈴本演芸場9月中席夜の部 - 朝寝-昼酒-夜遊
というか、東西問わず落語会に行くのが久々。
コロナ前もしばらく行っていなかったから、これも3,4年ぶりにはなるんじゃないかな。

マスクやら飲酒・食事の禁止やら細かい注意が多く、
鬱陶しいと思いつつ、
何かあったらお上には勝てないから仕方ないか、と思いつつ。

「寿限無」(左ん坊):△

柳亭左龍(前名小太郎。喬太郎の弟弟子)の弟子らしい。
きっちり演っているけど、もう少し調子が軽い方が好み。
悪くはなく、好みの問題だが。


「黄金の大黒」(小もん):△

口上の件まで。
店賃のあたりのやり取りが長く、重く感じられる。
ここはもう少し適当に、パアパア言い合う方が良いと思う。

飲む場面までいかないのであれば、口上を上手く言えないところが重点になってくるだろうけど、
そこをもっとクドく、濃く演る方が、アクセントが付いて良いと思う。

全体にダラダラしてしまった印象。


「マジック」(松旭斎美智・美登):△+

非常に危なっかしい(タネが見えかけたり、出てきた紐を蹴って誤魔化したり)のだが、
それがどこまで地で、どこからが演技なのか分からないあたりが
面白いマジック。


「権助魚」(小平太):△+

この人も喬太郎の弟弟子(前名さん若)。
にこやかな人で好感が持てる。
田舎者は最初キツ目で「田舎者」ということを見せておき、
後はそこまでキツくしない。
単なる人物描写でなく、こういった全体の重みづけが重要だと改めて感じる。

まあ、無理ネタっちゃ無理ネタ(かまぼこが泳いでいないのは分かるだろ)、とも思うが、
おかみさんをいじっている、という解釈もあり得るのかな。


「漫談」(馬風):○-

出番表に入っていたのだが、元々好きな人でもなかったので、意識していなかった。
足が悪いのか、ヨロヨロと出てくる。安易に板付にしないのは好感が持てる。

話は、まあ、談志の選挙噺などでよく聞く話ではあるのだが、
改めて聞くとやはり面白いな。噺家の毒を感じさせるし、寄席が盛り上がる。
お体に気を付けて長生きして欲しい。


「音楽」(のだゆき):△+

ピアニカを付けて出てくる。
小さなハーモニカ、ピアニカでの様々な演奏など。
良い色替わり。


「湯屋番」(柳枝):○-

正朝の弟子なんやね。もしかしたら見たことがあるかも、というレベル。

この人もにこやかで、この軽いネタによく合っていたと思う。
パアパアした雰囲気がよく出ていた。
「こぎ飯」のあたりの説明が非常に丁寧。

「かぼちゃ屋」(市馬):○+

登場人物に誰も悪気がなく、にこやかで、見ていて嬉しくなる高座。
与太郎に対する目も暖かい。

「上を見る」が(与太郎同様)伝わりにくくなっていることもあり、
丁寧に繰り返し仕込んでいた。
「くどい」と感じる向きもあると思うが、個人的にはその方が良いと思う。

与太郎は「抜けている」というより、「仕事をしていない、世間知らず」の色が強く、
そのあたりにいそうな感じ。


「漫才」(ロケット団):○

久し振りに見た。

三浦のボケは相変わらずなのだが、うーん、ちょっと不足感あり。
最後の方が「定例集会」ばっかりだったので、その刺激が基準になってしまっているのかも知れない。

倉本のツッコミが、非常に場数を多く踏んでいる感じが見受けられて良かった。
緩急などのバラエティがかなり増えている印象。


「臆病源兵衛」(さん花):△+

これも喬太郎の弟弟子。
マクラからにこやかで良いのだが、まあ、問題はネタ。
非常に珍しいこのネタを手掛ける心意気は素晴らしいと思うが、
如何せん、ネタが難し過ぎる。

臆病だが助平、という源兵衛の人物設定やそれを脅かそう、というのは面白いのだが、
その後がグダグダになっていくネタ、という印象。
最後の「地獄か、極楽か」といった部分だけでも切り離し、
別のサゲに持って行った方が良いのでは?


 仲入

「紙切り」(二楽):○

久し振りに見たが、やはり素晴らしい。
微妙に毒舌のあるところも良い。


「目薬」(文藏):△+

無筆の小噺などから、このネタに入る。
うーん、そんなに時間を掛ける程の話ではないと思う。
「お金がなくて、芋ばかりを食べている」繰り返しが多く、
まあ、これが「屁」に繋がっていく訳なのだが、
別にその設定はなくても良いのでは、と思う。
偶々屁がしたくなって、粉薬が飛んで、というだけの設定で良いのではなかろうか。


「猫の茶碗」(三三):○-

おさまり返っているところが、あまり好感の持てないところ。
上手いとは思うけど。

あと、喋るときに口が歪むのは、あまり良いクセではないと思う。
早めに直した方がいいと思うが。


「ジャグリング」(ストレート松浦):○-

今日は無言でやってみる、とのこと。
楽しくカラフルにやっている。
良い膝がわり。


「品川心中」(喬太郎):○

いつも通り、客を上げたり下げたりするマクラで快い。
ネタはきっちり演りつつ、ところどころに入れ事をする。
心中相手をお染が探すところで、噺家や二楽の近況も入れていく。
聞いてると、文藏と心中したら良いのでは、と思ってしまうのが
今日のメンバーの問題点(笑)

お染の描写で、ところどころ「現代的な女性」の表情付けや感覚を出していたのだが、
個人的にはそこが浮いて感じられた。
変化球を投げている、という感じが見えてしまう。
それならば、全ての場面を「現代的な女性」としてのお染で演ってみたらどうか、と
思うのだが(ネタとしてまとまらなさそうだが)。

心中の場面、上がる場面、元の長屋の場面などは克明で流石。

噛むところが少しあり、ややお疲れ気味かも知れない。

寄席全体としては、非常に満足。
早くマスクを外して、場内で飲食ができる日が来ますように。


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