朝寝-昼酒-夜遊

日々感じたことを思いのままに書き散らすのみ。
※毎週土曜更新を目標にしています。

第11回雀三郎出丸ふたり会

2013年02月27日 10時40分27秒 | 落語・講談・お笑い
日曜は繁昌亭へ。

この会は、出丸師と偶々すれ違った時に教えてもらったもの。
早速次の日に購入した結果、けっこう早い番号で入手。

とはいえ、残念ながら、そこまで急ぐこともなかった。
2階に陣取ったのだが、2階は2割くらいの入りかなあ。
1階は8割方埋まっていたようだが、
前売2,000円でこの入りとは勿体なし。
日曜夜は客入りが悪いのかも知れない。


「つる」(小鯛):△+

拍手に軽く対応してネタへ。

特にウケを待つような間を置くまでもなく、
全体にごくあっさりとやっている。
男と隠居さんの人物分けも特に濃くせず、
喋る速度で違いを付けている程度。
全体に歌い調子になっていた。

「閻魔さん」を少し引っ張っていたが、
特に嫌味なほどでもない。

「嘘やで」に対して「分かってるわ」と言って飛び出すが、
あまり好みではない。
その後も引っ張る訳でもないので、
「何言ってんねん」くらいで飛び出しても良いと思う。


「くっしゃみ講釈」(出丸):△+

軽く様々な芸能が流行った、てな話をしてネタへ。

全体に、科白が不安定。
後の科白が出そうになってカバーするところが散見された。
講釈の「緊張」とくっしゃみの「緩和」も、
講釈がイマイチ締まらないのでくっしゃみで
なかなかウケにつながらなかった印象。

アホの人物も比較的あっさりと。
もう少しクサくする手もあるが、
この程度であっさり納めるのも悪くない。


「はてなの茶碗」(雀三郎):○-

「物を集める」といった話から米平の話を少し紹介して
ネタへ。

丁寧に、きっちりと演っている印象。
大阪人の油屋さんと京都人の茶金さんは、
特に誇張して描き分けられている訳ではない。
大阪と京都の対立、よりも
科白や設定の可笑しさ・興味深さにメインがあるように思う。

虫除けになる、といった話からぽそっと「茶碗蒸し」と言ったり、
油屋がお金を断る時に妙な手の動きを付ける、といった細かいクスグリが入っていたが、
まあ、別になくても良いかな。

茶碗を関白鷹司公、ミカドに持っていく、といった件はあっさりと。
「ミカドにもっていくに際して箱や更紗を変える、
茶碗はさすがに変えない」は妙な視点だな。
言わなくても良いかも知れないが、
これはこれで可笑しい。

油屋を呼んで経緯を説明するところはかなり短縮してやっていた。
客としては知っているところだから、
「それだけの説明で伝わるのか?」をさほど気にしないのであれば、
その方があっさりして良いかも。


「一文笛」(出丸):○-

犯罪のマクラを軽く振ってネタへ。

最初の煙草入れを買い取る段、
スリの「骨の髄まで泥水に浸かっている」感じは若干弱い。
ネタとしては、まあ、この側面をあまりリアルに演らない方が良いのかも知れない。

何と言っても兄貴分が良い。
最初から「長屋で一文笛を盗んだのはこいつだろう」
という思いを持って入ってくる方が尚良いかも知れないが、
「これがないと困る、という金には手を付けない」という
スリの言葉に対して嵩に掛かって諭していく際の
強い「怒り」や「悲しみ」が籠ったところが良かった。

あとは、まあまあ。
個人的にはこのネタは、サゲが好きになれない
(個人的には、最初から利き腕でない指を落として、
兄貴分を騙すつもりだったの?という後味の悪さがある)のだが、
そこが気になったらこのネタは演れないのだろうな。


「らくだ」(雀三郎):○

軽く「駱駝」という動物の話をしてネタへ。

屑屋を呼び止めてあちこちに行かせる「脳天の熊五郎」の様子、
屑屋にらくだの死を告げられた大家さんや長屋の連中の
喜び方、その後の「らくだ」の今までの言動への恨みつらみ、
振り回される中で屑屋が徐々に変化していくところ、
それぞれ丁寧に描写されている。

酒の場面も丁寧に構築されている。
「砂糖はり込んで炊いた煮しめが甘い」ところから、
3杯飲んだ後その甘さを流すために4杯目を飲もうとする、
「煮しめではなく、魚の造りか何かを言えば良かった」や
「あいつ(熊五郎)は酒あまり好きじゃないんやろ」といった科白につなげる、
という作り方は初めて聞いた。
それはそれでありかも知れないが、
個人的にはここは理屈もへったくれもなしに「4杯目を注がせる」、
という方が好みではある。

「ほげた引き裂いてでもに、恐い中にも情がある」や
「店1軒飲み潰した、嫁さんも死なせてしまった」といった重い話、
客を感動させる方向が目に付くと鬱陶しいのだが、
雀三郎の屑屋はまず「酒が好き」というのがあり、
いろいろ言ってはいるが結局「酒好きなんだから仕方がない」という
諦念があるようで良かった。

菜漬けの樽に放り込み、担いで外に出て最後は伊勢音頭まで。

「酒好き」が中心であり、
様々な小賢しさや感動を押し付ける感じがなかったのが良かった。
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