咲いた…と、大きな声で言ったところでまだこの一本だけ。
マスメディア用に、人寄せに、観光用にと何万本も植えている訳でもないし
ほとんど手入れされている様子も無い。
それでも一本で十分かも知れないとこの貧相な姿にも満足している。
自宅で花や木を育てる趣味のない人に、あれこれ言われるのは煩わしい事だろう。
▲ この照りのある黄色をみると「ソシンロウバイ」と言われる。▼
▲ 確かに光を受けると輝いている…と感じる。▼
▲ それでも内花被片まで黄色…では無いから、素心とは言えない。▼
▲ やがて花期の終盤、おしべはめしべを取り囲み、花被片は退色してゆく。▼
(2018.01.16 明石公園)
☆
花被片の底が黄色ではない、だからソシンロウバイではなさそうだ…。
その程度の曖昧さだけで区別している。
ロウバイよりも花弁が丸く、内花被片の赤紫が薄く残るものをトウロウバイとして区別している。
内花被片が濃い赤紫色のロウバイとの対比で、「外国から来た」意味で「トウ」
そう教えて下さったのは、鎌倉・長谷にある光則寺の横山女史。
だからロウバイを「ワロウバイ、和蝋梅」とも呼ぶそうだ。
大手門に一本だけ育っているソシンロウバイはまだ蕾だし
この場所に数本育つソシンロウバイもまだ蕾。
▲ この花付きを見ている限り、これはソシンロウバイなのだろうか?と感じてしまう。
内花被片をみるとやはりトウロウバイの名前で呼ぶのが良いのだろうと思う。▼
▲ 内花被片の底に沿っていたおしべは少し起き始めているけれどまだ花粉を出していない。
中央にめしべが控えている。▼
▲ 花は開花直後、この程度でも香しい。
内花被片の底は赤紫を帯びているから、ソシンロウバイとは呼べない。▼
▲ おしべがそろそろ立ち上がってきている。中心部のめしべを取り囲んでいる。▼
▲ 内花被片の底が赤紫…だから、ソシン(素心)ではない…と言う。
▲ 不明瞭だが、めしべの柱頭が伸びている。詳細図は下に再掲した。▼
トウロウバイ(唐蝋梅) ロウバイ科ロウバイ属 Chimonanthus praecox 'Grandiflora'
(=Chimonanthus praecox var. grandiflorus)
ロウバイ(蝋梅、蠟梅、臘梅、唐梅) Chimonanthus praecox
ソシンロウバイ(素心蝋梅) Chimonanthus praecox f. concolor
(=Chimonanthus praecox f. luteus)
ロウバイは漢字では、蝋梅、臘梅と書かれるように、二つの説が有力。
蝋梅は、漢名の音読み、臘梅は臘月(旧暦12月、現在では1月頃)に咲く梅に似た花の意味。
別名にカラウメ(唐梅)、ナンキンウメ(南京梅)、オウバイカ(黄梅花)
英名Winter sweet、まさに適語表現。
(2018.01.07 明石公園)
☆
▲ 須磨の梅園近くに集められた場所で ロウバイ と表記されている種類。
たぶんこれもトウロウバイと区別する方が良い気がしている。
▼ 下にあげたロウバイは、明石公園のものと比べると内花被片の赤紫が濃い。
たぶんこれが本来、ロウバイ、敢えて区別して呼ぶなら「和蝋梅」と呼んでいたものだろうと思っている。
▲ 開花直後はおしべが内花被片に張り付いているが、開花が進むとめしべ側に寄ってくる。
中心部にあるめしべの柱頭は数本に裂けている。
▲ 開花が進むと、めしべを取り囲む状態になったおしべが花粉を出し始めている。
☆
昔、ロシナンテさんの画像を貰って作ったロウバイの詳解図
トウロウバイの呼び名は鎌倉・長谷の光則寺、横山女史に教わった。
めしべ先熟と推論した通りで、開花直後のおしべは花被片にひれ伏した状態で自家受粉を避けているように感じる。
この状態を「雌性期」と表現するかどうかは知らないのだが、
ヤツデなどに採用されている「雄性期」「雌性期」の表現はどうも一つの花が「性転換」している…との誤解を生む。
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ロウバイ ロウバイ・ソシンロウバイ
ロウバイの透きとおる優しげな黄色が素敵です。
花弁に添っているいる雄しべが
中央の雌しべに起き上がって来る様子・・・
とても良くわかりました。
内花被片の赤紫色が鮮明で綺麗ですね。
いい香りに包まれながらの撮影は
とても幸せで嬉しくなりますね。
枯れた果実のあみあみになったところっていいですね。
これも大好きです。
全部「ロウバイ」という方も増えてきました。
荒っぽいようですが、園芸店などでついている名札を見ると、幾つもの名前。
何を以てそう名付けられているのか?と思う事も多いので
確かに「正しい名前」を個人的につける限界も感じますね。
いずれにしても花の仕組みは同じ、おしべとめしべの動きだけでも充分に面白い。
綺麗な画像で拝見する雌雄のしべが
とてもよく理解できます。
雌しべ先熟ですね。
ありがとうございます。
こいもも もう一度しべの様子を
しっかりと見てみたいと思います。
いざ花に向き合うと、しべばかり撮っています。
樹を見て森を見ず…になってはいけませんね。
花の名前にこだわったり、一部分だけに凝り固まってもいけないのでしょうから
花が咲いている間に、花もしっかりと見ていたいと思いますね。
内花被片の底は赤紫を帯びているのがトウロウバイなのですね。
これで三つ憶えられそうです。
2018年のコメントを見ますと・・・とっても恥ずかしいです。
名前もおぼつかないのに何を言っているのでしょう・・・
第一しべを撮りたいと思っても見つかりません。
まったく知らないと言う事は・・・
失礼極まります。
本当にすみませんでした。
シベに挑戦するのはまだまだ先のことになりそうです。
教えていただきありがとうございます。
植物園に限らず、公園などでも多くの植栽は花卉販売業者からの購入品。
大昔「ロウバイ」の多くは実生苗だったそうで、内花被片の赤紫が濃かったそうですが
何時の頃からか「素心」持て囃されるようになって、
それからまた時間が経過して、丸弁で少し赤紫が入るものが登場して。
と、人の好みの変化で選別育成されたものが接ぎ木で売られている。
そうすると「トウロウバイ」と「マンゲツロウバイ」の区別をしないといけないのでしょうが
そんな区別など誰もしない以上に、中には内花被片に赤紫が入っていても「ソシンロウバイ」と呼んで、販売されていたり。
と言うのが現実のように感じます。
尤も、全部を「ロウバイ」で片付ける人の方が多いかも知れませんから
やはりこの樹には「何とか」という名札が下がっていました…が無難ですね。