地獄にも秋波送る美女ありや
おとといのMET OPERAはモーツアルトの「ドンジョヴァンニ」。好みの問題もあるんだろうがモーツアルトの上演に、いつでも舞台に引き込まれ、退屈することなく、あっというまに時間がたち、終了後「ああ、楽しかった」という感想以上になにか深い印象が心に残る。セリフにも味わいがあり「一人の女に忠実ということは他の女に不誠実ということさ」など、さすが色男と思わず笑ってしまう。誰の言葉だったか忘れたが、重さが軽く浮かび、軽さが重く沈むと言ったような良質の陰影ある機微を感じさせる。これも誰が言ったか忘れたが、ベートーヴェンと較べて軽薄優美おちゃらけたようなモーツアルトのほうが実はレアリストだったと。現代風にアレンジしたコスチュームや舞台設定もよいが、やはりその時代を彷彿とさせる華やかな舞台が楽しい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます