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蚊焼です。日記です。
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「その他」がメインのブログ。

貨幣経済と『モモ』

2010年08月25日 | 雑感散文


無性に、
ミヒャエル・エンデの
『モモ』が読みたくなった。

まだ、読んだことが無い。

せいぜい、小学時代の教科書だったか、
国語の教科書に載っていたのを読んで
面白いとは思ったものの。
何故かその続きを読もうとしなかった。
当時は読書が嫌いだったから。

読書が好きになった高校時代、
図書室にそれがあるのを見つけては、
あ、読もうと思っていたのに。
何故か手にすることなく3年が過ぎてしまった。
他に読みたい本がありすぎた、と言えば
ありきたりな弁明か。

去年だって、読みたいと
思っていたのだけれども。
児童書だけに、どうも借りるのに
二の足を踏んでしまう。

羞恥心は時に足枷か。



同じくミヒャエル・エンデの
『鏡のなかの鏡』と
『M・エンデが読んだ本』は
すでに読みました。
それこそ、去年読みたいと思った
延長で手にした本たちです。

その中身の衝撃たるやは
以前にも書いたとおりです。
『鏡─』の感想
『M─』の感想

後者の場合は、
著者が紡いだ物語ではなくて
散らかる書物を紡いだ
言ってみればまぁつまみ食いの
ブックガイドのようなものです。
要はタイトル通りの内容なのです。

だからエンデというよりもむしろ
ゲーテの作品に頭を歪められたような、
そんなインパクトのある
本でございました。

歪みと言えば重訳の歪みも
面白かったですね。
重訳。中国語からドイツ語、
ドイツ語から日本語に訳されたもの。
荘子の、蝶の夢の話でした。
訳の訳は、伝言ゲームが
終いには別の話になるように、
ニュアンスも印象も変えてしまうところが
面白かったですね。

重訳と言えば、宮崎監督の
「紅の豚」で豚氏のセリフを
思い出すではございませんか。
「そういうのをなぁ、アジアでは
 ブッダに教えを説くって言うんだぜ。」


あれ、何の話だったか。
そうそう、エンデの話だ。

前者の本は、もっと衝撃的というか、
直感して現代文明や経済社会を
過激に批判しているのが分かった。

殆どが絶望的な短編ばかり。
しかし中には、
少しだけ救われるというか、
希望が見だせるような話もあり。
読んでみれば分かりますって。
本当に怖い大人の寓話。
怖い、と感じられるかどうかが
試されているところでしょうが。



で、何で急にこんな話を
し出したのかと言うと。

松岡正剛さんの「千夜千冊」
をたまに読んでいるのです。
その中に、
ミヒャエル・エンデ『モモ』が
取り上げられていた
わけです。
(リンク先は「ISIS本座」)

最近までカール・ポランニーの
『経済の文明史』を読んでいたものですから、
尚更興味深い書評でした。
(ちなみに『経済の文明史』もまた
 正剛さんは書評を書いておられるのです
 読みすぎですよ、凄いですね。)

まぁとにかく書評自体も
読み応えがあって大変
素晴らしいです。
故に必然的に取り上げられた書物を
読みたくなるというのは道理でしょう。

ましてや、前々から読みたいと
思っていた本なのですから。

加えてこれは、
貨幣経済システムを懐疑する
経済文明史観的な書物なのだから。

今度こそ、勇気を持って、
いやむしろ当然だろうという面持ちで
児童書コーナーに行って
『モモ』を探したいと思います。


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