生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

クラシック音楽館 フィルハーモニア管弦楽団来日公演 マエストロ・サロネンのベト7に対するこだわり

2017-07-16 23:32:40 | TV番組など

 NHK-ETVのクラシック音楽観、「フィルハーモニア管弦楽団来日公演」のベートーヴェンの交響曲第7番を、(聞いていてではなく)見ていて気が付きました。おそらく、私の人生の中で初めての経験の様な気がします。というのは、楽器の話なのですが、弦五部は少なくとも弓に関しては全員がモダンボウを使っていたので楽器の方もモダン楽器だと思います。木管楽器もオーボエ、ファゴット、フルート、クラリネットのいずれも見た目ではモダン楽器の様な気がしました。打楽器のティンパニは最小の構成の大小の二つのティンパノでしたが、マレットは硬質のもので年代的には古い音色を意識しているのかなとは思いました。フレンチホルンはロータリーバルブでいずれもダブルホルンで、これもモダン楽器ですね。

 さて、トランペットなのですが、何故かトランペットだけがバルブのないナチュラルトランペットです。古楽器です。しかもオリジナルの編成は2管編成でトランペット2本のところを3人の奏者がナチュラルトランペットを構えています。映像を見ないで音源だけを聞いていたら聞き逃していたと思います。しかし映像的には結構インパクトがあって見逃せませんね。まあトランペットにさほど興味のない方であれば見逃されるかもしれませんが。ただ、バルブを備えたモダントランペットと、バルブの全くないナチュラルトランペットはかなり見た目は違うと思います。ピストンバルブを3本備えたモダントランぺとは中央に構造が集中していて、構え方も左手で三本のピストンバルブを掴みます。一方のナチュラルトランペットはバルブの様な機能的な構造は何もなく、単に一本の管を楕円形に巻いているだけなので、中央に集中すべき構造は何もありません。

 はじめのうちはマエストロ・エサ・ペッカ・サロネン氏の意図が判らず、何を考えているのだろうと思っていました。が、楽章が進むうちに何となくマエストロの意図が判る様に思えてきました。おそらく、バルブ類の機能的な部品がないにも関わらず、ナチュラルトランペットの方が直管部が長い様に思います。要するに音が鋭く聞こえます。それからベートーヴェンの交響曲第7番は持ち替え無しのナチュラルトランペット1本(一人の奏者当たりの話です)で演奏できる様に、旋律らしいものは全くなく、強調したいところだけを殆ど主和音の構成音でアクセントをつけているだけですね。と言うことで、マエストロ・サロネンにとってはベートヴェンの交響曲第7番においては、トランペットは強調したい拍を強調するのが本質的な任務と見切った上で、そうであるならばより刺激的な音色を求めてナチュラルトランペットを使っているのだろうと納得した次第。

 と、納得した次第ではありますが、果たしてマエストロ・サロネンが拘っただけの効果があったかどうか、については必ずしも大成功ではない様に思います。正直に申し上げれば、モダントランペットで演奏しても大して変わらないのではないのか?と言うのが本心です。音楽は聴く芸術だとすれば、マエストロ・サロネンが狙った効果も無いわけではないので、わかる聴衆にだけわかってもらえれば良い、と言うのであればそれはマエストロとしての拘りとして特段批判する必要な何もない、と思います。しかし純粋な器楽演奏と言っても見た目=視覚情報もゼロではない、とするとモダン楽器ばかりのオーケストラの中でトランペットだけが古楽器=ナチュラルトランペットというのは、私にとってはどうしても違和感を感じざるを得ません。聞いている内にその効果を納得させてもらえればそれで良いのですが、今回のマエストロ・サロネンの判断に関しては視覚的な違和感=デメリットを凌駕するほどのメリットまでは感じられません。

 なので、少々マエストロ・サロネンの独りよがり、という気がしないでもありませんでした。いずれにせよ、マエストロ・サロネンとフィルハーモニア管弦楽団のベートーヴェンの交響曲第7番は十分な熱演だったと思います。その上でその演奏の価値に対しては殆ど影響しない極々重箱の隅について、こだわりを持ちつつ聴いて見て自分なりの評価を下すというのは、ベートーヴェンの交響曲第7番の様に、様々な演奏を何度も聞いてその曲を自分なりに咀嚼しきれているからこそですね。この様な楽しみ方は今後も出来るだけ多く経験したいものです。そこには新しい発見があるということですから。

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