生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

そば鳴り、遠鳴り、は実際に存在するのか?

2017-07-15 23:02:36 | 論文・資料紹介、書評

 声楽にしろ器楽にしろ、器楽であっては楽器によらす、そば鳴りはするけれど遠鳴りはしないとか、そば鳴りせずに遠鳴りしてくれる、等との会話は日常的に頻発している様に思います。では実際に客観的な検証に耐えるような、そば鳴りと遠鳴りとを明らかにしたエヴィデンスがあるのか?と思っていましたが、ありました。

 http://acoust.sie.dendai.ac.jp/crest/wp-content/uploads/2013/10/ASJ2013A-Kobayashi.pdfに公開されている学術文献と言うか、おそらくは学会等での発表に際しての予稿集かな、と思いますが、洋銀製のフルート1本、総銀製のフルート4本、組成の異なる金製のフルート3本の都合8本のフルートについて、ステージ上と観客席上とで同時に音圧を測定した結果が報告されています。

 ステージ上での音圧を見る限り、洋銀製のフルートが音量が出ない様で、総銀製、金製になる方がフォルテが出しやすいという結果が出ています。とはいえ4本ある総銀製の中には洋銀製よりもフォルテの音圧が低いものが1本あります。また金の純度が高いほどフォルテの音圧が出るわけではなく、19.5金のものより18金の方が高い音圧が出ています。

 ところが、19.5金のものが最もステージ上での音圧と観客席上での音圧の比が大きい値となっています。要するにステージ上=そば鳴りの音圧では18金の楽器が最も高い値を示しましたが、観客席上では19.5金製の楽器よりも減衰して遠達性において劣るということです。19.5金製の楽器の方が、そば鳴りはしないが、遠鳴りはする、と言うことですね。この論文(又は学会発表の要旨集)の結果からは、楽器によってそば鳴りと遠鳴りの違いというものは確かに存在し、楽器の素材によって特定の傾向が見られる、ということを物語っていると思います。今回紹介したものはフルートに関するものですが、他の楽器や声楽にしても、そば鳴りと遠鳴り=遠達性とは異なるという客観的事実の存在を示唆していると考えて良いと思います。

 大編成のオーケストラ編成の作品では、大きな音量で演奏できることが個々の演奏者に求められますが、小編成のサロン編成であれば必ずしも音量が第一に求められるわけではありませんね。しかしプロの演奏家という制限を加えれば、一回の公演で出来るだけ多くの聴衆に聞いてもらえることが収入に直結するわけですから、やはり大きな音で演奏できるということがかなり重要な要素になってきます。

 プロの演奏家の方々には、頑張って大編成のオーケストラで収容人数の大きいホールでの公演を数多くこなすことを目指していただいて、私の様にアマチュア音楽愛好家で自らの可処分所得を費やして音楽を楽しむという現代において極めて贅沢な趣味に投資できる立場の人間としては、数少ない聴衆に限定した場で、サロンの雰囲気を楽しむことぉ最優先にして営利性は全く考えない、と言うような状況で、音楽の実を純粋に楽しんでみたいと思います。今更大ホールを満員にするような状況でフルートを演奏する機会はないと思っています。少人数のサロンコンサートの様なところで個人的な音楽の楽しみを精一杯享受したいと思っています。そうすると、世間一般で評価の高い遠鳴りのする、オーケストラ奏者が愛用するような遠鳴り=遠達性のある楽器を選ぶ必然性は、私にはあまりありません。むしろ遠鳴り=遠達性はないけれど、そば鳴りの範囲で音色やアーティキュレーションのメリハリをつけ易い楽器の方が、今の私には合っているような気がします。とはいえこじんまりとした編成での演奏のみの場合でも、強弱=ダイナミックレンジは音楽表現の表現力の最も重要な要素でもあるので、大きい音の出せる楽器が好きです。

 ということで、フルートをもう一本購入するならムラマツの総銀製モデルであるDS(トーンホールが引き上げ)かSR(トーンホールがはんだ付け=ソルダード)かと思っていて、管体がノーマルかヘヴィー管か、E-メカを付けるか付けないか、ツバサリププレートにするかしないか、を悩んでいましたが、いっそのこと正反対の方向性で木管フルートを購入しようか、という思いが浮かんできました。木管フルートと銀製フルートで明らかな音色の違いが吹き分けられなければ、素材による違いは吹き分けられない、という厳然たる事実を認めざるを得なくなります。そうすれあ70万~100万移譲する総銀製のフルートを買うべき必然性も同時に消滅しますからね。

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