読書三昧(27年2月)
抗がん剤の副作用で頭の毛が抜け、手入れの必要もなかったのだが、薬が変わったらまた毛が生えてきた。それも黒い毛が。少し伸びて来たので、一年ぶりに理髪店に行ってきた。自分の体にもまだ元気な所があると思うとそれなりにうれしい。
2月に読んだ本
阿部和重・伊坂幸太郎共著『キャプテンサンダーボルト』
谷川悠里『ダンテの遺言』
林真理子『綺麗な生活』
米澤穂信『満願』
万城目 学・湊 かなえ・小路 幸也・向井 湘吾・藤谷 治『みんなの少年探偵団』
大沼遊魚句集『風の彩り』
☆阿部和重・伊坂幸太郎共著『キャプテンサンダーボルト』
売れっ子作家二人の共作。最初はそれぞれ章を決め書いたそうだが、途中で交換しお互いが手を入れたとのこと。そのせいか拍子抜けするほど違和感がなくすらすら読める。
☆谷川悠里『ダンテの遺言』
現存しないはずのダンテの『神曲』の直筆原稿の謎を、ボローニア大学で美術を学ぶ留学生香田節子、図書館員カシワ・タカシ、ボローニア大学のオルタ教授の三人が、解き明かしてゆく物語。禁書問題に絡めガリレオやロダンなども登場する。肝心の『神曲』を読んだこともないので、理解不能の部分もあるのだが、わからなくても結構面白い。
例えるなら、『ダ・ヴィンチ・コード』からエンターテイメント性を押さえたような小説とでもいえようか。イタリア在住の作者谷川悠里の処女作らしいが、中々の力作である。
☆林真理子『綺麗な生活』
美容整形に勤務の30歳の独身女性が主人公。付き合っていた2人の男と別れ、年下のイケメン大学院生と付き合いはじめたのだが・・・。
一気に読んだ。作品としては面白い。ただどうも好きにはなれない。私が30歳女性の心理がよくわからないからか、大学院生の人物描写に共感出来ないのか、それとも作者が際物的な題材を散りばめているせいか。もやもやした気分のまま読み終わった。
☆米澤穂信『満願』
書店員の推薦する「本屋大賞(2015年)」のノミネート作品10冊の内の1つ。ミステリー系のユニークな作品6篇からなる。それぞれの主人公の心の動きも丁寧に描かれており重量感がある。ライトノベル愛好者には、胃にもたれる感じもするかもしれないが・・・。中ではフリーライターが主人公の『関守』が好き。
☆万城目 学・湊 かなえ他『みんなの少年探偵団』
「江戸川乱歩」生誕120年の記念企画。乱歩へのオマージュとして書かれた五人の作家の作品。中高年のノスタルジーを掻きたてる面白い企画であるが、内容は子供たちも対象にしているのでそれほど歯ごたえがあるわけではない。
私は乱歩の雰囲気を醸し出しながら、意表を突く結末に持っていった万城目 学の『永遠』に一番魅かれた。
☆大沼遊魚句集『風の彩り』
昼飯を食べてお帰り寒いから
風光るその先ずつと青信号
もう少し酔へば螢になれるかも