乃木坂46が参加する、近々放送予定のテレビ・ラジオ注目番組
11月14日(土) 18 : 10 ~ 18 : 42 [地デ] NHK総合『マサカメTV ~ タクシー!ノッてるかーい?』。中元日芽香が出演。木曜深夜(26:20~26:55)に再放送。
11月14日(土) 25 : 05 ~ 25 : 35 [地デ] フジテレビ『うまズキッ!』。レギュラーMC である白石麻衣に加え、高山一実、橋本奈々未、松村沙友理が出演して、乃木坂回恒例の「ウソのような本当の話」に挑戦する模様。
乃木坂46が参加する、近々開催予定の注目イベント
11月12日(木) ミュージカル『リボンの騎士』 in 赤坂ACTシアター [東京公演初日] 第1公演(18:30)。生田絵梨花がサファイア役で主演、桜井玲香はヘケート役で出演
乃木坂が出演する番組やイベントをさらに知りたい方は、以下のページをご参照下さい。
アレチの素敵な乃木坂業務連絡 01Nov15 ~ 注目されるテレビ・ラジオ番組と重要イベントのスケジュール
今日は、13枚目「今、話したい誰かがいる」初回限定盤に収録された個人PVについて、感想を書いてみたいと思います。
12枚目「太陽ノック」のペアPVと同じく、以下のような形式で、TypeA収録作品からメンバー名の「あいうえお」順に載せていきます。
(凡例)
[5点満点での評価点 (総合順位)] メンバー名
『タイトル』
クリエイター
#「評価点」は5点満点で0.5点刻みの10段階評価
#「(総合順位)」は、ベスト5に入った作品のみ表示しています
# クリエイター欄には、「企画」「監督」「演出」「制作」などの担当者名を入れている
個人PVは作品数が多いので、感想は「前編」と「後編」に記事を分けています。
今回は「前編」で、TypeAの全収録作品とTypeBの中元日芽香PVまでを載せています。
それほど厳しい批判はしていないつもりですが、あくまで、私の個人的感想なので、参考程度に受け取って頂ければと思います。
(TypeA収録作品)
[4.0] 生田絵梨花
『赤い傘の人 後編』
プロデューサー : 諏澤大助、安見香
監督 : 湯浅弘章
やりたいことを見つけられず、進路に悩む女子高校生と、親が離婚の危機を迎え、マンションの同じ階に、父親と二人で暮らす小さな男の子。否応なく現実に流されていく二人が、それに抗うように、マンション内の空き部屋に夜8時まで「家出」して、そこにテントを持ち込み、電飾やお菓子を散りばめて、誰にも邪魔されないひと時を過ごす。しかし、彼女には大学へ行くための上京が迫り、男の子の父親は、母親とは違う「赤い傘の人」を家に連れて来る。9枚目「夏のFree&Easy」収録の「無口なライオン」MVに登場する「時間が止まる場所」と同じ構図で、止まらない時の流れの切なさが描かれています。
いくちゃん、男の子、父親はいずれも演技が上手く、物語もよく練り込まれていて、質の高いドラマになっていると思います。ただ、秘密基地での楽しい時間と、外の世界で容赦なく進んでいく時間の対比において、後者を描くシーンが少なく、前者が強調されている印象があり、二人の直面する問題の深刻さが今ひとつ伝わってこなかった。とくに、生田絵梨花が、春からの大学生活に対して、なぜ不安ばかりを抱き、期待感を持てないのか、その辺がよく分からないので、彼女の憂鬱さに共鳴しずらいものがありました。親元を離れての一人暮らしは、むしろ「花の女子大生」という見方も出来るわけで(笑)、心配である以上に、楽しみな面が大きいだろうし、やりたいことは東京で見つければ良いわけで。自分が望んだ方向に進めず、仕方なく東京の女子大に行くといった、「挫折」のエピソードが入っていれば、ドラマにもっと緊迫感が出たんじゃないかと思います。
「無口なライオン」MVは、止まらない時の流れの切なさを、日常性の中に詠んだ秀逸な映像詩 [03Jul14]
[3.0] 生駒里奈
『衝動的少女』
director, editor : yamamoto atsuhiko
music : taiyo computer
生駒里奈の澄んだ歌声の魅力がよく引き出されていると思う。機械加工のレベルが抑えられているのか、プログラムが秀逸なのか(笑)、聴き入ってしまう心地よさがあった。しかし、「衝動的空想」を描いている前半と、生駒ちゃんが古いボストンバッグに入って歌う後半の連関が見えず、バラバラな印象を受けました。とくに、「誰も私に興味がない」といった重めの台詞を、ぶっ込んでいるのに、さらっと流されている。意味深な言葉を散りばめているのだけど、全体としてまとまりを欠いている印象があって、作品としてのパンチが弱まっている気がしました。
[2.5] 井上小百合
『タイトル未定』
監督 : 小林顕作
さゆにゃんがたっぷり映って、歌もうたっているので、ファンとして、嬉しいっちゃ嬉しいんだけど、個人PVとして、彼女から何かを引き出していたかと言われると、ん~、作り込み不足のバラエティという感じが。むしろ小林顕作さんのキャラが強烈に出ていて、彼のPVとしては、結構、いい線行ってるんじゃないかと(笑)。いっそ、二人でコントをやれば、作品の方向性が定まって、より見やすくなった気がします。
[3.5] 川後陽菜
『Summer farewell』
Producer : Kiwamu Watanabe
Music : Sugisawa 'Tabo' Takato
Director/Director of Photography : Mitsunori Yokobori
映像美が素晴らしい。空の広がりや広場の大きさなど、空間の見せ方が秀逸で、澄み渡った海の中をゆったりと泳いでいるような、爽やかな気分になってきます。さらに、色彩センスが抜群で、川後の赤い靴、白い服、真っ赤な風船、深い緑の芝生、青い空、薄緑の草むらと、心地よい対比に引き込まれていきます。物語としては、母親と喧嘩して、そのまま家を飛び出していった兄と、母の死後、東京で再開する妹の話です。母の葬式にすら来なかった兄を最初は嫌いながら、それを乗り越え、たった一人の肉親となってしまった彼と、これから二人で生きていこうという前向きな気持ちに変化する、妹の心の軌跡が描かれています。スローモーションで動きを見せ、川後陽菜の独白でストーリーを紡ぐ手法が、ずば抜けた映像の美しさと相俟って、心揺さぶる作品を生み出していると思います。
この作品、非常に素晴らしいのだけど、一つ気になる点があります。GLAYのTAKUROが作詞作曲した「夏音」という歌があって、その歌詞が、『Summer farewell』における川後陽菜の台詞と、複数箇所で似ているんですね。
例えば、冒頭と最後の台詞、
夏の空は今日も青空で
あなたの笑顔を思い出すととても切なくて
in『Summer farewell』
夏の空は今日も青空で
あなたの笑顔を思い出すととても嬉しくて
in『Summer farewell』
は、
夏の空は今日も青空で
君を思い出すから嫌いだった
in「夏音」
と、かなり似ています。さらに、後半シーンでの
哀しみの微笑みも喜びの涙も
一つ一つが私の宝物
in『Summer farewell』
は、
哀しみの微笑みを喜びの涙を
その一つ一つが僕の宝物
in「夏音」
と、どう見ても似ている。
これはGLAYファンの方がブログで指摘されていて、それから気になって調べてみたんですが、間違いなく似てますよね(笑)。
個人PVの制作者はプロだし、発売元はソニーなので、こういった点はキチンとしていると思うけど、ここまで似ているのなら、エンドロールなどで「夏音」に一言触れた方が良かったんじゃないでしょうか。
対応を一歩誤ると、大きな影響が出かねない問題なので、双方のファンを安心させる意味からも、作品中に「大丈夫だよ~」というアナウンスが欲しかったですね。
今回の記事は個人PVの感想なので、これ以上、書くつもりはないですが、ちょっと考え込んでしまって、『Summer farewell』は当初、衝撃を受けるほど優れた作品だと感じたけど、ど~んと高い点を付ける気にならなくなってしまいました。
[3.0] 川村真洋
『妄想未満』
監督 : 鈴木智之 (NONKI BEAM)
放送作家 : オンダユウ
CG : 坂下公貴
妄想デートのシーンは、絵本の世界に入り込んだようなオシャレな味わいで、ろってぃの表情が生き生きして、彼女の歌も合っていて、とても楽しい。一方、現実生活のシーンは今ひとつオチ不足という感じで、あと一歩の踏み込みが欲しかった。とくに、目を開けたまま寝る、スパゲッティを手にまで巻き付けるの次、延々と歯を磨いて、そこからの展開にパンチが乏しいかなと(笑)。普段着とか、食事の仕方とか、ブラッシングとか、日常生活のシーンにも、「ええ~!そうなの、ろってぃは?」といった遊びがあれば、割と常識的な妄想シーンとの対比で、目の離せない作品になったかも。
[5.0 (総合1位)] 北野日奈子
『ヒナコはキタノ』
企画・作詞・振付 : 大石タケシ
監督 : 友久陽志
プロデューサー : 柴原大樹
音楽プロデューサー : 佐東賢一
作曲 : 林部亜紀子
音楽系個人PVの傑作だと思います。おそらくデートをすっぽかされて、虚しく帰ってきた北野日奈子が、最初やけくそ気味に歌い踊りながら、寂しさや情けなさを表現。その後、だんだん楽しくなってきて、徐々に立ち直っていくミュージカル仕立てで、とにもかくにも、きいちゃんの魅力が炸裂しまくっています。
素晴らしいのは、
またフライパン曲げてしまったわ
怪力だけど恋には非力
など、実物の北野日奈子を描いている歌詞が随所に出てくることです。
涙でアイスが塩味になった
なんて、堀未央奈、伊藤純奈の非公式3人ユニット「塩アイス」を彷彿させる歌詞で、制作者の遊び心と、きいちゃんへの愛情を感じさせます。
特筆したいのは、歌声をほとんど加工せず、北野日奈子の地声を、そのまま使っていることです。そのため、ややハスキーな部分を含めて、彼女の声がダイレクトに心に響いてくる。コンピューターで弄らない、本人そのままの声ほど、パワーがあって、人を惹き付けるものはなく、実際、彼女にしか出せない味わいを、歌が持っていると感じました。
コミカルながら、躍動感のある振り付けも良い。「ガオッ!」というきいちゃん独自のネタが効果的に入っていて、歌詞と声だけでなく、動きの面でも、等身大の北野日奈子が演出されている。そのため、観ていて、自然に、北野日奈子の世界に引き込まれ、ルックス、性格、動き、声など、あらゆる面から、彼女の可愛らしさを存分に堪能することが出来ます。いや~、本当に楽しい作品で、これだけのものを作れるのは、クリエーターの力量はもちろんですが、北野さんも、相当なスター性や演技力を持っているんだと思います。
個人PVは、メンバーを紹介して、その魅力を引き出すのが目的ですが、『ヒナコはキタノ』は、これ以上もうやれることはないんじゃないかと思うくらい、完成度の高い作品になっていて、私は、13枚目収録作品中、文句なく、一番の出来だと感じました。やはり、この作品の主役は、このメンバーしかあり得ないという形こそが、傑作を生み出す大前提で、突き詰めれば、クリエーターがそのメンバーを心底好きであること、つまり彼女の魅力を皆に教えあげたいという熱意こそが、最大の原動力なのかもしれません。
『まりっか'17』しかり、『私の中のモンスター』しかり、『ヒナコはキタノ』しかりでしょう。
ちなみに、「塩アイス」とは(笑)、
堀未央奈の2014/09/19_19:48ブログ
[4.0] 斉藤優里
『愛の二等辺三角形』
ナレーション : 坂本頼光
構成 : 大北栄人、森翔太
監督・編集 : 森翔太
とにかく面白い!ゆうりとちえ子の友情と愛憎を描いた昼メロの予告編集という体裁ですが、真面目に説明を書くのが恥ずかしいほど(笑)、ぶっとんだドラマになっています。こういった作品はあれこれ批評しても意味がなく、観て楽しめるかどうかしかないわけで、私は、相当に笑わせて頂きました。とくに「猫博士」が最高です。この作品における、斉藤優里の最大の功績は、本物の猫に、猫パンチを貰ったことじゃないでしょうか(笑)。若い女性アイドルが猫にパンチを食らうなんて、滅多にないことで、監督もそのインパクトをよく分かっているのでしょう、最終回を除いて、毎回、ポイント場面にこのシーンが使われています。こうなると、もう、猫博士が主人公みたいなもんですね。ただ、ぶっ飛び系のコミカルなドラマを、小気味良く演じられるのは、斉藤優里ならではで、ゆったんの持ち味は存分に出ていたんじゃないでしょうか。森翔太さんが、これまでどういう仕事を手掛けてきたのか、他の作品を観たくなりました(笑)。
[3.5] 桜井玲香
『桜井玲香とその手仕事』
Producer : FUMIYUKI ONO
Director : MAI NISHI
映像が美しくて、桜井玲香のビジュアル、とくに綺麗な指先が魅力的に表現されていると思います。また、うなじや太腿がセクシーで良いっす(笑)。しかし、服を着替えて、髪をまとめ、タイトルにも「手仕事」と入っているのに、ドレスを彩色するシーンが思った以上に少なく、肩透かしを食ったような気分になります。その代わり、生卵を割ったり、ブドウの皮を剥いたり、グレープフルーツにぱくついたりと、食事シーンが入っている。それも悪くはないんだけど、繊細な手仕事への期待感が高まるような流れになっているので、少し練習してでも、挑戦して欲しかったという気持ちが残ります。後で出てくる白石麻衣の『Doll』にも、似たような感想を持ったんですが、スキルを習得する時間がないのであれば、「手仕事」や「DJ」を強調しない方向でまとめた方が、視聴者はスムーズに作品に入っていけるんじゃないかと。
[3.0] 佐々木琴子
『signal』
企画・脚本 : 安部裕之
演出 : 住田崇
本当の佐々木琴子はどの辺にいるのか?個人の好みになると思うんだけど、作中キャラが本物からどのくらい離れているのかを表す座標軸は、私は、ある程度明確に提示して欲しい派なんです(笑)。というのも、琴子が「琴子」を演じているのに、本物の琴子とかけ離れた「琴子」になっているかもしれず、結局、誰のことを何のために描写しているのかよく分からない、若干、気持ちの悪い状況になってしまうからです。相楽伊織の 『バスケならできます。』のように、直球勝負で実像に迫るか、あるいは斉藤優里『愛の二等辺三角形』のように、徹底的に作り込んだ方が、むしろ本人のか何かが引き出せるんじゃないかと。『signal』を観て、観る前より、佐々木琴子のことが分かったとは思えないし、琴子を紐解くヒントを見つけた気にもならない。本人が自分を語っているのに、本人に届かないという隔靴掻痒の感じが、琴子の美しさに感動する気持ちを越えて、自分の中で、作品への評価をやや下げている気がします。ただ、「安部さんもやっぱり気づいてくれなかった」という台詞が、監督自身も、彼女の本当の魅力に、届きそうで届かないことを素直に表しているのなら、「彷徨う座標軸」という興味深いテーマに踏み込んでいて、それはそれで面白いかもしれません。
[2.5] 西野七瀬
『靴を履かない理由がない』
監督・脚本 : 山岸聖太
プロデューサー : 諏澤大助
ん~、この作品への評価も、高度に個人的嗜好に左右されると思います(笑)。私の場合は、校長ともう一人の先生のやりとりは面白かったけど、西野七瀬が何をやりたいのか、動画撮影の背景を含め、全然描かれてないので、唖然としたまま終わってしまいました。寺田蘭世が「シーシュポスの神話」を朗読していますが、カミュの描いた「不条理」のさらに上を行くような世界で、ナンセンス劇あるいは不可解劇という範疇なんでしょうか。いずれにしても、見終わった後、ななせまるが一層好きになるタイプの作品ではない気がします(笑)。多種多様こそが、乃木坂個人PVの真髄ってことですね。
[2.5] 樋口日奈
『くちびる』
プロデューサー : 渡邉究
脚本・監督・撮影・編集 : 藤田恭平
筋立てがしかっかりしていて、オチも強烈なのが待っている(笑)。物語の流れが分かり易いので、鑑賞しやすい作品だと思います。さらに、樋口日奈の色気を引き出すシーンもちゃんと入っている。ただ、西野七瀬の『靴を履かない理由がない』と同じく、この作品を観て、樋口日奈の人気が上がるのかというと、疑問符を付けたくなります。個人PVは、メンバーの「プロモーション」が目的なので、脚本の流れがやや甘くなっても、もう少し違った設定にして、ひなちまの女性的魅力が残像として心に焼き付くような、ドラマにして欲しかったかなと。まあ、パンチのあるドラマを作ることと、メンバーを上手くフィーチャーすることは、両立させるのが結構難しいということでしょうね。
[4.0] 若月佑美
『トワイライト★夢魅のときめき!?マンガロード』
企画 : 大来優 (キャラメル・ラテ)
演出・構成 : Caramel Latte
プロデューサー : 藤岡将史、中村惇志
『情熱大陸』のパロディのような構成。漫画家である若月佑美が、マンガは「人生の本」、仕掛けた「トリック」の意味が次々と明らかになる瞬間が堪らないなど、熱く、壮大に語るものの、終盤に登場する自身の作品が、トホホ感満載の乃木坂ネタ四コマ漫画というオチになっている。ファンにはお馴染みである若様の情熱的トークを生かした、爆笑系というより、クスクス笑い的なおかしさです。微妙なクオリティの四コマ漫画を見せられた後に、「心の成長を助けるツールでありたい」と話すシーンは、若様をそっと抱きしめてあげたくなるような、彼女の可愛さが迸っていました(笑)。ただ、インタビューの途中、原稿を取りに来た編集者と絡むとか、弟子に指示を出すとか、もっと動きのある展開にすれば、さらに良かったかも。あと、若月佑美の演技力によって、漫画家の雰囲気はかなり出ていたけど、出来れば、本物の漫画家のデスクを借りて、使い込んだペンやインクや紙といった舞台装置があれば、結局、「落差」がポイントなので、前半の仕込みがもっと効果的になったと思います。まあ予算と時間に限度があるのでしょうがないけど、若様がどこまで本物に化けられるか、ちょっと観てみたかった。
(TypeB収録作品)
[2.5] 秋元真夏
『PM8:00「真夏」』
監督・脚本 : 若松雅也
プロデューサー : 山ノ内禎枝
「チームメイト」という言葉が何回か出てくるけど、夏季限定で結成された仕事チームの同僚なのか、大学の運動部の部員なのか、二人の関係について何も描かれていないので、感情移入しづらい面があります。とくに、なぜその日の午後8時になると、関係性が変わるのか、さすがに少し説明が欲しい。また、男性役を秋元真夏が演じる必要があるのか疑問を感じました。プロの俳優を起用して、女性役の心情変化に重点を置いた方が、視聴者がドラマ世界に入りやすいんじゃないかと。背景を敢えて描かないという手法が一概に悪いとは言えないけど、何だかよく分からないまま終わってしまった印象でした。
[3.5] 伊藤かりん
『EYES ON YOUR HEART』
監督/脚本/撮影 : 平井健太
共演している小さな女の子、星野スミレちゃんが、まあ、べらぼうに可愛い。もちろん、伊藤かりんも可愛いのだけど(笑)、「ぐるぐるカーテン」の振り付けを、たどたどしく真似するシーンなんかは、悶絶しそうになった。笑ったり、じっと見つめたり、台詞を言ったり、表情の変化や間合いも上手くて、もう誰のPVなんだと言いたくなるほど、スミレちゃんが全部持ってちゃってます(笑)。作品としては、野原、海、砂浜、流木など、映像がキレイで、不思議な物語展開と相俟って、幻想的な雰囲気がいい感じに出てると思います。まあ、女の子もかりんさんも、この世の存在かどうかすら定かではなく(笑)、その辺はふわっと受け入れるタイプの作品なのかなと思います。ただ、終盤、金属的な耳障りで不安を煽るような音楽が響き、浜辺に作った砂人形を足で壊したり、それまでの心地よい空気が変調して、「意味」を考えさせる構成になっている。であれば、伊藤かりんが女の子を追っていく場面が示すものを、伏線などを使って、もう少し分かり易く見せた方がいいかなと思いました。それにしても、斉藤優里の「猫博士」にせよ、星野スミレちゃんにせよ、メンバーの個人PVに動物や子ども出演させるのは、ある意味、危険な行為かもしれないですね(笑)。
[3.5] 伊藤純奈
『秘密乙女クラブ』
演出 : 雨宮恒平
プロデューサー : 森田一平
コマ割りの一つ一つに実写映像を入れ込んで、漫画風に仕上げるテクニックが非常に面白い。映像作品で、こういう手法を使うのって、よくあることなんでしょうか?少なくとも、乃木坂の個人PVでは、初めてですよね。とくに、あるコマを中心に見せているときも、他のコマ内でまだ動画が続いており、最後、カットの掛け声とともに、安心した伊藤純奈が笑顔で一斉に大きく動き出すシーンは、「おおっ!」とゾワゾワするような迫力があって良かった(笑)。内容は、意中の男子を振り向かせるテクニックの秘密特訓で、朝、パンをくわえて登校し、通学路の曲がり角で相手にぶつかる、米粒を「うっかり」顔につけたままにする、好きになった相手が実の兄だったイメージトレーニングなど、まあ定番のメニューです(笑)。一つ物足りないのは、『初森ベマーズ』で見せたような伊藤純奈の攻撃性が出ていなかったことです。例えば、アイドルは恋愛禁止という衝撃の事実に気づいたとき、大暴れするとか、そういう元気な純奈も観たかった(笑)。
[4.0] 伊藤万理華
『GO,GO!イサキちゃん!第1話』
脚本・監督 : 熊坂出
毒をもって、毒を制す。見終わったあと、そんな言葉が浮かんできました(笑)。度外れに濃ゆく作られた「イサキちゃん」キャラに、加藤諒の「カァトゥー」が全然負けてなくて、不思議な会話も、意外とすんなり心に入ってくる。「受け入れたんですもの、自分の運命を」と言われて、イサキがちょっと涙ぐむシーンは、彼女の優しさが素直に引き出されていて、ちょっと感動しました。濃いめの汁には、そば粉比率の高いしっかりした蕎麦が合う、やはり、キャスティングって大事ですね(笑)。ただ、こういったぶっ飛び系のドラマは、パンチはあるんだけど、上手く作らないと、「で?」という疑問符が心に残ることが多い。この作品も、イサキの心の動きにさらに迫る台詞や展開があれば、もっと見応えがあったかなと思います。
ところで、最近の個人PVで、伊藤万理華は、連続してエキセントリックな役を割り振られています。さすがに、もうちょっと普通の役、そうですね中村太洸氏や湯浅弘章氏が撮るような作品でのまりっかを、そろそろ観てみたい。舞台『すべての犬は天国へ行く』のクレメンタインも凄まじい役だし、せめて映画『アイズ』の山本由佳里くらいに「普通」な感じでお願いします(笑)。とはいえ、この作品でも、最後に披露したバレエ風ダンスは、印象的な赤い服と相俟って、伊藤万理華の魅力がストレートに炸裂していて、とても良かったです。演技にせよ、ダンスにせよ、人を惹き付けますよね、まりっかは。
伊藤万理華の2015/10/24_21:30ブログ
伊藤万理華の2015/10/30 21:54ブログ
[2.5] 齋藤飛鳥
『ミュージカル 齋藤飛鳥』
creative director : shida kazuhiro
director : tsukita sigeru
music : taiyo computer
齋藤飛鳥の歌声を加工し過ぎている気がします。やや癖のある硬質で可愛い声が、癖の全然ないキレイな声に変わっていて、あしゅらしさが消えかかっている。ただ、音楽以上に不満を感じたのは、「ミュージカル」と謳っているのに、バスと観覧車ではずっと座っていて、浜辺で男の子と遊ぶシーンでも、あまり動きがない。割とノリの良い曲が続くので、ダンスを入れるとか、あるいは、砂浜を走ったり、飛び跳ねたり、動きが欲しかったですね。それから、緑のキャップをずっと被っているのは、なぜなんでしょう?齋藤飛鳥の魅力の一つは、ストレートの美しく長い髪で、「涙がまだ悲しみだった頃」や「扇風機」のMVなど、他のメンバー以上に、あしゅが走らされるのは、風になびく髪を見せたいが故という話があるほどです(笑)。そんな魅力溢れるものを最初から最後まで隠す必要はないかと。ところで、音楽担当の「taiyo computer」さんは、12枚目「太陽ノック」収録ペアPVの「真夏の七瀬」の劇中歌を作詞作曲されてますよね。こちらは「太陽コンピューター」と日本語表記ですが、人名なんでしょうか、グループ名なんでしょうか。乃木坂のPVにときどき名前が出てくるので、ちょっと気になってます(笑)。
乃木坂の風 02Jul13 ~ 齋藤飛鳥が再び疾走!「扇風機」は違和感のない良作
[3.5] 白石麻衣
『Doll』
プロデューサー : 宇都宮渉
エグゼクティブプロデューサー : 林辰郎
監督 : 林隆行
ボーリング場のまいやんはキュートに可愛く、クラブのまいやんはカッコ美しい。白石麻衣のビジュアル的魅力が詰まった作品で、個人PVとしては良く出来ていると感じました。多分、まいやんを撮る映像面で、かなり繊細な工夫を凝らしているのだと思います。ただ、桜井玲香のPVと同じく、DJそのままの格好でクラブに現れ、客をかき分けで壇上に上がり、今のDJをぶっ飛ばしているのだから、もっと長く、まいやんのDJプレイを観たかった。しかし、DJシーンは少しだけで、すぐにフロアに下りてダンスを披露するので、期待を裏切られた感じが残ってしまいます。最後、笑顔でウィンクしてクラブを去っていくシーンは、まいやんからやりきった感が出てるけど、そんなにやりきったかなあ?と、ツッコミたくなった(笑)。撮影時間の関係から、人に披露するレベルまでDJスキルが身に付かなかったのであれば、むしろ、ボーリングと同じく、DJでもガーター連発にして、客が怒るんだけど、まいやの美しさが際立つダンスで黙らせて、「Doll」という点を強調する方向もあったかと思います。ん?ひょっとして、この作品、そういう展開じゃないですよね?私には、作中の流れでは、まいやんのDJは成功したように見えたんですが、どうなんでしょう(笑)。
[3.5] 寺田蘭世
『×読む Declamation』
監督 : セキリュウジ
# PVには制作スタッフの名前を載せている画面は登場せず。上記の監督名は別ルートから得た情報。
大きな重い岩を山頂まで押し上げると、その途端、岩が麓まで転がり落ちて、再びシーシュポスは岩を押し上げなければならない。私は、「異邦人」や「ペスト」など、カミュの小説が大好きで、寺田蘭世が朗読する内容に、聴き入ってしまいました。「シーシュポスの神話」で扱われている「無益で希望のない労働」というテーマは、現代においても重要な問題で、今それを議論する意義は決して小さくない。朗読用に抜粋した箇所のチョイスを含め、このPVに大きな感銘を受けたんですが、よく考えると、それはカミュを評価しているのであって、寺田蘭世がそれを朗読することが、彼女にとってどんな意味を持つのか、そして、何よりそれによってアイドルとして輝いているかは、全然別の話になります(笑)。
例えば、握手会なんて、シーシュポスの岩みたいなもので、あるシングルで、メンバーとファンが懸命に麓から山頂に押し上げても、次のシングルでは、再び一からやり直さなければならない。まるで神々がシーシュポスに与えた罰のように、延々とメンバーとファンは岩を押し上げ続けている。朗読の声を流しながら、寺田蘭世が握手に勤しむ姿を、画像として挿入すれば、まさに、乃木坂メンバーである彼女が「シーシュポスの神話」を読む意味が出てきて、なかなか骨太な作品になると思います。しかし、乃木坂の握手会をまるで「無益で希望のない労働」呼ばわりするかのようなPVを、運営が許可するとは思えないので、それだけでは、ちょっと無理でしょうね(笑)。
しかし、カミュが言いたかったのは、シーシュポスは「無益で希望のない労働」に、ただ喘いでいるだけの存在ではないということです。転がり落ちた岩を追って麓へ向かうシーシュポスは、この「いわばちょっと息をついている時間」に、自分の境遇へと思いを巡らせる。こういった「人間が自分の生へと振り向く微妙な瞬間」こそ、カミュがもっとも考察したかった点のようで、握手会を終えて、家でくつろぐ蘭世が「あ~あ疲れた、私、何で握手なんかやってるんだろ?」といった顔をして、テレビを眺めている姿なんか、ピッタリのショットじゃないでしょうか(笑)。
ところが、カミュはこう続けます。「頂上を目がける闘争、ただそれだけで人間の心を満たすのに十分足りてるのだ」と。つまり、人間とは、不条理な労働に受動的にただ喘いでいるのではなく、そこに「闘争」を見出し、「頂上」への意思を付与する、そういう逞しい存在だということです。二期生として乃木坂に入った最初の頃、「センターを目指します」と宣言した、強靭な上昇志向の持ち主である寺田蘭世こそ、握手会という「不条理」を吹き飛ばす「頂上を目がける闘争」の体現者と言っていい。再び、雄々しく、乃木坂の仕事に立ち向かう彼女の画像を入れて、作品を締めくくれば、運営も納得の出来になるんじゃないかと(笑)。
もし、個人PVの制作者が、乃木坂の握手会や寺田蘭世の性格を考えて、彼女に「シーシュポスの神話」を朗読させることを思いついたのであれば、目が眩むほどシャープなアイデアだと思います。そうであるならば、およそクリエーターは、タブーを設けず作品を創造する「自由の証人」であるべきだという主張を、『×読む Declamation』に潜ませているのかもしれません。ただ、この作品からはそこまで判断出来ないので、上記3.5点という評価は、堅い文章を朗読する美少女の魅力、メンバーをアイドル的にフィーチャーするPVという観点からのものです。ただ、それだけでも、結構、良かったです、何と言っても蘭世は可愛いので(笑)。
[4.5 (総合3位)] 中元日芽香
『RED BUTTON』
Producer : NORIYUKI YASUMITSU
Director : HIROAKI MATSUNAGA
素晴らしい作品だと思います。四脚テーブルと椅子が一つあるだけの殺風景な部屋。テーブルの上には、赤いボタンの装置がポツンと載っていて、太腿まで届く長いシャツを着た中元日芽香が、それを押そうかどうか迷っている。しげしげ見つめ、「もしも~し」と呼びかけ、匂いを嗅ぎ、テーブルの下をチェックする。しかし、ほとんど何の情報も得られない。ひめたんが置かれた状況の説明は一切ないんだけど、彼女の様子から、何が起こるか分からないけど、赤いボタンを押さなければ、何も変わらず、おそらく、このまま延々と部屋に閉じ込められているだけということが想像出来ます。
遠巻きに眺めたり、近寄ってみたり。軽いノリで押そうとするんだけど、最後の一指が出せない。右手を伸ばして、一気に押そうとすると、左手がそれを掴んで押させまいとする(笑)。ボタンを押して事態を変えたいという思いと、押したら自分に害が及ぶかもしれない恐怖で、次第に心が引き裂かれていく。やがて「うう~」と唸りながら頭を掻きむしった後、顔を上に向け、ケタケタ笑い出し、そしてポロポロ涙を流す。苦悶する表情は真に迫っていて、観ていて息苦しくなるほどで、ひめたんのあまりの演技力に衝撃を受けました。
シチュエーションとしては、バンジージャンプを飛ぼうとする人の気持ちに似ているけど、バンジーと違って、赤いボタンは押したら何が起こるのか分からない。大したことは起こらないかもしれないし、自分が死んでしまうかもしれない。「先の展開が読めない」ということが、心底から恐怖を呼び起こしている。ん~、人間心理を踏まえた、見事な設定だと思います。
白黒映像の中、ボタンの赤だけが色付きで表されている世界の中、ひめたんが悶絶し続けるんですが、顔をボタンに近づけたとき、ほんのり頬が赤く染まっていて、心理と連動させた繊細な映像表現がなされている。結局、泣き終わったあと、超越したような、表情のない顔になり、そこで初めて画面がカラーに切り替わって、いよいよ「次」のステップが始まることを予感させます。
そして、今までの身を切るような葛藤が嘘のような、無の境地に入ったかの表情で、ゆっくりと、しかし躊躇なく手を伸ばして、スッと赤いボタンを押す。たった一個の小さなボタンが、人間をここまで苦しめ、探究心、攻撃性、逃避、逡巡、焦り、自己嫌悪、自己欺瞞などなど、さまざまな感情を経験させる様は、非常に見応えがありました。
個人的な好みになるかと思いますが、一つ不満だったのは、最後のシーンです。むしろ結末は見せずに、ボタンを押した時点で終わるか、あるいは、何か「ゴーーッ」という音がして終わる的な方が、物語の流れとしてしっくりするんじゃないかと。ただ、こんなシンプルな設定で、ここまで視聴者を引き込むドラマなんて、滅多にない筈で、中元日芽香を含め、この作品を生み出したスタッフの力量には感嘆を覚えます。そして、評価は4.5点で、全PV中の総合3位にしました。
さすがに書き疲れてしまったので、「後編」は後日にさせて下さい(笑)。
上述の通り、ベスト5は、1位北野日奈子、3位中元日芽香です。
2位、4位、5位はすでに決めてますが、「後編」のお楽しみということで。
一つだけヒントを書くと、バスケをする女子って、魅力的ですよね(笑)。
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# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています
11月14日(土) 18 : 10 ~ 18 : 42 [地デ] NHK総合『マサカメTV ~ タクシー!ノッてるかーい?』。中元日芽香が出演。木曜深夜(26:20~26:55)に再放送。
11月14日(土) 25 : 05 ~ 25 : 35 [地デ] フジテレビ『うまズキッ!』。レギュラーMC である白石麻衣に加え、高山一実、橋本奈々未、松村沙友理が出演して、乃木坂回恒例の「ウソのような本当の話」に挑戦する模様。
乃木坂46が参加する、近々開催予定の注目イベント
11月12日(木) ミュージカル『リボンの騎士』 in 赤坂ACTシアター [東京公演初日] 第1公演(18:30)。生田絵梨花がサファイア役で主演、桜井玲香はヘケート役で出演
乃木坂が出演する番組やイベントをさらに知りたい方は、以下のページをご参照下さい。
アレチの素敵な乃木坂業務連絡 01Nov15 ~ 注目されるテレビ・ラジオ番組と重要イベントのスケジュール
今日は、13枚目「今、話したい誰かがいる」初回限定盤に収録された個人PVについて、感想を書いてみたいと思います。
12枚目「太陽ノック」のペアPVと同じく、以下のような形式で、TypeA収録作品からメンバー名の「あいうえお」順に載せていきます。
(凡例)
[5点満点での評価点 (総合順位)] メンバー名
『タイトル』
クリエイター
#「評価点」は5点満点で0.5点刻みの10段階評価
#「(総合順位)」は、ベスト5に入った作品のみ表示しています
# クリエイター欄には、「企画」「監督」「演出」「制作」などの担当者名を入れている
個人PVは作品数が多いので、感想は「前編」と「後編」に記事を分けています。
今回は「前編」で、TypeAの全収録作品とTypeBの中元日芽香PVまでを載せています。
それほど厳しい批判はしていないつもりですが、あくまで、私の個人的感想なので、参考程度に受け取って頂ければと思います。
(TypeA収録作品)
[4.0] 生田絵梨花
『赤い傘の人 後編』
プロデューサー : 諏澤大助、安見香
監督 : 湯浅弘章
やりたいことを見つけられず、進路に悩む女子高校生と、親が離婚の危機を迎え、マンションの同じ階に、父親と二人で暮らす小さな男の子。否応なく現実に流されていく二人が、それに抗うように、マンション内の空き部屋に夜8時まで「家出」して、そこにテントを持ち込み、電飾やお菓子を散りばめて、誰にも邪魔されないひと時を過ごす。しかし、彼女には大学へ行くための上京が迫り、男の子の父親は、母親とは違う「赤い傘の人」を家に連れて来る。9枚目「夏のFree&Easy」収録の「無口なライオン」MVに登場する「時間が止まる場所」と同じ構図で、止まらない時の流れの切なさが描かれています。
いくちゃん、男の子、父親はいずれも演技が上手く、物語もよく練り込まれていて、質の高いドラマになっていると思います。ただ、秘密基地での楽しい時間と、外の世界で容赦なく進んでいく時間の対比において、後者を描くシーンが少なく、前者が強調されている印象があり、二人の直面する問題の深刻さが今ひとつ伝わってこなかった。とくに、生田絵梨花が、春からの大学生活に対して、なぜ不安ばかりを抱き、期待感を持てないのか、その辺がよく分からないので、彼女の憂鬱さに共鳴しずらいものがありました。親元を離れての一人暮らしは、むしろ「花の女子大生」という見方も出来るわけで(笑)、心配である以上に、楽しみな面が大きいだろうし、やりたいことは東京で見つければ良いわけで。自分が望んだ方向に進めず、仕方なく東京の女子大に行くといった、「挫折」のエピソードが入っていれば、ドラマにもっと緊迫感が出たんじゃないかと思います。
「無口なライオン」MVは、止まらない時の流れの切なさを、日常性の中に詠んだ秀逸な映像詩 [03Jul14]
[3.0] 生駒里奈
『衝動的少女』
director, editor : yamamoto atsuhiko
music : taiyo computer
生駒里奈の澄んだ歌声の魅力がよく引き出されていると思う。機械加工のレベルが抑えられているのか、プログラムが秀逸なのか(笑)、聴き入ってしまう心地よさがあった。しかし、「衝動的空想」を描いている前半と、生駒ちゃんが古いボストンバッグに入って歌う後半の連関が見えず、バラバラな印象を受けました。とくに、「誰も私に興味がない」といった重めの台詞を、ぶっ込んでいるのに、さらっと流されている。意味深な言葉を散りばめているのだけど、全体としてまとまりを欠いている印象があって、作品としてのパンチが弱まっている気がしました。
[2.5] 井上小百合
『タイトル未定』
監督 : 小林顕作
さゆにゃんがたっぷり映って、歌もうたっているので、ファンとして、嬉しいっちゃ嬉しいんだけど、個人PVとして、彼女から何かを引き出していたかと言われると、ん~、作り込み不足のバラエティという感じが。むしろ小林顕作さんのキャラが強烈に出ていて、彼のPVとしては、結構、いい線行ってるんじゃないかと(笑)。いっそ、二人でコントをやれば、作品の方向性が定まって、より見やすくなった気がします。
[3.5] 川後陽菜
『Summer farewell』
Producer : Kiwamu Watanabe
Music : Sugisawa 'Tabo' Takato
Director/Director of Photography : Mitsunori Yokobori
映像美が素晴らしい。空の広がりや広場の大きさなど、空間の見せ方が秀逸で、澄み渡った海の中をゆったりと泳いでいるような、爽やかな気分になってきます。さらに、色彩センスが抜群で、川後の赤い靴、白い服、真っ赤な風船、深い緑の芝生、青い空、薄緑の草むらと、心地よい対比に引き込まれていきます。物語としては、母親と喧嘩して、そのまま家を飛び出していった兄と、母の死後、東京で再開する妹の話です。母の葬式にすら来なかった兄を最初は嫌いながら、それを乗り越え、たった一人の肉親となってしまった彼と、これから二人で生きていこうという前向きな気持ちに変化する、妹の心の軌跡が描かれています。スローモーションで動きを見せ、川後陽菜の独白でストーリーを紡ぐ手法が、ずば抜けた映像の美しさと相俟って、心揺さぶる作品を生み出していると思います。
この作品、非常に素晴らしいのだけど、一つ気になる点があります。GLAYのTAKUROが作詞作曲した「夏音」という歌があって、その歌詞が、『Summer farewell』における川後陽菜の台詞と、複数箇所で似ているんですね。
例えば、冒頭と最後の台詞、
夏の空は今日も青空で
あなたの笑顔を思い出すととても切なくて
in『Summer farewell』
夏の空は今日も青空で
あなたの笑顔を思い出すととても嬉しくて
in『Summer farewell』
は、
夏の空は今日も青空で
君を思い出すから嫌いだった
in「夏音」
と、かなり似ています。さらに、後半シーンでの
哀しみの微笑みも喜びの涙も
一つ一つが私の宝物
in『Summer farewell』
は、
哀しみの微笑みを喜びの涙を
その一つ一つが僕の宝物
in「夏音」
と、どう見ても似ている。
これはGLAYファンの方がブログで指摘されていて、それから気になって調べてみたんですが、間違いなく似てますよね(笑)。
個人PVの制作者はプロだし、発売元はソニーなので、こういった点はキチンとしていると思うけど、ここまで似ているのなら、エンドロールなどで「夏音」に一言触れた方が良かったんじゃないでしょうか。
対応を一歩誤ると、大きな影響が出かねない問題なので、双方のファンを安心させる意味からも、作品中に「大丈夫だよ~」というアナウンスが欲しかったですね。
今回の記事は個人PVの感想なので、これ以上、書くつもりはないですが、ちょっと考え込んでしまって、『Summer farewell』は当初、衝撃を受けるほど優れた作品だと感じたけど、ど~んと高い点を付ける気にならなくなってしまいました。
[3.0] 川村真洋
『妄想未満』
監督 : 鈴木智之 (NONKI BEAM)
放送作家 : オンダユウ
CG : 坂下公貴
妄想デートのシーンは、絵本の世界に入り込んだようなオシャレな味わいで、ろってぃの表情が生き生きして、彼女の歌も合っていて、とても楽しい。一方、現実生活のシーンは今ひとつオチ不足という感じで、あと一歩の踏み込みが欲しかった。とくに、目を開けたまま寝る、スパゲッティを手にまで巻き付けるの次、延々と歯を磨いて、そこからの展開にパンチが乏しいかなと(笑)。普段着とか、食事の仕方とか、ブラッシングとか、日常生活のシーンにも、「ええ~!そうなの、ろってぃは?」といった遊びがあれば、割と常識的な妄想シーンとの対比で、目の離せない作品になったかも。
[5.0 (総合1位)] 北野日奈子
『ヒナコはキタノ』
企画・作詞・振付 : 大石タケシ
監督 : 友久陽志
プロデューサー : 柴原大樹
音楽プロデューサー : 佐東賢一
作曲 : 林部亜紀子
音楽系個人PVの傑作だと思います。おそらくデートをすっぽかされて、虚しく帰ってきた北野日奈子が、最初やけくそ気味に歌い踊りながら、寂しさや情けなさを表現。その後、だんだん楽しくなってきて、徐々に立ち直っていくミュージカル仕立てで、とにもかくにも、きいちゃんの魅力が炸裂しまくっています。
素晴らしいのは、
またフライパン曲げてしまったわ
怪力だけど恋には非力
など、実物の北野日奈子を描いている歌詞が随所に出てくることです。
涙でアイスが塩味になった
なんて、堀未央奈、伊藤純奈の非公式3人ユニット「塩アイス」を彷彿させる歌詞で、制作者の遊び心と、きいちゃんへの愛情を感じさせます。
特筆したいのは、歌声をほとんど加工せず、北野日奈子の地声を、そのまま使っていることです。そのため、ややハスキーな部分を含めて、彼女の声がダイレクトに心に響いてくる。コンピューターで弄らない、本人そのままの声ほど、パワーがあって、人を惹き付けるものはなく、実際、彼女にしか出せない味わいを、歌が持っていると感じました。
コミカルながら、躍動感のある振り付けも良い。「ガオッ!」というきいちゃん独自のネタが効果的に入っていて、歌詞と声だけでなく、動きの面でも、等身大の北野日奈子が演出されている。そのため、観ていて、自然に、北野日奈子の世界に引き込まれ、ルックス、性格、動き、声など、あらゆる面から、彼女の可愛らしさを存分に堪能することが出来ます。いや~、本当に楽しい作品で、これだけのものを作れるのは、クリエーターの力量はもちろんですが、北野さんも、相当なスター性や演技力を持っているんだと思います。
個人PVは、メンバーを紹介して、その魅力を引き出すのが目的ですが、『ヒナコはキタノ』は、これ以上もうやれることはないんじゃないかと思うくらい、完成度の高い作品になっていて、私は、13枚目収録作品中、文句なく、一番の出来だと感じました。やはり、この作品の主役は、このメンバーしかあり得ないという形こそが、傑作を生み出す大前提で、突き詰めれば、クリエーターがそのメンバーを心底好きであること、つまり彼女の魅力を皆に教えあげたいという熱意こそが、最大の原動力なのかもしれません。
『まりっか'17』しかり、『私の中のモンスター』しかり、『ヒナコはキタノ』しかりでしょう。
ちなみに、「塩アイス」とは(笑)、
堀未央奈の2014/09/19_19:48ブログ
[4.0] 斉藤優里
『愛の二等辺三角形』
ナレーション : 坂本頼光
構成 : 大北栄人、森翔太
監督・編集 : 森翔太
とにかく面白い!ゆうりとちえ子の友情と愛憎を描いた昼メロの予告編集という体裁ですが、真面目に説明を書くのが恥ずかしいほど(笑)、ぶっとんだドラマになっています。こういった作品はあれこれ批評しても意味がなく、観て楽しめるかどうかしかないわけで、私は、相当に笑わせて頂きました。とくに「猫博士」が最高です。この作品における、斉藤優里の最大の功績は、本物の猫に、猫パンチを貰ったことじゃないでしょうか(笑)。若い女性アイドルが猫にパンチを食らうなんて、滅多にないことで、監督もそのインパクトをよく分かっているのでしょう、最終回を除いて、毎回、ポイント場面にこのシーンが使われています。こうなると、もう、猫博士が主人公みたいなもんですね。ただ、ぶっ飛び系のコミカルなドラマを、小気味良く演じられるのは、斉藤優里ならではで、ゆったんの持ち味は存分に出ていたんじゃないでしょうか。森翔太さんが、これまでどういう仕事を手掛けてきたのか、他の作品を観たくなりました(笑)。
[3.5] 桜井玲香
『桜井玲香とその手仕事』
Producer : FUMIYUKI ONO
Director : MAI NISHI
映像が美しくて、桜井玲香のビジュアル、とくに綺麗な指先が魅力的に表現されていると思います。また、うなじや太腿がセクシーで良いっす(笑)。しかし、服を着替えて、髪をまとめ、タイトルにも「手仕事」と入っているのに、ドレスを彩色するシーンが思った以上に少なく、肩透かしを食ったような気分になります。その代わり、生卵を割ったり、ブドウの皮を剥いたり、グレープフルーツにぱくついたりと、食事シーンが入っている。それも悪くはないんだけど、繊細な手仕事への期待感が高まるような流れになっているので、少し練習してでも、挑戦して欲しかったという気持ちが残ります。後で出てくる白石麻衣の『Doll』にも、似たような感想を持ったんですが、スキルを習得する時間がないのであれば、「手仕事」や「DJ」を強調しない方向でまとめた方が、視聴者はスムーズに作品に入っていけるんじゃないかと。
[3.0] 佐々木琴子
『signal』
企画・脚本 : 安部裕之
演出 : 住田崇
本当の佐々木琴子はどの辺にいるのか?個人の好みになると思うんだけど、作中キャラが本物からどのくらい離れているのかを表す座標軸は、私は、ある程度明確に提示して欲しい派なんです(笑)。というのも、琴子が「琴子」を演じているのに、本物の琴子とかけ離れた「琴子」になっているかもしれず、結局、誰のことを何のために描写しているのかよく分からない、若干、気持ちの悪い状況になってしまうからです。相楽伊織の 『バスケならできます。』のように、直球勝負で実像に迫るか、あるいは斉藤優里『愛の二等辺三角形』のように、徹底的に作り込んだ方が、むしろ本人のか何かが引き出せるんじゃないかと。『signal』を観て、観る前より、佐々木琴子のことが分かったとは思えないし、琴子を紐解くヒントを見つけた気にもならない。本人が自分を語っているのに、本人に届かないという隔靴掻痒の感じが、琴子の美しさに感動する気持ちを越えて、自分の中で、作品への評価をやや下げている気がします。ただ、「安部さんもやっぱり気づいてくれなかった」という台詞が、監督自身も、彼女の本当の魅力に、届きそうで届かないことを素直に表しているのなら、「彷徨う座標軸」という興味深いテーマに踏み込んでいて、それはそれで面白いかもしれません。
[2.5] 西野七瀬
『靴を履かない理由がない』
監督・脚本 : 山岸聖太
プロデューサー : 諏澤大助
ん~、この作品への評価も、高度に個人的嗜好に左右されると思います(笑)。私の場合は、校長ともう一人の先生のやりとりは面白かったけど、西野七瀬が何をやりたいのか、動画撮影の背景を含め、全然描かれてないので、唖然としたまま終わってしまいました。寺田蘭世が「シーシュポスの神話」を朗読していますが、カミュの描いた「不条理」のさらに上を行くような世界で、ナンセンス劇あるいは不可解劇という範疇なんでしょうか。いずれにしても、見終わった後、ななせまるが一層好きになるタイプの作品ではない気がします(笑)。多種多様こそが、乃木坂個人PVの真髄ってことですね。
[2.5] 樋口日奈
『くちびる』
プロデューサー : 渡邉究
脚本・監督・撮影・編集 : 藤田恭平
筋立てがしかっかりしていて、オチも強烈なのが待っている(笑)。物語の流れが分かり易いので、鑑賞しやすい作品だと思います。さらに、樋口日奈の色気を引き出すシーンもちゃんと入っている。ただ、西野七瀬の『靴を履かない理由がない』と同じく、この作品を観て、樋口日奈の人気が上がるのかというと、疑問符を付けたくなります。個人PVは、メンバーの「プロモーション」が目的なので、脚本の流れがやや甘くなっても、もう少し違った設定にして、ひなちまの女性的魅力が残像として心に焼き付くような、ドラマにして欲しかったかなと。まあ、パンチのあるドラマを作ることと、メンバーを上手くフィーチャーすることは、両立させるのが結構難しいということでしょうね。
[4.0] 若月佑美
『トワイライト★夢魅のときめき!?マンガロード』
企画 : 大来優 (キャラメル・ラテ)
演出・構成 : Caramel Latte
プロデューサー : 藤岡将史、中村惇志
『情熱大陸』のパロディのような構成。漫画家である若月佑美が、マンガは「人生の本」、仕掛けた「トリック」の意味が次々と明らかになる瞬間が堪らないなど、熱く、壮大に語るものの、終盤に登場する自身の作品が、トホホ感満載の乃木坂ネタ四コマ漫画というオチになっている。ファンにはお馴染みである若様の情熱的トークを生かした、爆笑系というより、クスクス笑い的なおかしさです。微妙なクオリティの四コマ漫画を見せられた後に、「心の成長を助けるツールでありたい」と話すシーンは、若様をそっと抱きしめてあげたくなるような、彼女の可愛さが迸っていました(笑)。ただ、インタビューの途中、原稿を取りに来た編集者と絡むとか、弟子に指示を出すとか、もっと動きのある展開にすれば、さらに良かったかも。あと、若月佑美の演技力によって、漫画家の雰囲気はかなり出ていたけど、出来れば、本物の漫画家のデスクを借りて、使い込んだペンやインクや紙といった舞台装置があれば、結局、「落差」がポイントなので、前半の仕込みがもっと効果的になったと思います。まあ予算と時間に限度があるのでしょうがないけど、若様がどこまで本物に化けられるか、ちょっと観てみたかった。
(TypeB収録作品)
[2.5] 秋元真夏
『PM8:00「真夏」』
監督・脚本 : 若松雅也
プロデューサー : 山ノ内禎枝
「チームメイト」という言葉が何回か出てくるけど、夏季限定で結成された仕事チームの同僚なのか、大学の運動部の部員なのか、二人の関係について何も描かれていないので、感情移入しづらい面があります。とくに、なぜその日の午後8時になると、関係性が変わるのか、さすがに少し説明が欲しい。また、男性役を秋元真夏が演じる必要があるのか疑問を感じました。プロの俳優を起用して、女性役の心情変化に重点を置いた方が、視聴者がドラマ世界に入りやすいんじゃないかと。背景を敢えて描かないという手法が一概に悪いとは言えないけど、何だかよく分からないまま終わってしまった印象でした。
[3.5] 伊藤かりん
『EYES ON YOUR HEART』
監督/脚本/撮影 : 平井健太
共演している小さな女の子、星野スミレちゃんが、まあ、べらぼうに可愛い。もちろん、伊藤かりんも可愛いのだけど(笑)、「ぐるぐるカーテン」の振り付けを、たどたどしく真似するシーンなんかは、悶絶しそうになった。笑ったり、じっと見つめたり、台詞を言ったり、表情の変化や間合いも上手くて、もう誰のPVなんだと言いたくなるほど、スミレちゃんが全部持ってちゃってます(笑)。作品としては、野原、海、砂浜、流木など、映像がキレイで、不思議な物語展開と相俟って、幻想的な雰囲気がいい感じに出てると思います。まあ、女の子もかりんさんも、この世の存在かどうかすら定かではなく(笑)、その辺はふわっと受け入れるタイプの作品なのかなと思います。ただ、終盤、金属的な耳障りで不安を煽るような音楽が響き、浜辺に作った砂人形を足で壊したり、それまでの心地よい空気が変調して、「意味」を考えさせる構成になっている。であれば、伊藤かりんが女の子を追っていく場面が示すものを、伏線などを使って、もう少し分かり易く見せた方がいいかなと思いました。それにしても、斉藤優里の「猫博士」にせよ、星野スミレちゃんにせよ、メンバーの個人PVに動物や子ども出演させるのは、ある意味、危険な行為かもしれないですね(笑)。
[3.5] 伊藤純奈
『秘密乙女クラブ』
演出 : 雨宮恒平
プロデューサー : 森田一平
コマ割りの一つ一つに実写映像を入れ込んで、漫画風に仕上げるテクニックが非常に面白い。映像作品で、こういう手法を使うのって、よくあることなんでしょうか?少なくとも、乃木坂の個人PVでは、初めてですよね。とくに、あるコマを中心に見せているときも、他のコマ内でまだ動画が続いており、最後、カットの掛け声とともに、安心した伊藤純奈が笑顔で一斉に大きく動き出すシーンは、「おおっ!」とゾワゾワするような迫力があって良かった(笑)。内容は、意中の男子を振り向かせるテクニックの秘密特訓で、朝、パンをくわえて登校し、通学路の曲がり角で相手にぶつかる、米粒を「うっかり」顔につけたままにする、好きになった相手が実の兄だったイメージトレーニングなど、まあ定番のメニューです(笑)。一つ物足りないのは、『初森ベマーズ』で見せたような伊藤純奈の攻撃性が出ていなかったことです。例えば、アイドルは恋愛禁止という衝撃の事実に気づいたとき、大暴れするとか、そういう元気な純奈も観たかった(笑)。
[4.0] 伊藤万理華
『GO,GO!イサキちゃん!第1話』
脚本・監督 : 熊坂出
毒をもって、毒を制す。見終わったあと、そんな言葉が浮かんできました(笑)。度外れに濃ゆく作られた「イサキちゃん」キャラに、加藤諒の「カァトゥー」が全然負けてなくて、不思議な会話も、意外とすんなり心に入ってくる。「受け入れたんですもの、自分の運命を」と言われて、イサキがちょっと涙ぐむシーンは、彼女の優しさが素直に引き出されていて、ちょっと感動しました。濃いめの汁には、そば粉比率の高いしっかりした蕎麦が合う、やはり、キャスティングって大事ですね(笑)。ただ、こういったぶっ飛び系のドラマは、パンチはあるんだけど、上手く作らないと、「で?」という疑問符が心に残ることが多い。この作品も、イサキの心の動きにさらに迫る台詞や展開があれば、もっと見応えがあったかなと思います。
ところで、最近の個人PVで、伊藤万理華は、連続してエキセントリックな役を割り振られています。さすがに、もうちょっと普通の役、そうですね中村太洸氏や湯浅弘章氏が撮るような作品でのまりっかを、そろそろ観てみたい。舞台『すべての犬は天国へ行く』のクレメンタインも凄まじい役だし、せめて映画『アイズ』の山本由佳里くらいに「普通」な感じでお願いします(笑)。とはいえ、この作品でも、最後に披露したバレエ風ダンスは、印象的な赤い服と相俟って、伊藤万理華の魅力がストレートに炸裂していて、とても良かったです。演技にせよ、ダンスにせよ、人を惹き付けますよね、まりっかは。
伊藤万理華の2015/10/24_21:30ブログ
伊藤万理華の2015/10/30 21:54ブログ
[2.5] 齋藤飛鳥
『ミュージカル 齋藤飛鳥』
creative director : shida kazuhiro
director : tsukita sigeru
music : taiyo computer
齋藤飛鳥の歌声を加工し過ぎている気がします。やや癖のある硬質で可愛い声が、癖の全然ないキレイな声に変わっていて、あしゅらしさが消えかかっている。ただ、音楽以上に不満を感じたのは、「ミュージカル」と謳っているのに、バスと観覧車ではずっと座っていて、浜辺で男の子と遊ぶシーンでも、あまり動きがない。割とノリの良い曲が続くので、ダンスを入れるとか、あるいは、砂浜を走ったり、飛び跳ねたり、動きが欲しかったですね。それから、緑のキャップをずっと被っているのは、なぜなんでしょう?齋藤飛鳥の魅力の一つは、ストレートの美しく長い髪で、「涙がまだ悲しみだった頃」や「扇風機」のMVなど、他のメンバー以上に、あしゅが走らされるのは、風になびく髪を見せたいが故という話があるほどです(笑)。そんな魅力溢れるものを最初から最後まで隠す必要はないかと。ところで、音楽担当の「taiyo computer」さんは、12枚目「太陽ノック」収録ペアPVの「真夏の七瀬」の劇中歌を作詞作曲されてますよね。こちらは「太陽コンピューター」と日本語表記ですが、人名なんでしょうか、グループ名なんでしょうか。乃木坂のPVにときどき名前が出てくるので、ちょっと気になってます(笑)。
乃木坂の風 02Jul13 ~ 齋藤飛鳥が再び疾走!「扇風機」は違和感のない良作
[3.5] 白石麻衣
『Doll』
プロデューサー : 宇都宮渉
エグゼクティブプロデューサー : 林辰郎
監督 : 林隆行
ボーリング場のまいやんはキュートに可愛く、クラブのまいやんはカッコ美しい。白石麻衣のビジュアル的魅力が詰まった作品で、個人PVとしては良く出来ていると感じました。多分、まいやんを撮る映像面で、かなり繊細な工夫を凝らしているのだと思います。ただ、桜井玲香のPVと同じく、DJそのままの格好でクラブに現れ、客をかき分けで壇上に上がり、今のDJをぶっ飛ばしているのだから、もっと長く、まいやんのDJプレイを観たかった。しかし、DJシーンは少しだけで、すぐにフロアに下りてダンスを披露するので、期待を裏切られた感じが残ってしまいます。最後、笑顔でウィンクしてクラブを去っていくシーンは、まいやんからやりきった感が出てるけど、そんなにやりきったかなあ?と、ツッコミたくなった(笑)。撮影時間の関係から、人に披露するレベルまでDJスキルが身に付かなかったのであれば、むしろ、ボーリングと同じく、DJでもガーター連発にして、客が怒るんだけど、まいやの美しさが際立つダンスで黙らせて、「Doll」という点を強調する方向もあったかと思います。ん?ひょっとして、この作品、そういう展開じゃないですよね?私には、作中の流れでは、まいやんのDJは成功したように見えたんですが、どうなんでしょう(笑)。
[3.5] 寺田蘭世
『×読む Declamation』
監督 : セキリュウジ
# PVには制作スタッフの名前を載せている画面は登場せず。上記の監督名は別ルートから得た情報。
大きな重い岩を山頂まで押し上げると、その途端、岩が麓まで転がり落ちて、再びシーシュポスは岩を押し上げなければならない。私は、「異邦人」や「ペスト」など、カミュの小説が大好きで、寺田蘭世が朗読する内容に、聴き入ってしまいました。「シーシュポスの神話」で扱われている「無益で希望のない労働」というテーマは、現代においても重要な問題で、今それを議論する意義は決して小さくない。朗読用に抜粋した箇所のチョイスを含め、このPVに大きな感銘を受けたんですが、よく考えると、それはカミュを評価しているのであって、寺田蘭世がそれを朗読することが、彼女にとってどんな意味を持つのか、そして、何よりそれによってアイドルとして輝いているかは、全然別の話になります(笑)。
例えば、握手会なんて、シーシュポスの岩みたいなもので、あるシングルで、メンバーとファンが懸命に麓から山頂に押し上げても、次のシングルでは、再び一からやり直さなければならない。まるで神々がシーシュポスに与えた罰のように、延々とメンバーとファンは岩を押し上げ続けている。朗読の声を流しながら、寺田蘭世が握手に勤しむ姿を、画像として挿入すれば、まさに、乃木坂メンバーである彼女が「シーシュポスの神話」を読む意味が出てきて、なかなか骨太な作品になると思います。しかし、乃木坂の握手会をまるで「無益で希望のない労働」呼ばわりするかのようなPVを、運営が許可するとは思えないので、それだけでは、ちょっと無理でしょうね(笑)。
しかし、カミュが言いたかったのは、シーシュポスは「無益で希望のない労働」に、ただ喘いでいるだけの存在ではないということです。転がり落ちた岩を追って麓へ向かうシーシュポスは、この「いわばちょっと息をついている時間」に、自分の境遇へと思いを巡らせる。こういった「人間が自分の生へと振り向く微妙な瞬間」こそ、カミュがもっとも考察したかった点のようで、握手会を終えて、家でくつろぐ蘭世が「あ~あ疲れた、私、何で握手なんかやってるんだろ?」といった顔をして、テレビを眺めている姿なんか、ピッタリのショットじゃないでしょうか(笑)。
ところが、カミュはこう続けます。「頂上を目がける闘争、ただそれだけで人間の心を満たすのに十分足りてるのだ」と。つまり、人間とは、不条理な労働に受動的にただ喘いでいるのではなく、そこに「闘争」を見出し、「頂上」への意思を付与する、そういう逞しい存在だということです。二期生として乃木坂に入った最初の頃、「センターを目指します」と宣言した、強靭な上昇志向の持ち主である寺田蘭世こそ、握手会という「不条理」を吹き飛ばす「頂上を目がける闘争」の体現者と言っていい。再び、雄々しく、乃木坂の仕事に立ち向かう彼女の画像を入れて、作品を締めくくれば、運営も納得の出来になるんじゃないかと(笑)。
もし、個人PVの制作者が、乃木坂の握手会や寺田蘭世の性格を考えて、彼女に「シーシュポスの神話」を朗読させることを思いついたのであれば、目が眩むほどシャープなアイデアだと思います。そうであるならば、およそクリエーターは、タブーを設けず作品を創造する「自由の証人」であるべきだという主張を、『×読む Declamation』に潜ませているのかもしれません。ただ、この作品からはそこまで判断出来ないので、上記3.5点という評価は、堅い文章を朗読する美少女の魅力、メンバーをアイドル的にフィーチャーするPVという観点からのものです。ただ、それだけでも、結構、良かったです、何と言っても蘭世は可愛いので(笑)。
[4.5 (総合3位)] 中元日芽香
『RED BUTTON』
Producer : NORIYUKI YASUMITSU
Director : HIROAKI MATSUNAGA
素晴らしい作品だと思います。四脚テーブルと椅子が一つあるだけの殺風景な部屋。テーブルの上には、赤いボタンの装置がポツンと載っていて、太腿まで届く長いシャツを着た中元日芽香が、それを押そうかどうか迷っている。しげしげ見つめ、「もしも~し」と呼びかけ、匂いを嗅ぎ、テーブルの下をチェックする。しかし、ほとんど何の情報も得られない。ひめたんが置かれた状況の説明は一切ないんだけど、彼女の様子から、何が起こるか分からないけど、赤いボタンを押さなければ、何も変わらず、おそらく、このまま延々と部屋に閉じ込められているだけということが想像出来ます。
遠巻きに眺めたり、近寄ってみたり。軽いノリで押そうとするんだけど、最後の一指が出せない。右手を伸ばして、一気に押そうとすると、左手がそれを掴んで押させまいとする(笑)。ボタンを押して事態を変えたいという思いと、押したら自分に害が及ぶかもしれない恐怖で、次第に心が引き裂かれていく。やがて「うう~」と唸りながら頭を掻きむしった後、顔を上に向け、ケタケタ笑い出し、そしてポロポロ涙を流す。苦悶する表情は真に迫っていて、観ていて息苦しくなるほどで、ひめたんのあまりの演技力に衝撃を受けました。
シチュエーションとしては、バンジージャンプを飛ぼうとする人の気持ちに似ているけど、バンジーと違って、赤いボタンは押したら何が起こるのか分からない。大したことは起こらないかもしれないし、自分が死んでしまうかもしれない。「先の展開が読めない」ということが、心底から恐怖を呼び起こしている。ん~、人間心理を踏まえた、見事な設定だと思います。
白黒映像の中、ボタンの赤だけが色付きで表されている世界の中、ひめたんが悶絶し続けるんですが、顔をボタンに近づけたとき、ほんのり頬が赤く染まっていて、心理と連動させた繊細な映像表現がなされている。結局、泣き終わったあと、超越したような、表情のない顔になり、そこで初めて画面がカラーに切り替わって、いよいよ「次」のステップが始まることを予感させます。
そして、今までの身を切るような葛藤が嘘のような、無の境地に入ったかの表情で、ゆっくりと、しかし躊躇なく手を伸ばして、スッと赤いボタンを押す。たった一個の小さなボタンが、人間をここまで苦しめ、探究心、攻撃性、逃避、逡巡、焦り、自己嫌悪、自己欺瞞などなど、さまざまな感情を経験させる様は、非常に見応えがありました。
個人的な好みになるかと思いますが、一つ不満だったのは、最後のシーンです。むしろ結末は見せずに、ボタンを押した時点で終わるか、あるいは、何か「ゴーーッ」という音がして終わる的な方が、物語の流れとしてしっくりするんじゃないかと。ただ、こんなシンプルな設定で、ここまで視聴者を引き込むドラマなんて、滅多にない筈で、中元日芽香を含め、この作品を生み出したスタッフの力量には感嘆を覚えます。そして、評価は4.5点で、全PV中の総合3位にしました。
さすがに書き疲れてしまったので、「後編」は後日にさせて下さい(笑)。
上述の通り、ベスト5は、1位北野日奈子、3位中元日芽香です。
2位、4位、5位はすでに決めてますが、「後編」のお楽しみということで。
一つだけヒントを書くと、バスケをする女子って、魅力的ですよね(笑)。
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