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異地球人

タイトルとあらすじに惹かれて書店購入。



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ケンブリッジ大の権威ある数学者が(挨拶代りに唾を飛ばしつつ)
全裸でぶらぶら!車にはねられぽーんと宙を舞い、頭がヘンに?
数学教授アンドルーの奇行は、異星人にのっとられたからだった。
その目的はリーマン予想を証明する者の暗殺。
学者ののっとりは成功、が、アンドルーの妻と息子の純粋さ、
飼い犬の優しさに心動かされ、人を好きになっていく・・・
異星人本部から殺しの指示が強まる中、彼の決断は?
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ケンブリッジ大の数学教授アンドルーが、
人類を大きく進捗させる数学上の証明を発見するのだが、
それに気づいた異星人が宇宙の秩序を守るため、
彼の抹殺と証拠隠滅を計り、一人の宇宙人を地球に送り込んだ。

抹殺されたアンドルーに乗り移った宇宙人は、高速道路運転中に、
衝突事故に遭うが傷を一瞬で治癒させ平然と道路を歩き始める。
全裸姿で道路を歩く彼の姿を見た運転者たちは、
唾を吐き捨て、罵りの言葉を浴びせて通行していく。

それが地球人の挨拶だと勘違いしたアンドルーは、
出会う人たちに唾を飛ばして相手を罵り笑みを浮かべる。
案の定、警察に連行されることになるが、
彼の述べる数学教授である事は間違いないらしい。
やがて交通事故に遭っていることが目撃者の情報から判明し、
彼の奇行は事故による一時的な記憶障害との見地で釈放される。

夫の異変を心配する妻は、それまでの冷え切った関係が、
事故によって好転した事に一抹の喜びを抱くようになる。
それは彼の息子もそうだし、唯一本性を見抜いた飼い犬も同じだった。

教授になりすました宇宙人は、アンドルーの数学的発見の証拠を隠滅、
その研究内容を知るものが家族や交遊相手に漏れている恐れもあるため、
アンドルーの交遊相手に接触したり、妻や子との会話の中から、
決定的な事実を探ろうと行動していくのだが・・・


地球人になりすまし、身辺調査を進めていくうちに、
粗雑で野蛮な異星人だと思っていた地球人の優しさや、
些細な悩みに葛藤しながらもひたむきに生きている様子に、
アンドルーは本来の目的を失い、地球人の魅力に取り憑かれていく。

コメディ要素あり、シリアス要素あり、感動もあり、
非常に読みやすく面白く読めた。
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世界終後

本屋でタイトルに惹かれて記憶に留め、
古本屋巡りでそこそこ早く見つけた上下巻。



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(上)最終戦争後の世界。
幼いころから苦楽をともにしたぼくと親友ゴンゾーは、
一種のトラブルシューターとして活動している。
ある日、戦後世界の秩序を維持している装置
“ジョーグマンド・パイプ”の大火災を
消し止めるよう依頼されたぼくらは、大量破壊兵器によって
もたらされた混沌のなかへと乗り込んでいくが、
行く手には奇怪な陰謀が待ち受けていた―。
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(下)世界を守る“ジョーグマンド・パイプ”の消火に
出動したぼくと幼馴染で親友のゴンゾー。
しかし、その任務は予想よりもはるかに深い闇を秘めていた。
ゴンゾーと別れてひとりでさまよう羽目になったぼくは、
故郷での人生をふりかえり、黒幕に立ち向かうことになるが…。
最終戦争後の世界における闘いと友情と恋。
笑いとアクションに満ちて世界を驚嘆させた怪物的デビュー作。
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饒舌、脱線、個性的な世界観、絡み合う敵味方、秘技・・・
いやぁ~何度読むのを止めようかと思った。
どうにか全部読み切ったけど、モヤモヤ感は消えなかった。
こういう物語は色んな小説を読みまくって、
もうノーマルな展開じゃ満足しないというような
活字中毒上級者向けの物語なんじゃないだろうか・・・

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穴堀冒険

タイトルに惹かれて古本屋に行くたび探し続け、
ようやく棚にあるのを見つけてすぐに読み始めた。
これは想像以上に面白かった。



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無実の罪で少年たちの矯正キャンプに放りこまれたスタンリー。
かちんこちんの焼ける大地に一日一つ、でっかい穴を掘らされる。
人格形成のためとはいうが、本当はそうではないらしい。
ある日とうとう決死の脱出。友情とプライドをかけ、
「約束の地」をめざして、穴の向こうへ踏み出した。
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物語の主人公はスタンリー・イェルナッツ四世という少年。
ある日、高速道路の下を歩いているときにスニーカーが落ちてきた。
発明家の父がスニーカーの研究をしているので持って帰ろうとすると、
そこへ警察が来てそれは有名野球選手のスニーカーで、
盗難された物だと言われて捕まり、少年院へ入れられてしまう。

少年院グリーン・レイク・キャンプは、
かつては大きな湖のある場所だったが今は枯渇し砂漠が広がっている。
そのど真ん中にある施設で、収容された子供達は冷酷な女所長に命じられ、
毎日毎日、砂漠に幅1.5m、深さ1.5mの穴掘りをさせられていた。

穴掘りに目的があると推測したスタンリーは、
豚泥棒のひいじいさんの言い伝えを思い出していた。
株で大儲けをしたひいじいさんは、かつてこの地で、
あなたにキッスのケイト・バーロウという無法者に襲撃され、
全財産を失うものの、どうにか生き延びることが出来た。
女所長の目的はバーロウの宝探しなのではないだろうか・・・?

過酷な穴掘りが終わるまで宿舎へ戻れない生活の中、
渾名で呼び合う少年達との上下関係や友情が描かれる。
穴掘り作業が苦手なスタンリーは、ゼロという少年に頼まれ、
文字を教えることになる。その代わりゼロは穴掘りを手伝うという。

スタンリーはゼロへ文字を教え、ゼロは倍速で穴掘りをする。
周りの少年達に馬鹿にされながらも良い関係が続いていたのだが、
ある日、2人の取引に気づいた職員がゼロを侮辱し、
それに怒ったゼロは職員をシャベルで殴って逃走してしまう。
砂漠に囲まれた場所での逃走は死を意味するものだった。

ゼロが逃走した後、職員は誰も彼を探しに行こうとしない。
そればかりかゼロという少年はいなかった事にしようと画策している事を知り、
スタンリーはゼロを探し出すためにキャンプから脱走するのだった。

かつて、この地でバーロウに襲われたひいじいさんが、
「神の親指」という場所に避難したという話を思い出し、
スタンリーはその場所を求めて過酷な環境の中を進んでいく。

やがて、乾いた湖でゼロを見つけたスタンリーは、
キャンプに戻るのを拒否するゼロとともに、
親指の形をした山を目指すことになる。


ひいじいさんの話、湖があった時の2人の男女の恋物語、
ケイト・バーロウの素性、神の親指で見つけたもの、
物語に導入される様々なエピソードが伏線となり、
終盤に物事の点と点が線で繋がっていく爽快感。

児童書としても優れた物語で、幅広い年代におすすめの一冊。
こういう一冊に出会えるから読書はやめられない。
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女不向職

ハヤカワ系の新刊古本は手が伸びやすい。
もちろん当たり外れがあるけど、何故か手が伸びるんだなぁ。



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探偵稼業は女には向かない。22歳の世間知らずの娘には・・・
誰もが言ったけれど、コーデリアの決意はかたかった。
自殺した共同経営者の不幸だった魂のために、
一人で探偵事務所を続けるのだ。
最初の依頼は、突然大学を中退しみずから命を断った
青年の自殺の理由を調べてほしいというものだった。
コーデリアはさっそく調査にかかったが、
やがて自殺の状況に不審な事実が浮かび上がってきた・・・
可憐な女探偵コーデリア・グレイ登場。
ケンブリッジ郊外の田舎町を舞台に新米探偵の活躍を描く。
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探偵モノというと多彩な知恵と修羅場経験を持った主人公が浮かぶ。
職歴に元警官やらボクサーやら弁護士やら武器になる取り柄があり、
それらを糧に危険を顧みず、困難に首を突っ込むのが王道だけど、
今作の主人公探偵はうら若き22歳の娘である。
明るい茶髪と緑色の目、猫の様な印象を与える美人。前職歴なし。

共同経営者であるバーニイ・プライドが癌を宣告され、
将来への不安に駆られて手首を切って自殺してしまい、
残されたコーデリアは事務所を畳むか続けるかの二択に直面する。
葬儀を終え、事務所を続ける意思を固めるコーデリアの元へ
早くも依頼が舞い込んでくる。悲観に暮れている時間は無い。


依頼者は有名な科学者カレンダー卿で、
彼の息子が突如大学を中退して自殺を遂げたという。
何不自由の無い援助をしてきたつもりなのに、
何故息子が自殺してしまったのか、その理由が知りたいらしい。


コーデリアはバーニイから教えられた技術と、
彼の会話でよく聞かされた刑事時代の話、
尊敬するダルグリッシュ警視の捜査内容を思い出し、
カレンダー卿の息子が自殺したコテージに泊まり込み、
友人関係を始めとして聞き込みを始め調査を進めて行く。

丁寧な描写で物語は徐々に事実を浮かび上がらせていくけど、
よくある探偵モノと違って、展開に起伏が多いわけでもなく、
新米探偵の地道な足取りが時には退屈な感覚を浮かばせたりもする。

結構、怖い目にも遭っているし、
事件の鍵になる場所へ閉じ込められたりもする。
真相自体は特別驚くような内容でもなく許容範囲。
どちらかといえば事件解決よりもコーデリアの
探偵稼業一歩を丁寧に描いたような作品。

読むのに時間がかかった。
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魔法寓話

書店の新刊コーナーに並んでいた時に印象に残り、
月日が経って古本棚で発見。どんなんかな~と手に取った。



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電話ボックスを相続した少年は、その番号に何度もかけてみる。
誰も出るはずのない電話だが、あるとき彼が愛する
TVドラマの主人公が出て、少年に助けを求めてきた―
異色の青春小説たる表題作ほか、
国をまるごと収めたハンドバッグの遍歴を少女が語る
「妖精のハンドバッグ」
なにかに憑かれた家を買った家族の騒動を描く「石の動物」など、
アメリカ文学の新潮流をかたどる女性作家による
瑞々しくも不思議な感触を残す全九篇。
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こりゃあ、物凄い不思議な本だわ。
文章が独特で変化球というより魔球というような文章構成。
短編集だけど一編を読むのが遅々として進まなかった。

○妖精のハンドバッグ
祖母のハンドバッグの中には村が入っている。
そのバッグを譲り受けた孫娘はその秘密を守っていて、
中から時折、人が出てきたりして・・・あの人も中にいたの?
いやはや・・・著者の頭の中こそファンタジー。

○ザ・ホルトラク
コンビニを経営している男2人。片方はパジャマ。
夜になると助手席に犬を車に乗せた女性が通り、
その犬が保健所で殺されるだろうということや、
その女と会話する事を思いつつ、客の応対をする。
客のほとんどは店前の深淵から這い出るゾンビ客・・・。

○大砲
大砲女と結婚した男。はは~ん、そうきたか。
3話にもなると真面目に読む気が失せて面白味も芽生える。
でも理解しようとする頭は空回りし続けるけれど・・・
大砲だから移動するのも大変。そりゃあねぇ。
そして夫が亡き後、大砲妻は人を中に入れて飛ばす・・・。

○石の動物
庭に石の動物がいる呪われた家を購入した家族。
職業不定の夫は女上司の輪ゴムボールが気になるし、
妻は家にペンキを塗り始めるし、娘達も何かに憑かれるし・・・
庭には数千匹の兎が現れたり、家はどんどん呪われて・・・
ん~理解しようとするんじゃあ、ないっ!楽しめ、楽しめる?む。

○猫の皮
魔女が息子に遺言(敵討ちをする命)を残す際、
猫が現れ魔女はその皮を剥いで息子に託し没する。
息子は猫の皮を被って、敵である魔法使いの元へ行く。
魔法使いは猫だと思って家へ招き入れ・・・

○いくつかのゾンビ不測事態対応策
刑務所から出てきた男がパーティーに侵入し、
見ず知らずの女に知り合いのふりをして会話を交わし、
その娘も仲間も特に不審に思うでもなく・・・
やがて不思議な絵の話に物語が転んでいく・・・。

○大いなる離婚
死者と結婚する話。じっくり考えちゃあいかん。
ありのままの文章を受け入れるんだ。がんばれもう少しで終わるぞ。
死者と結婚した夫婦が離婚問題に直面し、霊媒師を介して話し合いをする。
どうやって死者と結婚?成立?そんな定義を浮かべちゃいかん。

○マジック・フォー・ビギナーズ
少年はテレビドラマに夢中。でもその番組は不定期放送で、
いつ次の話が見られるのか気にしながら生活している。
少年は大伯母から電話ボックスを相続していて、
その電話ボックスのある場所へ出掛けていって発見し、
ベルの鳴る電話に出ると、相手はあのドラマの主人公だった。

○しばしの沈黙
仲間が集まって地下室で賭け事をしている。
ある日、ある所に電話をすると相手は悪魔とチアリーダーの話を語る。


いやぁ~長かった。しんどかった。こんな小説があるんだなぁ。
文章を読めば、無意識のうちに場面を想像するものだが、
その想像が構築され始めると同時に別の構築が始まり、
形を生み出したものは別の形へ瞬時に変わり霧散して話は続く。
全体像を想像するのではなく瞬間的な絵を楽しみながら、
その突発的な感覚や迷子感を楽しむような物語なのだろう・・・

深く読んだとは言えないし、面白味を堪能していないかも知れない。
読中は「こりゃあ失敗だ」「早く読み終えたい」なんて思ったけど、
読後は中毒のように文章が巡り続け、瞬間的場面が浮かんだ。

あ~面白かったと読了し、その後なにも思い出さない物語と、
苦痛と困惑の迷宮を抜けて読了し感染的場面中毒に陥る物語と、
どちらが物語としての価値があるのだろう・・・
読後数日間、そんな思いにとらわれ続けていた。
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黄昏眠秋

海外文庫の古本は新し目の物が見つけにくいから、
あ、この間、本屋で見かけたやつ!ってのが棚にあったら、
思わず手を伸ばしてしまうことが多い。
そうやって速攻確保した後に数冊見かけることもあるし、
躊躇して後日無くなり、長く見つけられないままなのもある。



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霧に包まれたエーランド島で、幼い少年が行方不明になった。
それから二十数年後の秋、少年が事件当時に履いていた靴が、
祖父の元船長イェルロフのもとに突然送られてくる。
イェルロフは、自責の念を抱いて生きてきた次女で
少年の母のユリアとともに、ふたたび孫を探しはじめる。
長年の悲しみに向き合おうと決めた二人を待つ真実とは?
=============================

二十数年前に故郷エーランド島で息子を行方不明で失った母ユリア。
息子イェンスを失った消失感はユリアの人生を狂わせてしまう。
忌々しい思いを抱かせる故郷を離れて暮らしていたが、
ユリアの言動には常に消息不明の息子の存在が大きかった。

精神異常者のようになった妻に愛想をつかした夫は出て行き、
ユリアは一人寂しく息子の事ばかり思って暮らしている。
時折、ユリアを気遣う姉夫婦に招かれて家を訪れるのだが、
息子の話ばかり語るユリアに姉夫婦も愛想をつかし気味。

そんなある日、父イェルロフから電話が入る。
故郷を忌々しく思っていたユリアは長く連絡を経っていたが、
休暇を取り、久しく訪れていなかった故郷へ戻る事にする。
イェルロフの元にはイェンスのサンダルが送られてきていた。


物語は元船長で老齢の父イェルロフとその次女ユリアが、
寂れた北欧の地エーランドでイェンスの消息を捜索する話と、
狂気の異端児、殺人者として故郷エーランドを追われた
ニルス・カントの人生が交互に描かれて行く。

裕福だったカント家の話、弟の溺死、父の死去、
裕福な生活からの転落、仕事での揉め事、銃殺、
軍人への暴挙、宝の隠し場所、逃亡生活、母への手紙、
そして故郷へ戻るための秘めた計画・・・


老境にさしかかったイェルロフは片足を引きずりつつ、
昔からの馴染み仲間と今も孫の行方を追い続けていた。
イェンスが行方不明になった霧の濃かったあの日・・・
ユリアは出掛けて不在だった。イェルロフも海へ出ていた。
自分が家に居さえすれば・・・後悔が二人の背中を押す。

ユリアの調査、警官との出会い、カント家の空家、
イェルロフの調査、旧友の崩落死、サンダルの意味、
漁船で儲けていた唯一の男・・・あの男・・・


冒頭でイェンスがカントと出会うシーンが挿入され、
その場面に至るまでの長い長い歴史と父娘の捜査模様が、
丁寧すぎるぐらいゆっくりと描かれていく。
その遅々とした展開が寂れた北欧の情景を重く印象づけ、
老齢の男、精神の病んだ中年女の葛藤を重厚に描いている。

そして物語の後半、ある犯人像が浮かび上がり、
危機的状況が訪れるのだが、話は一転二転と意外性を生む。
分厚い一冊だし、遅々とした展開だし、読後感も微妙だけど、
物語としては秀逸。鉛色の情景の向こうにあるのは光か影か・・・。
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一期一会

大好きな映画の原作本。古本屋の安価棚で発見。
結果的に小説版も良い。映画版も良い。内容はそこそこ違うけど。



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知能指数は並以下だが、多才に恵まれたフォレスト・ガンプ。
スポーツをすればたちまちスター。ベトナム戦争では名誉勲章。
果ては宇宙飛行士として宇宙に飛び立つ。
大切な人への想いを胸に抱いて、
フォレストは無垢な心のまま激動の時代を生きていく。
世界中に社会現象を巻き起こした痛快な冒険談。
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映画では偉人との微妙な接点や、有名企業、
有名マークなどが出て来る場面が印象的だし、
バッパとの約束、ダン中尉との友情、ジェニーとの恋愛、
そして様々な時代背景が描かれているけど、
小説はそこまでエンタメ爆発していない。

とはいえ映画版を下敷きに配役を想像しつつ、
ガンプの天真爛漫な人生がユーモアを交えながら、
丁寧に描写されていて別バージョンとして大満足だった。
エンタメ志向が好きな人は映画の方が面白いだろうし、
心情や描写中心の構成が好きな人は小説が良いかも。

と言いつつ、小説もエンタメしてるか・・・
宇宙飛行士になったり、墜落して原住民に囲まれたり、
ジェニーのライヴに参加してみたり、結ばれたり、
はたまたプロレスラーになって見せ物になったり、
それが原因でジェニーと破局したり再会したり・・・

2もあるみたいだけど文庫本にはなっていないみたい。
どんな続きがあるのだろう?子供が出て来たから親子ものかな?
映画の後半も多少親子の会話があったもんね。
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絡繰探偵

ユーモア溢れる表紙絵は著者のものらしい。
文中にも挿絵が挟まれ、コミカルな情景が広がる。
70年近くも前に描かれた物語らしい。発想が良いねぇ。



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古代ギリシャの偉大なる発明家の直系の子孫、
アルキメデス博士の発明になるクリク・ロボットをご覧ください。
事件が起こるや、計算機としての能力を最大限に発揮し、
正確無比な方程式を立て、代数学的に謎を解くのです。
その冷徹な推理力の前に、解けない謎など
この地球上には存在いたしません。
人類史上初の機械探偵の推理を描く二大巨篇を一挙収録!
さらに加えて著者カミが放つ本邦初訳コントも収録する決定版。
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事件が起きる。警察が登場し犯人捜しが始める。
捜査が難航した所でアルキメデス博士と、
彼の発明した探偵ロボット、クリクが登場!
早速、現場を検分し、集められた情報をクリクにインプット。
しばしの後、クリクの口から暗号めいた方程式がプリントされる。

それを見た博士は、ふむふむと事件の実証に乗り出すが、
警察たちには、ロボットのはき出した暗号の意味が分からない。
博士はクリクを伴い、暗号を実証するために行動し、
やがて自信たっぷりに事件の謎を解き明かすのだ。

コンピューターが現在ほど世界的に浸透もせず、
進歩も遂げていない時代に描かれたコンピューターロボ。
首はキリンのように頭上高く伸びて二階の窓から中を見渡せるし、
目は暗視スコープや写真記録装置になったり、
耳は・・・耳は盗聴装置。口は敵の撃つ銃弾を吸引し、
謎解きの暗号を出力し、どこからともなく出現させた葉巻を、
のんびり燻らせれば、たちまち催眠煙が敵を眠らせる。

クリクの活躍場面を思い描くだけで笑みが浮かぶ。
2つめの暗号が図を見た瞬間に分かってしまったので、
二編目の謎解きは楽しめなかったのが残念。
でも、その意味がどう展開されるのかは楽しめた。
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白黒友情

パーカーの単作もの。
読む毎に未読が減るのは当たり前で、
それが寂しいから最近は積冊後回し気味だな。



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人種差別がいまだ厳しいアメリカで、
黒人大リーガーとしてブルックリン・ドジャースに入団し、
注目を集めるジャッキー・ロビンソン。
第二次世界大戦で心身ともに傷を負ったバークは、
彼のボディガードとして雇われる。
立場を越えて友情を深めるふたりだが、
イタリア系ギャングがロビンソン暗殺を計画する。
バークは友人を守りきれるのか?
1947年のアメリカ野球界を舞台に友情と闘いの物語
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スペンサーでもたびたびベースボール話が出てくるから、
パーカーの野球好きが高じて生まれた作品なのだろう。

第二次世界大戦で負傷し、妻にも逃げられたバークは、
心身ともに深い傷を負い、死への恐怖を感じなくなっていた。
腕っ節を買われてボクサーになり、そこである男の目に留まり、
効率よく大金を得られると言われてボディガードを業にする。

そんなバークが警護することになったのが、
黒人初のメジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンだった。
伝統あるメジャーリーグに黒人選手が入ってくることを快く思わない者は、
他球団にも、観客にも、そしてチームメイトの中にもいるのだった。
そんな内外の様々なトラブルから彼を守るのがバークの任務である。

白人であるバークは警護のため黒人街などにも同行するのだが、
黒人達の英雄であるロビンソンには声援を送る一方、
常に傍らにいる白人には厳しい言葉を浴びせかける。
差別や偏見を持たないバークは淡々と警護を務め、
やがて2人の中には信頼という名の友情が生まれていく。


スペンサーでも描かれていた寡黙な男の友情が、
この物語にも描かれていて、行動言葉が交わされていく。
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留閉恋闇

本屋で表紙を見かけた時に興味が向き、
古本屋にあるのを見つけてすぐに手を伸ばした。



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2月18日。アトランティックシティ有力者の息子が忽然と消えた。
市警察刑事ブルームは17年前の同日に起きた失踪事件を皮切りに、
毎年男たちが消えていることを突き止める。
そんな矢先、17年前の目撃証人という元ストリッパーが名乗り出る。
彼女は過去を封印し、理想の家庭の主婦として生きていた。
一方、あの日人生を狂わされた元報道カメラマンのレイは、
再び“血の記憶”に苛まれてゆき・・・。
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元報道カメラマンのレイはパパラッチ演出事業のカメラマンとして、
馬鹿なカップルを相手にパパラッチになりきる惨めな生活を送っていた。
そんなある日、レイは路上で背後から何者かに襲われるのだが、
犯人は金品を盗らず、カメラだけを奪って逃げて行った。
強盗の行動を不審に思った彼は、ニュースで失踪事件を知り、
彼がたまたま外で撮影し、PCに送信していたデータの中に、
失踪男が偶然写っていることに気がつく。

元ストリッパーのメガンは、今は主婦として裕福に暮らしていた。
ある日、昔の自分を知るホステスのロレインと偶然再会する。
彼女はスチュワート・グリーンの姿を見かけたとメガンに告げる。
スチュワートは踊り子時代にメガンを追い回していた男で、
17年前のあの日、忽然と姿を消した男だった。

17年前の失踪事件を未だに引きずる刑事のブルームは、
有力者の息子失踪と昔の事件の共通点を探しているうちに、
毎年同じ日に男の失踪事件が起きている事を知る。
そんな中、匿名で一枚の写真が警察に送られてくる。
その写真には失踪した有力者の息子が写っていた。

手がかりになる写真が警察に届けられたというニュースを見て、
メガンは写真がどこの場所で撮られたものか、
その写真は誰が撮ったのかを思い至るのだった。
あの日、町を出るまで付合っていた愛する男・・・写真家・・・
メガンは長く自分を苦しめていた過去の思いを払拭するべく、
警察の元を訪れ、あの日、自分が見た事を担当刑事ブルームに明かす。



失踪事件の謎、メガンとレイの関係、事件の奇妙な類似点、
そして得体の知れない若い殺し屋カップルの狙い・・・
事件の真相が少しずつゆっくりと明かされていき、
メガンとレイの運命の岐路が少しずつ浮かんで行く。
胸に秘めた愛の意味、幸福の行方、失踪者達の行方は・・・
そして意外な真相が明らかになった時・・・

厚めの一冊だけど、巧みな演出と構成に惹き込まれた。
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