全日空の客室乗務員の正社員採用に関する見解
2013年8月23日
客室乗務員連絡会
全日空は2013年8月19日、「14年度入社以降の客室乗務員の採用形態を契約社員から正社員に切り替える」と発表しました。最初から正社員として雇用することで、品質向上のため優秀な人材を確保し、客室乗務員の保安要員としての意識をより高めるためとしています。
正社員採用への切り替えは、私たち客室乗務員連絡会の雇用と安全に関わる要求に沿った制度変更であり、空の安全に向けて大きく前進した、評価できる内容と考えています。
1994年に日本航空ではコスト削減を目的に、それまでの正社員採用がなくなり、契約社員での採用が導入されました。当初は3年で雇止めの制度でしたが、国会への働きかけをはじめとする、国民的な大運動を展開する中で、3年後の正社員化が実現されました。現在では、全日空も含め日本の航空会社では、客室乗務員の採用はすべて契約社員になっています。
客室乗務員連絡会は、契約制客室乗務員の導入当初から、不安定な雇用形態では空の安全とサービスを守れないとして、全員正社員採用にするよう、国交省や厚労省に改善を求めてきました。
そもそも客室乗務員の任務は航空法で明確に定められており、正社員も契約社員も何ら違いはありません。賃金面など一部の労働条件を除いて業務内容やその責任についても、全く同じです。それにもかかわらず、3年間も契約制の身分で乗務させることは、不安定雇用によるモチベーションの低下を招くとともに、契約制の身分から意見を具申しにくくなる等、安全上問題であることを指摘し、改善を求めてきました。
しかし、この間、改善されないばかりか、格安航空会社や外国籍の航空会社で乗務する日本人客室乗務員は、1年契約で3年、長くても5年で雇い止めになっており、不安定雇用が一層増しています。
諸外国では本国の客室乗務員はほとんどが正社員であり、更には、多くの国で国家ライセンス制度を確立しています。
客室乗務員連絡会は、空の安全と働く者の雇用を安定させる立場から、日本のすべての客室乗務員について、今後予定されている新人採用を正社員採用に切り替え、現在の契約制客室乗務員を早期に正社員にするよう、各航空会社に求めるものです。