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 「アウトレイジ 最終章」

2017-10-11 22:44:19 | goo映画レビュー
●ベッチー的映画三昧日記
 北野バイオレンス映画の最終章であるのかもしれない「アウトレイジ 最終章」


 北野武監督が手掛けるバイオレンスシリーズ「アウトレイジ」の5年ぶりに作られた第3弾して最終章だ。

 東京「山王会」と関西の「花菱会」との抗争から5年。大友(ビートたけし)が身を寄せる韓国の張会長のお膝元韓国済州島で、花菱会の幹部花田(ピエール瀧)がトラブルを起こす。それはやがて花菱会と張会長との間でトップを首を狙う抗争劇に発展していく。これを機に花菱会内部の野村会長(大杉連)と若頭の西野(西田敏行)による覇権争いも勃発し、その騒ぎの中、張会長に恩義を感じる大友は帰国し、彼なりの筋を通そうと行動を起こす。

 前作で生き残ったビートたけし、西田敏行、塩見三省、金田時男、白竜、名高達男、光石研、中村育二、松重豊らに加えて、新たに大森南朋、ピエール瀧、岸辺一徳、大杉蓮、原田泰造、池内博之らが出演している。しかし、ほとんどのメンバーが本作で死ぬけれど。
 主要パーソンの西田敏行、塩見三省の二人が病み上がりで、ほとんど動けない状態なので、大幅にシナリオを修正したと聞いたが、確かに二人の演技は顔のアップばかりで、アクションは一切ない。
 彼ら二人の扱いに合わせて本編全体も極端に顔のアップが多く、そのあたりをこれまでのシリーズと比べると、アクションのボルテージが落ちたとみるか、演出とみるかで評価は分かれるところだ。

 本シリーズは1作目から現在やくざと古いやくざの系譜紹介であったが、北野武ももはや古いタイプのやくざは今の時代に対峙することはできないと悟ったのか、自ら幕引きをするという話になっている。
 しかし、たけし演じるこの大友という男が今、ひとつ義理人情に厚い男には感じられず、男としての魅力がわからない。そして何が彼の行動規範なのか不明瞭なのが致命的だ。
 この男のキャラクターがもう少し掘り下げられ、分かり易くなっていれば、平成ヤクザを描いた名シリーズになっただろう。
 とにかく、「その男凶暴につき」の始まった北野バイオレンス映画群のオマージュ的なシーンが随所に散りばめられ、本作は北野バイオレンス映画の最終章であるのかもしれない。

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