つれづれなるまま映画を観て過ごす「ベッチーの映画三昧日記」

映画検定1級のベッチーのベッチーによるベッチーのための映画館鑑賞記録gooブログ。
コンテンツ:ベッチーの映画三昧日記

『マリリン 7日間の恋』 75点

2012-03-31 08:22:12 | goo映画レビュー

マリリン 7日間の恋

2011年/イギリス=アメリカ

愛すべきミューズ・モンローの感じを見事に表わしたM・ウィルアムズ

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★☆☆70点

ビジュアル ★★★★☆75点

音楽 ★★★☆☆70点

●べッチー的映画三昧日記
「マリリン7日間の恋」

 人気絶頂期のマリリン・モンローがイギリスへ渡り、サーの称号を持ったイギリス演劇界の重鎮ローレンス・オリビエ監督主演の「王子と踊子」に出演したことと、その制作の過程が非常にトラブル続きだったことは知られていた。しかし、撮影中に本作のようなドラマがあったとは知らなかった。もともとの発端がR・オリビエの英国式演技法とリー・ストラスバーグのメソッド式演技に心酔するM・モンローとの演技論の確執だったとは驚いた。
私たちはグラビアからのモンローに熱心で、俳優モンローの評価を見失いがちだ。彼女がこれほど、一つの作品に対して深く考え演じていたことを改めて知り、「王子と踊子」をもう一度観てみようかなと思った。
まぁ、当事者の一方コリン・フラークの著書だけに脚色はあるだろうが、繊細なモンローのこと、かく有りなん、と思える物語となっている。

本作の功績者はまずミッシェル・ウィリアムズだ。彼女のモンローは似ていないようで似ているのだ。今まで何人もの女優がモンローを演じてきたが、掴みどころのないモンローの内面やモンローとして生きることの苦しさをここまで、愛らしく演じた人はいない。きっと、モンローってこんな感じの女性だったのではと思わせる見事な演技だ。

イギリスでのモンローの理解者となるコリン君・エディ・レッドメンは神経質っぽい顔立ち、線の細い体型といい、いかにもイギリスの若者らしく好感が持てる。
今やイギリス演劇界の重鎮的存在となったケネス・ブラナーが演じるローレンス・オリビエも素晴らしい。メイクもうまく画面の中にホンモノのオリビエがいるのではと感じさせる時がある。彼のパートナーとして私の好きなビビアン・リーが出てくるのも気にいったところ。

 全体として、夢物語として美しいままに終わせている感じはして、少し物足りなさが残ることも歪めないが、伝説のミューズ・モンローだけにこんなこともあったかもと思うことが大事。いくつになってもロマンチックしたいものね。

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『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』 75点

2012-03-26 09:31:46 | goo映画レビュー

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

2011年/イギリス

恍惚の人、サッチャーを描く

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★☆☆70点

ビジュアル ★★★☆☆70点

音楽 ★★★☆☆70点

●べッチー的映画三昧日記
「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」

本作で3回目のアカデミー賞に輝いたメリル・ストリープ。ウィットに富んだ受賞スピーチで会場を沸かせたが、「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」は、とにかく、良くも悪くもメリル・ストリープの一人舞台の映画だ。

映画は、いきなり、痴呆症になっているサッチャーが登場するが、世界を席巻した英国史上初の女性宰相の伝記というより、一人の女性の老いを中心に描いている点が新鮮、鉄の女も老いには勝てずというのが本作のひとつのミソ。

M・ストリープの党首を目指していく強い信念の女と政界引退後の痴呆症を患った女、その演技の対比が圧巻である。
ここまでの演技を披露されては、3度目といえ、アカデミー賞受賞も十分納得です。「マーマ・ミ―ア」の主役ではじけた演技見せたと思えば、本作のような重厚な役もこなすわけで、彼女の演技はもはや常識を超越している感じ。

映画の作りとしては、サッチャーの伝記と言うより、ひとりの女性の生き方とそれを支えた夫デニスとの愛の深さを描いているように感じる。まぁ、古今東西、保身に走る政治家が多いのは同じようで、英国でも最初はサッチャーを党略として利用した感がある。しかし、神輿の上に収まっていなかったサッチャーは当時としてはかなり国民に対して厳しい政策を推し進めていった印象が強い。しかし、何十年か経ってみると、そのシビアな施策によって英国の財政が立ち直りを見せたのも歴史上の事実となっている。

目先のことしか考えていない現在の社会。この先日本というか、世界はどうなるのだろうか?という暗い気持ちになった。

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『戦火の馬』 80点

2012-03-17 00:23:19 | goo映画レビュー

戦火の馬

2011年/アメリカ

ネタバレ

「風と共に去りぬ」と並ぶラストの夕焼けシーンに大感動

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆75点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆85点

●べッチー的映画三昧日記
「戦火の馬」

 それまでの騎馬隊、騎兵隊等の様式美的戦争から大量殺戮兵器による銃撃戦に変わっていく第一次世界大戦を舞台としているが、ユニークなところは馬が主役であるということ。軍馬として戦争に駆り出された一匹の馬が戦地で遭遇する人々のドラマを織り交ぜながら、馬の目を通して戦争の愚かさ、悲惨さなどを訴えている点だ。

 イギリスの農村に住む少年アルバートは近所で生まれた子馬に一目ぼれし、その成長を見守る。ところがひょんなことからアルバートの父が大金をはたいてその子馬を競り落として、アルバートが育てることになる。ジョーイと名付けられた馬はアルバートとの絆を育んでいく。しかし、時代はヨーロッパヲ戦地に変え、借金を返せなくなった父は、ジョーイを騎馬隊へ売ってしまう。軍馬としてフランスのセンチに送られたジョーイの苦難の旅が始まる。一方アルバートも軍隊に入隊し、ジョーイを探し続ける…。果たしてジョーイトアルバートは再び会うことが出来るのか。

 映画より先に舞台化されていて、トニー賞を取っているというから、これをスピルバーグの手にかかれば、もうヒットは間違いないという方程式だ。

 しかし、馬にどうやって演技をさせるのか?スピルバーグのことだからCGなど使うのかなと、映画冒頭からずっと、目を凝らして馬のジョーイを見ていたが、どれが本物でどれが剥製を使った映像なのかわからなかった。物言わぬ馬が主人公だから、馬に演技させるのは当然だが、馬の目の演技が見事である。目は口ほどに物を言うとはまさに本作のためにあるような言葉だ。

 映画のラスト、夕暮れまで農作業をする年老いた親の元に、戦地からジョーイとともに戻ってくるアルバート。真っ赤な夕焼けをバックに再会した親子とジョーイのシルエットは、明日に向かって「生きる」ことの決意表明みたいで感動的だ。まさに「風と共に去りぬ」以来の夕焼けを使った名シーンだと思っていたら、後から製作者もそれを意図して作ったらしいと知り、やっぱりと納得。

 スピルバーグ作品にしては、ストーリーをひねらずに素直に持っていており、うまく話をまとめ過ぎている感じはするが、混沌とした今の時代こんな映画は必要だ。
 こう思えてしまうのも、1年前の3.11.を経ているせいかも知れない。

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『ヒューゴの不思議な発明』 80点

2012-03-03 10:23:17 | goo映画レビュー

ヒューゴの不思議な発明

2011年/アメリカ

マーティン・スコセッシ監督より映画に愛をこめて。 「ヒューゴ」の世界は、初めて私、3Dをお勧めする!

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆80点

●べッチー的映画三昧日記
「ヒューゴの不思議な発明」

 犯罪組織や男の美学をバイオレンスに描き続けてきた巨匠マーティン・スコセッシ監督が、殺しも裏切りも血しぶきもない映画を作ったこと自体が私にとっては驚きだった。

 でも、本作は晩年を迎えた巨匠たちによく見られるセンチメンタルな懐古趣味的作品ではない。

 1930年代のパリ。父親(ジュード・ロウ)を事故で失いモンパルナス駅の時計台にひそかに住む孤児の少年ヒューゴ(エイサ・バターフィールド)が、父が残した壊れたままの機械人形を直して動かそうとする過程で、少女イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)と出会う。二人は人形が描いた絵の謎を探っていく。すると、そこには思いもよらぬ大きな秘密が隠されていた…。

 いままで見た3D映画の中では、本作が一番効果的だった感じ。花の都パリの街並み、モンパルナス駅を映しだし、そこに生きる人々の営みを鮮やか色彩の中で見事に再現している。立体映像が綺麗すぎて、ちょっとアニメっぽい部分もあるが、息をのむような美しい映像の中に夢心地で身を委ねることが出来るので帳消し。

 一見、子供向けのファンタジー映画かと思うが、それはちょっと違う。

 父親の死を乗り越える少年ヒューゴの自立の物語と夢を捨てた男の再生の、二つの物語が機械人形を軸にして交錯していくが、私が最も強く印象づけられたのは、映画創世記の偉人ジョルジュ・メリエスへ敬愛を込め、映画の本質(素晴らしさ)をさらりと説いている点、「夢の世界」は、私たちのイマジネーションの中にあることだ。最新の技術をいくら駆使しようが、結局、一番大事なことはクリエーターのイマジネーションだということなのだろう。

 今まで文献でしか知らなかった20世紀初頭の映画創世記の時代、職人たちが、湧き上がる想像力でどのように夢の世界を作ってきたのか、スコセッシ監督が本作の中で再現したメリエスたちの映画作りシーンから感じ取ることが出来る。メリエスの超有名作品「月世界旅行」の再現ドラマが登場した段階で不覚にも私はウルウル…。
 スコセッシからの現在の映画界への強いメッセージを受け取った。

 有る意味、今のハリウッドには自己批判にもなるけど、ここまで映画への愛を歌いあげられたら、「ヒューゴ」が、アカデミー会員に受けないわけがない。今年のアカデミー賞で最多の11部門にノミネートされたのも納得だ。M.C.のビリー・クリスタルはスコセッシに「マフィアが出ない映画を作るなんて」とジョークを言っていたけど、独特の世界を持っていた監督の違った一面を観ることが出来るのも映画の楽しみ、おおいに結構ではないか。

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