BSE&食と感染症 つぶやきブログ

食品安全委員会などの傍聴&企業・学者・メディア他、の観察と危機管理を考えるブログ by Mariko

食品安全委員会の米国BSE評価計算は、抜け穴・欠陥だらけ

2005年10月11日 15時17分50秒 | アメリカ牛は安全か?
■食品安全委員会の米国BSE評価たたき台は欠陥だらけ


食品安全委員会の吉川座長や山本委員のたたき台計算を元に、あちこちで「米国の汚染は低い」「日本の5~6倍」などと、メディアはもちろん、食の安全安心に関する情報をメールマガジンなどで配信しておられる方々も、それら、穴だらけの評価計算をそのままうのみにして、BSE問題はたいしたことない、などという論調を消費者に垂れ流しておられることに、最近私は、本当にギョッとしております。

だいたい日本の汚染だって、2年間も高リスク死亡牛の検査をせずに、ヤバイ牛は生きたまま大量レンダリングなどという告発もあったり、素埋め事件が多発するようなことがあったわけですが。

話は戻って、この、食安委のたたき台評価案
http://www.fsc.go.jp/senmon/prion/p-dai32/prion32-siryou3.pdf
の元となるそもそもの(農水省時代の)BSE対策検討チームの感染源評価が統計学的にも決定的に間違っていることを、在野の先生方が指摘されており、日本の20頭中13頭の感染牛の感染源は、代用乳中の牛脂または血漿たん白であるという指摘が、国会の農水委員会でも取り上げられたんですが、
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/23ab0dde4b4a2cdbbb3ec688de8e9bb8
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/b35ba6a5239ef9010394300ee16adb15
本日の時点でも、その資料を持っているはずの食品安全委員会はそれを無視したまま、米国内の牛脂や血漿たん白を使用し続けることによる国内増幅には触れていません。

参考:
米国の肉骨粉と動物油脂中に危険部位はどの位入ってるの?
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/5b5304b94fa3325250627d33a6e94302

さて、どうなりますことやら。。

たたき台の欠陥について、農業情報研究所さんのわかりやすい指摘がございましたので、ご紹介します。

プリオン専門委 たたき台二次案にも重大な欠陥ーレンダリング工程や獣脂には一切触れず
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05100801.htm
>とりわけ重大な問題と指摘した国内牛の暴露・増幅リスクに関して、レンダリング工程の実態には一切無視、「通常のレンダリングでは感染価は約1/100に減少する」とした点について何の修正もない。EUのリスク評価が言うように、

 「米国の約280のレンダリング工場で四つのシステムが使用されている。全システムが100-150℃の温度と様々な加熱時間、大気圧下で加工。

  -バッチ煮沸工場(46):115-125℃、45-90分。

  -連続チューブ・デイスク煮沸システム(220):131-150℃、45-90分。

  -連続多段階蒸発システム(10):115-125℃、20-40分。

  -連続予熱/加圧/蒸発システム(4):87-120℃、240-270分。


>これらは大気圧の下で(つまり加圧することなく)加工しているから、BSE感染性が工程に入れば、これを大きく減らすとは考えられない」(米国の地理的BSEリスクの評価に関する作業グループ報告(欧州食品安全庁) 04.9.4)

>というのが事実とすれば、感染牛1頭の”肉骨粉”がもつ感染価は最大でこの評価の100倍にもなってしまうというのにだ。この一事だけをとっても、この評価はまったく信頼できないと分かる

(以上抜粋)

笹山登生さんのご指摘です。

今年4月のEFSAのGBRⅡ、Ⅲ、Ⅳ地域の評価(Opinion of the Scientific Panel on Biological Hazards of the European Food Safety Authority on the “Assessment of the human and animal BSE risk posed by tallow with respect to residual BSE risk”.)の前提としては、
フィルタレーション0.15パーセント、最大粒子50mm、133度、20分、3バール加圧
という条件での評価でしたね。

http://www.efsa.eu.int/science/biohaz/biohaz_opinions/1110/biohaz_op_ej221_qra_tallow_en2.pdf

関連情報

BSE:国会で食安委の”科学根拠”に疑問続々 でも報道されず
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/26465737f0866b47c55ab28b7c393d2c

食安委の事務局が不透明に見える件で寺田委員長に伺ってみた
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/11e70e02b14f098e9f24b8189de16aae

BSEの原因となる異常プリオンの発見で、ノーベル生理学・医学賞を受賞した米カリフォルニア大学のスタンリー・プルシナー教授は「ある月齢以上なら(BSE) 検査が必要で、それ以下なら異常プリオンがなく検査なしで食用できる? そんな月齢を決めるなんて私には理解できない」と語っている。
http://www.zakzak.co.jp/top/2005_11/t2005110439.html

将来BSEが発生したら、あのエイズの安部さんではないが、皆さん方が責任を問われることになる[衆・農林水産委員会]
http://www.asyura2.com/0505/gm11/msg/552.html

英国:BSE(狂牛病)被害者は本当に150人だけ?盲腸推計3800人と、二次感染防止通知6000人
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/c/a0209d89782edb34131184136abc37e0

農水省:「BSEに感染した牛は、骨を取り除いても食肉処理の過程で肉が汚染される可能性がある」
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/0a2e4459558beb8d921eb79753e6c8fa

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (通りすがり)
2005-10-13 21:14:59
ま、それでも支那牛よりはよほど安全な訳で…
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中国牛 (Mariko)
2005-10-14 10:01:56
中国牛はどうなんですかね。なんか米国から肉骨粉などが大量に輸出されていたみたいですが。

ボイル中国牛タンなんかも輸入されて、サラミやソーセージになっているという記事もありましたね。
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タブーが産まれる時 (M. K. 里)
2005-10-15 23:59:59
ハンナン浅田の逮捕で食肉タブーが打開したかと思いきや、新たに米国牛タブーが誕生するようですね…。



ちなみにアメリカ本国では、州法レヴェルではありますが"veggie libel"(農産物名誉毀損)というのがあって、農産物の信頼性に疑問を呈すること自体が非常に困難になっています。このことからしても(牛肉に限らず)米国産農産物にはよほど慎重にならないといけないでしょうに。
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Unknown (Unknown)
2005-10-25 06:14:10
日本と違って外国の輸出食品って言うのは

国内で使えそうもない品質の悪い物。

一部の中国からの輸入商品は中国人でも顔をそむけるほど…



大体、米国産牛肉とか危険部位を摘出すれば安全と

言っているし、その根拠に河豚は卵巣を取ったら

安全だからという…(日本で放送されているアメリカ公報番組より)

元々、毒として持っているフグと、異常プリオンに感染した

病気を同じ物とする考え方は、ナンセンス。

未だにベトナム戦の枯葉剤散布で起った奇形などの影響を

否定し続ける米政府。

そのまた昔は米国民にプルトニウム注射等、人体実験まで…

態とBSE感染を広めて検体を集めてワクチンを作り出し

特許を収得して欧州に売り出そうと考えてるのかもしれない。



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トラックバックありがとうございます (ooo---ooo)
2005-10-31 20:45:33
専門家では無いので良く判りませんが、あまりにおかしすぎる。テレビが消費者の自己判断とか言い出した。行政の役人はまたしても責任を取らないでしょう。そして、牛丼チェーンの株価が上がっているとの事。こんなことでこの日本国は良いのでしょうか、、、。

今年は鶏インフルエンザが種の壁をまさに越えてやって来そうな事態です。取り合えず、インフルのワクチンだけでも売っておいた方が安全ですね。
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TB御礼 (すがたの狩人)
2005-11-03 20:02:08
安全委員会も責任回避。マスコミも無責任に政府追従。 

食べれ食べないは国民の判断、自己責任が基本です。お上の言う事に頼らず信用せず、主体性を持たなければいつまでも同じ事の繰り返し。政府や役人の責任を期待する事はいい加減にやめましょう。
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科学的・・・ (ほにゃらら)
2005-11-03 23:45:10
米国の政治家がよく「科学的根拠」ってよく言うけどさ

奴らが科学ってものが分かってないってことが凄く良く分かるよね。



全頭検査をするってことはリスクを原則的には0%にするってこと。

だから1頭でも見つかったらニュースになるほど騒がれてしまう。

しかし抜き出し検査で「確率的」に0.1%や0.01%にでもなったとしても0%にはなり得ない。

これは数字の上では誤差なんだけれど、「ある」と「ない」は全然違うものだって事が理解できていない。



さらに言うと、こう反論できない日本の有識者や政治家にもそれが理解できていないってことなのか?

恥ずかしいことだ。

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コメントありがとうございます (the-anoraks)
2005-11-10 18:27:40
初めまして。

すごい情報ですね。

怖いです。

世の中って力ずくで動かされていくんですね。

すごい怖いです。
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コメントありがとうございます (MYU)
2005-11-24 13:01:17
色々、詳しい情報を探してはいましたが、こんなに良い感じのブログがあるのは知りませんでした。

これからも、この手の記事をたまに書いていこうと思っておりますので、そのときはまたお越し下さい。

そして、お手数ですが、関係ありそうなトラバを引いてくださると大変嬉しいです。

ありがとうございました。
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給食にでたらどうしよう。 (かえる子)
2005-12-14 20:17:52
子持ちの母です。ハンバーグやカレーのルーにアメリカ牛が分からない形で入ってるかもしれないですよね。家で牛肉をたべないようにはできるけど、給食にでるのはさけられないですよね。国は子供が感染してもかまわないと考えてるのかしら。
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