お父さんのマリポタ日記。
マリノスのこと、ポタリングのこと。最近忘れっぽくなってきたので、書いておかないと・・・
?



 さて、2日目。

 ケツは痛い。だが、自転車に乗ってみると、耐えられない痛みではなかった。何とかごまかせそうだ。

 しかし、天気予報が悪い方へ変わった。渋川方面はなんとか曇りで持ちそうだが、草津は午後2時から雨が降るらしい。予定だと、渋峠到着はお昼前後。タッチの差で雨雲から逃げられるか。勝負するしかない。

 宿泊したホテルはルートイン渋川。自転車は部屋に持ち込めなかったが、事務所で預かってくれた。


ホテルの玄関前


 午前6時半ごろ出発。ホテル前の国道17号バイパスで利根川に流れ込む吾妻川を越える。天気はまずまず。このまま少しでも長く持ってくれればいいのだが…。


吾妻新橋で吾妻川を越える


 少し走って国道353号へ入る。ここから長野原草津口までは45キロの緩やかな上りが続く。7年前にこの道を走った時は真っ暗。タヌキが出てきて一瞬なごませてくれたが、信号の明かりだけを頼りに走った箇所もあった。この日は曇りだが、たまに晴れ間ものぞいている。始まった紅葉を愛(め)でながら、(ケツは多少痛いが)のんびり楽しんで走ろう。




国道353号線に入る。草津までは54キロ



かつて三国街道の宿場として賑わった北牧宿


 この日の国道353号線は平日の月曜とあってか、大型トラックの通行が多かった。路肩に十分な幅がなく、こちらとしては白線上か、やや内側を走らざるを得ない。おまけに走行車線そのものも狭いため、お互いをやり過ごすためにはトラックが反対車線まで回り込まなければならない。後ろからトラックの爆音が聞こえるたびに緊張感を味わうのはあまり楽しいライドではない。この道は休日に走る方がいいかもしれない。


路肩も走行車線も狭い国道353号線



JR吾妻線の小野上駅



国道353号線に沿って走るJR吾妻線。その向こうには吾妻川が流れる



午前7時20分ごろに中之条に到着


 出発から約1時間ほどで中之条、原町に到着した。草津までの国道沿いでは大型の電気店などがある大きな町だ。過去3度ツール・ド・草津に参加した際、ここを車で通った時に寄ったこんにゃく茶屋は当然ながら開店前。補給はコンビニでするしかない。

 中之条を過ぎると国道は145号線となる。


中之条のこんにゃく茶屋


 スタートから30キロを過ぎ、岩島駅の先の「吾妻渓谷入口」交差点で道は二股に分岐していた。右方向が本線のようだ。行ってみるとJR吾妻線の踏切があったがすでに廃止されており、そこを過ぎると道はやがてきつい上りとなった。これまで車で3度、自転車で1度ここを走っているのだがこんな上りは記憶にない。ともかくこちらが本線なので久々にフロントをインナーに落として上り続けると、ピークにはトンネルがあった。


吾妻渓谷入口交差点



直進するといきなりきつい上りが始まった



ピークには雁ケ沢トンネル


 標識を見ると、雁ケ沢トンネル、鍛冶屋沢スノーシェルター、茂四郎トンネルとあり、長さは2642メートル。こんな長いトンネルは景色も楽しめないし、走る気にはならない。走るとしても路肩が狭そうなので歩道を行くしかない。それにしてもこのトンネルは何なんだ? このあたりは吾妻峡のはずなんだが…。

 そう思って下を見ると旧道らしきものが見えた。


左右に伸びる道路が旧道。手前には廃線部分のJR吾妻線


 実は「吾妻渓谷入口」交差点から右に伸びるのは八ツ場バイパス。八ツ場ダム建設にあたり、国道145号線、JR吾妻線が一部水没する。そのため国道、鉄道の付け替えが行われ、八ッ場バイパスは11年12月に全線が開通した。また、ダムに沈むJR川原湯温泉駅は14年9月24日にその役目を終え、JR吾妻線は10月1日から高台の新駅を回る新ルートでの運行が始まっている。

 吾妻峡も一部が水没するが、国交省の八ツ場ダム工事事務所のホームページによると、「名勝吾妻峡の指定区域約3・5キロのうち下流側の約4分の3は、現況のまま保存」し、「最も観光客が訪れる鹿飛橋付近は、手を加えません」としている。ということは4分の1は水没の運命にあるようだ。

 八ツ場ダムの完成は現在のところ2020年。旧道を今まで通り草津方面へ走れるのはあと5年あまり。ならば、走るのは旧道しかない。ちょうどトンネル脇に自転車と歩行者用の側道があったので、それを一気に下りおりた。

 おりた先には道の駅「あがつま峡」があり足湯の設備もあるようだが、時刻はまだ午前8時半。当然、閉まっているのでトイレだけ借りてリスタートした。近くには吾妻渓谷への遊歩道があり、ちょっと観光したかったがケツの痛みも時間とともに増してくるし、雨予報もあったので断念。とにかく事は早めに運ばないとね。


道の駅あがつま峡入口



道の駅付近の吾妻峡



吾妻峡が色づくにはまだ早かった


 旧道は当然ながら車の通行量はほとんどない。美しい風景に囲まれながら「これぞサイクリング」の醍醐味を味わう。


吾妻峡看板前



気持ちのいい道が続く


 だが、ダム建設現場が近づくと、トラックの姿が見え始めた。


川原湯温泉入口。このあたりは水没する


 川原湯温泉入口の手前にあった川原湯温泉駅は板が打ち付けられ、すでに廃駅となっていた。


この風景も水没する



この鉄橋も…


 やがて水没する地域を走るというのは不思議な感覚。少し感傷的な気分で走っていると、左手にバイパスが見えるようになり、午前9時過ぎにスタートから46キロ地点となる長野原草津口駅に到着した。このあたりの標高はまだ585メートル。GPSログによると渋川との標高差は407メートルで、グロスの平均時速は時速17・1キロだった。


長野原草津口駅に到着


 曇り空だがまだ雨は落ちてきていない。さあ、いよいよ渋峠へ向けた登坂が始まるぞ。お天道様、頼みますよ~!

 <その3へ続く>

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