今日の一貫

大規模農家の補助金依存が4割と増えているが

農業経営統計調査の2010(22)年版が公表された。
22年は戸別所得補償モデル事業が実施された年。
水田農業の統計が気になっていた。

気になっていたのは補助金額。

受け取り補助金額は大規模農家に多い。
大規模農家の補助金額は粗収益の3割弱がこれまでの常識的なところ。
22年統計ではそれが4割になっていた。(20ha以上層で、3818万円の粗収益の内補助金1619万円)
30%弱が一気に40%を超えたのだからこれは驚きだ。偏に戸別所得補償の影響といっていいかもしれない。

その4割の中身は以下
  (22年は20ha以上層で42%、1619万円の補助金額。15-20ha層で806万円の34%、10-15haで588万円33%。いずれも大規模農家の補助金依存率が高まっている。ちなみに20ha以上層の補助金受取額は、19年から、967、1091、1256,1619万円、15-20haは、614,524,633,806万円。)
  (受け取り補助金は、補助金といっても、農業共済金などが入っており、共済掛け金などと相殺しなければならない性格のもの。純粋の補助金は、「経営安定対策補助金」、「産地づくり交付金」、「担い手育成・確保支援対策」、「農地・水・環境保全向上対策」、「中山間地域等直接支払」など)。


民主党政権になって、水田の補助金は、2010(22)年度から「戸別所得補償」、「水田利活用」、「その他」の三本柱となった。

この三つの補助金、経済活動に比例するのは「水田利活用」。
「その他」も若干規模連動。
これに対し、「戸別所得補償」はどうか?
10アール当たり1.5万円が固定支払いなので、一見規模に比例するように見える。確かに金額は比例して増えるのだが、その増え方が問題。細かに見ると規模連動ともいえないことがわかる。

たとえば、規模が小さいほど、①農業所得に占める戸別所得の比率が大きい、②補助金の中での戸別所得の比率が大きい、③単位面積当たり戸別所得補償額が大きい。
つまり規模が小さいほど、戸別所得補償の持つ重みが増している。これは規模に逆進的と言って良い。
戸別所得補償が「ばらまき」と言われる所以でもある。

しかし、大規模農家の戸別所得補償補助金取得額は大きい。これによって大規模農家の地代負担力が高まることは容易に想像がつく。
この補助金を地代負担のような生産的資金に回すか、生活費に回すのかは難しいところ。あくまでコスト割れを補填する所得補償だからだ。

この所得補償補助金をどの様に理解すればいいか?

私は戸別所得補償は構造改革に中立的と言ってきたが、結論はそんなところだろう。
とすれば、今後、構造改革支援的な補助金が考えられなければならない。

わが国の政策は、構造改革支援的な政策がイメージできないようだ。
大規模化、コスト低下に偏りすぎている。
それを、大規模農家の収益性改善、特に販売額向上を視野に入れた改善支援的なものに重点を置く必要がある。
収量増加、付加価値増加のための大規模複合経営の定着に軌道修正する必要があるといい続けているのだが、、、
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