今日の一貫

コメ市場環境が変化 輸出に積極姿勢を示せるか 農水省

最近会うコメビジネス農家は、一様に輸出に関心を示してると、先日書いた。
コメ市場環境が変わってきたことが大きい。

90年頃は、大規模流通システムに嫌気を指した農家の直接販売市場が可能性を持っていた。
当時1,5万トンしかなかった農家直売米が、現在では、160万トンに広がった。
この市場は、ウルグアイラウンド決着後の、農業経営者、コメビジネス戦略の基軸となった。
農協の支配する流通に満足しなくなった業者や消費者の取り込みに成功した。
食管法の廃止が後押しをした。
悪法を廃止するだけだったが、強烈な政策支援になった。

しかしこのアッパー市場もそろそろ満杯になっている。
他方、ボリューム市場は相も変わらず農協系統、全農が支配している。
この市場も、価格下げ対応とボリュームの縮小に苦悩している。
全農コメ流通は、縮小が避けられない運命にある。
本来であれば、市場環境の変化に対応し、全農、組織改革を真摯に行い、ビジネスのやり方を大幅に変更しなければならないのだが
実態は、これまでのやり方を守るため、周囲に犠牲を強いている。
現在のコメの混乱は、全農が旧来の手法に拘泥し、自らの組織維持に躍起となっているためにおきている。

そのあおりを食ってるのが、コメビジネス農家。

とはいえ、日本全体のコメ市場が縮小し、農家直販と全農、大体棲み分けが完了した感じ。
ニッチの市場はまだまだあるだろうが、コメビジネス農家にとっても、新たな市場を模索しなければならない状況におかれている。
それが輸出ということになる。
彼ら、それを敏感に察し、行動に移していると言うことだ。
発想としては非常に健全な対応だと思う。

ただ、これには、政策支援がない。
無いどころか、ブレーキがかかっている。
私は単協などもこの市場への参画をすべきだと考えているが、まだ霧の向こうにある。

この状態、つまり、農家の意気込み、全農の当惑や、政策の足かせ等は、、
丁度20年ほど前に、農家直売米が国内市場に打って出た状況と似ている。
当時は、特栽米制度を構築し、さらには、95年に食管法を廃止し、農家ビジネスへの支援が打ち出された。
だが、今回、その時のような支援施策がなかなか出てこない。

それもそうだ、わが国は、農協の主張に乗って「コメ鎖国」政策を続けているからだ。
そのくせ、毎年77万トンものMA米を輸入し、国内市場を狭めた。
農協はその責任はまだとっていない。
鎖国政策のために、わが国農家のコメ輸出は、WTO違反として提訴される可能性は高い。
輸出奨励金と判断されるからだ。

そんな国内事情はともかくとして、国際的には、エサ米も、国際飢餓解消のために輸出の対象にすべきだろう。
農水官僚にはたしてその青写真を描けるだろうか?
いやエサ米に限らず、本格的なコメ輸出推進政策が農水官僚には描けないのではないかと思っている。
農水省の政策フレームに乗ってる限り、本格的なコメ輸出は困難としか考えられない。
ここは、輸出は他省庁所管として、農水省、自らの考え通り生産省に特化してはどうか。
(これもし「そんなことはない」、、と考えているなら是非、早急に青写真をおねがいしたいもの、松岡大臣の頃の案があるが、、)

このままだと、次のコメビジネスモデルを作ろうとしている農家にとっての大きな壁、ブレーキとなる。
農業経営者を育成しなければならないときに、逆に可能性の芽を摘み取ってしまうことにもなる。
さらに、TPPが降ってわいて、わが国の『尊米攘夷』運動は極点に達しようとしている。

何度も言うが、わが国に必要なのは、「強い農業・優しい農業」を作り上げること
あいまいな国のあいまいな農業であってはならない。
理屈にあった政策を執行すべきだ。
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