農協は節度ある政治活動に徹し 政治的中立条項を農協法に明記すべき

民主党、農協の政治的中立性を保つための法案を提出するという。
きわめて妥当な判断だろう。
石破大臣でもこの課題には踏み込めない様だ。
小泉首相も踏み込めなかったイシューだ。

農協は、協同組合であるが故に様々な特権を持っている。
小規模零細事業者の団体ということで、弱者保護の対象になることが、様々な特権を得る根拠になっている。

しかし、農協が零細企業とは誰も思わないだろう。
特に全国連の諸組織は、世界最大の預金量を持つ農林中金をはじめ、将にグローバル大企業そのもの。
そのグローバル大企業、一兆円の増資をするというのだから、農民は金を持っているといいたいのか、農林中金の危機なのか、
後者だろうが、、農林中金に関しては、別に書こうと思っている、、。
ここで言いたいのは、グローバル企業が零細な小生産者という衣をまとっているということ。

補助金被交付団体で、様々な特権を持つ農業協同組合が、政治団体というのは誰しもが知っていること。
いやそれは農政連であって農協そのものではないなどという詭弁を弄するかもしれないが、農協はあきらかに政治団体化している。

２８日１７時過ぎ、東京駅で、全国農協中央会Ｍ課長とばったり（部下らしき人を連れていたのでもう部長になったかも？）。
何してるのか聞くと、厚生連会長を待ってるとのこと。
「何で全中が、」と聞くと、農政連会長だからとの返事。
農政連は、全中と一体化してるのは常識。

農協は何かと協同組合としての権利と主張するが、生協、中小企業団体、商工会議所、商工振興組合、労働金庫、全信連、信用金庫等、協同組合には中立性が担保され、法律にも書かれている。
なぜ農協法には政治的中立条項がないのか？

おそらく法律ができた時点での経緯があってのことではないか、、が石破見解。
政治的中立条項があっても、米価運動や諸要請活動を規制するものではない。
むしろ、農水省の会議などに、政治的に中立ではない生産者団体が出てきて意見を述べることの方がおかしい。
中立条項があった方が、大手を振って意見を言うことができるのではないか？

問題なのは、昨年の参議院選のような、節度を超えた政治活動があった場合だ。
もともと農協には多様な思想信条の人がいる。
特定の政党の支持を強要するのは、明らかに節度を超えた政治活動であろう？
私はあちこちの県農協中央会職員が、勤務時間内に選挙運動を行っていたのを知っている。
組織への忠誠度合戦の様相を呈していた。
そうでなければ、この候補は２０万票止まりだったろう（それでも立派な獲得票数だが）。

農協はそろそろ「族議員内閣制」への加担者（張本人）から脱する必要がある。
農協が近代的組織に生まれ変わるためにも、また農業の成長を阻害する組織から、成長を促す組織に脱却するためにも（ロジックとして飛躍があるが）、農協自ら政治活動の中立条項に賛成すべきではないか。

民主党、票が欲しくてこの正当な論理を提示できないのではと思っていたが、よくぞ決断した。
民主農林族の中には今でも中立条項に反対という意見もあると聞くが、一旦出すと決めたのだから、ぶれることがないように、ウオッチしていきたい。
結果はともかく、おかしいことはおかしいといえる社会が大事なのだ、、。


以下読売新聞
民主「農協は中立に」　法改正案を参院に提出　2008/11/26, 東京読売新聞　朝刊, 4ページ, 　, 309文字

　民主党は２５日、農協や農林中央金庫に政治的中立性の確保を義務づける農協法や農林中金法などの改正案を参院に提出した。農協の組織や施設などについて、「特定の政党のために利用してはならない」と規定したもので、自民党の有力支持団体となっている農協など農業団体をけん制する狙いがある。民主党は「農協は補助金を受け、税制上の優遇があるなど、準公的な性格を持つため、政治的中立が求められる」（幹部）と主張している。
　民主党は当初、参院で審議中の金融機能強化法改正案を修正して農協などの政治的中立性を確保する方針だったが、「金融機能強化法に政治的中立性を盛り込むのは法律の性格的に難しい」として、農協法改正案の参院提出に切り替えた。