今日の一貫

農協のコメ買え買え運動

農協のコメ買え買え運動に、河北新報が反応した。
政府米、購入すべきか否か。

せっかく米価下落用に戸別所得補償の変動部分がしくまれているのだから、
低下したら、変動部分を発動するのが筋、が私の見解。

米を買って米価下落を押さえた方が財政規模は少なくなる、、だから買えというのが農協の言い分。
だが果たしてそうか?

以下7月20日、河北新報朝刊

私の見解
Q政府米の買い入れを求める声が農業団体から強まっています。
「農業保護は『価格支持』と『直接支払い』に大きく分けられる。コメ政策は、価格支持政策から農家に所得を補償する直接支払制度に変わった。世界的にも直接支払いが主流だ。日本も直接支払いへとせっかくかじを切ったのに、ここで政府米を買い入れれば、弊害の多い価格支持政策へ逆戻りだ。それでは何の意味もなくなってしまう。

Q米価下落で、戸別所得補償制度の支出が膨らむと懸念されています。
「懸念は懸念にすぎない。米価維持でも、直接支払いでも農家の所得が保障されればそれで良い。せっかく米価維持に代わる制度を作ったのだから、それで国の支出が膨らんだとしてもそれはそれで国民に理解を得るべきだ。その額は言われるほどではないだろう。むしろ、政府米買い入れによる米価維持要望が、なぜ言われるのかが問題だ。全農はコメの販売手数料で稼いでいるが、手数料は米価が下がれば減ってしまう。米価が下がって困るのは全農なのではないか。財政を心配する前に自らの経営を心配すべきだ」

Q戸別所得補償制度で一層米価が下がるという指摘もあります
「直接支払い制度に移行したということは、米価の決定を市場に委ねるということだ。戸別所得補償制度の定額部分である10アール当たり1万5000円は、収量にもよるが1キロ当たり30円弱に相当する。それだけ価格が下がっても耐えられるセーフティーネットの意味がある。そこに、さらに政府米を買い入れ米価を維持すれば過剰な保護になる。それでは消費者の理解が得られないのではないか。

Q米価下落は農家経営に打撃を与えませんか。
「日本農業に必要なのは、農業生産額の拡大であり、農業所得の増加である。そのために1970年代には、米価下落もおりこみ、稲単作からの脱却と複合部門の導入がいわれた。それがいつの間にか米価維持一辺倒になった。なぜそうなったのか検証が必要だが、米価維持政策が日本農業にさまざまなゆがみをもたらし、農業を弱体化させた事への反省が弱すぎる」


Q米価下落は稲作の将来にマイナスになりませんか。
「米価だけ維持し農業が衰退しては意味がない。「農業経営統計調査」によると、経営規模1ヘクタール未満の稲作は赤字だ。1戸当たりの年間赤字は約6万円。稲作をやめて、田んぼを貸せば逆に年間6万円ほどの地代が入る。他方10ha以上層は1千万から2千万円の販売高があり、地代負担力もある。30から40ヘクタールの大規模水田複合経営には販売額1億円規模の経営もある。こうした経営が存在することによって、稲作を離れた人々も、別の形で農業ができるチャンスが生まれ、みんなが『ウイン・ウイン』となる構造が生まれている。米価だけを高くという発想はそうした構造改革の足を引っ張ってしまう」


Q自然相手の農業に過剰は付き物です。
「米価維持だけを目的とした政府米の買い入れには反対だが、民主党農政には過剰米の処理対策が欠けているのは事実だろう。自然リスクは複合経営など圃場レベルでとるのが基本だが、かつての集荷円滑化対策のような過剰対策はあってよい。その処理は飼料用米等に回るとしても国際的な視点ももつべきだ。主食用米にも当てはまることだが、視野を海外にまで広げると、稲作農業の展望にバリエーションが出てくる」



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