香港テレビの字幕について質問をいただいた。「それで字幕は北京語? 広東語?」
――答えは、概ね北京語(Mandarin Chinese)、なのだが、厳密に正しい北京語かどうかは、私もよくわからない。北京語ネイティブで北京語教育を受けた人(特に北の方の人)からは、「ここちょっと違う」とチェック入るかも。一応、中国語を“読んで”わかる人には理解できるように作られているようだ。
そもそも、香港の公用語は何語? 返還前はイギリス領だったんだから英語? 今は中国なんだから中国語でしょ?・・・じゃ広東語って、何?
実は香港の公用語は、「英文」と「中文」。“語”という字を使っていない。それは中国大陸が共産党政府、台湾が国民党政府となり、対立していた時代まで遡る。大陸では漢字の簡体字を採用、発音記号のピンインを定め、“普通話”“漢語”(漢族の言葉:中国は多民族国家なので、他の民族の言語も中国人民の言語であるという立場から、この単語を使う)として、全国で標準中国語の教育を進めた。一方、台湾では伝統の繁体字(臺、灣、舊など)を使い、注音字母という発音記号で表わし、“國語”として教育。ラジオやテレビなどで“國語”と英語以外の言語の放送を原則禁止、普及に努めた。(薬師丸ひろ子が台湾のテレビに出演した時、日本語をうっかり話してしまうと放送で使えないので、声を出さないようにしていたのを見たことがある。)それでも、大陸から移ってきた人以外は國語が母語ではない(閩南語・客家語などを話していた)ので、普及にはそれなりの時間がかかったし、アミ族・タイヤル族など原住民の人たちの間では、異なる部族間の共通語として日本語が残っていたそうだ。(ピヌユマヤン族の張惠妹が「勝気だから」カツという日本語名を親につけられたという話は有名)
香港は大陸
台湾が対立していた時期、言ってみれば緩衝地帯・中継点として機能していた。要するにどちらともそれなりにいい関係を保ちたい。そこで公用語をMandarinにした場合、どっちの字体と発音記号を採用したらいいのか? 一方を取れば絶対もう一方と軋轢を生じる。何しろ、日本人の観光客や留学生でさえ、台湾に簡体字の辞書を持ち込もうとしたら没収されると言われてたくらいだ。どうしよう?![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/sos.gif)
そこで究極の解決が「中文」。公文書は書き言葉の中国語、文字と話し言葉は「伝統」に従うとして、字は繁体字、話し言葉は元々この地域で使われていた広東語になったのだそうだ。(以上、ほぼつれあいが言ってたことの受け売り^^;)
というわけで、数十年の間に書き言葉としての中文が新聞・雑誌・教科書などで確立され、ニュースなどの語彙もそれに近いものが使われるようになった(例:1時間=中文:一小時、広東語:一個鐘頭)。ただし発音は広東語読み、という独特のスタイルだ(「一小時」は広東語読みだと「やっしうし」北京語読みなら「いーしゃおしー」)。
だから現代の香港人は、英語だけで教育を受けた人以外は大体この“中文”を読んで理解できるし、広東語との対応は基本的に頭に入っている。“中文”の文法と語彙は原則Mandarinに沿っているので、台湾・大陸・世界各地の華人も繁体字が読めれば概ね理解できる。香港のテレビの広東語が何を言ってるのかさっぱりわからないけど、内容は中文字幕で把握している人々がいる一方で、台湾のテレビの“國語”が何を言ってるのか全然わからないけど、やはり中文字幕で内容を把握する香港人もいる。そして私たち日本人は、字幕のおかげで聞き取りやすくなるという恩恵にあずかっているのだった。
広東語:中文の対応表はまた次回
――答えは、概ね北京語(Mandarin Chinese)、なのだが、厳密に正しい北京語かどうかは、私もよくわからない。北京語ネイティブで北京語教育を受けた人(特に北の方の人)からは、「ここちょっと違う」とチェック入るかも。一応、中国語を“読んで”わかる人には理解できるように作られているようだ。
そもそも、香港の公用語は何語? 返還前はイギリス領だったんだから英語? 今は中国なんだから中国語でしょ?・・・じゃ広東語って、何?
実は香港の公用語は、「英文」と「中文」。“語”という字を使っていない。それは中国大陸が共産党政府、台湾が国民党政府となり、対立していた時代まで遡る。大陸では漢字の簡体字を採用、発音記号のピンインを定め、“普通話”“漢語”(漢族の言葉:中国は多民族国家なので、他の民族の言語も中国人民の言語であるという立場から、この単語を使う)として、全国で標準中国語の教育を進めた。一方、台湾では伝統の繁体字(臺、灣、舊など)を使い、注音字母という発音記号で表わし、“國語”として教育。ラジオやテレビなどで“國語”と英語以外の言語の放送を原則禁止、普及に努めた。(薬師丸ひろ子が台湾のテレビに出演した時、日本語をうっかり話してしまうと放送で使えないので、声を出さないようにしていたのを見たことがある。)それでも、大陸から移ってきた人以外は國語が母語ではない(閩南語・客家語などを話していた)ので、普及にはそれなりの時間がかかったし、アミ族・タイヤル族など原住民の人たちの間では、異なる部族間の共通語として日本語が残っていたそうだ。(ピヌユマヤン族の張惠妹が「勝気だから」カツという日本語名を親につけられたという話は有名)
香港は大陸
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/sos.gif)
そこで究極の解決が「中文」。公文書は書き言葉の中国語、文字と話し言葉は「伝統」に従うとして、字は繁体字、話し言葉は元々この地域で使われていた広東語になったのだそうだ。(以上、ほぼつれあいが言ってたことの受け売り^^;)
というわけで、数十年の間に書き言葉としての中文が新聞・雑誌・教科書などで確立され、ニュースなどの語彙もそれに近いものが使われるようになった(例:1時間=中文:一小時、広東語:一個鐘頭)。ただし発音は広東語読み、という独特のスタイルだ(「一小時」は広東語読みだと「やっしうし」北京語読みなら「いーしゃおしー」)。
だから現代の香港人は、英語だけで教育を受けた人以外は大体この“中文”を読んで理解できるし、広東語との対応は基本的に頭に入っている。“中文”の文法と語彙は原則Mandarinに沿っているので、台湾・大陸・世界各地の華人も繁体字が読めれば概ね理解できる。香港のテレビの広東語が何を言ってるのかさっぱりわからないけど、内容は中文字幕で把握している人々がいる一方で、台湾のテレビの“國語”が何を言ってるのか全然わからないけど、やはり中文字幕で内容を把握する香港人もいる。そして私たち日本人は、字幕のおかげで聞き取りやすくなるという恩恵にあずかっているのだった。
広東語:中文の対応表はまた次回
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そう言えば広東語の歌でも、「♪~没有」(むっやう)とか「♪~對不起」(といばっへい)なんて歌詞があるけど、すごく違和感あります。
地の文は中文っぽいのに、誰かのコメント・「」つきになると途端に広東語になる新聞と、「」内もどことなく中文っぽい新聞と、傾向が分かれて面白いです。
>そう言えば広東語の歌でも、「♪~没有」(むっやう)とか「♪~對不起」(といばっへい)なんて歌詞があるけど、すごく違和感あります。
そういう、違和感を覚えさせる単語を多用しない歌詞だと、この作詞家上手って気がしますね~。
最初のころ、「歌詞で広東語を覚えるぞ~」とはりきってピンインを振っていたことを思い出します。全くの無駄とわかったとき、がっかりしましたとも。
書いていただいたら、今までの謎とゴチャゴチャが、ずいぶんすっきりしました。
ここで対応表を入手できれば、理解度が飛躍的に上がるのではないだろうか。
他力本願ですみませんが、待ってまーす
振っていたピンインは、広東語辞典で発音を調べてたんですか?
いっそ中国語辞典で調べたら、台湾では使えたかも・・・
対応表、もう少しお待ちくださいね~。