語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】ビートルズと日本武道館 ~6月29日~

2017年06月29日 | 医療・保健・福祉・介護
 今から51年前、1966(昭和41)年6月29日にイギリスのロックバンド、ビートルズが来日した。この日はファンによって「ビートルズ記念日」となった。
 法被を着たメンバー4人が手を振りながら飛行機のタラップを下りてくる映像が今でも放映されるが、台風の影響で飛行機が遅れ、日本に到達したのは午前3時39分だったそうだ。税関を通らず滑走路からそのまま高速道路に乗り、交通規制が敷かれていたことで、羽田空港から永田町のホテルまでわずか19分10秒だったという。
 日本武道館でコンサートを行ったロックバンドとしてはビートルズが初めてというのも、よくテレビで紹介される話だ。
 日本武道館ができたのは64(昭和39)年9月で、コンサートの2年前だった。これは同年10月の東京オリンピック開幕に合わせて、日本の国技である柔道が初めて正式競技に採用されたからでもあった。総工費はおよそ20億円。63年10月に着工し、工事期間はわずか11カ月だったという。この時代、日本はものすごく動いていたのだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「ビートルズと日本武道館 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年6月29日)を引用
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【豊洲】と築地の両立案は頓挫する ~策士策に溺れた小池都知事~

2017年06月29日 | 社会
 (1)「築地は守る、そして豊洲を生かすことを、基本方針の一つとさせていただきます」
 侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が交わされる築地市場移転問題。小池百合子・東京都知事は、6月20日の記者会見で、中央卸市場を東京・豊洲に移転し、築地を再開発して何らかの市場機能を持つ「食のテーマパーク」とする案を明らかにした。

 (2)すでに完成した豊洲市場の建物を活用しつつ、「築地ブランド」も模索する・・・・一見、築地と豊洲の両方のメリットを生かした妙案に見える。
 だが、築地市場で商売をする取引業者の間では、ただ困惑だけが広がっている。
 というのも、豊洲は中央卸売市場の機能を優先すると口では言いながら、築地は5年後をめどに再開発した上で「仲卸の目利きを生かしたセリ・市場内取引を確保・発展」させる、と会見で配布された文書に書かれてあるのだ。
 しかしながら、そもそも卸売市場は、全国の産地から集められた商品を仲卸が買い取って卸に、卸が飲食店や小売店に販売するという一連のプロセスを一ヵ所で行える場所でなければ意味がない。市場機能が豊洲と築地に分散することは、取引業者にとって豊洲移転への賛否を問わず、到底受け入れられるものではない。
 小池知事は、築地の再開発後に一部の取引業者が豊洲から戻ることも想定しているようだが、とりわけ日々の品質管理をまさに職人技で行う仲卸業者にとって、度重なる引っ越しの負担は耐えがたい。ある市場関係者は吐き捨てるように言う。
 「再び築地に戻るのは最悪のアイデアだ」

 (3)なぜ、現場の実態を無視したこんな提案がなされたのか。
 6月23日には、都政最大の政治決戦である都議会議員選挙の火ぶたが切られる。小池知事は、従来、天敵である自民党東京都連から「決められない知事」と批判され、早期の決断を迫られていた。その上、豊洲移転は小池知事と連携する都議会公明党が強く主張してきたものであり、その意向を汲んだものなのだ。
 一方で、小池知事自ら「築地ブランド」を身捨てるかのような言動をとれば、従来の支持者の反発は避けられない。都幹部を中心とした検討では、ちょうど、築地市場の跡地を貸し出せば安定した収入を得られる、との試算が出されたため、これに乗っかったのだろう。

 (4)かくして小池知事は、政局や選挙をにらんで、この八方美人的な奇策を示すに至ったようだ。
 しかし、現場の実態に合わない以上、取引業者の反発は目に見えている。都議選で自ら率いる都民ファーストの会が躍進しても、市場移転をめぐる議論が行き詰まれば、小池知事は結局、自分の首を絞めることになる。

□岡田悟(本誌)「策士策に溺れた小池都知事 築地・豊洲両立案は頓挫する」(「週刊ダイヤモンド」2017年7月1日号)
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 【参考】
【片山善博】【豊洲】市場問題 ~都議会のなすべきこと~
【豊洲】都庁は伏魔殿 ~小池百合子・都知事の力量~
【豊洲】新市場、解析データで浮かび上がった謎 ~盛り土による地盤沈下にズレ~
【豊洲】は「空洞問題」で終わった ~当事者との合意形成が欠如~
【豊洲】市場では「安全宣言」を出せない ~土壌汚染対策法~
【豊洲】市場移転:宇都宮健児が小池百合子・都知事の決断を分析
【後藤謙次】築地市場の移転延期の決断が小池都知事の手足を縛るリスク
【五輪】が都民の生活を圧迫する ~汚染市場・アパート立ち退き~
【食】移転先の土壌、ヒ素汚染残して開場 ~築地市場~
【選挙】石原都政で何が失われたか ~福祉・医療・教育・新銀行破綻・汚染市場~



【食】GM作物から撤退する農家、禁止する国 ~世界のGM作物栽培面積最新情報~

2017年06月29日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)ISAAA(国際アグリバイオ事業団)が、5月4日、2016年の世界でのGM(遺伝子組み換え)作物の栽培面積を発表した。
 それによれば、総栽培面積は1億8,510万ヘクタールで、前年1億7,970万ヘクタールに落ち込んだ面積がまた拡大している、と報告している。作物としては、相変わらず大豆、綿、トウモロコシ、ナタネがほとんどで、世界の全栽培面積に占めるGM品種の割合は、大豆78%、綿64%、トウモロコシ26%、ナタネ24%だった、という。

 (2)報告をよく見ると、栽培面積が大きく伸びているのはブラジルと米国だけで、ブラジルが前年より490万ヘクタール増加の4,910万ヘクタールで、米国が200万ヘクタール増加の7,290万ヘクタール。この2ヵ国以外はほとんど増加していないか、減少していることが示された。
 米国は前年の落ち込みが大きく、まだ一昨年の栽培面積を回復していない。事実上ブラジルの伸びだけが目立つ形となった。
 そのブラジルの伸びについて英国の市民団体「GMウォッチ」は、2015年8月からの1年間に熱帯雨林が約200万エーカー(約81万ヘクタール)失われるなど、大豆畑拡大が大規模な森林破壊をもたらしている、と指摘している。

 (3)また、オーストラリアの市民団体「ジーン・エシックス」のボブ・フェリプスは、GM作物の約90%が北南米の8ヵ国で栽培されており、偏りが大きく、世界的に拡大しているわけではない、と指摘している。
 作付け国は26ヵ国で、前年より2ヵ国減少している。
 栽培を停止した国は、ルーマニアとアフリカのブルキナファソ。ルーマニアは、ヨーロッパで長い間GM大豆を栽培してきた国だが、その栽培を禁止して非GM大豆の栽培を進め、欧州市場での非GM大豆の供給に大きく寄与し始めている。ブルキナファソは、GM綿の栽培を進めてきたが、昨年、GM綿から非GM綿へと全面的に切り替えた。2017年1月17日付け「ロイター・オンライン版」によると、繊維が短くなるという綿の室の低下が起き、収量も落ちたことがその理由だという。再び従来の品種に戻した結果、収量は増え、繊維の短縮もなくなった、と同国政府の農業大臣が述べている。

 (4)アルゼンチンや中国、インドは大幅に栽培面積を減らしている。
 モンサント社は、2016年8月、アルゼンチンのマルビナスにあるGM種子生産のプラントを閉鎖すると発表した。このプラントは、350万ヘクタール分のGMトウモロコシを生産する規模だが、2015年は250万ヘクタール分しか生産できなかった、という。この閉鎖は、農民などによる反対運動が功を奏したもので、70万ヘクタールという大幅減少はこれが直接影響したものと推定される。
 中国は、栽培面積を約24%減少させている。その要因は、食の安全に対する中国の消費者の関心の高まりや、東北部の黒龍江省でのGM作物栽培禁止にありそうだ。
 インドは、GM綿の栽培が行われてきたが、害虫の影響で大幅な収量の減少が起きており、それが影響したものとみられる。

 (5)ヨーロッパの数少ないGM作物栽培国のスペインでも、農家の間でGMトウモロコシは高コストで低収量であるとして撤退し、在来の種子への転換を図る農家が拡がっている。2016年7月6日付け地元紙「エコノミア・デジタル」によれば、GMトウモロコシは種子代が高いのに、市場価格は25%ほど安いため、農家は利益を得ていないからだという。
 このようにGM作物の問題点が示されるとともに、その将来性に赤信号がともり、栽培面積にもそれが反映されるようになってきた、といえる。

□天笠啓祐「世界のGM作物栽培面積最新情報 そろそろ各地でGMは限界!?」(週刊金曜日 2017年6月16日号)
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