「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの時事随想:超進化論

2023年06月02日 | 時事随想

 ダーウィンの進化論は、現代においても全く色褪せていない。生き物の進化の仕組みを矛盾なくシンプルに説明する偉大な理論です。ダーウィンは、進化の概念を多くの観察例や実験による傍証などの実証的成果を経て、生物の進化を理論的に明らかにしました。当然のことながら、その考えは宗教的に批判・反論を受けましたが、時間をかけて理解されるようになりました。しかし、ダーウィンの進化論は弱肉強食的な価値観・・・弱肉強食の世界の中で、適応して生き残る者と適応できずに死んでいく者がいるといった認識を生み出しました。生き物同士の関係をすべて競争関係のように捉えるという偉大な理論の誤った解釈は罪が深い。多様な生物同士の複雑な関係性である「生態系」という概念は、無論のことダーウィンの時代には確立されていません。最新のテクノロジーを駆使した生態学の進歩により、驚きの研究成果が次々と発表されつつあります。生物多様性の本当の姿を知れば知るほど、人間は最も進化した生き物だと言う常識は、実は我々の思い込みであることを知ることになります。

 『多様性』という言葉は、様々な問題解決のキーワードとして使われています。現代社会は、様々な場面において分断が進み、マイノリティが排除されます。私達人類は、短期間のうちに地球の支配者として君臨し、環境破壊により多くの生物を絶滅に追いやりました。私達人類は、生物多様性の本当の尊さに気づき、新たなビジョンを見つけ出す必要があります。

 昆虫の進化、生き残りの戦略、サバイバルの知恵など、昆虫の世界の不思議を解説する新書本が数多く出版されています。私自身も、そうした新書を買って読んできました。講談社から出版された「超・進化論」は、NHKスペシャルシリーズ「超・進化論」を中心に書籍化されました。こうした書籍は、人類がまだ解明しきれていない地球の深遠な仕組みを、私たちが知る手がかりとなるでしょう。

 山歩きをしていると、地球は「水の惑星」という形容よりも「植物の惑星」と形容すべきではと思うことがあります。多様な植物が、様々な環境に適応して繁茂しています。威厳さえ感じる巨木は、手で触れると圧倒的なパワーさえ感じます。植物は、におい物質を使ってお互いにメッセージをやり取りしているそうです。また、葉を虫に食べられると、その信号を全身に伝えて、昆虫に毒となる物質を作って防御するそうです。

 昆虫の驚異的な能力については、近年様々な書籍で話題として取り上げられています。昆虫同士の共生関係もとても面白い世界です。昆虫の能力の中で、羽を持って空中を自在に移動できることと、完全変態で幼虫の形態と成虫の形態が著しく異なることが最も感嘆することでしょう。昆虫の種類と個体数は、他の動物を圧倒するほど多く、地球は「昆虫の惑星」と形容しても間違いはないようです。

 微生物は、私たちの身の回りに無数に存在しています。実は、人間の体で暮らす微生物は、約100兆いるそうです。人体の細胞はおよそ37兆と推定され、体内の微生物は自身の細胞よりも遥かに多いのです。その微生物が地球上の生物の進化に影響を及ぼし、ヒトを含む動物の気分や行動を変えたりしているのだそうです。

 書籍「超・進化論」が、NHKスペシャルシリーズに対応していることで、一冊の書籍としてのまとまりが弱いのはしょうがないことです。地球の生物の多様性と、生物の能力を知る良い教材でした。

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