かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(10)――朝日歌壇・俳壇から(2013年12月16日~2014年2月17日)

2014年02月17日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

キャスク、プールまた新たなる語彙ふえて廃炉始まる三度目の冬
             (福島市)美原凍子  (12/16 野公彦、馬場あき子選)

人類が言葉発して五万年それより永き核のゴミ処理
             (岸和田市)西野防人  (12/23 佐佐木幸綱選)

わが町に避難して来し人ありて原発事故は他人事ならず
             (高知県)藤田兆大  (1/13 佐佐木幸綱選)

ほとぼりがさめたと見てか原発はじわりじわりと息吹き返す
             (中央市)前田良一  (1/13 佐佐木幸綱選)

原発で夢稼がんか誘いくる男の背中のるまあるらし
             (ホームレス)坪内政夫  (1/20 佐佐木幸綱選)

原発の輸出を約し握手する総理テレビに笑みを浮かべて
             (前橋市)荻原葉月  (2/3 永田和宏選)

廃鉱の街に住みにし歳月を廃炉の地にて思えば小雪
             (福島市)美原凍子  (2/3 馬場あき子選)

白鳥の鳴き交わしゆく空残し原発被災地枯野となりぬ
             (南相馬市)深町一夫  (2/3 馬場あき子、佐佐木幸綱選)

フクシマの傷ざっくりとあくごとし人住まぬ家の窓窓の闇
             (三鷹市)増田テルヨ  (2/3 馬場あき子選)

汚染水タンク1000基の建ち並ぶ画像が今は〈秘密〉ではない
             (堺市)丸野幸子  (2/3 佐佐木幸綱選)

振り向けば見えぬ汚染の町があり青き空あり山河煌めく
             (横浜市)田口二千陸  (2/10 馬場あき子選)

東京に原発一基作ったら地方人口増えると思う
             (新潟県)涌井武徳  (2/10 佐佐木幸綱選)

雲淡く稜線かすめ冬日さすこの両岸に原発はあり
             (福井県)大谷静子  (2/10 永田和宏選)

鮮やかな緑色なす封筒で内部被爆検査(ホールボディカウンター)通知来ぬ
             (福島市)美原凍子  (2/17 佐佐木幸綱、馬場あき子選)

人麻呂の歌碑訪ひ来たる奈多の海ゆ伊方原発遠く光る見ゆ
             (中津市)久恒啓子  (2/17 野公彦選)

 

福島を置き去りにして街クリスマス
             (川越市)横山由紀子   (12/23 金子兜太選)

原発へ激浪といふ冬景色
             (廿日市市)頼経正道  (2/10 金子兜太選)

福島に戻れぬ日々や鬼遣らひ
             (鴻巣市)佐久間正城  (2/17 金子兜太選)



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