中国漁船団が尖閣に侵入しなかった根本原因を指摘できない日本のジャーナリストたち


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中国漁船団が尖閣に侵入しなかった根本原因を指摘できない日本のジャーナリストたち

当然のことであるが8月16日、尖閣諸島に中国の大漁船団は現れなかった。現れるはずがない。 
 東シナ海での漁業が解禁となる16日、中国海警の軍艦クラスを筆頭とした数百隻の漁船とともに、日本の領海を侵犯すると予想していたのが日本のマスメディアや評論家たちであった。しかし、一隻の漁船さえ尖閣諸島に現れなかった。すると彼らは現れなかった理由をそれぞれに説明しだした。
 
 あるジャーナリストは8月15~18日に、東シナ海、沖縄周辺で米空母ロナルド・レーガンと海自護衛艦の合同訓練を理由にしている。日米共同訓練は、中国への脅しである。経済的に米国が中国をガンガンと締め付けており、中国は尖閣へ出たくても出れない状況である。だから、尖閣に漁船団は侵入しなかったというのである。合同訓練は何年も前から何度もやっている。理由にならない。
 台湾を巡る米中軍事対立にまつわる中国の秘めた戦略を乱されたくないという理由を挙げるジャーナリストもいる。尖閣は台湾も領内であると主張している。米中対立が激化している中、かつてのように反日デモなどが起きて日中対立が激しくなれば台湾を有利にする。 中国政府は「漁船ごとき」で日中間の摩擦を増やしたくはない。国家戦略と違い、民間人である漁民は何をするか分からないし、何かあった時に漁民を見捨てるのか、国家を取るのかといった選択をしなければならない事態に巻き込まれる「やっかいさ」がある。「やっかいさ」を避けるために漁船が尖閣に行くのを禁止したという。

中国通で知られる石平氏は別の理由を述べた。
「今年の中国共産党指導部や旧指導部の長老たちが集まって行われる北戴河会議で、習近平のやり方を良く思っていない現指導部と胡錦涛や温家宝らの長老たちが、習近平をつるし上げ、対米関係の改善を求めたという。
石平氏によると、長老たちが習近平に迫ったのは対米関係の改善であるという。「アメリカとの関係が徹底的に悪化すると、長老たちの親族がアメリカに持っている資産・財産が凍結されてしまう。そのことを長老たちは恐れている。だから長老たちも必死であったと石平氏は言う。安倍総理にトランプ大統領との仲介を頼む可能性があるから「尖閣諸島近辺で中国漁船がどういう動きをするかは注視しなければならない」と長老たちは習近平に警戒を促したという。長老たちの圧力があったから漁船団の尖閣侵入はなくなったというのが石平氏の説明である。習近平が長老たちの圧力に屈したとは・・・・。あり得ないことである。

「尖閣諸島は我が国固有の領土で、石垣市の行政区域であることは紛れもない事実」
「日本政府は、領土問題は存在しないとしているが、取り巻く環境は厳しい中で何ら対策が講じられない現状である」
を理由にし、石垣市は6月に尖閣諸島の字名を登野城から登野城尖閣に変更した。中国政府が無視することはできない石垣市の字名変更である。
中国政府は8月2日に東シナ海での漁業が解禁となる16日、数百隻の漁船を尖閣諸島に送り込むと日本政府に予告し、
「中国漁船の航行を制止するよう要求する資格は、日本にはない」
と日本政府に通告したのは石垣市が尖閣は日本の領土だと主張し登野城を登野城尖閣に変更したことへの反発である。尖閣は中国の領土であると主張している中国にとって登野城尖閣に字名変更するのは許せないことである。大漁船団で尖閣を占領したい中国政府であるがそれはできない。だから、通告だけで終わったのである。

 中国政府は漁船を尖閣に侵入させることはない。侵入させれば日中紛争に発展する恐れがある。習近平政府は日本との紛争は徹底して避ける。日本と国交が断絶すれば中国経済が悪化するからだ。
日本の輸出相手国は米国を超えて中国が一位になった。輸出の中心は部品である。中国は日本から輸入した部品を使って自動車や電化製品などを製造し米国に輸出して莫大な収入を得ている。日本の部品がなければ輸出製品を造れない中国である。日本の部品なしには中国経済は成り立たない。中国が日本との紛争、断絶を避ける理由である。
 中国に進出している日本企業は約1万3600社である。日本企業が中国経済の発展に大きく貢献している。尖閣の紛争で日本と断絶すれば日本からの部品は途絶え、1万3600の企業が中国から引き上げるだろう。中国経済の悪化は免れない。

 中国が大漁船団を尖閣に侵入させない根本的な理由は日本と国交断絶すれば中国経済が破綻に追い込まれるほど悪化するからである。
 尖閣問題は直接には軍事、政治問題に見えるが、中国が紛争に発展しないようにしている原因は政治、軍事問題ではない。経済問題である。台湾を巡る米中軍事対立は関係ない。習主席が長老たちの圧力に屈して尖閣に漁船を侵入させなかったと石平氏は説明するが。親族がアメリカに持っている資産・財産が凍結されてしまうことを恐れている長老たちの圧力に屈するようなやわな習主席ではない。習主席は財産を米国などの外国に移すのを嫌っている。移した幹部を処分をし、中国に資産を戻すように指示しているくらいだ。長老たちの圧力に屈することはない。習主席が米国との政争で苦戦を強いられている。原因の一つとして幹部たちが長老たちのように資産・財産を米国に移したことである。米国は制裁として幹部の米国資産を凍結している。
米国に資産・財産を移すのは米国との経済戦争では不利になる。習主席が長老たちの圧力に屈するはずがない。屈すれば米国に屈することになるからだ。政敵をあらゆる手段を使って排除して権力を我が物にした習主席が長老たちの圧力に屈するはずがない。石平氏の長老たちの圧力で大漁船団が尖閣に侵入しなかったというのはありえないことである。
 侵入しなかった原因は日中の経済関係にある。経済を無視して尖閣を論じることはできない。
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