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いまさら「辺野古反対」で政府批判する不実な人たち

2019-03-31 18:14:34 | 日記

いまさら「辺野古反対」で政府批判する不実な人たち

2018.12.24 15:00

【政界徒然草】

 政府は14日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾=ぎのわん=市)の移設先である名護市辺野古沿岸部の埋め立てに着手した。

移設反対を掲げる玉城デニー知事(59)は計画への賛否を問う県民投票などを通じ、政府に抗戦を続ける構えをみせている。

国政でも主要野党の議員が政府を批判するが、驚くのは旧民主党政権下で辺野古移設を容認した面々も平然と沖縄県に歩調を合わせていることだ。

■「辺野古回帰」の過去忘れ

 「長い目で見れば日米安保にも悪い影響を与えかねない状況だと強く危惧している。沖縄の民意を意図的に逆なでしているとしか思えない。到底容認されるものではない」

 立憲民主党の枝野幸男代表(54)は15日の記者会見で、埋め立て開始をこう批判した。

福山哲郎幹事長(56)も14日、「安倍晋三政権には沖縄への情もなく、法の支配や直近の民意に対する謙虚さのかけらもなく、民主国家にはほど遠い状況だ」と断じた。

 立憲民主党は「辺野古反対」を政策の重要な柱と位置づけているようだ。

旧民主党出身の衆院議員らを立民会派に受け入れる際にも、辺野古反対への賛同を条件としている。

 基本政策の一致を求めるのは当然だ。ただし、問題は旧民主党政権の中枢を担った有力議員が、いまさら移設計画への反対を堂々と主張する資格があるのかということだ。

普天間の移設先について「最低でも県外。できれば国外」といった無責任な約束で沖縄県民の感情を振り回した鳩山由紀夫政権で、枝野氏は閣僚を務めた。

福山氏は外務副大臣。本人らも一応認めているが、責任の一端は免れない。

 続く菅直人政権で枝野氏は官房長官・沖縄北方担当相として途中入閣し、福山氏は官房副長官だった。

まさに政府中枢にあって、両氏は「内閣としての(辺野古移設の)方針はしっかり進める」と記者会見などで繰り返し表明していた。

 民主党が下野した後、平成26年11月の沖縄県知事選では仲井真弘多知事(当時)による辺野古埋め立て承認への評価が争点となった。

この際、民主党県連代表だった喜納昌吉氏が承認撤回を掲げて出馬したが、これを「県民を混乱させ、党の信用を失墜させた」などとして除名処分の手続きを取り仕切ったのは当時の枝野幹事長だった。

■具体策ないまま変節?

 そんな枝野氏らが「辺野古反対」に豹変(ひょうへん)したのは今年8月29日、党沖縄県連の設立時だ。

枝野氏は那覇市で会見し「このまま基地建設を続行する状況ではないという判断に至った」と明言し、過去との整合性は「立憲民主党は新しい政党だ」と開き直った。

 会見で枝野氏は「安倍政権になってから沖縄の理解を得る努力も進んでいない」とも主張したが、事実はどうか。

 旧民主党政権は辺野古移設へ回帰した後も沖縄の信頼を取り戻すことはできず、普天間移設や、それと事実上セットになった他の米軍基地・施設の返還はまったく進まなかった。

沖縄との関係を修復し、慎重に手順を踏んで仲井真氏による埋め立て承認を導いたのは現政権だ。

移設計画の前進に伴い、米海兵隊北部訓練場(東村、国頭村)の半分以上にあたる約4千ヘクタールの返還など沖縄の基地負担軽減も進んだ。

政権担当時の自分たちの無策を棚に上げて政権批判ができるのは、どういう神経だろう。

 枝野氏は官房長官時代の23年2月14日の記者会見で、沖縄の米海兵隊の抑止力に関して「高い機動性や即応性を持った海兵隊が沖縄にいることが抑止力につながっている」との認識を示していた。

 ところが現在では「海兵隊の役割がこの5年で大きく変化した」とし、米国との交渉次第で辺野古の工事を止めつつ普天間返還が可能になると説く。

変化したのは海兵隊の抑止力ではなく、枝野氏ではないだろうか。いずれにせよ、具体案がなければ鳩山氏と同等以下の無責任だ。

 立憲民主党だけではない。国民民主党の玉木雄一郎代表(49)は、辺野古埋め立ての着手を「民意を踏みにじるもので、強い憤りを感じる」と述べた。旧民主党政権の失政に一定の責任を負う人たちの不実な言動に、強い憤りを感じる国民も多いだろう。

(政治部 千葉倫之)


中国の経常収支が1993年以来の赤字 内需型経済に移行

2019-03-31 17:51:39 | 日記

世界のニュース トトメス5世

経済・投資・流行・歴史ほか

17:00

中国の経常収支が1993年以来の赤字 内需型経済に移行

世界の工場だった中国は輸入超過になりつつある
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韓国、「延焼中」生産・消費・投資すべてマイナスの「大統領不況」

2019-03-31 17:17:19 | 日記

勝又壽良の経済時評

日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。

2019-03-31 05:00:00

韓国、「延焼中」生産・消費・投資すべてマイナスの「大統領不況」

テーマ:ブログ

 

文大統領は、南北交流さえ上手く行けば国内経済不振も吹き飛ぶと信じ切っている。だが、米国政府はいたって不機嫌である。

米国務省は韓国外交部官僚対して、「開城工場や金剛山観光開発問題で訪ねてくるならお断り」と申し渡しているほど。

韓国にとっては、南北交流事業に国内経済の浮沈を賭けているが、実際はそれほどの効果を期待できるものではない。

仮に、収益が上がってもすべては北朝鮮の取り分になる。韓国は支援のための財政支出が嵩むだけの話なのだ。

それを、文政権が誇大宣伝している。

 それどころか、韓国経済は日一日と危険ゾーンに落込んでいる。

政府自体が、国内経済よりも南北交流に関心を向けているため、「経済が危険」という認識に欠けるのだ。

世にも不思議な政権である。国内問題よりも北朝鮮重視という本末転倒なことが起っている。

『中央日報』(3月29日付け)は、「韓国、2月生産・消費・投資トリプル減少、先行・同行指数9カ月連続同時下落」と題する記事を掲載した。

 2月の鉱工業生産、個人消費、設備投資の主要3項目が、すべて1月よりも落ち込んだ。

これは、韓国経済の屋台骨がひっくり返るほど重大な事態である。

本来なら、政府は主要閣僚を集めて対策を議論すべきだが、それはなかったようだ。無頓着というか、無関心というか、言葉がない。

国民生活が、大きく影響を受けるという認識がないのだ。

 

以下、項目を整理しておく。

①2月全産業生産指数(季節調整系列)は前月より1.9%下落した。1月は3ケ月ぶりに増加した後、1カ月で再び減少傾向に転じた。これは2013年3月(-2.1%)以来5年11カ月ぶりの最大減少幅だ。 


②2月の設備投資は前月より10.4%減少した。2013年11月に11.0%減少して以来5年3カ月ぶりに最大幅の減少を記録した。

 

③2月の小売り販売額も前月より0.5%減少した。食料品など非耐久財販売が減り、乗用車販売が振るわなかった。2つの指標は共に1カ月で下落に転じた。 


前記3項目のうち、設備投資が10.4%も減少した。5年3カ月ぶりに最大幅の減少を記録した。

輸出が停滞し始めたことを反映し、設備投資が落込んだものと見られる。とりわけ、輸出の20%を占める半導体の低迷を先取りして、設備投資抑制に動いたもの。

 韓国経済は、輸出依存度が高い。

世界経済停滞がこれから起れば、輸出停滞→生産停滞→設備投資停滞→個人消費停滞という形で韓国経済を襲ってくることは確実である。

韓国政府は、これに対する備えはゼロだ。

すでに内需を台無しにしている最低賃金の大幅引き上げが、内需全体の足を引っ張っている。

その上に、輸出停滞が起れば、八方塞がりになる。文大統領は、こうした事態への備えはあるだろうか。全くそうした動きは感じられない。

 

(2)

「現在の景気状況を示す指標である一致指数循環変動値は前月より0.4ポイント下落し、11カ月連続で下降傾向を継続した。2017年12月の0.5ポイント下落以来14カ月ぶりに最も大きく落ちた。

今後の景気を予測する指標である先行指数循環変動値も0.3ポイント下落した。この指数も9カ月連続で下降している。一致指数と先行指数が共に9カ月連続で下落したのは史上初めてのことだ」 

 文政権の経済官僚は、こうした景気循環上で重要な指標である、先行指数と一致指数が同時に9ヶ月連続で低下している事実に対して無反応であることが驚きである。

こういう政府が世界に存在するのか。正直に言ってそういう感想を持つほどだ。

私は昔、経済企画庁(現、内閣府)の景気判定委員を数年、務めた経験がある。

韓国の景気動向指数が、ここまで落込んでいるのは、「不況」局面に入っている証拠だ。

知らぬが仏というが、ただただ、驚くほかない。

 大統領の経済知識ゼロでは国の経済保たない

韓国では、経済も政治もすべて「思い込み」で行なわれている。

その思い込みは、学生時代の「浅薄」な知識に基づいている

その後、進歩していないところが深刻だ。

学生時代、軍事政権に対抗すべく火炎瓶を投げて闘った。

それは、若者特有の「正義」のしからしめるもので、誰も非難はできない。

問題は、その時の闘争仲間を大統領府秘書官に取り立てて政治を行なっていることだ。

まるで、学生時代のサークル活動の延長のようなものである。

学生運動家の思想と言えば、「反資本主義」が通り相場だ。

社会へ出て揉まれれば、市場経済が統制経済よりもはるかに公正・効率であることが分かるはずである。

文在寅氏と学生運動仲間は、北朝鮮の「チュチェ思想」に凝り固まった集団である。

「親中朝・反日米」が根本にあるから、市場経済の仕組みを勉強する意欲も機会もなかったであろう。

その結末が、現在の韓国経済の惨憺たる状況を招いても、それすら正確に認識できない悲劇的な事態だ。

医師に喩えれば「ヤブ医者」だが、医師として国家試験に合格するはずもない人たちである。

それが、医師のような格好し白衣をまとい、聴診器を持っている。

韓国の悲劇は、まさに学生運動家上がりが大統領府を占領したことにある。あるいは、「無能力者革命」と言ってもいい。

 『朝鮮日報』(3月30日付け)は、「文大統領『経済堅調』発言の10日後に発覚したトリプルマイナス」と題する社説を掲載した。

 (3)

「今年2月の経済3大軸(生産・投資・消費)が一斉にダウンする「トリプルマイナス」を記録した。

現在の景気の流れを示す一致指数循環変動値はアジア通貨危機以降、二十数年ぶりに11カ月連続でダウンを続けている。

3~6カ月後の景気を占う景気先行指数も9カ月連続でダウンしており、見通しはさらに暗い。

どれ一つとっても良い所がない。「半導体の錯覚」がなくなり、不振にあえぐ経済のありのままの姿があらわになった」

文大統領は、執務室に30種類程度の経済統計パネルを持ち込んでいる。

就任時に、記者団に公開したほど。そのパネルを毎日見ているのだろうか。経済統計の仕組みを知らない文氏である。

「猫に小判」だ。秘書にも、それを説明できる基本知識を持っている人間がいないに違いない。

今さら、恥ずかしくて「経済知識がない」とは言えないのだろう。

この経済に対する無知識・無教養が、韓国経済を混乱に陥れている。朝鮮李朝の「バカ殿」と同じ振る舞いだ。

 景気動向指数は、森羅万象と言われる経済現象を30前後の指標にまとめたものだ。

航空機のコックピットに並ぶ「計器」そのものが、景気動向指数である。

この指数の見方が分らないのだ。

パイロットが、コックピットの計器の読み方を知らないで「盲飛行」すると同じで、韓国経済は墜落の危険性に遭遇している。

40%の国民が、こういう大統領を事情も知らないで支持している。「盲飛行」の乗客なのだ。

 

(4)

「それにもかかわらず、経済を総括する企画財政部(省に相当)は半月前、「今年に入って産業活動および経済心理の関連指標は改善している様子で、肯定的なモメンタム(勢い)がある」と診断した。

これでは国の経済総括省庁ではなく、まるで与党・共に民主党の経済研究所のようだ。

このデタラメな報告をもとに文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「経済は堅調な流れ」にあり、「改善する様子が見られる」というとんでもない発言をする状況に至った。

今年1月の生産・消費が増えたのは「旧正月連休特需」のためだとかなりの人が分かっていた。

官僚たちはこれを伝えず、大統領の耳に心地いい報告しかしなかった。

そうして文在寅大統領はまた、とんでもない発言で国民をあ然とさせた。こうしたことはこれで一体何回目だろうか」

 

下線を引いた部分を整理しておく。

① 経済を総括する企画財政部(省に相当)は半月前、「今年に入って産業活動および経済心理の関連指標は改善している。肯定的なモメンタム(勢い)がある」と診断した。

 ② このデタラメな報告をもとに文在寅大統領は「経済は堅調な流れ」にあり、「改善する様子が見られる」というとんでもない発言をした。

 ③ 今年1月の生産・消費が増えたのは、「旧正月連休特需」のためだとかなりの人が分かっていた。官僚たちはこれを伝えず、大統領の耳に心地いい報告をした。

 景気動向指数の一致指数はアジア通貨危機以降、二十数年ぶりに11カ月連続のダウンを続けている。

3~6カ月後の景気を占う景気先行指数も9カ月連続でダウンしている。

こういう事態を深刻に受け止めなかった企画財政部は、「無能力」と言うよりも「職務放棄」に値する。

先行・一致の両指数が揃って落込む事態は普通、起らないものだ。

先ず、先行指数が低下した後、一致指数の低下になる。

それが逆転して、一致指数の低下が先に起ったのは、「最低賃金の大幅引上げ」という人為的なブレーキが突然かかった結果である。

その意味で、今回の不況は「大統領不況」と命名すべきだ。

 

 


韓国が真の先進国へと脱皮するために 「反日種族主義を打破しよう」

2019-03-31 17:01:44 | 日記
韓国が真の先進国へと脱皮するために 「反日種族主義を打破しよう」

克服課題は「部族的感情」 中国を大国と捉える依存性

自由と独立精神の構築を

李栄薫(李承晩学堂校長)

李栄薫氏

 大韓民国は、世界史に例のない短期間で国民国家の建設に成功した国だ。

ところが、2年前の朴槿惠大統領の弾劾事変のとき、韓国社会はある日、理性と常識と法治が麻痺、崩壊する総体的な精神的障害を起こした。

政治家や知識人社会まで精神的な未熟さをさらけ出した。

政府組織やメディアでは、相互批判や均衡、検証能力が麻痺した。民主政治制度が脆弱な点があるとはいえ、人類史上最高の教育熱を誇った韓国社会が、偽りと真実を区別できず、法治の崩壊を是正しようとしない。

果たして韓国は真の先進国になれるのだろうか。この問いに対して、経済史学者として歴史を研究してきた李栄薫先生(李承晩学堂校長)の講演を紙上中継する。

 

政治・経済ともに危機的な状況

 今日、この国は政治、経済、社会のすべての方面で危機を迎えています。

いつ可視化するか分からない潜在的な危機状態です。

1998年の外貨支払い不能の国家不渡り事態の際、すべての国家経済が深刻な危機を経験しました。

そのときのような破局が近いうちにまた襲ってくるのではないかという危機感が、韓国の国民を憂鬱にしています。

韓国経済は活気を失って久しいです。

企業の投資が萎縮しており、零細自営業の没落が深刻です。

若者たちの失業はもっと深刻な状況です。

政府は、このすべての結果を十分に予測できる悪性かつ分配志向の、規制一辺倒の政策に固執しています。

 政治はもっと暗鬱です。

われわれ自由市民は2年前、大統領の弾劾という途方もない政治的変事を経験しました。

その変事を振り返ると、今でも精神が混迷してきます。

大統領がどういう大きな過ちを犯したのか、果たして賄賂を受けたのかが明確でなかっただけでなく、仮にそうだったとしても、それが弾劾の事由になるのかも納得できません。

弾劾に成功した勢力は、彼らが政治的に勝利したと信じています。

それで十分であり、正当だと叫んでいます。

弾劾が下された日、国民の半分は祝杯をあげましたが、残りの半分は弾劾に対して悲痛の涙を流しました。

国民の心はずたずたになりました。

これは今後、何年も続く途方もない政治的葛藤とそれに伴う破局を予見しています。

新しい執権勢力は、北韓の3代世襲王政に対して融和政策を取ることで北韓の核脅威を解消し、さらに民族の統一を成就できると信じています。

「わが民族同士」というスローガンが理念と体制の違いから発生する葛藤と対立を封鎖できるものと楽観しています。

それは迷信であり幻想です。(中略) 私は長い歴史の観点から、この国の昨今の危機的状況を眺望します。

それは決して見慣れないことでも、新しい現象でもありません。

以前からずっと存在したもので、ついにわれわれが恐れるほど可視化しただけです。

危機の根本的な原因は、自由と独立の精神、その理念の欠如です。

自由とは何ですか。大多数の韓国人はそれについて学んだことも、考えたことも、実践したこともないのが自由です。

自由と独立は、他人の干渉と圧力を受けない状態を意味しません。(中略) 自由と独立の精神は、勤労し貯蓄し分業し交換し競争し開放し通商することです。

自由と独立は結局、文化です。ある国の国境内に閉じ込められて、外の世界を知らず、他の地方と他の民族と他国を排斥し、それに敵対する人間なら、真の自由人とは言えません。

自由は世界に向けた冒険であり、世界を舞台にした通商であり、世界と競争する学問と科学です。

このような自由と独立の精神を韓半島で最初に悟り自由の旗を揚げた人は、われわれの建国大統領の李承晩です。

 

1904年、漢城監獄の中で、青年李承晩が『独立精神』を著し同胞に伝えた自由と独立の精神がそうでした。(中略)

精神史はいまだ朝鮮時代のまま

李栄薫 1951年生まれ。経済史学者。ソウル大学経済学部卒、博士号。成均館大学の教授を経てソウル大学教授。2018年から李承晩学堂校長。李承晩TV代表。『大韓民国の物語』など著書多数。


【寄稿】「官製民族主義」が韓国を滅ぼす

2019-03-31 16:14:35 | 日記

記事入力 : 2019/03/31 05:08

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

【寄稿】「官製民族主義」が韓国を滅ぼす

▲尹平重(ユン・ピョンジュン)韓神大教授(政治哲学)▲尹平重(ユン・ピョンジュン)韓神大教授(政治哲学)

 民族主義的な歴史政治が火を噴いている。

親日積弊清算を望む大衆の感情的要求と、北朝鮮と共に韓半島(朝鮮半島)の平和を実現させようと考える「我らは同じ民族同士である」という情熱がそれだ。

歪曲(わいきょく)された韓半島の現代史を正す「百年戦争」の熱望が歴史戦争をあおる。

そのようにして親日積弊清算運動が大々的に繰り広げられている。

「我ら同じ民族同士」という情熱は2回目の米朝首脳会談の決裂で一息ついているだけで、いつでも再び火がつく可能性がある。

 今の反日感情と「我ら同じ民族同士」という感情は典型的な「官製民族主義」(official nationalism=公定ナショナリズム)の所産だ。

「官が主導する民族主義」だからといって、政府が国民に一方的に民族感情を注入しているわけではない。

大衆が民族主義的な感情を既に心の奥深くへと内面化させているからだ。

日本の植民地統治と分断からはじまった痛恨の歴史の経験は、韓国人の民族主義的な感性を極大化させた。

我々の民族感情が平和志向の抵抗的民族主義だったという史実が、韓国の民族主義の正当性を一層強化した。

今や韓国の民族主義は神聖不可侵の聖域となり、その逆鱗(げきりん)に触れようとは誰も思わない。

官製民族主義が繁栄する最適な土壌なのだ。

  だが、民族という概念そのものが近代西洋の産物であることに注目しなければならない。

カトリック教会と神聖ローマ帝国が支えた中世封建体制の崩壊後、個々の民族の国民国家がそのすき間に入った。

近世の始まりだ。言語・神話・文化・慣習・血統を共有する特定の種族集団が民族という名で「呼称」され、政治主体として登場した。

近代特有の政治の企てが「想像の共同体」(imagined community)である民族を生み出したのだ。

国民国家の誕生と民族主義が歩みを同じくしたのがその証拠だ。「民族が民族主義を作ったのではなく、民族主義が民族を作った」のだ。

民族と民族主義が歴史的に作られた構成物であるという事実は、韓国の歴史でも確認できる。

モンゴル侵略で風前のともしびだった高麗時代末期には「檀君神話」が脚光を浴びた。

韓民族の栄光を叫んだ「桓檀古記」のような偽書が日本帝国主義時代に「発見」されたのも偶然ではない。

危機の瞬間に民族は「発明」され、民族主義は「呼び出し」を受ける。

近代国家において国史も国語も義務教育科目であり、学校は代表的な「イデオロギー的国家機構」だ。

そして、民族と民族主義こそ国民を作ったり国を立て起こしたりすることの核心だからだ。

私たちの心の習慣に根ざした民族主義は、民衆の自発的選択という姿で現れる。

これこそ、親日積弊清算が大衆の共感の中で行われている背景にあるものだ。

 しかし、官製民族主義には致命的な毒素がある。

権力は失政を隠し、政権の正統性を高めるために民族主義を悪用する。

維新体制(朴正煕〈パク・チョンヒ〉政権体制)は政府の主導により民族主義史観を最大化させ、当時の朴正煕大統領の独裁を正当化した。

北朝鮮は金一族による世襲政権を擁護しようと、我ら民族の歴史全体を「金日成(キム・イルソン)民族」の主体(チュチェ)史観に変質させた。

官製民族主義の最大の弊害は、現実の不平等と貧困、格差拡大と政権の無能といった真の問題を隠ぺいすることにある。

ロシア・中国・トルコ・ベネズエラで見られる通り、水平的兄弟愛で結ばれた架空の民族概念を政権があおり、深刻な体制矛盾を隠すことが官製民族主義の本質だ。

しかも、文在寅(ムン・ジェイン)政権は我々の生死が懸かっている南北問題まで官製民族主義で粉飾しようとしている。

「我ら同じ民族同士」という民族感情に訴えて北朝鮮の核危機をほぐし、韓半島の平和体制を構築しようという図式は美しく見える。

しかし、民族感情で南北関係を解決しようとしている文在寅大統領の官製民族主義は出発することすら難しい。

「金日成民族」であることを強調する北朝鮮の民族主義と、韓民族を掲げる韓国の民族主義が歩みを同じくするのは原則的に不可能だからだ。

三・一節(独立運動記念日)と上海臨時政府樹立100周年を共にたたえる提案を北朝鮮が受け入れられなかったのには思想的な理由があったのだ。

  文在寅政権の官製民族主義は民主主義を脅かす。

親日積弊清算が民衆の同意を背負った韓国版文化大革命に飛び火すれば、三権分立と法治主義は崩壊する。

政権が閉鎖民族感情をあおる国は例外なく政治後進国だ。

南北の国家理性の緊張を無視した官製民族主義は、韓国の安全保障を総体的危機に追いやる。

経済の失敗と国政の乱れを隠すための文在寅政権による官製民族主義が国を滅ぼす。

「我ら同じ民族同士」の国粋主義的民族主義が、歴史に対する反動でないわけがない。

今こそ植民地コンプレックスと永遠に決別する時だ。