日本と世界

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火山大国 日本の“純国産”再生可能エネルギー

2017-02-28 17:44:55 | 日記

J-POWER(電源開発)

2017年1月20日


エネルギーの次代を拓く「地熱発電」の現場から

火山大国 日本の“純国産”再生可能エネルギー

 安定的かつ長期にわたって供給できる再生可能エネルギー「地熱」。

エネルギー自給率6%の日本において、火山大国ならではの“純国産エネルギー”として期待が高まっている。

白雪が舞い降りた宮城と秋田の山中で、地球と向き合い、対話しながら、その恵みを得ようと奮闘する男たちに出会った。

文◎東嶋和子(科学ジャーナリスト)

次代のベースロード電源として世界の注目を集める「地熱」

 「ここだ! たしかに見つけたぞ。前進だ、友よ。地球の内部に向かって進むのだ」

 1864年、ジュール・ヴェルヌは小説『地底旅行』で、地球内部への空想の旅をした。

16世紀の錬金術師が残した暗号をたよりに、鉱物学者のリンデンブロック教授らがアイスランドの火山の噴火口から地球の中心を目指して下降する。

 それから約150年。

地球観は大きく変わった。

私たちは、地球内部についての新たな知識を手に入れた。

地球の恩恵を計画的に利用できるようにすらなった。

 地熱発電である。

 地球の中心へ、6000kmのトンネルを掘って降りていくとすると(実際は、太陽の表面ほどの高温や、地表の350万倍もの高圧に耐えねばならないので不可能だが)、地殻、マントル、液体鉄(外核)を通過する。

やがて、約6000℃の鉄の固まり(内核)に到達する。

 この熱で溶けたマントルの岩石がマグマとなってのたうちまわり、地表に噴き出したのが、火山である。

火山の下には「マグマ溜まり」があり、約1000℃の高温で岩石や水を熱して、高温の蒸気と熱水を閉じこめた「地熱貯留層」をつくることがある。

 現代の“リンデンブロック教授”は、この貯留層を見つけて発電に利用する。

 地下1kmから数kmのところに広がる地熱貯留層に向かって井戸(生産井)を掘り、高温・高圧の蒸気と熱水を得る。

蒸気は勢いよくタービンを回して発電し、熱水は別の井戸(還元井)から地下の貯留層へ返す。

要するに、火力発電所のボイラーの役目を、地球にやってもらうのだ。

1904年、イタリアで世界初の地熱発電実験が成功して以来、地熱発電は、安定供給できる再生可能エネルギーとして注目されてきた。

とくに近年、二酸化炭素を出さず、天候にも左右されず、供給をコントロールできるベースロード電源として、世界の熱い視線が注がれている。

 もちろん、110もの活火山を擁する日本列島に眠る膨大な資源にも。

設備更新でさらなる安定供給へ J-POWER鬼首地熱発電所

 宮城県大崎市鳴子温泉郷。江戸時代から湯治客に親しまれた「鳴子の湯」に、愛らしい「鳴子こけし」がたたずむ。紅葉の盛りを迎えた鳴子峡には、帷子雪が点描を添えていた。



 鳴子温泉から鳴子ダムを左手に、北へ約20 km。J-POWER(電源開発株式会社)の「鬼首地熱発電所」(出力1万5000kW)を目指す。

一帯は直径9kmのカルデラの中に位置し、近くには国民保養温泉地の鬼首温泉がある。高さ15mもの熱湯を噴き上げる間欠泉は、地下に潜むエネルギーの威力を垣間見せる。

 「片山地獄」と呼ばれる標高530mの小盆地に、発電所はあった。冬空に白い蒸気が間断なく立ち上がる。

 「1975年の運転開始から安定的に発電して41年。日本では4番目に古い地熱発電所です」

 大柄な浅川直宏所長が、胸を張る。

 浅川さんは、火力発電所の設計から現場管理、保守・運用まで火力ひと筋のエンジニア。

鬼首に単身赴任する前は、バイオマス燃料製造やごみ発電にも携わった。

いま、35年の経験のすべてを鬼首に注ぎこんでいる。

 「鬼首は約40年にわたりほぼ毎年、設備稼働率80%以上を維持してきた優等生ですが、設備の経年化が進んでいます。

そこで、2017年度に発電所をいったん廃止し、環境アセスメントの手続きを経て、最新鋭の設備に更新することで、さらなる効率向上を目指すことにしました」

 2023年度から運転開始予定という。

環境・地域との共生で活きる地熱発電のポテンシャル

 日本には、世界3位の2300万kWという地熱資源量があるにもかかわらず、未だその2%しか開発されていない。

8割が国立・国定公園内にあるうえ、探査や環境影響調査、源泉所有者との調整などに10年以上かかるので、腰をすえて取り組まねばならないからだ。

 とはいえ、全国で約52万kWの設備容量を2030年までに150万kWにする、つまり100万kW分、原子力発電所1基程度の開発余地は十分ある。

 実は鬼首は、1962年にJ-POWERが調査を始めた後、68年に一帯が栗駒国定公園に指定されたため、例外的に国定公園内の発電所になった。

その分、環境保全には最も心を砕き、地域との共生に努めてきたという。

 「ここの地熱貯留層は地下1~3km、温泉帯水層は地下数十mにあるので、温泉に影響を与えた例はありません。

源泉の温度や流量、成分などを継続して調べ、年に一度の説明会で安心していただいています。

設備更新についてもこれまで同様、環境に配慮した計画であることを説明し、地域の理解を得ています」

 環境省は2012年、国立・国定公園内での地熱開発について、第二種、第三種特別地域内でも条件を満たせば開発できるとした。

再生可能エネルギーの固定価格買取制度も、地熱を後押しする。

そんななか、鬼首の実績は、あとに続く“リンデンブロック教授”たちの模範となるはずだ。

山葵沢で大規模地熱発電を日本の先端技術で未来を拓く

 長いトンネルの続く道を北西へ。県境を越えると、秋田県湯沢市に着く。

うれしいことに湯沢市は、市を挙げて地熱開発を応援している。

「ゆざわジオパークで見えない火山を感じよう!」というジオサイトマップには、「地熱で未来を切り拓く」とある。

発電以外にも、乳製品や乾燥野菜の製造に地熱を利用しているそうだ。


山葵沢地熱発電所の建設工事は2015年5月にスタート。

3カ所ある生産基地のうち2カ所で掘削作業を終えた。

 この地で、J-POWER、三菱マテリアル、三菱ガス化学が出資する「湯沢地熱株式会社」が、2019年5月の運転開始を目指して着工したのが、「山葵沢地熱発電所」である。

出力は4万2000kW。熱水を減圧してさらに蒸気を取り出し、高圧・低圧双方の蒸気でタービンを回す「ダブルフラッシュ」方式で、従来方式にくらべ15~20%の出力増を見込む。

 1万kW級の大規模地熱発電は、国内では23年ぶり。

実は、1993年にNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)がここで事前調査に着手してからやはり23年が経っており、地元は再びの「地熱」熱に沸いているという。

 新雪の積もった建設現場を、湯沢地熱の佐藤敏之社長が白い息を吐きつつ案内してくださった。

 「物理探査で地熱貯留層に特徴的な割れ目が見つかっても、実際に掘ってみなければ、期待した蒸気量があるかどうかわからないのが地熱開発の難しいところ。今のところは、順調です」

山葵沢では、生産井(9本)と還元井(7本)の基地が山の斜面に沿って約2.5km離れており、還元熱水を運ぶ配管の設置も慎重に進めている。

 「工事中の水環境の監視や土砂などの廃棄物の再利用、工事車両の騒音防止、希少動植物への配慮を第一に取り組んでいます」と、佐藤さん。「ハチクマという渡り鳥が巣を作っている可能性があったので、飛び去ったあとに工事にかかりました」

 さすがは、J-POWERで長年、発電所の計画から運転開始までやりぬいてきた「土木屋」である。

  地球と対話しながら、資源のおすそ分けをいただき、きちんとお返しする。そんな謙虚な探求心こそが、地熱発電を支えている。


佐藤社長の出迎えで建設現場へ。11月初旬、明日から早くも周辺道路が冬季閉鎖に入るというその日にも精力的に工事が行われていた。

参考文献(冒頭引用文出典):『地底』デイビッド・ホワイトハウス著、江口あとか訳、築地書館

東嶋和子(とうじま・わこ)
科学ジャーナリスト。筑波大学、青山学院大学非常勤講師。元読売新聞科学部記者。フリーランスで環境・エネルギー、医療、生命科学、科学技術分野を中心に、科学と社会のかかわりを取材。主著に『人体再生に挑む』(講談社)、『水も過ぎれば毒になる 新・養生訓』『名医が答える「55歳からの健康力」』(いずれも文藝春秋)など。



電気の安定供給を支えるJ-POWERグループ

 J-POWER(電源開発株式会社)は1952年9月、全国的な電力不足を解消するため「電源開発促進法」に基づき設立された。

その目的を達するため、まず大規模水力発電設備の開発に着手。

次いで70年代の石油危機を経てエネルギー源の多様化が求められるなか、海外炭を使用した大規模石炭火力発電所の建設を推進。

現在、J-POWERグループでは地熱発電や風力発電など再生可能エネルギーの開発にも力を入れ、全国90カ所以上の発電所(総出力約1800万kW)や送電・変電設備の運用により、エネルギーの安定供給に努めている。

J-POWERグループの主な発電設備

水力発電所 61カ所 857万kW  火力発電所 12カ所 886万kW

地熱発電所 1カ所 1.5万kW   風力発電所 21カ所 41.6万kW

(2016年12月1日現在 持分出力ベース)

醜態と強情ばかりで終わった大統領の弾劾裁判

2017-02-28 17:30:41 | 日記
[社説]醜態と強情ばかりで終わった大統領の弾劾裁判

ハンギョレ新聞 2/28(火)


憲法裁判所は27日、朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾裁判の弁論を終えた。

憲法裁は国会の審判請求後81日間全20回の審判を開いて証拠を調べて弁論を聞いた。

今後は評議の末に下される憲法裁の決定を国民皆が切実に待つだろう。

 今回の審判は、現職の大統領が国民と歴史の審判に立った、憲政史の一大事である。

憲法と法律を破った大統領を弾劾審判の場に立てたのは主権者である国民だ。

憲政を蹂躪した結果はもちろん、弾劾審判の始終は再び全て歴史の審判に委ねられる。

憲政と法治がいかに脅かされたか、それをいかに正したかは我々の民主主義の貴重な栄養素にしなければならない。

 弾劾の理由は十分に立証されたようだ。

大統領は主権者が委任した権力を秘線(影のライン)であるチェ・スンシル氏らに丸投げし、

さらにチェ氏の私益の追求に協力したことは、これに関わった者たちの証言や提出された証拠を通して事実と確認された。

憲法上国民主権主義と代議民主主義が損ねられたのは明らかだ。

「セウォル号沈没の7時間」に大統領が何もしていなかったことも分かった。

国民の安全を守らねばならない憲法義務の違反だ。

官僚らをむやみに人事異動した任命権の乱用も明らかになった。

財団の出資金やチョン・ユラ氏の支援を理由にして企業から金を集めたことについては職権乱用や強要に加えてわいろ疑惑まで明らかになったしだいだ。

違法ぶりは、大統領職をとうてい維持できないほど重大である。

 それなのに大統領は最終弁論に至るまですべての誤りをことごとく否認した。

過去数カ月の捜査と裁判、審判を通じて自身の犯罪疑惑と憲政蹂躪の罪が当初知らされたよりはるかに深刻で重大さが明白になったのに、

一貫して、ただ「分からない」「くやしい」ばかりだった。

関係者の自白や証言も最初から知らんぷりしている。

誤りを恥じることもできないので、誤りに対する省察と国のための決断などは最初から期待することもできない。

 大統領の弁護団も見苦しい姿だ。

弁論の大部分をとんでもないごり押しと政治的扇動で満たした。

訴追理由の本質を正面から反論するどころかあらゆる手法で審判を遅延させて核心を濁らすことにばかり没頭した。

裁判官まで攻撃したかと思えば、今度は国会の弾劾訴追過程や憲法裁の裁判部の欠員を後から是非を問うて憲法裁の決定に「不服だ」とおどかしている。

実に卑劣な醜態ぶりだ。


中国が“制裁”として「韓流」締め出し ドラマ、映画…韓国のコンテンツ産業がピンチ

2017-02-28 16:59:05 | 日記
中国が“制裁”として「韓流」締め出し ドラマ、映画…韓国のコンテンツ産業がピンチ

産経


アジアを席巻してきた韓国のコンテンツ産業が逆風にさらされている。

防衛戦略をめぐる攻防で最大のコンテンツ輸出先だった中国が“制裁”として韓流の締め出しを本格化させているためだ。

韓国は国内市場が小さく、稼ぐためには海外市場に出なければならない。

映画やドラマなどを相手国ではやらせ、もくろみ通りに上昇した好感度を生かして自国製品の売り上げを増やすのが輸出戦略だ。

地ならし役の韓流スターが巨大市場の中国で姿を消したままだと、ブランド力が低下し輸出全体がピンチになりかねない。

 韓流が打撃を受けているのは、

中国がかねてから反対してきた在韓米軍による最新鋭迎撃システム「高高度ミサイル防衛システム(THAAD)」の韓国配備が要因とみられ、

その報復との見方が多い。末期に入った朴槿恵(パク・クネ)政権の求心力低下の影響も少なくなさそうだ。


 聯合ニュース(電子版)によると、12月に入っても韓国のドラマや映画、韓国芸能人は事実上、中国から締め出された状態であり、中国の映画館でも韓国映画は上映できない。

中国メディアで頻繁に報じられていた韓流スターのニュースも急減。

中国メディアは、自国内で韓国のドラマ、映画、番組など韓流コンテンツを締め出す「禁韓令」を出したと報じているという。

 中国の国家新聞出版広電総局や外務省は禁韓令についてしらを切っているようだが、韓国芸能人の中国番組、広告、映画への出演中断は事実とみられる。

中国企業が政府の顔色をうかがい、韓流スターの公演などの申請を放棄するケースも相次いでいるとしている。

中国メディアは禁韓令の影響で9月以降、韓流スター42人の出演と韓中合作ドラマ53作品の放送が禁じられ、中国ドラマからも韓流スターが姿を消したと伝えているという。

 韓国大手紙の中央日報(電子版)によれば、

禁韓令が下されたと報じられてから、日本でも人気の男性2人組・東方神起や女性歌手・BoA(ボア)らが所属するSMエンターテインメント、YGエンターテインメントなど韓国の大手芸能事務所の株価が一斉に急落した。

 ある芸能事務所関係者は、「所属アイドルグループの中国進出を本格的に始めるところだったが当分留保した。

ひとまずファンへの顔出しから中国版ツイッター『微博(ウェイボー)』上での展開だけに切り替えた」としている。

 中国の韓流スターに対する冷遇は、中国のテレビ番組で活躍し、現地で人気が急上昇中だった韓国人男性歌手の黄致列(ファン・チヨル)の例が代表的という。

関係者は「最近出たテレビ番組では、以前と比べて出演シーンが明らかに減っていた」と指摘する。

不自然な演出はそれだけにはとどまらず、画像をモザイク処理されたこともあるようだ。

中国の広告業界は優良株として熱心に働きかけていたようだが、中国内での存在感は失われつつある。

 韓国がコンテンツ産業育成に舵を切ったのは1998年に金大中(キム・デジュン)大統領(当時)の「文化大統領」宣言から。

前年の97年に深刻な危機に陥り、低迷した韓国経済を立て直すため、
同宣言でコンテンツ産業を基幹産業の一つとして位置付け、国家戦略として発展させていくための法制度や支援体制づくりを進めた。

コンテンツ産業は、ある作品が消費者に受け入れられてヒットすると、大きな追加投資をすることなく、DVDなどさまざまな記録メディアに複製、転用することにより収益が生まれる高い付加価値が利点だ。

作品の放映が終わっても、派生商品が浸透すれば、国家イメージと企業ブランドイメージが改善し、製造業、観光業などの競争力向上にもつながるとされる。

ひいては家電製品、携帯電話、自動車などの海外輸出を増加させるという間接的効果をもたらす。

 韓国政府は、宣言以降、韓流の充実を図るため、500億円にも上る基金を設立し、予算も充てて力を入れた。

その結果、2003年度から5年間で年平均7.3%の成長を達成したという。

同時にアジアを中心に良質なコンテンツを輸出し、各地で韓流ブームを起こした。

 日本の総務省によると、
15年の日韓欧米コンテンツ普及調査では、好きな国のドラマを中国・上海で聞いたところ、韓国が半数超を占めた。

映画も韓国が占める割合が一番多い。

2000年代前半は日本とそう変わらなかった韓国のコンテンツ輸出額は、今では2億ドルを上回り、ようやく1億ドルを超えた日本との差を大きく広げた。

 韓流が韓国製品の認知度を高め、輸出増大につながる成長エンジンだけに、今回の中国による禁韓令は痛手だ。

中国は韓国の輸出全体で約4分の1を占め1位。

禁韓令が引き金となって、中国内で韓国のブランド力が徐々に低下していくことになれば、輸出がおぼつかなくなる可能性もある。

 韓流コンテンツは、ストーリー性も含めて品質の良さで受け入れられた。

このことを踏まえ、韓国内では「メーカーはまず製品の質を上げることに力を入れるべきだ。

韓流依存のブランド戦略を見直す機会だ」との声も聞かれる。

ふらつき始めた韓国の輸出戦略が曲がり角に立たされている。

(経済本部 佐藤克史)

崖っぷちに立たされた韓国経済

2017-02-28 16:47:10 | 日記
崖っぷちに立たされた韓国経済

韓国経済ウォッチ



日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 韓国は1996年に、OECD(経済開発協力機構)に加盟している。

OECD加盟当時の韓国経済の成長率は7.6%で、OECD加盟国の平均成長率である2.9%の2.6倍に達していた。

 韓国は97年にアジア通貨危機に見舞われ、成長率は一時期マイナス5.5%まで落ち込んだが、その後すぐ立ち直り、90年代の平均成長率は7%台をキープした。

2000年代に入ると、韓国経済の成長率は01年に4.5%まで下落し、その後も経済成長率はあまり回復せず、2000年代の平均成長率は4~5%台に下がった。

2010年以降の韓国の経済成長は、この水準も維持できなくなり、かろうじて3%台の成長にとどまることになった。

 韓国は輸出依存度の高い国で、輸出で外需を取り込むことで経済成長をしてきた。ところが、2008年のリーマン・ショック以降、世界経済はなかなか回復できず、韓国経済にとって外部環境は厳しいままだ。

 それに、韓国輸出の4分の1を占めている中国経済が失速しており、韓国経済はもろにその影響をも受けている。

先月の輸出は、前年対比で5.9%の減少で、中国向けの輸出は、10%ほど減少している。

韓国の主要輸出品目の1つであるテレビは、中国企業にとっくにキャッチアップされているし、スマホでも中国企業の追い上げは激しく、中国での市場シェアを侵食されている。

輸出が振るわないなかで、韓国では最近、接待文化を変えるという目的で「金英蘭法」が制定され、内需の低迷も懸念されている。

 そのような状況で、韓国経済が今年の第4四半期にマイナス成長に陥る可能性もあることを、経済研究所は指摘している。

韓国経済は15年第2四半期の1.2%の成長を除き、14年第2四半期からずっと1%以下の成長率を記録している。

 それでは、なぜ韓国経済はここ数年、成長が鈍化するようになったのか――。

 まず、韓国の成長を牽引してきた主要産業が競争力を失い、衰退している。

資源の乏しい韓国は、原料を輸入し、それを加工して輸出することで成長してきた。

しかし、世界の工場と言われる中国が台頭したことで、多くの分野で競争力を失いつつある。


 中国の低価格攻勢にシェアを奪われ、造船、鉄鋼、建設、海運など、あらゆる分野で危機を迎えている。

景気が良かったときに戦略を立て、将来に備えてもっと技術開発にしておくべきであったが、中国の追い上げを受けているなかで、次の成長産業がまだ育たず、苦戦を強いられている。

 2番目に、韓国の大手企業はアジア通貨危機の経験から、以前のようなチャレンジをしなくなった。

大手企業は国内への投資を抑制しているし、アジア通貨危機で、韓国社会は中産階級が没落していて、内需を支えるような基盤もなくなっている。

 3番目に、韓国の生産性は低く、取引コストは高すぎて、競争力がなくなっている。

 中国は人件費が安く、取引コストも韓国に比べると格段に安い。

それに、設備は韓国より新しい。韓国は技術革新をしない限り、シェアを失うのは当然の結果かもしれない。

従来の組み立て方式で競争していては、韓国はもう中国にはかなわない。

新しい技術開発で差別化を図らないと、韓国は人件費の安い中国、東南アジアの国とはまともな競争ができない。


 4番目に、今後、複合産業が有望視されるが、それを実現するには、韓国には規制が多すぎて、なかなか実行できない状況のようだ。

 こうした問題を解決しない限り、韓国経済に未来はないと、専門家は口をそろえている。

韓国経済はこのような構造的な問題以外に、短期的な悪材料も抱えている。

 韓国GDPの約2割を占めているサムスンの、ギャラクシーノート7のリコールは、その1つである。

国内外で発火が報告され、サムスンはバッテリーの交換で応じようとしたが、その後も発火が相次ぎ、結局、リコールを決定することになった。

韓国のマスコミの報道によると、機会損失まで含めると、サムソンの損失は7兆ウォンに膨らむと言われている。

 問題は、まだ発火の原因が明確に突き止められていないことだ。サムスンは今回の失態でも、幸い半導体の業績が良く、グループ自体は大きな痛手を受けることはなさそうだ。

しかし、サムスンと取引している中小企業の場合には、深刻なダメージがあるとのことだ。

 これだけでも、韓国経済に与える影響は大きいが、韓国を代表するもう1つの企業である現代自動車も、ストとリコールで揺れている。

 賃上げ交渉が決裂したことで、現代自動車の労組は9月26日、全面ストに入った。

現代自動車が全面ストに入ったのは、2004年以来12年ぶりである。現代自動車の労組は、今年だけでも19回の時限ストを実施している。

このようなストで発生した損失額は、2兆ウォンに上るとされている。

 それだけでなく、現代自動車ではエンジンの不良が見つかり、訴訟費用が発生しそうだ。

対象の台数は88万5,000台で、最悪の場合にはリコールになりかねない状況のようだ。

現代自動車では、今のところ部品の交換などで対応できると判断しているが、事態がどのように拡大するかは予断できない。

交換・修理で済むにしても、費用は3兆ウォンくらいになるだろうと一部では推計している。

 韓国経済は構造的な問題を含め、直近ではこのような問題が浮上し、対応を迫られている。

 韓国経済が直面している問題は、世界経済の不況より競争力低下のほうがもっと深刻であるという。

韓国経済は今まで、組み立てを中心とした加工貿易がメインであったが、部品素材産業に軸足を移し、それを重点的に育成する必要があると専門家は指摘する。
 
それだけでなく、観光、医療などの高付加価値産業を育成する一方で、既存の成長エンジンを代替できるバイオ、環境、エネルギー、ナノなどの分野で新産業を起こす努力を続ける必要がある。

たとえば、韓国の医療技術の水準は世界的であるが、タイのような医療観光では遅れている。

韓国の国土の7割は山地であるが、アルプスのような山岳列車も韓国にはない。

韓国のドラマが流行したことによって、韓国の化粧品産業が飛躍的に発展しているように、時代の変化に合わせて、韓国経済は変身を遂げる時期にさしかかっているようだ。

(了)

サムスン副会長逮捕なら日米が「韓国切り捨て」で韓国経済麻痺か…全財閥解体も

2017-02-28 16:13:06 | 日記
Business Journal

ジャーナリズム >

韓国、日米が「切り捨て」で経済麻痺

NEW
2017.01.17


ジャーナリズム


サムスン副会長逮捕なら日米が「韓国切り捨て」で韓国経済麻痺か…全財閥解体も

 韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の疑惑に関連して、特別検察がサムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)氏の逮捕状を裁判所に請求した。

事実上、サムスングループの経営トップである李氏の容疑は、
朴大統領の親友である崔順実(チェ・スンシル)被告への430億ウォン(約41億円)の賄賂支払いのほか、横領、偽証というものだ。


 昨年来、韓国を揺るがす崔被告の国政介入事件では、すでに朴大統領の弾劾訴追案が可決されているが、財閥トップの逮捕状が請求されるのは初めてだ。

経済評論家の渡邉哲也氏は、「これで、以前から苦境に立たされているサムスングループの瓦解が、さらに進むのではないだろうか」と語る。

「サムスンを巨大企業に成長させた会長の李健熙(イ・ゴンヒ)氏は、健康問題でリーダーシップをとることができない。

そのため、同グループは相続や事業継承の問題を抱えているわけだが、
今回の容疑はその継承問題にかかわるものであり、グループ内の事業継承計画そのものが頓挫する可能性がある。

 そもそも、サムスングループは韓国のGDP(国内総生産)の17%を占める巨大財閥であり、

『サムスンが滅べば国が滅びる』という構図になっている。

また、韓国経済は10大財閥がGDPの約70%を占める財閥の天下である。

 日本の財閥企業との大きな違いは、

循環出資やグループ企業からの融資を通じて、創業者一族がグループを支配していることで、今も世襲制に近い企業経営が行われている点にある。

しかし、このままサムスンにメスが入れば、同グループの一族支配が終わるとともに、“サムスン帝国”が崩壊を始める可能性もあるだろう」(渡邉氏)

貿易がストップ、韓国経済が麻痺する可能性も


 そもそも、今回の疑惑では主要財閥のほぼすべての名が挙がっており、サムスンはその一端にすぎない。

そのため、渡邉氏は「サムスンはスケープゴートにされたにすぎず、これを端緒に、議論は財閥解体に進む可能性が高い」と見る。

「韓国の生命保険最大手はサムスン生命。同社にも負の影響が連鎖すれば、保険業界は壊滅的になる。

 また、韓国では以前から、貿易決済に使われる特殊銀行(中小企業銀行、韓国産業銀行、韓国輸出入銀行)において、
不振が続く造船や船舶への貸付金額が大きく、それが不良債権に評価替えされれば自己資本不足に陥る可能性もある。

そうなると、貿易に必要な信用状が発行できなくなり、韓国はモノを輸入できない状態になる。

韓国の産業構造は加工貿易なので、モノの輸入がストップすれば輸出産品をつくることができなくなり、在庫限りで生産終了となってしまう。

 現在、日本の銀行が与信や融資枠、債権の引き受けなどを通じて韓国の信用を担保しているが、慰安婦問題などによって、その支えも失うことになれば、韓国経済は麻痺することになりかねない」(同)
日米の「韓国切り捨て」が本格化か


 また、日本企業への影響については、以下のような見解を示す。

「半導体生産機械メーカーや基礎材料メーカーなど、サムスンとの取引や関係性が大きい企業は少なからずダメージを受けるだろうし、別の取引先を見つける必要があるかもしれない。

それは、逆にいえば、リスクマネジメントとして早い段階で『韓国を切り捨てる』という選択肢もあるということだろう。

 そもそも、朴大統領の弾劾訴追案は昨年12月9日に可決されており、それから180日以内に憲法裁判所によって弾劾の可否が判断される。

そして、弾劾が決定しても、次の大統領が決まるまでは2カ月程度かかる。

つまり、少なくとも夏前までは現在の混乱が続くことになり、政治的混迷に一層の拍車がかかるだろう。

同時に、選挙目当てのポピュリズムが、財閥解体やその後の国家の破綻を導く可能性もある。

 そして、新政権が誕生したとしても、それが安定政権になる保証はまったくないし、日米との友好な関係を維持できるという保証もない。

だから、今は日本もアメリカも『あまり韓国に関与したくない』というのが本音なのだ」(同)

 周辺国からも厳しい対応をとられかねない韓国の混乱は、まだまだ続きそうだ。

(文=編集部)