平地治美の漢方ブログ 

漢方(漢方・薬膳・鍼灸...)全般についてのブログです。コメント大歓迎。

「東アジア伝統医療文化の多角的研究」第1回討論集会

2014年04月30日 | 学会 勉強会 お知らせ
先月号の「医道の日本」で武田先生がお知らせしていた研究会のお知らせです。
私も班員として毎回参加予定ですので、参加される方は会場でお会いしましょう!
誰でも参加自由、参加費無料です。



共同研究班A「東アジア伝統医療文化の多角的研究」第1回討論集会
日時:2014年5月10日(土)、14時~18時
        (終了後に懇親会)

場所:京都大学人文科学研究所本館、4階大会議室


総合テーマ「美を探る医術」
14:00-14:40
美容医術に関する東西文献選読(担当:武田時昌)

14:40-16:10
王財源先生(関西医療大学准教授)
「中国伝統医療文化における鍼灸と美容の共生」

16:30-18:00
中江彬先生(大阪府立大学元教授)
「ルネサンスの美人論
――15・16世紀の西洋肖像画に見られる美人観の変遷――」



(以下、武田先生からのお知らせメールより抜粋)

このたび大阪市立大学の大形徹教授を班長として
人文研拠点研究プロジェクトA伝統医療文化研究班
が立ち上がりました

総合テーマは「東アジア伝統医療文化の多角的研究」
研究期間は3年間です
(所内委員として副班長:武田時昌、幹事:高井たかね)
これは所外の研究者が班長となって行う公募型の共同研究班で、
拠点化された人文研の目玉として新設されました
東アジア世界の伝統医学とその周辺に形成された文化複合体が
どのようなものであったのかを、様々な角度から考察して
その構造的把握を試み、21世紀の調和型医療文化の創生に向けて
新たな提言を行おうとするものです。

大形徹教授は、神仙思想、霊魂観や仙薬などを幅広く研究する中国学者で、
本年1月より道教学会の会長に就任され、とてもご多忙なのですが
研究室には関西医療大学准教授の王財源氏をはじめ鍼灸医学の研究を志す院生が
多く在籍していることもあり、かねてより思想史的、文化論的な側面からの
伝統医学の研究に強い関心を持っておられました。

術数学研究会では、鍼術、灸法に加えて長生、蘇生、回春の諸技法
やまじないに関する研究発表や国際シンポジウムがありましたが、
それを一本立ちさせ、伝統医療文化の総合的研究班を組織しては
どうかと提案され、実現する運びになりました

なお、関心のある方であれば、どなたでも歓迎しますので
このメールを転送してお誘いください

今後の研究会については、隔月開催で、奇数月の第一日曜日の開催を予定しています
(できれば、9月に東京で、11月に国際シンポ)

招聘者や考察対象など研究会の運営に関することは詳しいことは
まだ何も決まっておりません
会議終了後の懇親会で、皆様のご意見を伺いながら相談して
いきたいと考えていますので、どうぞよろしく

          京大人文研  武田時昌

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イチゴ舌

2014年04月22日 | 舌診
イチゴのようなツブツブの状態の舌です。
熱や炎症がある時に現れます。
可愛らしい名前ですが、じつは重い病気の前触れのことがあり要注意です。

子供が罹りやすい疾患の一つ「溶連菌感染症(ようれんきんかんせんしょう)」では、
このイチゴ舌がよく見られます。
この溶連菌感染によって起こる「猩紅熱(しょうこうねつ)」は昔は恐ろしい病気とされ、
平成一〇年までは隔離が必要な法定伝染病にも指定されていましたが、現在では診断さえ
つけば抗生物質で簡単に治療できるようになりました。
 
しかし、受診が遅れてこじれるとリウマチ熱や急性腎炎などを起こし、その後心臓の病気
になったり長期の入院が必要になることもあります。
発症して初期の段階では普通の風邪と見分けにくいために溶連菌感染症と気づかず、受診が
遅れることが多いのです。


・発熱(ただし3歳未満ではあまり熱があがらないこともあります)
・のどの痛み
・体や手足の発疹、
・頭痛、腹痛
・ 首すじのリンパ節の腫れ


イチゴ舌とともにこれらの症状がいくつか見られるようなら、早めに受診するとよいでしょう。


さらに次のような症状が加わる場合、川崎病の可能性があり、発見が遅れると重い後遺症が
残ってしまうことがあります。

・ 手足のむくみ
・ 目の充血
・ 5日以上続く高熱

このような判断が出来るようになるために、普段からお子さんの舌を観察する習慣をつけておくと良いでしょう。



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虎耳草(こじそう:ユキノシタ)

2014年04月17日 | 生薬
一昨日、患者さんから大量のユキノシタをいただきました。
食べられることは知っていましたが、なかなか自分でこれだけ大量には採取できないので
ありがたい限りです。
早速、料理していただき、ついでに少しお勉強。

ユキノシタは日本では漢方処方で使われることはほとんどないのですが、
一年中採れる山菜として、また民間薬として、古来から親しまれてきました。
その名前の由来は、『牧野日本植物図鑑』には

「雪ノ下で多分その葉上に白雪を戴き緑葉其下に隠見せる風姿を賞して謂ひしもの乎」

とあり、その名のとおりに、寒い冬に雪の下になっても枯れないから、ユキノシタと呼ばれるように
なったようです。

生薬名は「虎耳草(こじそう)」、肉厚で毛深い葉の形状が虎の耳のようであることからこの名が
つけられ、また、金線草(きんせんそう)という名前もあり、これは紅色の糸のような細い
匍匐(ほふく)枝を出すところからそう呼ばれるようになりました。

出典の「本草綱目」の釈名は石荷葉、命名の由来は

「虎耳は陰湿の所に生える。。。世人はこれもやはり石山の上に栽える。。。。
その形は荷葉を盖せたようだ。それで世間では石荷葉と呼ぶ。。。」

というような意味の記載がされています。


佐藤潤平「薬になる植物」に記載されている薬効は以下です。
●小児のひきつけ.......ユキノシタの新鮮な葉10枚ばかりを水洗いし
          塩を少し加えてもみ、汁を絞って口に含ませる
          気付け、解熱,にもよい
●うるしでかぶれ.......この汁を患部につける
●中耳炎...................前述した塩でもんだ葉からしぼった汁を1~2滴
耳にに垂らし脱脂綿を詰めてせんをし、これを毎日1回行う。
塩を加えないもみ汁を塗ってもよい
●歯痛......................この汁を脱脂綿に浸し、痛い歯にくわえさせる
●腫れ物・かさ・しもやけ........生の葉をあぶり、柔らかくして直接患部に貼る
●百日咳、咳.............1回生葉5~6枚のもみ汁を少しずつのむ。1日3回
●ヘビに咬まれた時、虫に刺された時........もみ汁をつける
●心臓病、腎藏病.........陰干しにした葉10枚くらいを2合の水で煎じて飲む
●かぜ......生葉7~8枚に氷砂糖を加え、ショウガのすったものを混ぜて煎じて飲む
●扁桃腺またはのどの痛み.......生葉、または塩でもんで出た汁を脱脂綿などにつけて患部に塗る



外用した場合の肌への効果として
 美白、消炎、シワ、ニキビ、くすみ防止、DNA修復作用
紫外線対策に有効な生薬なので、これからの季節には化粧水を作って利用するとよさそうです。
(今回は全部食べてしまったので、どこかで採ってきて作ってみようと思います)

肌のターンオーバースピードを正常に戻して、くすみをとる効果に優れているとも言われています。



昨日の昼ごはん、全てにユキノシタを使いました。

生葉をかじってみたところ、肉厚で毛があるためザラザラしており、油と
相性が良さそうだと感じました。
あまり茹で過ぎるとせっかくの食感がなくなってしまいます。

たくさんいただいたユキノシタ

天ぷら

おひたし

卵とじ(テキトウな創作ですが、
                                                                          これが一番美味しかった!)

ユキノシタとハマグリのお吸い物

炊き込み御飯(ユキノシタ、タケノコ、ゴボウ、
                                                                              豚肉)

《ユキノシタの卵とじの作り方》
ユキノシタ20枚くらいをよく洗い、水気をあまり切らずにフライパンに入れ、
オリーブオイル大さじ1くらいを加え盖をして蒸し煮する。
少ししんなりしたところで卵(今回は2個。1個でもよい)を溶いたものに塩(小さじ半分くらい)を加えて
好みの固さになるまで火を通す

味付けは好みで醤油、塩コショウ、など
油をごま油やバターに変えても美味しいと思います。




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舌の色

2014年04月09日 | 舌診
舌の色の変化は概ね顔色と同じく考えてよいと思います。

冷えて血の気が引くと顔色は青白くなり、熱があり血が昇ると顔色が赤く
なるのと同様に、舌も冷えると白くなり、熱を持つと赤くなります。

そして冷えも熱も極まってくると、どちらも紫色に行き着きます。

寒い時に唇が紫色になるのを経験したことがあるかと思いますが、冷えて
紫になった舌は湿っていることが多いです。

熱が極まったり病気が長引いて血がドロドロしてきた場合も紫色になりますが、
この場合は体の水分も不足してきており舌も乾燥していることが多いようです。

 青舌(せいぜつ)は「水牛舌」とたとえられ静脈の色とされていますが、
熱証でも現 れる紫舌と違い、寒証でのみ現れます。
白よりもさらに重い冷えです。


寒  (青)
↓   白 
↓   淡紅 
↓   紅  
↓   絳紅舌 
熱   紫 




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弄舌(ろうぜつ)

2014年04月02日 | 舌診
一般的な「弄舌」という言葉の意味を調べると

「むやみにしゃべり散らすこと。多言。饒舌(じょうぜつ)。」

とあります。

また、歯科領域で使う「弄舌癖」の意味は

「舌を常に歯に押し付けているなど、舌に関連する癖。
指しゃぶり、鼻の病気による口呼吸などが原因で起こると考えられている。
この癖により歯並びが悪くなったり発音に影響が出たりする。」



漢方で言うところの弄舌は歯科領域の方の意味に近く

「舌で唇をベロベロと舐め回したり、やたらと舌を出したりすること」

を言い、子供に多い症状です。


弄舌は中に熱がこもっているため、それを発散させようとして起こります。

胃に熱がこもるような食生活を改善するとともに、体質に合った漢方薬を
処方するとよく効いて体調も良くなることが多いようです。

以前、蓄膿症の漢方相談にいらしたY君(7才)は唇を舐め回すくせがあり、
唇の周りはただれて赤くなっていました。
集中力がなく、授業中もボーッとしてしまうことが多いそうです。
鳥肉の唐揚げ、ハンバーガー、アイスクリームが大好き。

Y君にはお肉や甘いものを控え、ご飯をきちんと食べるように約束し、葛根湯
を処方しました。
2週間後の来院時には唇の境目がはっきりし、舌を出すことも少なくなってきたそうです。
自信がついてきたのか、初回よりも眼が輝いています。
その後3ヶ月頑張って漢方薬を服用し、蓄膿症も弄舌も治りました。

その後は野球部のキャプテンとして元気に活躍しているとのことです。


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