平地治美の漢方ブログ 

漢方(漢方・薬膳・鍼灸...)全般についてのブログです。コメント大歓迎。


「エロティック・キャピタル」

2012年03月19日 | 古典・書籍
エロティック・キャピタル
キャサリン・ハキム
共同通信社

これまで個人資産として明らかにされていたのは以下の3種類でした。

エコノミック・キャピタル(経済的資産)
ヒューマン・キャピタル(学歴、職業経験)
ソーシャル・キャピタル(何を知っているかではなく、誰を知っているか)

これに加え第4の個人資産
エロィック・キャピタル(外見の魅力と対人的な魅力を総合したもの)

これは美しさ、セックスアピール、快活さ、着こなしのセンスなどが総合されたもので、
その大切さは日々痛感されるものなのにこれまでは無視されてきたそうです。

大勢の中でもキラリと光る人。
クラスに1人くらいいた、かわいくて勉強もできて性格も良い子。
「天は二物を与えずって、嘘じゃん!」
と当時は感じていましたがそれには理由があったのですね。

本書によると、エロティック・キャピタルの恩恵をより多く受けるのは男性だそうです。

以前、ハローワークからの依頼で、模擬面接官というのをやったことがありました。
(いちおう、法人の代表だから依頼が来たようです)
なかなか就職が決まらない若い人の面接の練習ということです。

「これは彼らの未来にために、心を鬼にして厳しく指導しなければ。。。」

と、教師魂にスイッチが入ってしまった私は、はりきって出かけました。
ところが目の前に現れた若者は大学院卒で礼儀正しく、どこも直しようがないのです。
ただ、着ているスーツ、髪型などがイマイチなのと、もっと話を聞いてみたいと
思わせる何かが足りないように感じました。いま思えば、この言えなかった内容が
まさにこのエロティック・キャピタルだったのですね。


ちなみに五行で分類すると、魅力は「土性」です。
生年月日のなかに土性が多い人は自然と人や物をひきつけますが、そうでない人は
土性を補う努力をすればよいのです。
まずは飲食に気を付け、脾胃をしっかりさせるなど。

エロティック・キャピタルは持ってうまれたものも大きいですが、努力によっても
かなり磨けるものなので、怠けてはいけないですね。
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古書のなかのタバコ

2012年03月17日 | 古典・書籍
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引き続きタバコについて。
古書には記載があるかな?と、調べてみました。

貝原益軒「養生訓」
 たばこには毒がある
 煙をのんで目がまわってたおれることがある
 習慣になるとたいした害がなく少しは益があるというけれども、損の方が多い
 火災の心配がある
 習慣になるとやめられない
 することが多くなり召使いをわずらわせる
 はじめからのまないにこしたことはない
 貧民は失費が多くなる

香月牛山「老人必用養草」
 石匏(せきほう)氏の説を引用し

 利点は
  「胸のつかえ、痰のふさがりを除き、経絡の結滞を通じ、寒湿によるしびれを治す」
 良くない点として
  「煙が胃の中に入って気道が開くので全身が軽快になったかんじがするが、火気と
   元気が両立するはずはなく、人の元気は邪火の力に負けてしまう....」

 また、「四部律蔵」で修行僧の風病にたばこをもちいた記載があるのでインドでは太古からたばこを用いていたようだ、と記載しています。

 結論として牛山先生は

「老人は邪火の勢いに堪えられないのでやめさせなければならない」

 としています。

平野重誠「病家須知」
 「たばこは無害ではないものの、呑み慣れた者は病気があるからといって禁ずることはない。
 ただし痰や咳が激しい者は多少控えめにすると良い」

 「おぼれ死にした者に、たばこの煙を肛門から吹き入れると助かることがあると聞く...」

 と記載し、自分で考えだした方法を書いています。


貝原益軒とその弟子香月牛山は禁煙派、平野重誠はやや中立派というかんじでしょうか。

ただ、牛山先生が引用した「インドの修行僧が風病治療に使用したたばこ」は薬用タバコなのでは?
という疑問も残ります。

「アーユルヴェーダ 日常と季節の過ごし方」(平河出版社)には「薬用喫煙」について体質別に
30ページにわたり記載されていますが、その冒頭に

「タバコを吸うことは一種の悪癖であり、薬用喫煙と考えてはならない。
 今日のタバコは大変危険である」

とあります。体質別の生薬を喫煙することを薬用喫煙と言うのです。

たばこに興味がわいてきたので、こんど
たばこと塩の博物館
にでも行ってみようかな。




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「酒・タバコって本当に悪いの?」橋内 章

2012年03月16日 | 古典・書籍
酒・タバコって本当に悪いの?―ジャパニーズ・パラドックス
橋内 章
真興交易医書出版部


はじめにおことわりしておきますが、決して喫煙をすすめるわけではありません。

ただ、ここ数年の嫌煙の風潮はちょっと神経質になりすぎているのではないかなあ、と感じております。
悪者を決めつけ、徹底的に皆でやっつける。。。というのは危険な風潮ではないかと。

そして私が「頭の切れが良くてカッコいいなあ」と思う人はけっこうな確立で喫煙者だったりします。

95才で亡くなる直前までお元気だった薬用植物学者の伊沢凡人先生も、
ヘビーを通り越してチェーンスモーカーでしたが、タバコを吸いながら話す
その姿は神がかった感じさえ受けたものです。


筆者はタバコの効用として、以下を挙げています。

・パーキンソン病になる確率が低くなる。 
・アルツハイマー病になる確率が低くなる。
・子宮体がんや一部の乳ガンになる確率が低下する。
・知的能力・思考力が上昇する。
・作業効率が上がる。
・精神の沈静作用がある。
・潰瘍性大腸炎の治療効果


害ばかりが喧伝されている理由も、筆者は書いています。
嫌煙運動の仕掛人のWHOの女性事務局長は、タバコが大嫌いだったそうです。そこで利点を隠し悪い面だけを見せたところ、タバコを吸わない人は即座にこの運動に飛びつき、その結果が現在の禁煙の流行になったということでした。そしてこの状況は、二十世紀初頭にアメリカで施行された禁酒法の成立過程と、実に良く似ているそうです。


慢性閉塞性呼吸障害、虚血性心疾患などの人はすぐに止めるべきとありますが、皆が皆、禁煙すればよいということではなさそうです。

また、筆者は「喫煙者は思考が柔軟で美しいもの、カッコいいものに感動できる鋭い感性を持っている人が多いように感じる」と書いています。
これは私も同じ意見です。

タバコを吸う人はマナーを守り、吸わない人はあまりタバコに対して神経質になりすぎず、良い点もあることも認めて共存していけると良いのですが。

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「良心をもたない人たち―25人に1人という恐怖」

2012年03月03日 | 古典・書籍
良心をもたない人たち―25人に1人という恐怖
クリエーター情報なし
草思社



このところワイドショー、週刊誌はずっとオセロの中島さん一色ですね。

あのように洗脳される時というのは漢方的に考えるとどうなるのでしょうか。



 大きな悩みや挫折による気鬱、気滞
        ↓
 肝、胆の虚による決断力や判断力の低下
        ↓
 もう全ての思考を誰かにゆだねてしまいたいたくなっている(脾虚)
 時にああいう占い師のような人と出会ってしまった


つまり

   「肝、胆、脾などの虚+運の悪い出会い」

ということができるのではないでしょうか。



そしてもう一つ思ったのが

 「あの占い師はサイコパスなのでは?」

ということです。

以前読んだこの本で、25人に1人の割合で「良心」を持たない「サイコパス」
という種類の人がいると知りました。
これまでの人生で2人出会ったことがありますが、絶対に係ってはならない人々
です。

サイコパスの特徴の一部をあげると

・一見、魅力的でカリスマ性がある
・嘘をついて人をあやつる
・追いつめられると逆切れする


必ずしも犯罪者ではなく、むしろ社会的にも高い地位にいる場合も多いのです。

そして占い師でサイコパスだとしたら、思う存分その才能(?)を発揮できてしまう
わけです。

早く気付いて逃げ出せると良いのですが。

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「吉益東洞の研究〜日本漢方創造の思想」寺澤 捷年

2012年01月27日 | 古典・書籍
吉益東洞の研究――日本漢方創造の思想
寺澤 捷年
岩波書店



後世に残る寺澤先生の力作が、岩波書店から出版されました!

日本漢方を語るときに外すことができない「吉益東洞」について、
ここまでまとまった本は過去に有りませんでした。

寺澤先生の詳細な調査・研究により、これまでの通説を覆すような
箇所もあり、とても興味深く一気読みしました。

後藤艮山、荻生徂徠、松原一閑斉etc......東洞に深い影響を与えた人々に
ついても時代考証とともにわかりやすく整理されています。

個人的には、どのようにして万病一毒論が導きだされたのかについて
書かれている第二章の「思想形成の過程」が一番面白かったです。
プラトンやデカルト等の哲学者の学説も引用し、漢方臨床に必要な
「暗黙知」と形式知をわかりやすくまとめてあります。

「あるがまま」の患者の姿を追求する東洞の姿勢は厳しく、偏屈な
イメージが先行していましたが、能を好み芸術家を支援していた意外な
一面についても初めて知りました。

欠点もふまえて東洞について深く考察することは、日本漢方について
深く理解することに繋がり、それはこれからの国際化に欠かせないこと
だと思うのです。
そんな折にこのような良書を執筆してくださった寺澤先生に、深く感謝
せずにいられません。


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「老人必用養草 老いを楽しむ江戸の知恵」

2012年01月19日 | 古典・書籍
老人必用養草 老いを楽しむ江戸の知恵
香月牛山/原著
農山漁村文化協会



香月牛山は貝原益軒の弟子で、私の最も好きな臨床家の一人であります。
その牛山先生のとてもわかりやすい訳・注釈付きの本が出版されました。

「老人」とありますが、どの年齢にも共通する養生の知恵がわかりやすく書
かれており、いきなり素問や霊枢を読むよりこういった江戸の養生書から
始める方が抵抗なく楽しく勉強できるかもしれません。

そして40才という年齢がいたるところに出てきて、思わず食い入るように
読んでしまいました。
どうやら、40才という年齢は幸せな老後へのターニングポイントらしいです。

たとえば。。。

・40才で陰気は半減する

・ゆえにに4〜50代に陰気を補う処方を用いるとその効果は大きい
 しかし60才以降は用いてはならない

・40才からさまざまな芸術を始めるのではなく、若いうちから習い始める
 そうでないと、することがなく余生を楽しむことはできない

・人の元気も使わなければ意味が無い


その他にも、老人特有の心理、住居、飲食、性生活、喫茶、煙草。。。。と
生活の細部にわたり記載されています。

養生訓にも「畏(おそれ)」の大切さ、つまり欲を少なくし身を慎むことの
大切さが一貫して書かれていますが、同じ事がこの書の根底にもあります。


養生訓と合わせて、臨床家に必読の書です。








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新年の古典は「易経」

2012年01月01日 | 古典・書籍
易―中国古典選〈10〉 (朝日選書)
本田 済
朝日新聞社



明けましておめでとうございます。

毎年、お正月は2〜3日で書き写せる長さの古典を写経しております。
今年は原点に返り「易経」を選択。
易は私の先生&相談役で、どう考えても自分の頭では判断がつかない場合
いつも助けてくれます。
厳しい答えが多いですけどね。。。

多数の本が出版されていますが、この本田先生のものがおすすめです。
以前、気功教室でこの本を手に持つだけで筋力テストが強くなった時は
驚きました。
同じく本田先生のこちらの本も大変わかりやすいです。
上下で2万円超えますが、それを大きく上回る価値があると感じます。

易経講座
本田 濟
斯文会




筮竹も持っていますが、普段は台湾で買った八面体のサイコロを愛用して
います。
年末の課外授業では10円玉を使ってやる方法をお伝えしました
(あまり難しく考えず、まず親しんでいただけると良いなと思いましたので)。

まずは皆様も今年の年運を立ててみてはいかがでしょうか。





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「わかりやすい小児鍼の実際」谷岡賢徳

2011年10月15日 | 古典・書籍
わかりやすい小児鍼の実際
クリエーター情報なし
源草社



来週小児鍼の発表をするので再読したのですが、すばらしい本です。

小児鍼の臨床に必要な

・診療
・小児との接し方
・保護者の説得

全てが網羅されており、飾らない表現でとてもわかりやすいです。

具体的な訓練方法も載っています。
以前、谷岡先生の講義を受けた際に

「30日間、休まず毎日20指頭叩きを続けること。
 1日でも休んだらやり直し。
 ただしこの訓練は一度だけで良いです」

谷岡先生のようになれるなら。。。と始めた訓練でしたが、予想以上に
辛く(特に飲み会などで深夜に帰宅したときなど)、あちこちが痛くなり
指が赤く腫れました。でも訓練後は確実に感覚が鋭くなりますので、小児鍼
だけでなく臨床の上達を目指す人はお試しください。


先生はまた「子供と心の交流」をすることの重要性を強調しておられます。
子供と遊ぶ、テレビ番組の勉強も必要等、とても具体的に書いてあります。
私もアンパンマン、トミカ、ゴーカイジャーなど5才の甥に教わりながら勉強中です。


小児鍼は日本独特の伝統的な鍼術ですから、多くの臨床家がこの本を読んで
小児鍼が普及していくことを願っております。



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機心

2011年09月24日 | 古典・書籍

中国の古典『荘子』「外篇・天地大十二」の中に次のような話があります。

子貢という人物が旅の途中、一人の老人の畑を作っている所に出くわしました。老人は地下道を掘って井戸に入り、壅を抱え上げては井戸水を汲み出して畑に注いでいました。(そのような具合では当然)手間がかかるだけです。非常に効率の悪い仕事だと言えましょう。

それを見た子貢は言ました、

「ご老人、機械を使えばもっと簡単に、そして効果的に水をかけることができますよ。やってみませんか」と。

老人は子貢を見て言いました、

「どうするのかね」と。

子貢は言ました、

「木に穴を開けて機械を作り、後部は重く前部は軽くする。そうするとものを引くように水が汲めますし、湯があふれるように早くできます。その機械を《はねつるべ》と言うのです」と。

老人は一旦は顔色を変えたものの、すぐに笑って言ました。

「私は(かつて)師からこのように聞いた。〈機械を持てば機械を用いて行う仕事(=機事)が出て来るし、機械を用いる仕事が出て来ると、機械にとらわれる心(=機心)が必ず起きる。機械にとらわれる心が胸中にわだかまると、(心の)純白の度合いが薄くなり、(心の)純白の度合いが薄くなると、精神が定まらない。精神の定まらないところには《道》が宿らない〉と。わしは(機械というものを)知らない訳ではなく、ただ恥ずかしくて使えないだけなのだ」と。

(順心寺コラムより抜粋)



先日パソコンのメールが受信出来なくなり、さらに携帯を忘れた時、私の心は予想以上に動揺しました。
そして乗った電車は人身事故で大幅に遅れ待ち合わせに遅れるというはめになってしまったのです。

その時にこの「機心」という言葉を思い出しました。

今でこそブログなぞ書いておりますが、私自身も友人達の中でパソコンもケータイも一番持つのが遅かったですし、今でもあまり得意ではありません。
しかし、持たないことで迷惑をかけることがあり、仕方なく使うようになったのです。
そんな私でさえ、いざ急に使えなくなると動揺するのです。

この機心が起きると、精神が定まらないというのはとても的を得ているなと思います。
そして機械の使い方や手入れに神経を使うことは漢方的に考えても肝や腎に負担をかけ、便利になったことが原因の運動不足にもつながり痰飲や瘀血を生じるかもしれません。以前も書いたように、うつ症状を訴える患者さんはIT関連のお仕事をしている方が多いように感じます。
また、携帯を忘れてパニックに陥る依存症の若い人も増えていると聞きました。

すべてを手放すわけにはいかないけれど、便利なものを増やし過ぎないようにしたいものです。

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「困ってるひと」

2011年09月11日 | 古典・書籍
困ってるひと
クリエーター情報なし
ポプラ社




「難病女子」の著者の体験が綴られたものですが、病気がらみの本で
笑えたのは初めてです。

上智大学おフランス語学科大学院生の大野さんは、ビルマ難民支援活動中に
得体の知れない病気にかかり、自らが「難病女子」となってしまいます。

動くこともままならない痛みをかかえ、診断名がつかないまま病院を転々とし、
ついた病名は「筋膜炎脂肪織炎症候群」。
日本ではまだ数例の自己免疫疾患だそうです。

想像を絶する痛み、麻酔無しの検査、膿で破裂したおしり.....

普通に考えると笑える要素は一つもありませんが、
一時は死を考えたほどの痛さや辛さもユーモアたっぷりに表現してあって
何度か吹き出してしまいました。

さらには入院中に難病患者のパートナーまで見つけていらっしゃる。
(「中学生かよ!」と御自身でツッこんでいた桜の下でのデート。
あの場面は素敵でした。)

形は違ったけれど、大野さんは日本の多くの「難民」に希望を与えました。



そしてこういう疾患にも漢方が使われるようになって、日々の「困った」が
少しでも和らいだら良いのにな、と感じました。




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