天皇明仁、サイパン「おきなわの塔」「太平洋韓国人追念平和塔」に拝礼

2005-06-28 20:23:33 | 世界
天皇・皇后、悲劇の地で供花と黙礼、サイパン慰霊2005年06月28日11時16分朝日新聞/太平洋戦争の戦没者を慰霊するためにサイパン島を訪問中の天皇、皇后両陛下は28日午前、日本、米国、北マリアナ自治政府の慰霊碑などを訪れた。また、事前には公表されていなかった沖縄出身者、韓国系住民の慰霊碑にもそれぞれ立ち寄り、拝礼した。

 両陛下は最初に、島北部にある日本政府が建てた「中部太平洋戦没者の碑」へ向かった。サイパン、グアム、トラック諸島やこの周辺の海域で戦没したすべての人たちのために建立された。

 碑は、激しい戦闘で多数の日本人が追いつめられ、身を投げた高さ100メートル以上の絶壁「スーサイドクリフ」の下に立つ。両陛下は碑の前に進み、供花台に白菊の花束をささげ、深く礼をした。その姿を、元日本兵や民間人のサイパン戦体験者、遺族の代表者らが見守った。

 両陛下はその後、切り立ったがけの上に立ち、61年前、おびただしい遺体で埋まった台地を見つめた。同じように多くの日本人が自ら命を落とした島最北端の「バンザイクリフ」にも足を運んだ。

 両陛下はその後、車でホテルに向かう途中、隣り合って立つ「おきなわの塔」と「太平洋韓国人追念平和塔」にも立ち寄って、拝礼した。いずれも公表した予定にはなく、宮内庁は、「この一帯にたくさんある様々な碑に敬意を表すべきだと考えていた。この二つの碑も慰霊できればよいと思っていたが、早く公表することで状況が複雑になるのではと心配していた」と説明した。前日に最終決定したという。両陛下はバンザイクリフなどの周辺の慰霊碑にも足を止めて拝礼した。

 続いて、島中心部にあるアメリカ慰霊公園へ。雨にぬれながら、現地島民の犠牲者のための「マリアナ記念碑」と、戦闘で命を落とした米軍人のための「第2次世界大戦慰霊碑」で、二つの慰霊碑に、花輪をささげた。

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 【サイパン大久保和夫】米自治領のサイパン島滞在中の天皇、皇后両陛下は28日午前(日本時間同)、太平洋戦争での日米最後の激戦地となった北部地域などにある慰霊碑などを訪れ、花を供え、平和への祈りをささげた。当初予定になかった沖縄出身者と朝鮮半島(韓国)出身者の慰霊碑にも立ち寄った。両陛下は、慰霊目的での初の海外訪問先から同日夜、帰国する。

 両陛下は同日朝、宿泊先のホテル近くの砂浜で、1944年6月に上陸した米軍に7月に占領される直前に、投降を拒んだ兵士らが突撃した状況などについて、生き残った元日本兵から説明を受けた。その後、日本政府などが建てた「中部太平洋戦没者の碑」を訪れ、中部太平洋海域で戦没した人たちを国籍を問わず慰霊対象にした碑に日本から持って行った菊などを供えた。

 多くの日本兵や在留邦人が身を投じた断がい「スーサイド・クリフ」と「バンザイ・クリフ」では、黙礼した後、同行した厚生労働省の担当者から説明を受けた。慰霊には、戦友会や遺族会などの代表10人が同行し、ともに平和を祈った。

 ◇韓国出身者を慰霊

 バンザイ・クリフから休憩のためホテルへ向かう途中、両陛下は車を降り、当時の在留邦人のうち6割近くを占めた沖縄出身者のための「おきなわの塔」と、韓国出身者の「韓国平和記念塔」で黙礼した。

 また、ガラパンのアメリカ慰霊公園内にあるチャモロ人ら死亡した現地住民933人の名を刻んだマリアナ記念碑と、隣接するテニアン島も含め死亡した米軍人5204人を追悼する「第二次世界大戦慰霊碑」に花輪をささげた。

 <サイパンでの戦闘>

 米軍が1944年6月15日に上陸。日本軍は徐々に島北部に後退し、7月7日に主力が「バンザイ突撃」でほぼ全滅し、組織的抵抗を終えた。在留邦人らも集団自決したり、断がいから投身自殺したりする人が相次いだ。日本軍の軍人・軍属約4万3000人、在留邦人約1万2000人が死亡したほか、米軍側も約3500人、現地住民も約900人が亡くなった。米軍は占領後、同島をB29による日本本土戦略爆撃の拠点にした。

毎日新聞 2005年6月28日 11時16分

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【天皇陛下のあいさつ】

 天皇陛下の出発行事でのあいさつは次の通り。

   ◇

 終戦60年に当たり、サイパン島を訪問いたします。

 サイパン島は第一次世界大戦後、国際連盟の下で、日本の委任統治領になり、沖縄県民をはじめとする多くの人々が島に渡り、島民と共にさとうきび栽培や製糖業に携わるなど、豊かな暮らしを目指して発展してきました。

 しかし、先の大戦により、この平和な島の姿は大きく変わりました。昭和19年6月15日には米軍が上陸し、孤立していた日本軍との間に、20日以上にわたり戦闘が続きました。61年前の今日も、島では壮絶な戦いが続けられていました。

 食料や水もなく、負傷に対する手当てもない所で戦った人々のことを思うとき、心が痛みます。亡くなった日本人は5万5000人に及び、その中には子供を含む1万2000人の一般の人々がありました。同時にこの戦いにおいて、米軍も3500人近くの戦死者を出したこと、また、いたいけな幼児を含む900人を超える島民が戦闘の犠牲となったことも決して忘れてはならないと思います。

 私どもは10年前、終戦50年に当たり、先の大戦で特に大きな災禍を受けた東京、広島、長崎、沖縄の慰霊の施設を巡拝し、戦没者をしのび、尽きることのない悲しみと共に過ごしてきた遺族に思いを致しました。また、その前年には小笠原を訪れ、硫黄島において厳しい戦闘の果てに玉砕した人々をしのびました。

 この度、海外の地において、改めて、先の大戦によって命を失ったすべての人々を追悼し、遺族の歩んできた苦難の道をしのび、世界の平和を祈りたいと思います。

 私ども皆が、今日の我が国が、このような多くの人々の犠牲の上に築かれていることを、これからも常に心して歩んでいきたいものと思います。

 終わりに、この訪問に当たり、尽力された内閣総理大臣はじめ我が国の関係者、また、この度の私どもの訪問を受け入れるべく力を尽くされた米国並びに北マリアナ諸島の関係者に深く感謝いたします。

毎日新聞 2005年6月27日 11時11分
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東京新聞
天皇、皇后両陛下が二十七日に慰霊訪問される太平洋戦争の激戦地・サイパン島では、両陛下を迎え入れる準備が進む。「島にとって名誉な訪問」(地元政府知事広報)と穏やかな歓迎ムードだが、一方で複雑な思いを抱えている人々もいる。 (サイパン島で、増田恵美子)

 「サイパン韓国人会」は今月、事務所の前に「日本の天皇は戦争中に犠牲になった韓国人に謝罪しなければならない」と書いた横断幕を張り出した。日本政府に対しては「サイパンの韓国人慰霊碑も訪問してほしい」と申し入れた。

 だが横断幕のことが地元紙に紹介されると、波紋が広がった。同紙には「韓国人会は反対運動を控えるべきだ」との投稿が寄せられ、同会は二十四日になって横断幕を外すことに。キム・スンベ会長(44)は「尊敬する司教から外すように言われたので従った。地元の意向は尊重しなければならない」と語り、周囲の反発の強さを示唆した。

 韓国人慰霊碑は、日本政府建立の「中部太平洋戦没者の碑」から歩いて四分ほどの所にある。

 「私たちは天皇の訪問を歓迎している。それは誤解しないでほしい」とキム会長。「ただ、日本の戦争のためにサイパンで死んだ多くの韓国人犠牲者のことも、一分、一秒でもいいから慰霊してほしいだけだ」

 「それは韓国本国の人々の、日本観を好転させる一歩にもなると信じている」と話した。


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イリノイ在住の渡辺です。  

  今回の天皇の”サイパン慰霊の旅”が、日本国内にどのような議論を巻き起こす
のか固唾をもって見守っていましたが、現在までのところ、あまりの静けさに驚いて
います。このメーリングリストも、半数以上が投稿原稿の著作権をめぐる論争で、危
機感を禁じ得ません。

  6月28日のシカゴ・トリビューンは、昭和天皇の無事を祈って数百人が飛び降り
た万歳岬に立った天皇夫妻が、食料も医薬品もない中で最後まで戦った人々の苦労を
思うと心が痛むと語ったと伝え、更に、当初の訪問予定にはなかったサイパンに散っ
た朝鮮人の慰霊行事にも急遽立ち寄ったと報じています。そしてこの訪問が、教科書
や首相の靖国参拝で中国・韓国の怒りが頂点に達している中で行われたともコメント
し、少しばかり批判的な論調を展開しています。

  私は、天皇のサイパン行きを知ったとき、1946年に始まった昭和天皇の地方巡幸
を思い出しました。復興に汗を流す国民と同じ目線に立つことによって、家父長的人
間天皇を印象付ける政治パフォーマンスだったとするのが批判する側の一般的評価
だったようですが、今日の視点から改めてその意味を問い直して見ると、<軍部の暴
走を抑えきれなかった>天皇もまた、戦争の被害者であったのだというフィクション
作りの旅であったのではないでしょうか?この効果は絶大で、天皇の戦争責任論議
は、アカか売国奴のレッテルを貼られずには行われない雰囲気になったのです。

 平成の天皇の海外慰霊の旅は、自衛隊の海外派兵とセットになって世界平和貢献の
幻想をふりまき、日本人の最後の抵抗を除き去ろうとする試みではないでしょうか?
これはもはや、象徴天皇などという牧歌的ステージではない。衣替えした天皇制顕在
化の重要なステップと捉えるべきだと思うのです。

 アジア諸国民の惨禍は言うまでもなく、サイパンに限らず、インパールも沖縄も、
東京も広島も長崎も、満蒙開拓団も、天皇制が日本人にもたらした悲劇です。その天
皇が、<海外の地において、改めて先の大戦によって命を失ったすべての人々を追悼
し、遺族の歩んできた苦難の道をしのび、、、>などと、玉砕や自決を強いられたの
ではなくて、津波などの天災の犠牲者にむけるようなコトバを述べているのです。

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1 コメント

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サイパン住民「韓国人が天皇陛下に抗議するなら韓国企業ボイコット」 (Unknown)
2005-06-28 22:18:48
サイパン住民「韓国人が天皇陛下に抗議するなら韓国企業ボイコット」





サイパン住民「韓国人が天皇陛下に抗議するなら韓国企業ボイコット」



日本の天皇陛下夫妻による来週の歴史的な訪問について、北マリアナ諸島のサイパン主島で論争が起ころうとしている。

天皇陛下夫妻が訪問の間、予定の抗議を進めるならば、一部のサイパン居住者は韓国の企業をボイコットすると脅している。 サイパン韓国人協会は、第二次世界大戦の間に日本の極悪さに対する謝罪を天皇に要求するため、抗議をほのめかしている。

サイパン居住者ジョン・ブランコ氏は、韓国人の予定の抗議が次の火曜日に催されるならば、チャモロとカロライナの先住民に島で韓国の企業をボイコットするように呼びかけている。

ブランコ氏はメディアへの声明で、今は日本の明仁天皇陛下や美智子皇后陛下に謝罪を要求する時ではない、といった。

両陛下は6月27日と28日にサイパンを訪問し、第2次世界大戦終結の60回目の記念日を祝う。



ABCラジオオーストラリア

Call to boycott Korean businesses in Saipan over planned protest

http://www.abc.net.au/ra/news/stories/s1400138.htm
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