【南米先住民族運動】ボリビア:反人種差別法公布、チリ:先住民族への「反テロ法」適用撤廃・・・

2010-10-13 09:05:24 | 世界
【南米で前進する先住民族運動】
ボリビア:反人種差別法、公布される、チリではハンストで先住民族への「反テロ法」適用撤廃かちとる、米州人権裁判所:パラグアイ先住民への土地の返還を命令

名古屋で始まったCOP10に向けて「先住民族サミットinあいち2010」が10月15日(金)から開始されようとしていますが、南米での先住民族運動の前進を伝えるニュースが南米各地から入ってきています。

内富一
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「先住民族サミットinあいち2010」
http://www.for.aichi-pu.ac.jp/tabunka/sekainosato/minzoku/


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ブログ「ラテンアメリカの政治経済」より
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10673590071.html
ボリビア:反人種差別法、公布される(10月9日)

10月8日、ボリビアのエボ・モラーレス大統領は、「人種差別とあらゆる形態の差別に反対する法律」(LCRTFD)を公布した。ボリビアにおいては、アイマラ、ケチュアほか先住民が多数派であるが、500年にわたって人種差別を受けてきた。たとえば、5つ星のホテルに宿泊することはできない、銀行に差別を受けることなく立ち入ることはできないなど。

モラーレス大統領自身、アイマラ出身の、初めての先住民出身の大統領であった。マリアネラ・パコ議員は人権委員会に所属するが、この法律は、国際条約に対応するものでもあるという。3月10日以来、22か所においてフォーラムが組織され、

300以上の組織から意見が聞かれ、議会における審議、承認ののち、モラーレス大統領による公布となった。

フォーラムのなかでは、2008年5月24日のスクレにおける差別事件の被害者たちからの、意見聴取もおこなわれた。このときボリビアでは東部諸州の右派による分裂のこころみがおこなわれていたが、スクレの農民たち、ケチュアの先住民は、右派によって脅迫され、社会主義運動(MAS)のシンボルが焼かれ、上半身を裸にされ、跪いて許しを請うことを強要された。これは国連においても人種差別事件として認められたが、現在まで責任者は裁かれてはいない。

この法律にたいして、ボリビアのマスメディアは、その所有者も新聞記者も、こぞって反対している。その理由は第16条と第23条が表現の自由に違反するというものである。ボリビアにおいても、他の多くのラテンアメリカ諸国のマスメディアと
同様に、新聞、雑誌、ラジオ、テレビは右派の影響力、つまりモラーレス大統領に反対する姿勢をとっている。

第16条は、人種差別をおこなった報道機関は罰金、あるいは放送免許を停止することを定めている。第23条は人種差別をおこなった記者は、その特権を認められることはなく、一般人と同様に法のもとの裁きを受ける。最高刑は禁固7年である。

これにたいしては、経営者である全国新聞協会(ANP)、労働組合のボリビア新聞労働者組合会議(CSTPB)など、マスメディアに関係する諸団体が反対、労使一体でストライキ、ハンガーストライキ、デモ行進をおこなってきた。ただ法律の公布を受けて、ハンストはとりやめとなった。こんごは米州機構(OEA)、国連(ONU)にたいして、モラーレス大統領の独裁化、表現の自由の抑圧を告発していくという。

モラーレス大統領は抗議にたいして、「表現の自由とは、人種差別と同義語ではない。かれらは表現の自由がなければ民主主義ではないという。しかし人種差別こそはもっとも反民主主義的なものである」、と述べた。

エルアルトでの演説のなかで、「あるメディアは、われわれを何と言ったか?劣悪な人種、いまいましいコージャ(アンデス高地人、欲深いなどの意も加わる)、これはすべての記者ではない。それは一部のメディアだ。そして法律を制定した。もしも毎日のように攻撃を続けるならば、発行を続けることはできないだろう。こうしてわれわれにたいし、敬意をもってたいするように教育するのだ、仲間のみなさん」。(0835)

* この記事は、La Jornada, Pagina 12, BBC Mundo, Prensa Latina, を参考にしました。


2010年10月11日(月)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-10-11/2010101106_02_1.html
「反人種差別法」に賛否
メディア「表現の自由の侵害」
ボリビア

 【メキシコ市=菅原啓】南米ボリビアで、先住民やアフリカ系住民などへの差別行為を禁止する反人種差別法案が8日、与党の賛成多数で可決され、モラレス大統領は即日公布しました。ところが同法をめぐっては、違反したメディアへの罰則などが盛り込まれていることに、「表現の自由の侵害だ」と懸念する声が上がっています。

 ボリビアでは先住民が人口(約1千万人)の半数以上を占め、さまざまな差別を受け、長い間貧困状態に置かれてきました。今回の法律は、社会に残る人種差別を一掃することを目指しています。

 モラレス大統領は、自らも先住民として差別を受けた経験をふまえ、「われわれが耐え忍んできた、こうした憎悪や攻撃を終わりにするためのものだ」と新法の意義を強調しています。

 新法は、人種差別的な見解を表明したメディアに対して、罰金や免許停止など厳しい措置を科すことを盛り込んでいます。このためボリビアの主要メディアは、人種差別の一掃という趣旨には賛成しながらも、表現や報道の自由を制限する第16条と第23条の撤回を求めてきました。

 ボリビアの主要新聞は9日、いっせいに新法反対の社説を掲げ、民間テレビのキャスターは喪服姿で画面に登場するなど抗議の意思を表明しました。

 モラレス政権は、こうした批判に対し、表現の自由と、法律を無視した「放縦とを混同してはならない」と指摘。アルセ下院議長は、報道機関の98%は人種差別的なコメントをしていないとし、大部分の報道機関にとって新法を懸念する理由はないと説明しています。

 新法に反対するメディア各社や記者団体は、問題の2条項の是非を問う国民投票を要求する署名運動を開始。問題を国連や米州機構(OAS)の関連機関に提訴する考えを明らかにしています


ブログ「ラテンアメリカから見ると」
http://la-news.cocolog-nifty.com/lanews/2010/10/5476101001-c3f3.html
反テロ法を改正、先住民に譲歩:チリ政府(101001)

 チリ議会は錯綜した審議を経て、ピノチェト独裁時代の遺産である反テロ法の適用に制限を加える法改正を可決した。
 下院の投票では、賛成81,反対9,棄権10だった。

 これは、81日間にわたりハンストを続けてきた34人の囚人の要求に対する実質的な譲歩を意味する。
 ピニェラ大統領は、ハンストを行っている囚人の家族の代表者を受け入れた。

(101001La Jornada: Modifican la ley antiterrorista de Chile; acoge parte de las demandas mapuches)


ブログ「ラテンアメリカの政治経済」より
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10674321415.html
チリ:すべてのマプチェのハンストが終結へ(10月10日)
(参考:速報「マプチェ、ハンガーストライキ、82日後に終結する」)
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10665561265.html

チリの先住民であり、おもに南部に居住するマプチェ族は、先祖伝来の土地の返還を要求し闘ってきたが、森林企業などにたいする放火などにたいし、アウグスト・ピノチェッ軍政以来の「反テロリスト法」が適用され、禁固100年などの重刑が科されてきた。マプチェへの「反テロリスト法」の適用の撤廃を要求して、獄中の34人が7月12日以来、ハンガーストライキを継続してきた。

10月1日、コンセプシオン刑務所などに収監される23人は、政府との合意に達しハンガーストライキを終結した。アンゴル刑務所などに収監されている11人は、合意の内容は不充分であるとしてハンストを継続してきた。7月12日以後、9月からなどのハンスト者も含めると、14人となる。

10月9日、セバスティアン・ピニェラ大統領は、南部のマプチェが居住するプレンを訪れ、議会による手続きを早めることを約束した。クリスティアン・ラウロウレ大統領府大臣が、ビクトリア病院を訪れ、入院する6人のハンスト者と面会した。ここで合意書の草案がつくられ、これをアンゴル刑務所の4人のハンスト者に見せ、承認をとる。

11時間後、「アンゴル宣言」が発表され、ハンストの終結が宣言された。共同体のスポークスマンである、ホリヘ・ウエンチュジャンは、なにがしかの合意があったこと。当初から不充分であることははっきりしていた。しかし、何人かの健康状態から、人道的な見地から終結を決定したのべた。じつに90日後のことであった。

合意書(2010.10.1.におけるものの骨子)

1.政府は「反テロリスト法」の修正、市民を軍事裁判所で裁く規定の改正を進める。この改正は政府の民主主義、法秩序、憲法、国際人権規約、ILO169条条約に対応するものである。

2.政府がこの修正を進めるなかで、ミチェレ・バチェレ政権のもとでの「テロリスト」の告訴に固執するものではない。政府は新しい規定のもとで、マプチェ共同体員の行為に科されている「テロリスト」の規定を支持しない。政府はすべての「テロリスト」の告訴を取り下げ、一般刑事事件として取り扱われる。この手続きは相当する裁判所にたいして、平日の5日以内におこなわれる。すべての措置は、行政府の立場から、国家と共同の利益のために決定された。

3.政府は引き続き、議会が軍事裁判法の改正を進めることを推進する。これは市民が一般法廷と二重に裁かれることを避けるためであり、共和国憲法の原則に一致させるためである。

4.これ以外のテーマで、マプチェ共同体員と今回の合意のために計画されたものは、リカルド・エッツァッティ大司教との会合を再び持つなかで、マプチェの問題の解決の前進をはかりたい。

5.数時間前にこの合意書を、ハンストをおこなう共同体員に見せ、ハンストを即時終結する決定がおこなわれた。政府は厚生省をつうじて、医療措置をおこない、すみやかなハンスト者の健康の回復をはかる。共同体員とセバスティアン・ピニェラ大統領によってしめされた約束を相互に認識し、カトリック教会の協力とともに、紛争の解決をはかりたい。双方はこれがマプチェ人民にたいする、あらたな関係を作り出す始まりであることを信じる。(0836)

* この記事は,Rebelion, La Jornada, を参考にしました。


ブログ「ラテンアメリカの政治経済」より
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10670438622.html
米州人権裁判所、パラグアイ先住民への土地の返還を命令(10月5日)

コスタリカのサンホセに本部を置く、米州機構(OEA)の機関である、米州人権問題裁判所(CorteIDH)は、10月4日、インターネットのホームページに、パラグアイ先住民の要求にたいする判決を掲載した。これによると、パラグアイのチャコ地方に居住する、サクモク・カセク共同体の先住民は、先祖伝来の土地の返還を要求していたが、裁判所はこれを認め、パラグアイ国家にたいして、土地の返還、賠償金などを命ずる判決を下した。OEAに加盟する国にたいして、CorteIDHの決定は拘束力を持つ。

サクモク・カセクの共同体構成員は、1990年から、土地にたいする要求をおこなってきた。20年の国内における甲斐のない手続きののち、共同体は国際的な人権問題の組織に訴えることになった。

裁判所はパラグアイ国家が、サクモク・カセク共同体先住民の、所有権、生命、基本的人権、子供の権利を蹂躙していると認定、2013年年末までに、10,700ヘクタールを返還するように命令した。この土地は歴史的にサナパナ族に帰属するもので、サクモク・カセクはその一部をなす。現在は7,000ヘクタールが牧畜業者、ロベルト・エアトンの所有であり、3,000ヘクタールが、メノー派教徒の協同組合の所有となっている。

パラグアイ政府は、裁判所の決定に一応従う姿勢を示している。強制収用するのか、あるいは土地を購入するのか、強制収用の可能性は低いものと思われる。もしも土地の返還が遅れるならば、毎月1万ドルが先住民にたいして支払われることになる。CorteIDHは、パラグアイ国家にたいして、要求されている土地にたいして、即時森林開発を中止させること、共同体の重要な場所の破壊を禁じる命令を出した。また法的手続きにおいて、先住民にたいして人権を侵害していた事実を認めるように命じた。

またパラグアイ国家にたいして、先住民にたいして、飲料水の供給、トイレ設備、子供・老人を中心に医療措置をとる必要性を指摘した。予防ワクチンの接種、妊娠女性と乳児へのケアなどである。厚生省は6カ月以内に、サクモク・カセク共同体員が居住する、「2月25日村」への通信設備、診療設備を設置しなければならない。

国家は先住民にたいして、充分な食料、医療設備、学校設備の改善などを1年以内に実行しなければならない。判決はパラグアイが、70万ドルを、先住民が発展するために予算化しなければならないと指摘している。6カ月以内に、計画実行のための委員会が設立される。政府側1名、共同体1名、合意のうえで選出されるのが1名となっている。

CorteIDHは、サクモク・カセク共同体が蒙った被害への補償として、27万ドルの支出を要求した。また2万5000ドルが、政府が損害への補償として、共同体に支払われることになる。主要な要求である土地の返還に関しては、2008年1月の、私有者のもとの野生地区の保護に関する法律を撤廃する必要がある。

CorteIDHが、パラグアイ先住民の権利に関する判決を出すのは、これが3度目となる。2005年、2006年と、ヤクイェ・アサ、サウオヤマサ共同体にたいする判決がだされた。しかし政府はこれを無視してきた。今回のサクモク・カセク共同体も含めて、3つの共同体が統一した組織形成をはかっている。(0832)

* この記事は、BBC Mundo, EFE、を参考にしました。


ブログ「ラテンアメリカの政治経済」より
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10671299088.html
9.30エクアドル・クーデターから1週間(10月7日)

(参考:0827「エクアドル・クーデター、失敗する」)
http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-10664835586.html

9月30日、エクアドルにおいては、キトおよび諸都市において、数千人の国家警察と軍の一部が反乱を起こした。軍の施設と兵営の占拠、国際空港の閉鎖、幹線道路と首都への出入りの封鎖、報道を歪めるための寄せ集めの組織の設置とTVエクアドルなど政府系の報道への攻撃、国民議会への攻撃とこれの占拠などである。

非常事態宣言は、10月5日深夜に5日間の期限が切れたが、さらに延長され、10月8日までとなっている。大統領宮殿、国民議会などは本来は警察が警護するものであるが、引き続き軍が警護をおこなっている。9月30日の警察の反乱、市民の抗議行動、軍のエリート部隊によるラファエル・コレア大統領救出作戦のなかで、10人が死亡し、274人が負傷した。

エクアドル政府は9月30日のクーデター未遂事件に関連するものとして、46人を逮捕した。さらに264人の逮捕状をとっている。コレア大統領は警察の粛正を進めると言明している。その一方では、10月5日、警察、兵士にたいして400ドルから540ドルの賃金引き上げをおこなった。これは9月30日以前から予定されていたもので、賃金引き上げではなく、役職に相当するものに是正したものであるという。

逮捕されたクーデター指導者のなかには、フィデル・アラウホ元少佐が含まれている。かれは祖国社会党(PSP)のルシオ・グティエレス元大統領(元大佐)の側近である。グティエレスは10月6日、ブラジルから帰国した。かれはブラジル大統領選挙のオブザーバーとして滞在していたが、9月30日、コレア大統領の責任を問い、国民議会の解散と大統領選挙の前倒しを要求していた。

レニン・モレノ副大統領は、9月30日、複数から電話で、コレア大統領に代わり大統領を引き継ぐ用意があるか打診されたことを明らかにした。副大統領はこれを拒否したが、誰からであるかは明らかにされていない。コレア大統領は、10月6日、外国記者団との記者会見に応じた。コレア大統領は、情報機関の不備によって、9月30日に何がおこなわれているのかを、まったく把握していなかったことを告白した。コレア大統領は、かつての秘密組織を、米国大使館に奉仕するものとして解体している。

コレア大統領は、事態がクーデーターを企図するものではなく、単に警察官が誤った情報によって不満を表明しているものと考え、警察本部に説得に赴いたと説明した。しかしこれは逆説的ではあるが、このことがクーデターの企図を失敗に終わらせる。警察の反乱が軍へと拡大し、政府の不安定化を作り出すということにはならなかった。2000年1月21日に、ハミル・マウア政権が崩壊した状況にはならなかった。共和国大統領がどのような状態にあるかが市民に伝わり、5000人が警察病院を包囲することになる。

ラジオ・パトゥルージャは、10月5日、警察の無線による会話の録音を公開したが、このなかでは、拉致状態にあるコレア大統領を殺害するかについての相談がおこなわれている。ハビエル・ポンセ国防相は、責任者を明らかにしなければならないと述べた。

コレア大統領は、10月6日、米国のバラク・オバマ大統領から電話での支持表明があったことを紹介した。しかしオバマ政権の知らないところで、米国の右翼組織がクーデターを準備したグループの背後にいる可能性を否定しなかった。

「クーデターは終わっていない。それは続いている。警戒しなければならない。われわれは試された。この後に備えなければならない」、コレア大統領は述べた。(0833)

* この記事は、La Jornada, BBC Mundo, AP, Pagina 12, Rebelion, を参考にしました。

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