「――まるで別世界に来たみたいだ」/国際環境NGOグリーンピース

2011-07-18 09:19:01 | 社会
こんにちは、エネルギー・核問題を担当している鈴木です。

いま、Twitter上で話題になっています、下記のビデオ。日本語訳を用意しました。

このビデオは、ロシアのテレビ局RT(Russia Today)が、6月中旬にグリーンピース・ジャパンの事務所に来て、グリーンピース放射線調査チームのリーダー、ヤン・ベラネクにインタビューした映像です。

ヤンは6月上旬に福島を訪れ、幼稚園や公園などで放射能調査を行いました。チェルノブイリでの調査の経験もあるヤンはインタビューで、「福島市を放射線測定機を手にして歩くと、全域から通常の30~50倍の線量が検出されるのです。更に校庭や公園、子ども達が通学に使う道の中には通常の500~700倍にも及ぶ線量が検出されるホットスポットが点在しています。信じられません」などと、他にも福島でのグリーンピースの調査、海の汚染や子どもたちの保護について語っています。

Daily life in Fukushima: 'It was like visiting another universe'


以下、日本語訳(完訳ではありません)になります。映像と一緒にご覧ください。


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レポーターSean(以下S):今日はグリーンピースインターナショナルのヤン・ベラネクさんをお迎えしています。彼らは震災後、放射線の測定などを中心に日本、特に福島で活動を行っています。今日はお越しいただいてありがとうございます。始めにグリーンピースが日本でどのような活動を行っているのか、そしてメッセージを発信する目的について教えていただけますか?

ヤン・ベラネク(以下J):グリーンピースは専門家を集め、原発事故発生の1週間後には現地入りをし、独自に空気・土壌や食べ物の汚染レベルを調査しました。更に調査船、虹の戦士号を福島沖へ送り、日本人の食卓の中心である魚介類の汚染レベルを調査しました。

S:被災地の悲惨な現状の中、人々が生活を送っている…言ってみればパラレルワールドのようだとおっしゃっていましたが、それについて教えてください。

J:正直、目を疑うような光景でした。人々は何事もなかったかのように振舞うように行政から強いられているようでした。普段のように会社や学校に行き、農家は季節の農作物を植え始めました。しかし彼らの生活環境はいまだに、とても高い放射線により汚染されているのです。彼らが毎日口にする食べ物も汚染されている可能性が十分にあります。まるで同じ場所で2つの違う世界を訪れているようでした。人々が普通に生活している福島市を放射線測定機を手にして歩くと、全域から通常の30~50倍の線量が検出されるのです。さらに校庭や公園、子どもたちが通学に使う道の中には通常の500~700倍にも及ぶ線量が検出されるホットスポットが点在しています。信じられません。このレベルの放射線は健康被害のリスクがあります。チェルノブイリで事故があった時、ソビエト連邦は福島の3~4分の1の放射線量を観測した時点でみなを避難させています。すでに事故発生から3ヶ月も経過しているのです。日本政府は十分な情報を公開せず、被災者が受けるべきサポートを行っていないように思います。

S:今グリーンピースは具体的にどのような活動を行っているのですか?

J:福島では独自に線量測定を行い、グリーンピースは調査を海洋まで広げること、子どもたちを守るために基準を見直すことを政府に要求し、改善が見られます。しかし、政府の対応はとても遅く、不十分です。長期的な活動予定として、われわれの専門家を現地に残し、被災者の立場になり情報提供をしていきたいと考えています。これから収穫時期を迎え、新たに汚染された食材が市場に出回り、人々が内部被ばくをするリスクが高まります。こうした内部被ばくは道路や地表面などから受ける外部被ばくより健康へのリスクは深刻です。

S:長期的な目で見て、日本はこれからどうなっていくとお考えですか。

J:今の汚染レベルやセシウムやコバルトなどの放射線の半減期を考慮すると、向こう数年、もしくは数十年間は汚染が続くでしょう。事故の深刻さを物語っています。今の日本のように、政治を中心にするのではなく、科学と人々の健康を第一に考えることがなによりも重要です。そして、失敗から学ぶということも大切です。我々全員が見たように原子力発電は安全ではありません。予測不可能の自然災害や制御ミスが重なり、原子炉が制御できない状況に陥り、今回のようなフルメルトダウンがわずか数時間で起こってしまったのです。私たちの安全をかえりみずに原子力発電に将来を賭けるのは危険すぎます。日本政府や意思決定者が方針を変え、原子力発電を2020年までに廃止することは可能です。日本で取り組める再生可能エネルギー、エネルギー効率的利用と省エネルギーのポテンシャルが高いからです。

S:日本での事故を教訓に世界はこれからどのように変わるでしょうか。

J:すでに各地で変化は起こっています。ドイツを例にとると、ドイツ政府は原発の寿命を延ばすなどのこれまでの方針を一転し、半数の原発をすぐさま停止させ、残りの半数も向こう10年のうちに停止させる予定です。イタリアの国民投票では人口の95%が原発に反対の意を示しています。スイスは原発廃止計画をスピードアップさせ、建設計画を放棄しました。原発大国フランスでも人口の77%が原発の廃止を望んでいます。このように大きなシフトは各地で見受けられます。国や意思決定者が産業での利益よりも人々や未来の世代の利益を優先すると信じています。原子力発電を段階的になくし、2050年までには世界中のエネルギー需要をり再生可能エネルギーでまかなうようになるでしょう。

S:実際に被災地に行き、現状を目の当たりにしての個人的な感想を聞かせてください。

J:とても印象深い体験でした。チェルノブイリにも行きましたから、惨劇の目撃は二回目なのですが、放射線量の測定を行い、数字の理解をし、健康への影響や環境への影響を見ます。一方で子どもを守りたいがどうしていいの分からない、情報がない、と涙を流す母親にも出会いました。その出会いで、私にできることを精一杯やろうと思いました。なぜなら、このような惨事は二度とどこにも起こしてはならないからです。
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/35637/


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