関西救援連絡センターニュース4月号

第307号　2013年4月
関西救援連絡センター
〒530‐0022大阪市北区浪花町11‐14
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◆さまざまな法律が改悪へ
警察の権限がますます拡大

　前号で、法制審議会刑事司法制度特別部会が発表した基本構想は、捜査の適正化ではなく、捜査権限の強化を生み出すと問題提起した。
　今号では、現在改悪されようとしている問題の多い法律等を紹介する。

▼「マイナンバー法案」審議入り
　「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」いわゆる「マイナンバー法案」は三月一日に上程、三月二二日内閣委員会に付託、三月二七日に審議入りし、四月五日には参考人招致も行われた。政府は、二〇一六年一月からの利用開始を見込んで、今国会中の成立を目指している。法案は、民自公三党協議の修整内容を反映しており、充分な審議も行われないまま成立させられてしまう可能性が高い。
　この法案には、国と地方自治体の責務規定が盛り込まれ、事業者にも協力の努力義務も定めている。
　ＩＣチップを内蔵した「個人番号カード」は申請により交付され、このカードの交付を申請しない人は、引越し時の転入届時にはマイナンバーを記載した通知カードの提示を求められるほか、記載事項の変更や紛失に関しては市町村への届出義務が課される。
　民間利用も想定されており、マイナンバーの利用と情報提供ネットワークシステムによる情報提供の範囲・情報種別についての記載がある。

▼著作権法違反は
「親告」がなくても捜査の対象に
　自民党政府により、ＴＰＰ参加が押し進められようとしているが、問題なのは農業や畜産等の輸入関税の問題だけではない。
　アメリカは、ＴＰＰ参加国に対して、著作権法違反を、親告罪から外すよう求めている。著作権には翻案権と呼ばれる、その作品をベースにして別の作品を作り上げる権利も著作権者に与えられている。つまり、勝手にパロディ化できないのである。日本では著作権は五十年だが、アメリカでは、ディズニーの著作権が切れそうになると、著作権が伸ばされる。ＴＰＰに参加すると、アメリカの法律に準ずることが義務化され、著作権者からの告訴・被害届なしで、警察の捜査や逮捕も可能となる。
　著作権法上の刑事罰には、違法ダウンロード（私的利用もアウト）、
マンガの無許諾二次創作物販売、
楽曲の無許諾演奏（営利の場合だが範囲は広い）なども含まれる。

▼いわゆるカンパ禁止法も改悪へ
　二〇〇二年に成立した「公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律」の改正案は、三月十五日に上程された。今回の改正案は、犯罪資金の洗浄やテロ活動資金を監視する国際組織「金融活動作業部会」（ＦＡＴＦ）が、日本政府に対して「法の抜け穴がある」と指摘し、法改正を求めていたことに基づく。
　これまで、対象となっていたのは資金提供だったが、これに「資金以外の土地、建物、物品、役務その他の利益」を加えた。場所を提供する行為など、全ての利益の提供が対象となる。
　また現行法は、公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者が、直接に資金提供を受ける行為および提供する行為を処罰していたが、その対象者を拡大し、二次協力者やその他の者の協力提供も全て処罰対象としている。

▼交通事故に関する
刑事責任の拡大と重罰化を答申
　三月十五日、法制審議会刑事法（自動車運転に係る死傷事犯関係）部会は、四つの新たな犯罪類型の新設を答申した。これは被害者遺族らの声を受けて、現行法の見直しが議論され、法務省は立法事実が明確でない点についても、被害者遺族らが求めているから立法化するとして議論をリードしてきた。
　法務省は、「妨害目的などの主観的要件の限定なしに通行禁止道路での運転を危険運転致死傷罪のの対象に拡大」「危険運転致死傷罪と自動車運転致死傷罪との間に、中間類型を新設。特定の疾病を持っている者の死傷事故を重罰化」「運転時のアルコール又は薬物の影響の隠滅を犯罪化」「無免許運転者の死傷事故への重罰化」の四類型を新設し、刑法から分離して特別法として、今国会に上程しようとしている。



◆就任後二ヶ月も経たない
谷垣禎一法相の死刑執行に抗議する

　二月二一日午前九時四五分頃、テレビ画面に「死刑執行があった模様」との速報が流れた。谷垣法相が、死刑を執行したのである。
　谷垣法相は死刑執行への前向きな姿勢を表明しており、年度内執行が危惧されていたため、二月十八日には、死刑廃止を求める京都にんじんの会、「死刑を止めよう」宗教者ネットワーク、京都から死刑制度廃止をめざす弁護士の会や死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム９０、死刑廃止フォーラム in おおさかなどが呼びかけ、谷垣法相の地元福知山駅前でのビラまきと地元事務所への申し入れが行われていた。
　この申し入れを行った翌日十八日に、谷垣法相は執行書に署名したのではないかと思われる。
　執行されたのは、以下の方々。
★東京拘置所
金川真大氏／２９歳
土浦連続殺傷事件
　二〇〇九年十二月十八日、水戸地裁（鈴嶋晋一裁判長）で死刑判決。控訴するも、直後の 同月二八日に控訴取り下げ。
★大阪拘置所
小林薫氏／４４歳
奈良市女児誘拐殺人事件
　二〇〇六年九月二六日、一人殺人で死刑判決（奈良地裁、奥田哲也裁判長）。控訴をすすめる異例のメッセージ。弁護人が控訴するが、十月十日、本人による控訴取下げ。二〇〇七年六月十六日に提出された弁護人による控訴取下げ無効の申立は、二〇〇八年四月に棄却。
　その後再審を二回提出するがいずれも棄却。恩赦は、今年二月九日に不許可決定。再審準備のための面会依頼の手紙を、十九日に弁護人に発信。二一日朝、弁護人が面会に行くが会えず（執行も知らされず）。
★名古屋拘置所
加納恵喜氏（旧姓武藤）／６２歳
名古屋スナック経営者殺人事件
　二〇〇三年五月十五日、名古屋地裁で無期判決（伊藤新一裁判長）、二〇〇四年二月六日名古屋高裁で死刑判決（小出〓一裁判長）。二〇〇七年三月二二日最高裁で死刑判決確定（才口千晴裁判長）。
＊　＊　＊　＊　＊
　谷垣法相は、就任後二か月も経たずして、三人の死刑を執行した。この期間で十分な記録の検討がなされたとは思えない。
　小林氏も金川氏も控訴を自ら取り下げており、三審を経た上での、死刑確定ではない。加納氏は、一審での無期懲役判決が、高裁で死刑に逆転しており、弁護人が再審請求を行う直前の執行だった。三人ともに、死刑執行を回避すべき理由があった。
　現在、死刑確定者は一三六名。参院選までに、谷垣法相による再度の執行があるのではないとの危惧が拡がっている。


◆和歌山カレー事件
再審補充書（３）を提出

　和歌山カレー事件再審弁護団は、二月二八日付で、昨年三月末に出された検察官の再鑑定不要との意見書に対する反論書（１）（２）、証拠開示命令請求書、再審補充書（３）を提出した。
　反論書（１）は、一昨年以来主張している「毛髪のヒ素付着鑑定」への疑義について述べられている。　これに関連して、「スプリング８およびフォトンファクトリでの毛髪鑑定についての未開示、および数値化した全データ」「毛髪鑑定に関するスプリング８の実験装置について資料およびデータ」「実験段階での計測・経過、予備実験の全データ」「毛髪鑑定に関する本鑑定および予備実験における、中井泉・山内博の実験ノート・備忘録等」の開示命令請求も行った。
　反論書（２）および再審補充書（３）は、スプリング８による中井泉鑑定に対する疑念が提起されている。
　和歌山カレー事件の分析データを読み直した科学者によって、中井鑑定のずさんさの指摘や、中井鑑定が指標とした重原素ではなく軽原素で見直すと「同種ではなく異なったものである」との論文が、昨年と今年発表されている。その論文を根拠に、中井鑑定を批判し、再鑑定の必要が主張されている。
　なお、この科学者に対するインタビュー記事が、「週刊プレイボーイ三月十八日号」に掲載されている。関連論文は、以下の２つ。
☆河合潤『和歌山カレー砒素事件鑑定資料―蛍光Ｘ線分析』「Ｘ線分析の進歩４３」所収
☆河合潤『和歌山カレーヒ素事件鑑定資料の軽元素組成の解析』「Ｘ線分析の進歩４４」所収
◆詳細は「林眞須美さんを支援する会」のＨＰへ。
http://masumi-shien.com/


◆公判日程
４月15日14時～ 関電前（公妨） 大阪地裁第２回　
４月23日14時 京都（自転車）公妨 大阪高裁（刑）第1回
５月20日 13時15分～ のぞき見国賠 大阪地裁（民）第３回
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★挙権確認＆国賠　 大阪高裁（民）第1回　未定
★関電前（令状）/瓦礫説明会/大阪駅コンコースは公判前整理手続中
★福井地裁（大飯原発再稼働阻止闘争）
　4月27日保釈（３００万円）
　５月７日１０時～論告・求刑／５月２４日１０時～最終弁論
【大阪拘置所には現在4名が勾留中。内2名（瓦礫説明会）は今も接見禁止。抗議を！】


◆催し物案内

■大阪弁護士会「知る権利が危ない！Part2」【参加費無料／申込不要】
「秘密保全法で警察不祥事も隠される!?」
4月20日（土）13時30分～16時30分（13時 開場）大阪弁護士会館2Ｆ
1/基調講演、②特別報告、③寸劇
2/パネルディスカッション
市川正人氏（立命館大学法科大学院法務研究科教授）
原田宏二氏（元北海道警察方面本部長・市民の目フォーラム北海道代表）
わかぎゑふ氏（劇団リリパットアーミーⅡ座長）
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■裁判員制度を考える京都の会第6回市民集会【参加費無料／申込不要】
あなたが裁判員ならどうする？　裁判員経験者と共に裁判員制度の未来を考える市民の集い
5月11日（土）午後1時～　ウィングス京都
第1部 模擬裁判・評議
模擬裁判ビデオをご覧いただきます。リアルな模擬裁判ビデオをご覧いただきます。その後、当日ご参加の皆さまから、有志で6名の裁判員役にご登壇いただき、模擬評議を行います。
第2部パネルディスカッション
パネリスト／指宿　信 氏（成城大学法部教授）
　　　　　裁判員経験者の方／当日裁判員役をして頂いた方
コーディネーター　日野田　彰子（弁護士）
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■自由人権協会大阪兵庫支部主催【参加費無料／申込不要】
講演会「デモ・集会の自由の現代的意義を考える」
石埼 学さん（憲法学／龍谷大学法科大学院教授）
5月18日（土）午後2時半～大阪弁護士会館
本講演会では、「威力業務妨害罪」の適用がなされた「萩ノ茶屋小学校事件」を中心に、最近の「ＪＲ大阪駅構内事件」など、具体的事件のいくつかに焦点を当てて、デモ・集会の自由の現代的意義について憲法学の石埼学先生からお話いただきます。
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■靖国合祀イヤです・アジアネットワーク主催【参加費500円】
◆李煕子さんからの報告と交流の集い◆
5月30日（木）18時30分～　エル大阪・701号室
　日本軍人軍属として侵略戦争に動員され戦死し、戦後に靖国神社に無断合祀された韓国人の遺族が靖国神社と国を相手取り合祀取り消しを求めたノー！ハプサ（NO！合祀）訴訟控訴審の第1回口頭弁論が5月29日に決まりました！
　裁判に出廷する原告の李煕子さんの来日を機に、大阪のアジアネットワークでも李煕子さんをお迎えし、弁論の報告や韓国での動きなどの報告をして頂きます。短い時間ですが、「靖国」との闘いをめぐるアジアの連帯を求め、貴重な交流の場にしたいと思います。是非参加ください。
◆DVD上映「太平洋戦争被害者補償推進協議会・10年の記録」
◆李煕子さんの報告
連絡先；靖国合祀はイヤです・アジアネットワーク市民共同オフィスSORA内TEL06-7777-4935
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■当番弁護士を支える会・京都　新歓セミナー
「わたしと刑事弁護」
6月1日（土）午後2時～4時半
京都弁護士会館地下ホール
お話：弘中　惇一郎弁護士(東京弁護士会)
　「村木厚労省事件」でも有名な弘中さん。三浦和義事件の弁護人でもありました。その他たくさんの刑事事件をてがけ、いくつもの無罪を勝ち取っておられます。そんな、弘中さんに、弁護士としての原点、志した理由、仕事をするにあたって、支えになっていることなどを、お話いただく予定です。
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■自由人権協会京都　総会記念講演【参加費無料／申込不要】
6月8日（土）14:30～16:30
いのちのつながり～自殺の実態調査から見えてきたもの（仮）
講師：清水康之さん（NPO法人自殺対策支援センター　ライフリンク代表）
場所：ひと・まち交流館
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■和歌山カレー事件から15年　林眞須美さんは、獄中から無実を訴え続けています!!【資料代800円／事前申込不要】
《◆現時点での予定です。次号で確定した内容をお知らせします。》
「死刑弁護人」クルーがみた和歌山カレー事件
7月20日（土）
12時（予定）～映画上映／14時（予定）～対談：監督＆カメラマン
御堂会館〔難波別院（南御堂）〕
挨拶：鈴木邦男さん（林眞須美さんを支援する会代表）
報告：和歌山カレー事件再審弁護団
主催：和歌山カレー事件を考える人々の集い
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■映画「約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」
★第七藝術劇場（大阪）
　4月13日（土）～19日（金）10：00～/14：30～/18：55～
　4月20日（土）～26日（金）15：45～（１回のみ）
　4月27日（土）～5月3日（金）16：35～（１回のみ）
★神戸アートヴィレッジ
　4月13日（土）～19日（金）11：00～（１回のみ）
　4月20日（土）～26日（金）14：30～（１回のみ）
★京都シネマ
　5月18日（土）～（終映日および上映時間未定）
各地でも上映の予定／詳細は映画の公式HPでご確認ください。
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