『カルト・陰謀・秘密結社 大事典』と9.11真相究明運動のことなど/市民社会フォーラムML から

2010-11-08 08:15:18 | 社会
『カルト・陰謀・秘密結社 大事典』
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E9%99%B0%E8%AC%80%E3%83%BB%E7%A7%98%E5%AF%86%E7%B5%90%E7%A4%BE-%E5%A4%A7%E4%BA%8B%E5%85%B8-%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%AF%E3%82%B0/dp/4309245285

最近、本屋に行くと、今までたいして興味なかった、(波動とか、ヒーリングとか、水の記憶とかの邪気を受
けた後遺症で)「精神世界」のコーナーに行くと、この本がありました。
 タイトルだけみると、なんだ新手のトンデモ本かなと思って目次を見たら、どこぞで知った「三極委員会」の
陰謀も書かれていて(っつーか、ロックフェラー財団がイニシアとっている、エスタブリッシュメントの会合の
場にすぎないんだけどさ)、お決まりのフリーメーソンやら、イルミナティなどの項目はもとより、たくさんの
「陰謀結社」(と妄想されている)についての解説があります。  
 見知らぬ方のブログでも紹介されているように。
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2010-10-18

 この本さえあれば、宇野正美や五島勉、矢追純一、フルフォード、副島隆彦、落合信彦やら●●やら●●が束
にかかってきても怖くない!(あえて伏字つき)

 で、この間、ニセ科学やら陰謀論やらの半ばオチョクリな本を読み漁ってわかったことは、911事件陰謀論も
同一にトンデモと扱われていることです。
(常套句で言うと、<日本のマスコミではまったくとりあげられていませんが>、スピ系と911陰謀論は親和的
関係があるようです。これまた常套句で言うと、私も<体験>したのですから<信じて>います。)

 この本でも、お約束事のように、<九・一一真相究明運動>の項目をたてています。(189~196ページ

  ↓
< もちろん九・一一真相究明運動はまったくデタラメな運動で、自分がなんとか把握しているという意識を取
り戻したいがための、強い願望の表れなのである。
二〇〇八年九月三日、レヴ・グロスマンは(真相究明者全員が軽蔑している、情報捜査機関)『タイム』誌に、「
なぜ九・一一の陰謀理論はなくならないのか」という記事を寄稿している。

陰謀理論にひきつけられる理由は心理学から説明できる。
それは次のとおりだ。
陰謀理論が基本的な人間の欲求を満足させてくれるからである。
重大な結果をもたらした出来事には、背後にそれに見合った重要な原因が存在することでバランスが保たれる。
些細な原因から、重大な結果がもたらされると、人びとは背筋が寒くなり、信じられない気持ちになる……
その意味で、世界の出来事を生み出している邪悪な勢力が存在していると考えると、ほっとした気持ちになれる
のだ。

 皮肉なことに、九・一一の真相究明者たちの、簡単に覆されてしまうおかしな理論は、政府の本当の罪深い行
為から関心を逸らすのに役立っただけだった。
かりにブッシュ・チェイニー政権が、誰も望まない戦争をするためにこのような偽装作戦を必要としていたのだ
とするならば、ワールド・トレード・センターに爆弾を仕掛けて爆破するか(外国のテロリストがわずか八年前
に実行しようとしたことだ)、ジェット機をハイジャックして、ワールド・トレード・センターに突っ込むかの
お膳立てをしたのかもしれない。
しかし、なぜひとつやればいいことを、ふたつもやる必要があるのだろう?
このふたつの途方もない作戦のうちどちらを選ぶというのが常識なのではないだろうか?
 また、ハイジャック犯をイラク人かアフガニスタン人にしなかったのは不思議ではないだろうか。
しかし、そんなことになぜ思い悩む必要があるだろうか、と問うほうが適切だろう。
結局、九・一一に加担した証拠もなく、アルカイダとの繋がりもなく、大量破壊兵器も所有していない国を攻撃
することに決めたとき、ホワイトハウスは白々しい嘘で民衆を扇動しさえすれば自分の思い通りにすることがで
きた。
アメリカ政府は宇宙兵器を配備して、九・一一で自国民に向けて利用したという考えを捨てるのは簡単だが、な
ぜイラク侵攻などの後に実行することの布石としてこれほど多くのことを行ったかを説明することのほうがはる
かに難しい。 >

 さらに、次のようにも。

< たとえば、九・一一真相究明運動は、ワールド・トレード・センター・ビルは建物内部に仕掛けられた爆発
物によって倒壊したのであり――本当に起きたのだとしても墜落したのは本物ではなく模型の飛行機だったのだ
、と主張している。
また、自分の説になんとか関心を向けてもらおうとして、忍耐力と想像力があり、インターネットで調べものが
できる人間なら簡単に解読できるような、陰謀を説明するためのたくさんの象徴的・数秘術的な謎を撒き散らし
ている陰謀理論家もいる。
 このような場合、「陰謀」は法的な概念ではなく、頭のなかの空想の問題になる。
自らの特殊な世界観、自分を納得させるためだけの信念には、犯罪の科学的根拠や論理的に一貫した推論など不
要なのだ。
「陰謀」に「理論」という言葉がついてしまうと、実質的に「決定論」と同じ意味になり、しかもそれは有害な
理論となる。
陰謀評論家の頭のなかは、偶然で発生する出来事はひとつもなく、すべての出来事には裏で操っている悪人がい
るという、被害妄想につきものの信念に支配される。
このような信念が、心に刻み込まれてしまえば、もう取り除くことはできなくなる。
カール・せーガンは「何かを信じ込んでしまった人間を説得することはできない。
なぜなら、彼らは証拠があるから信じているのではないからだ。
彼らは何かを信じたいという深い欲求があってそこに飛びついているのだから」と書いている。>
138~139ページ

 こういった(妄想的なという意味での)「陰謀論」の特徴は、
< なにか重大な事態が発生すると、それと関係のあることもないことも、あらゆることが重要性を秘めている
ように思えてくる。
ほんの些細なことでも、すごく大きなことに思えてしまうのだ。>
(8ページ)
ということなんでしょうね。

 私こそ妄言多謝。でもね。 

 911事件では、爆弾を仕掛けてビルが倒壊したとか、ボーイングはつっこんでいないという、陰謀説にこだわ
る方は、私が何度か紹介している下記サイトでの批判に反論する責務を果たすべきでしょう。
911陰謀論 
論破し切れたら、賞金として、晩飯1回ぐらいおごりますよ。 
 ちなみに、高知やら京大やらでの真相究明集会の映像は観させてもらっていていますが、上記サイトの批判に
は何らかみ合っていないのがわかりました。
沈黙を破って、知識人・言論人としての責任倫理を果たしていただくことも期待したいです。


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2 コメント

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若干のコメント (童子丸開)
2010-11-09 18:43:46
「薔薇、または陽だまりの猫」様の記事
『カルト・陰謀・秘密結社 大事典』と9.11真相究明運動のことなど/市民社会フォーラムML から
につきまして、若干のコメント

 私、阿修羅掲示板では「バルセロナより愛を込めて」のハンドルネームで投稿しております童子丸開(どうじまるあきら)です。ウエッブサイト「どうじまるHP バルセロナより愛をこめて」http://doujibar.ganriki.net/を運営している者でもあります。
 このたび偶然のきっかけでこの記事に触れ、少しだけ補足をしておきたいことがありますので、このコメント欄をお借りしまして申し上げたいと思います。少々長くなるかもしれませんが、ご容赦ください。

 私はこの本を読んでおりませんので、本自体の内容について申し上げることはありませんが、この書評を通して、筆者の「陰謀論」に対する研究と造詣は非常に深いものと感じます。また、911事件につきましての様々な「陰謀論」に対する分析も非常に優れているものではないかと推測します。
 書評筆者が『「陰謀」に「理論」という言葉がついてしまうと、実質的に「決定論」と同じ意味になり、しかもそれは有害な理論となる。』とお書きになるのは、実にそのとおりであり、私も諸手を挙げて賛成いたします。私自身、自分のウエッブサイトに次のように書かせていただいております。
 『当然だが、「全能の神(悪魔?)のような陰謀主体」を想定して、すべてをそこに演繹的に帰結させるような考えは単なる知的怠惰であろう。このような考え方は要するに一神教的世界観のグロテスクな変形に過ぎない。従って例えば「ユダヤ人が何百年も前から仕組んできた陰謀」であるとか、「フリーメーソン」「イルミナティ」等々に、様々な現象を結び付けて説明して「事足れり」とするような態度にも、私は「偶然史観主義」と同様に強い違和感を覚える。』
http://doujibar.ganriki.net/webspain/maine.html(『メイン号事件から9.11へ』2008年)
 さらに今年になって阿修羅誌面で『当て推量と自己満足で「未知」を追う単にロマンチストなだけの“陰謀論者”は去るがよいのです。』なとど書いて以来、
http://www.asyura2.com/10/warb3/msg/310.html
以前から何か私に妙な「期待」をかけていてくれた“陰謀論者”諸氏から「スパイ」「工作員」とののしられ続ける今日この頃です(大笑)。

 ところで、「陰謀論」といえば、その最大のものが「911事件の真犯人は、ビンラディンに率いられたアルカイダである」とする、あのすばらしい論理ではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。先日もあのマサチューセッツ工科大学教授ノーム・チョムスキー氏が、「アルカイダが911事件の犯人である証拠は無く、アフガニスタン戦争は違法である」と語ったそうです。(以下、参照)
http://www.presstv.ir/detail/149520.html
Chomsky: US-led Afghan war, criminal
http://www.youtube.com/watch?v=uzNhAo1zBD4&feature=player_embedded#!
Chomsky : No Evidence that Al-Qaeda Carried Out the 9/11 Attacks
 別に、いまさらチョムスキー博士に指摘されるまでもなく、ブッシュ政権が少なくともアフガニスタンへの侵攻を決定したときまでに存在していたのは、何一つ具体的な根拠を挙げることなく単なる憶測に基づいて論理化され政治決定された「アルカイダの陰謀」論、「ビンラディン=絶対悪」の、ほとんど信仰とも見えるほどの「確信」のみでした。そしてその根拠はついに今日まであきらかにされたことはありません。あるのは、911委員会報告の長々とした作文のみです。(参照『911委員会報告書は自己崩壊を開始した』http://doujibar.ganriki.net/911news/collapseofvanity.html
 この「アルカイダの陰謀」論、「ビンラディン=絶対悪」の論調なんぞ、「陰謀論」の最たるものだと思うのですが、いかがなものでしょうか。こんなことで9年間の長期にわたる戦争が決定されたのですから、その世界に対して与えた害悪の大きさは「911陰謀論」の比ではないでしょう。

 さらにもう一つだけ付け加えさせていただきます。私は、この書評中でご紹介いただいたウエッブサイト「911陰謀論」を論破しようなどと思いませんし、そんな必要も無いと思います。この長大な研究のテーマである、911事件の真犯人を米国政府(あるいはイルミナティ、あるいはユダヤ組織、あるいはその他諸々の陰謀主体)であると断ずる論調の実態は、確かにカール・セーガンの言うとおり『何かを信じたいという深い欲求があってそこに飛びついている』ものが多いように思えます。(ただ、その意味では「911の真犯人はアルカイダである」と確信してアフガニスタン侵略戦争に突っ走ったブッシュ政権も似たり寄ったりですが。)
 ところで、『何かを信じたいという深い欲求があってそこに飛びついている』のは以上のものだけではありません。最も理性的で実証的であるべき科学者たちもまた例外ではないのです。ご存知でしょうか。
 911事件が起こった直後に、世界中で大勢の理工系科学者たちが「ジェット燃料の火災の熱で鋼鉄支柱が溶けたのだろう」と発言しました。ジェット燃料火災ではせいぜい1000℃の温度しか作ることができず、一方で鋼鉄が溶ける温度が1500℃ほどであることは、理工系の専門家なら誰でも知っているはずです。どのようにしてこんな発想が生まれたのでしょうか。私には未だに理解できません。たぶん『何かを信じたいという深い欲求』でもあったのでしょうね。
 そればかりではないですね。先日も私は、阿修羅誌面をお借りして次のような投稿をいたしました。
『大阪大学の菊池誠先生。NISTって、科学的?それとも神秘的?』
http://www.asyura2.com/10/warb6/msg/200.html
 長くなりますので引用はしませんが、どうか上記のサイトでご覧ください。
 NIST(米国国立標準技術院:米国大使館の訳による)といえば、米国の優秀な理工系の頭脳を集めた国家機関のはずですが、どうやらまた、ここの学者さんたちも『何かを信じたいという深い欲求』にとらわれて、あちらこちらでとんでもない論理の飛躍を作っているようです。学者さんたちも人間ですから、それは起こっても不思議ではないのですが、それが国家という権力を背景にした組織的なものになりますと、巷の「陰謀論者」などよりも圧倒的に危険なものになってしまうでしょう。
 先ほどの「911陰謀論」の中に、ぜひともブッシュ政権とNISTをお加えいただきたいと願っております。彼らこそ、最も危険な陰謀論者でしょうから。

 以上、長くなりましたが、私からのコメントとさせていただきます。

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Unknown (デミ)
2010-11-15 15:59:40
 伊波さんが「911陰謀論」としてリンクしているサイト『Skeptic's Wiki』には、「したたかな陰謀論者の論調はつぎのようなものになることが多い」として、次のような一文があります。

『いいえ、私は知りません。私は調査機関の人間じゃないんだから当り前でしょ。私は単に質問をしてるだけなんですよ。質問しちゃいけないんですか?陰謀だとも言ってません。911テロ事件には、これだけおかしな点があるんですよ。その後のイラク戦争も含めて大勢の人が亡くなってるんですよ!なにも疑問に感じないほうがおかしいでしょ?なにが起こったかなんて誰にもわかりませんよ。公式見解なんて信じるのはどうかしてます。だから我々は再調査を要求してるのです。』

 この一文は、言葉を選びまるでそれが屁理屈でもあるかのように書かれています。が、言っている内容自体は、理にかなったものではないでしょうか。
 911では多数の人命が損なわれ、また「対テロ戦争」の発端となった事件である。しかし、そこには未だ未解明の様々な疑問が残されている。だから我々は真相を明らかにするために、再調査を要求する。再調査は捜査機関が行なうべきである。…何かおかしいでしょうか?

 具体的な「未解決の疑問」を一つ挙げますと、あのツインタワーの崩壊がそうです。あのビルの崩壊のメカニズムは、事件から9年経った現在ですら謎のままで、しかも調査が打ち切られています。

 最後に、WTC7ビルの崩壊の動画を紹介します。このビルは911当日に崩壊した「第3のビル」で、自由落下速度で崩壊しています。わずか9秒の動画です。ぜひご覧下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=LD06SAf0p9A&feature=player_embedded
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