全国戦没者追悼式 河野衆院議長追悼の辞・全文

2007-08-16 23:06:19 | 社会
 天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、全国戦没者追悼式が挙行されるにあたり、謹んで追悼の辞を申し述べます。

 終戦のご詔勅のあの日から62年の歳月が流れました。国策により送られた戦場に斃(たお)れ、あるいは国内で戦火に焼かれた内外全ての戦没者の御霊に衷心より哀悼の誠を捧げます。

 今日のわが国の平和と繁栄は、戦没者の方々の尊い犠牲の上に築かれたものであり、私たちは日本人として、これを決して忘れてはならないと思います。三百万余りの犠牲は、その一人一人が、一家の大黒柱であり、あるいは前途に夢を持ち、将来を嘱望された青年男女でありました。残されたご遺族の悲しみを思います時、私は失ったものの大きさに胸が潰れる思いであります。

 そしてそれは、わが国の軍靴に踏みにじられ、戦火に巻き込まれたアジア近隣諸国の方々にとっても、あるいは真珠湾攻撃以降、わが国と戦って生命を落とされた連合国軍将兵のご遺族にとっても同じ悲しみであることを私たちは胸に刻まなければなりません。また私は、日本軍の一部による非人道的な行為によって人権を侵害され、心身に深い傷を負い、今もなお苦しんでおられる方々に、心からなる謝罪とお見舞いの気持ちを申し上げたいと思います。

 私たち日本国民が、62年前のあまりに大きな犠牲を前にして誓ったのは「決して過ちを繰り返さない」ということでありました。そのために、私たちは一人一人が自らの生き方を自由に決められるような社会を目ざし、また、海外での武力行使を自ら禁じた、「日本国憲法」に象徴される新しいレジームを選択して今日まで歩んでまいりました。

 今日の世界においても紛争は絶えることなく、いまも女性や子どもを含む多くの人々が戦火にさらされ苦しんでいます。核軍縮の停滞がもたらした核拡散の危機は、テロリズムと結びついて私たちの生存を脅かそうとさえしています。私たちは、今こそ62年前の決意を新たにし、戦争の廃絶に向け着実な歩みを進めなければなりません。その努力を続けることこそ、戦没者の御霊を安んずる唯一の方法であると考えます。

 私は、国際紛争解決の手段としての戦争の放棄を宣言する日本国憲法の理念を胸に、戦争のない世界、核兵器のない世界、報復や脅迫の論理ではなく、国際協調によって運営され、法の支配の下で全ての人の自由・人権が尊重される世界の実現を目指して、微力を尽くして参りますことを全戦没者の御霊を前にお誓いし、私の追悼の詞(ことば)といたします。

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http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/6baa24db2b2520aaa178eaca2be805d4


http://news.tbs.co.jp/20070815/
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日本国憲法

前 文

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

第2章 戦争の放棄 

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

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●戦争賛美の靖国神社はいらない! デモ(3分30秒)2007/8/15up

2007年8月15日、国家による「慰霊・追悼」に反対するデモが、炎天下のなか靖国神社周辺で行われた。右翼の
激しい妨害で騒然としたデモになった。 YouTube配信
http://vpress.la.coocan.jp/vptv.html

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8・15、「戦後レジーム」とは
亀井 淳
 8・15。酷暑の中で一瞬の涼風を感じたのは、全国戦没者追悼式で衆議院の河野洋平議長が述べた追悼の辞だった。
 彼は93年、宮沢内閣の官房長官だった時のいわゆる「河野談話」―従軍慰安婦問題で日本軍の関与を認めて詫びた―を再度はっきりと語った。
 また「日本国憲法」という言葉を2度、積極的な意味で使い、憲法に象徴される「新しいレジーム」を国民は選択して今日まで来たのだと言った。「レジーム」という外来語をあえて使ったのは、明らかに同席している安倍首相を意識してのことだ。安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を標榜して総裁・総理に選ばれ、1年後の国政選挙で惨敗した男である。


 いったい、安倍さんは「レジーム」という言葉の深い意味を考えて使ったのだろうか。世界史に出てくるこの言葉は、たとえばフランス革命の以前の体制を「アンシアン・レジーム」と呼ぶ、そのように使われる。つまり、革命によって打ち倒さなければ変わらないような強固な体制を指すもので、日本で言えば徳川の幕藩制度や、戦前の絶対主義天皇制・軍事国家などを指す。安倍さんは戦前の体制に日本を戻すほどの哲学や覚悟をもって語っているわけではないだろう。
 ともかく保守政治家の中にも河野議長のような歴史観を持つ人もいる。そういう人が、終戦の日に、天皇と首相の前ではっきりと愚かな為政者を批判する。そうしなければならないほど、危機が深まっているということだ。

http://jcj-daily.seesaa.net/article/51515976.html

亀井淳HP
http://kamei.cside.com


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