「朝鮮学校も無償化を」愛知県弁護士会が会長声明

2010-07-02 08:13:11 | 社会
4月に施行された高校無償化法の対象に朝鮮学校を含めるかについての結論が8月ごろに先送りされている問題で、愛知県弁護士会(斎藤勉会長)は30日、朝鮮学校を無償化の対象から排除しないよう求める会長声明を発表した。同日、声明文を菅直人首相らに送り、同弁護士会子どもの権利特別委員会メンバー6人が愛知朝鮮中高級学校(豊明市栄町)を訪問、声明内容を伝えた。

 同委員会の有志メンバーは4月に同校で授業見学や生徒たちと懇談している。声明文は「子どもたちには憲法などにより普通教育及びマイノリティー教育を受ける学習権が保障されている。無償化対象からの排除は平等原則に違反する。人権侵害で容認できない」と指摘している。

 会見で女子生徒が「授業料は高く、母は仕事をしながらバイトを掛け持ちしている。この問題が残念で、悲しくなってきた」と話した。また男子生徒は「平等に適用することは差別のない平等な日本社会にするためにも必要」と訴えた。

 文部科学省が4月に告示した無償化対象の外国人学校は、インターナショナルスクール17校などで、朝鮮学校は入らなかった。朝鮮学校が対象となるかは、文科省が設けた専門家らによる検討会議の結果をふまえるとされている。

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愛知県弁護士会の会長声明

朝鮮高級学校に通う子どもたちを高校無償化の対象から
排除しないことを求める会長声明

1 本年3月31日、「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」(以下「高校無償化法」といいます)が成立し、本年4月から施行されています。
 高校無償化法は、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与することを目的として制定されました(第1条)。このような制度の趣旨から、外国人学校に通う子どもたちについても、「高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定める」「各種学校」に通う場合には、日本の私立学校に通う子どもたちと同様に、就学支援金が支給されます(第2条1項5号)。
 ところが、政府は、朝鮮高級学校がこの各種学校に該当するか否かに関する結論を留保し、最終的には第三者による評価組織を設けて決定することとして、当面朝鮮高級学校に通う子どもたちを無償化の対象から除外しました。

2 しかしながら、朝鮮高級学校は、各都道府県知事から各種学校としての認可を受け、長年にわたって安定した教育を実施しており、実際にも、日本全国のほぼすべての大学が、同校卒業生に対し、「高等学校を卒業した者と同等以上の学力がある」と認めて受験資格を認定しています。朝鮮高級学校が「高等学校の課程に類する課程を置くもの」に該当することは明らかであり、朝鮮高級学校に通う子どもたちが無償化から排除されるべき理由はどこにもありません。

3 そもそも、子どもたちには、日本国憲法第26条1項、同第14条、国際人権規約A規約第13条、子どもの権利条約第28条、同第30条、人種差別撤廃条約第5条などにより、普通教育及びマイノリティ教育を受ける学習権が保障され、その保障に関しては平等原則に違反してはならないとされています。国公立及び私立学校、専修学校、インターナショナルスクールや中華学校等の各種学校に通う子どもたちが無償化の対象となる中、朝鮮高級学校に通う子どもたちが無償化の対象から排除されることは、平等原則に違反するものであることはもちろん、高校無償化法の趣旨とも全く相容れないものです。
 現に、国連の人種差別撤廃委員会は、本年3月16日に発表した「対日審査報告書」の中で、「子どもの教育に差別的な影響を与える行為」として懸念を表明しています。
 
4 なお、今回の「先送り決定」がとられたのは、朝鮮民主主義人民共和国の拉致問題に対する制裁措置の実施等を理由として、政府内で朝鮮高級学校を除外すべきとの主張が出されたためとの新聞報道等があります。しかし、朝鮮半島にルーツを持つ子どもたちの学ぶ権利を、このような政治的理由により左右することは許されません。

5 現在日本には10校の朝鮮高級学校があり、そのうちの1校が愛知県にあります。

 当会では、今回の「先送り決定」を受けて、同校で学ぶ子どもたちの授業の様子を参観し、子どもたちと懇談をしました。子どもたちそれぞれが家庭の厳しい経済状態のもとで不安を抱きながらも真剣に学ぶ姿に直接触れ、子どもたちの学ぶ権利が不当に差別されることがあってはならないという思いを強くしました。
 偏見と差別は、すべからく無知と無理解から生じるものです。民族や文化の違いを超え、それぞれの違いを認め合った上で、相互理解と友好を深め合うためにこそ、人間にとって学問の自由、学ぶ権利は必要です。それが平和的な関係を築いていく基礎にもなるのです。
  同校に通う子どもたちが高校無償化から排除されることは、県内における人権侵害であり、当会として決して容認することはできません。
 よって、当会は、内閣総理大臣及び文部科学大臣に対し、朝鮮高級学校を高校無償化制度から排除せず、速やかに高校無償化法第2条1項の指定をするように強く求めます。


2010年(平成22年)6月30日

会 長  齋 藤   勉

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CMLから

【意見書採択】
・小金井市議会 「高校無償化」制度の朝鮮学校への適用を求める意見書 2010年3月3日可決
           (賛成会派:共産党、民主・社民、市民会議、みどり・市民ネット 反対会派:自民党系 退席:公明党)
           http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi/200763.html
・八王子市議会 朝鮮学校を「高校無償化」から排除しないよう求める意見書 2010年.3月26日可決
・三鷹市議会 「高校無償化」に関する意見書 平成22年3月29日可決
           (賛成会派:民主党、共産党、公明党(一部)、にじ色のつばさ 反対会派:政新クラブ、公明党(一部))
           http://www.gikai.city.mitaka.tokyo.jp/activity/pdf/2010ikensyo18.pdf
・宇治市議会  高校授業料無償化制度から朝鮮学校を排除しないことを求める意見書 2010年3月31日可決
          (賛成会派:共産党、公明党、社会党、新世、無会派 反対会派:民主党、自民党)
・札幌市議会  朝鮮学校も対象にした高校無償化実施を求める意見書 2010年6月10日可決 
          (賛成会派:民主党・市民連合、公明党、共産党、市民ネットワーク北海道、改革維新の会 反対会派:自民党)
・小平市議会  朝鮮学校を高校無償化から排除しないことを求める意見書 2010年6月29日可決
          (賛成会派:公明党、フォーラム小平、生活者ネットワーク、共産党、市民自治こだいら 反対会派:政和会)

【要望書採択】
・国立市議会  朝鮮学校への「高校授業料無償化」の適用を求める要望書 2010年3月4日
          http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi/201119.html

また、残念なことですが、上記の「意見書」を採択した自治体議会のうち三鷹市議会の意見書は「『高校
無償化』に関する意見書」、意見書本文も「何らの除外もせずに」という形になっていて、明確に高校授
業料無償化からの「朝鮮学校排除に反対する」という形になっていません。残念なことですが、このこと
を逆にいえば本意見書をとにもかくにも議会採択にまでこぎつけてくださった議員のみなさんのご苦労が
偲ばれる、ということにもなります(これは「要望書」採択のご苦労にも通じることのように思います)。

改めて関係議員諸氏のみなさんに心からの敬意を表したいと思います。

しかし、要望書を含めて7自治体議会での高校授業料無償化からの「朝鮮学校排除」反対の意見書の
採択というのはまだまだ少ないといわなければならないですね。「朝鮮学校排除」反対の声を市民のレ
ベルでもっともっと大きくして、その声を地元自治体議会に反映させていきたいものです。

東本高志@大分
taka.h77@basil.ocn.ne.jp
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi


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