経産省前テントひろば 174日目 テント日誌 3/2

2012-03-03 16:59:04 | 社会
<テント日誌 3/2(金)>
     3・11へと向き合う海外ジャーナリストの矜持
     ―― 経産省前テントひろば 174日目 ――

3月2日(金)水ぬるむも冷たい雨
 予定通り、フランス国営ラジオのジャーナリストを迎え、椎名さんにインタビューを受けてもらう。初めてテントを訪れたのは、通訳さんだけではなかった。新参の女性が、しっかり椎名さんのお隣に座り込み、鋭敏に聞き耳をたてている。すでにFさんのパートナーYさんからフランス発のメールが仲間に配信されているようだ。それでこの女性が駆けつけたのかもしれないし、偶然かもしれない。
 フランスとUSAが、福島原発第一の事故現場に直接乗り込んだ。玄葉外相のフランスの「事故収束」協力への感謝という、いかにもの外交辞令に対して、福島原発第一事故の「一周忌」へのフランス・メディアの関心のただならないことは、テントにいれば分かる。
 ラジオ取材班のあとで、想定外、フランス人ネット映像作家が単身、現れた。これで、のべ十人を超える海外取材陣ことにEU勢が圧倒的だ。避難民が彼のテーマであり、仙台に非難した南相馬の家族を二週間以上取材したという。その前は、コロンビアの内戦で避難する人々を追っていた、という。
 結局、この二人は、ジャーナリストとして独立自存していて、事故現場を実際に知ったかどうかの違いが浮きたっただけのように思われる。ラジオ局の方は、椎名さんの「勉強不足」というご指摘に蒼ざめ、「チェルノブイリには2度いっているのよ。被ばくの犠牲者には、たくさんあっているのよ」と悲しげに小生に訴えた。彼女は、良くも悪しくも、フランスの「NHK」を背負っているように感じられた。
しかし、「アントナン・アルトーはよかった!」というと、えもいわれぬおくゆかしい微笑を返してくる。
 椎名さんのみならず、現地・福島へ行くことを、強く、お勧めした。推進派の権力、勢力に、用心深くなることを悪いということはできない。日本のマスメディアに比べれば、きわめてすぐれたセンスの持ち主のように思われる。結局、砂川闘争を目撃した「インディアン」さん、デニス・バンクスが、お国に帰って、国家権力と対峙するように、個の魂に、核開発派の野蛮さをきざみこんでくれれば・・と願う。アメリカの戦場からの帰還兵士たちの戦争後遺症はきわめて深刻なようだ。
 
 一方、ネット・ヴィジュアル・クリエーターは、熱心に、第一テントの防衛隊をひとりひとり取材した。彼は、自分のアドレスを堂々伝えてくれた。http://www.trabouloscope.org 心細げなはじめの印象は、インタヴューの進むのに連れて、輝く硬質なおもざしとなってゆく。彼は、「中立的」なジャーナリストではなく、脱原発派だった。仕事によって、本来の彼自身が発現する。防衛隊の言葉に、親指を挙げて、協賛する。集団で行動し、無責任な群集心理に酔う「民族」とは程遠い。たったひとりで真実を探しているかのごとく。「冒険家だね」と言うと、うれしそうにうなづいた。
 
 そのあと、韓国の一流新聞社特派員が、同朋の環境活動家を伴い、椎名さんに、インタヴュー。小生は、第一テントで、へたくそな通訳をして、汗顔。ああ、また勉強だ!試練だ! 
 夕刻「ハイテク・ホロコースト」という英国人ジャーナリストの本をテントの夕闇のなかで探していると、女性がひとりトラメガで、脱原発テントの人々の国有地使用と経済産業省の無策をなじっている。昨日のZTKの女性差別発言を中和すべく単身乗り込んできたのにちがいない。警官の予報に半日遅れているから、いろいろ、ためらいがあったのだろう。
 はじめはやくざなケンカ口調だったが、誠実なテントの人間の応対に、とげのない語尾述語を使うまでは、落ち着いた。おろかななかまの男の罪を背負って現れる女性の声には、まったくあわれを催される。言葉ではない、響きだということが、よく分かる。「巷に雨の降るごとく、私の心に雨が降る」「悪い仲間」から切れることは、実に冒険かもしれない。

明日は、福島へ、取材協力の旅へ出る。         (Q記)

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