(日教組)教研集会拒否―(プリンス)ホテルが負う重い代償/朝日新聞社説

2009-07-29 13:27:11 | 社会
右翼の街宣車が集まり、耳をつんざくような大音量で演説を繰り返す。一種の暴力だ。それに屈せず、社会の自由を守るために皆が力を合わせたい。あらためて、そう考えさせる判決がきのう、東京地裁であった。

 被告はプリンスホテル。訴えたのは日本教職員組合(日教組)だ。同社が経営する都心のホテルは、昨年の日教組の教育研究全国集会に会場を貸すことと参加者の宿泊を引き受けていた。

 だが、右翼の街宣活動などがあれば宿泊客や周辺の迷惑になるとして、契約を一方的に破棄した。裁判所は、きちんと警備すれば大丈夫だという日教組の訴えを認めて会場を使用させるよう命令したが、ホテル側はこれも拒否し、全体集会は開けなかった。

 判決があったのは、この損害賠償を求める民事裁判だ。地裁は日教組の主張を全面的に認め、約2億9千万円の賠償と謝罪広告の新聞掲載を命じた。

 右翼の街宣活動は教研集会のたびに行われてきた。集会を妨害するだけでなく、会場を貸す側にも圧力をかけ、開催できなくさせようという意図があったと考えるのが自然だ。それにホテルが屈してしまった。

 会場貸しの契約破棄どころか、法令に反して参加者の宿泊も拒み、さらに裁判所の命令まで無視するというのは尋常ではない。企業の社会責任をまったく放棄するものであり、経営者の責任は極めて重い。

 同時に指摘したいのは、街宣車の無法ぶりだ。それが人々を怖がらせ、結果として言論、表現の自由などが侵害され、社会が萎縮(いしゅく)する。警察による厳しい取り締まりが必要だ。

 迷惑がる気持ちも、分からないではない。ホテル周辺の中学校長からは、おかげで入試が円滑にできたと感謝する手紙がホテルに寄せられたという。

 ただ、圧力に屈して自由が引っ込むような社会が、子どもに対して胸を張れるものでないことは確かだろう。

 集会などの会場が外部からの抗議で使用拒否になる事例は少なくない。教研集会が中止された2カ月後には、中国人監督がつくったドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映を予定していた映画館が中止するという事態も起きた。

 こうしたことが続くと、今の日本は自由に集い、自由にものを言える社会なのか、疑問に思えてくる。

 ホテルに会場使用を命じた裁判所は「日教組や警察と十分打ち合わせをすれば、混乱は防げる」と指摘していた。実際、今年の広島市での教研集会では、初日に街宣車が集結したが、警察が取り締まると激減した。

 戦うのは勇気のいることだ。ホテル業界の雄でもあるプリンスホテルが、もっと断固とした姿勢を示してくれればと、残念でならない。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html



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4 コメント

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左翼のみを守ろうとする朝日社説 (やすだ)
2009-07-29 21:06:02
「ホテルが負う思い代償」とは、
日教組に逆らうと、左翼裁判官が苛烈な判決(約2億9千万円の賠償は多すぎる)を下される事を意味する。

とてもこの判決が普遍的なるものを守った判決とは思えない。
「特定の者だけが守られるのか」という思いしか湧かない。説得力がまるで感じられない。

なぜ田母神さんは守られなかったのか?
特定の価値観で歴史を解釈しないと、自衛隊の規律に違反する事にされるというのは変だ。関係が無い。
自衛隊を党の決めた特定の価値観で縛って良いというのは、正に中国の人民解放軍の発想である。
自衛隊はいつから「党の軍隊」になったのか?「国の軍隊」ではないのか?

なぜ田母神さんの時なぜ朝日新聞らマスコミの連中は同じ事が言えないのだろうか?
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右翼は「綺麗は汚い、汚いは綺麗」の悪魔崇拝。 (多母神は公務員の護憲義務を破った欠格自衛官。)
2009-07-29 22:36:01
公の中の公である日本国憲法を遵守出来ない、公務員として欠格な分際で、何をエラそうに。
あんな屑の下種。
広島原爆忌に人々が死者を悼む気持ちを、踏みにじらずに居られない輩だ。
そんな靖国原理主義カルト構成員のゴミ芥を、良民の日教組の引き合いに出すのがオカシい。
また、自民自己責任教小泉純一郎教祖とオーナーが親しいからって、右翼街宣を肯定絶対視して寧ろ礼讃すれば却って得をするなんて、民主主義国家日本ではあってはならない事だ。
どうせ、上告するんだろ?今から政界ルート人脈を駆使する計画で。
でも、当分靖国原理主義カルト日本会議系の人脈は役に立たない所か、足を引っ張るか知れないが。
新自由主義による大量自殺者の「呪縛」は激しい!
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Unknown (Unknown)
2009-07-30 10:09:25
これは、最初に予約を受けたことがそもそもの間違いであって、その間違いを後から改めようとすれば、一方的なキャンセルをせざるを得ず、契約社会の中ではそのようなキャンセルには大きなコストがかかったという、事例。

教訓:反日には最初から甘い顔をしてはいけない。
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右翼の言い訳は常に論旨破綻。だから敗訴続き。 (せめて沖縄ノート裁判とか、敗訴から学べ。)
2009-07-30 13:40:07
嘘ばかり並べて、裁判官が騙されてくれないから、反省はせずに日教組に更なる敵意を抱くんだよな。
どうぞ、遠慮なく中山成彬と一緒になって火の玉でも火達磨でもなってください。
又してもコノ逆風の中、選挙に出て吹き飛ぶんだろ?
ガンガレ。
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