遠藤農水相、坂本外務政務官が辞任――止まらない安倍内閣のおそまつ/JCJフラッシュ

2007-09-03 22:37:18 | 社会
◎◎◎◎┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓◎◎◎◎
      ┃Y・記・者・の・「・ニ・ュ・ー・ス・の・検・証・」┃
      ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

□■遠藤農水相、坂本外務政務官が辞任――止まらない安倍内閣のおそまつ

 遠藤武彦農水相が3日午前辞表を提出し、安倍首相はこれを受理した。坂本由紀子
外務政務官も辞表を提出した。遠藤氏は自らが組合長を務めていた農業共済組合が補
助金を不正受給していた。自らが支部長を務める自民党支部が政治活動費を多重計上
していた。岩城光英官房副長官の問題も残っている。まったくおそまつとしか言いよ
うがない。

 8月27日に改造内閣は発足したばかりで、その後1週間で閣僚と政務官の辞任と
なった。安倍内閣の閣僚交代は5人目、農水相は約3カ月で大臣が4人目になる。
 農水相の辞任については2日、与謝野官房長官、麻生太郎自民党幹事長、大島自民
党国対委員長が都内で会合、民主党など野党が臨時国会に問責決議案を提出する構え
を見せており、遠藤氏が農水相の職にとどまれば10日召集の臨時国会への影響が大
きいと判断し、農相の引責辞任は避けられないとの方向が固まった。

 きょう(3日)の社説で朝日新聞は「首相やそのスタッフは、いったい何に目を光
らせていたのか。政府の機関である会計検査院も知っていた不正を、なぜ把握できな
かったのか。調査能力以上に深刻なのは、どんなに気をつけたつもりで選んでも、結
局は疑惑や不祥事から逃れられない、ということかもしれない。自民党はそういう政
党なのだろう」と書いている。まさに自民党はそういう政党なのだろう。

 安倍首相の首相としての資質・指導力の有無が問われるのは当たり前のことである。
その安倍内閣続投を自民党の各政治家はどう考えているのか。閣僚に入った人々は、
これが最後のチャンスとでも思い、ただ一度でも閣僚に名を連ねることができれば満
足なのか。いまの自公政権をどのように認識しているのか、もっと厳しく問うていく
必要があるのではないか。


■公明党の責任も重大


 安倍続投をいち早く支持した公明党も責任を逃れられない。
 公明党の太田代表は2日のNHK番組で、「次から次にこういう問題が出るのは残
念で情けない。会計検査院から指摘されて3年間も放置していること自体、国民から
見たら何をやっているのかとなる」(共同通信)批判し、「農水省に関係する理事長
や組合長という立場は、大臣になった瞬間に辞めるのが筋だ」(同)と指摘したとい
うが、一方で、衆院解散・総選挙の時期について「(参院選で)もっと国民の目線で
庶民の生活(対策)をしっかりやれというメッセージが発せられた。そこをしっかり
やって、1年以上後になるだろうが、こういうことをやったということを示して、国
民に審判をいただくのが普通の考えではないか」(時事通信)と述べている。

 こういう感覚もどうかと思う。安倍続投支持の責任を問われたくない一心で、衆院
解散・総選挙の時期を「1年以上後になる」などと発言した可能性もあるが、昨年以
降の安倍政権の姿を何とも思わないのだろうか。参院選で惨敗しても、まだ続投にこ
だわり、醜態をさらし続けている。にもかかわらず、公明党は衆院解散・総選挙の時
期を「1年以上後になる」などと政権に恋々としているのである。

 この背景には、ブッシュ政権の起死回生への期待でもあるのだろうか。小泉政権時
代、ブッシュ政権のイラク戦争支持を公明党も打ち出してきており、連立与党として、
いまだにイラク戦争の間違い、イラク戦争支持の間違いを認めていない。テロ特措法
の延長問題は今秋の国会の重要な争点だ。ブッシュ政権との一蓮托生の立場から、米
国の強力な支援(ブッシュ大統領本人がテロ特措法の延長を期待する発言を行ってい
る)もあてにしながら、政権与党に居座りたいというのが公明党の当面の姿勢だとす
れば、公明党は自力再生の機会を自ら放棄することになる。

 もう来年、08年は米大統領選挙の年である。太田氏は参院選惨敗をうけて、官邸
や自民党に対して「言うべきことは言う」など路線の変更をにじませる発言をし始め
ているが、本格的な分岐点は08年夏以降に訪れるなどと悠長にかまえていては、誤
って進んだ道を軌道修正する余裕はなくなるだろう。


■「郵政造反組」の自民党への復党、復権の異常


 また「郵政造反組」の自民党への復党にも勢いがついている。
 29日の副大臣人事で、安倍首相は郵政民営化に反対した造反組4人(農水:今村
雅弘、農水:岩永浩美、財務:森山裕、内閣府:中川義雄)を起用している。郵政民
営化問題について安倍氏は、「既に終わった。方針が決まったことだ」と決着済みと
の立場だ。「復党した以上、その能力を生かしてもらいたいと判断した」(時事通信)
と述べ、造反組の起用は問題ないとの態度を打ち出しているが、あまりにご都合主義
が過ぎないか。郵政民営化に反対して自民党を離党した平沼赳夫元経済産業相も
「(郵政民営化支持の)誓約書を書かなくてもいいという話になりつつある。そうな
れば、皆さんに相談して身の振り方を決めたい」(産経新聞)と述べ、「条件変われ
ば自民復党検討」の姿勢を示しているという。

 自民党は再起・再生できるのか。そのためにどのようなプロセスを踏む必要がある
のか。どのような見直しを真摯に行っていくべきなのか。その点をたな晒しにしたま
ま、目先のことに汲々、ドタバタを繰り返している。その傾向は小泉政権時代から強
くあったが、参院での与野党逆転でさらに浮き足立っている。驕りから生き残りへ。
奢っても、追い込まれても、この変転のさなかにあって、目先のことに汲々、ドタバ
タ騒ぎは変わらない。だからこそ農水大臣はじめ閣僚がコロコロするような事態に陥
っているのである。これが政権といえるのだろうか。このような人々に高い歳費を払
って国の運営をまかせていていいのだろうか。否、というほかないのである。

 安倍首相は問題閣僚・政務官の任命責任を自覚し、即刻首相を辞めるべきである。


■二階自民総務会長と高村防衛相 テロ特措法関連新法案も検討


 前号でもふれたが、11月1日で期限切れとなるテロ対策特別措置法について、自
民党の二階俊博総務会長と高村防衛相が、海上自衛隊の給油活動を継続するための新
法案を9月10日召集の臨時国会に提出することを検討するとの考えを示している。
「11月2日以降も海上給油を続けなければいけない。あらゆる可能性を追求する」
(共同通信)というのがその理由だ。あくまでブッシュ政権の戦争に加担しようとし
ているのだ。

 与党は、テロ特措法に基づく海上自衛隊の給油活動の継続について、いろいろ諸外
国の支持をとりつけようと必死のようだが、その背後に控える関係をきちんと抑えて
動いているのだろうかと心配になる。とてもそうは思えないのである。表面的な「継
続希望」の意向を取り付けても、各国のブッシュの戦争に対する否定的なバックグラ
ウンドを無視することはできない。ブッシュの戦争の忠実なパートナーだった英国の
動きも急だ。

 国際的に孤立するブッシュ政権、日本に忠犬としてのふるまいを期待するのは当然
だろうが、残りわずかな期間でブッシュ政権はなんとかかたちをつけねばならない。
自公政権のままでは、忠犬としてふるまっていたら、置いてけぼりを食ったという事
態になるのがせきのやまだろう。

 にもかかわらず、二階自民党総務会長、高村防衛相は、目先の給油継続のことばか
りだ。テロ特措法の継続には国民の大半が反対している。両氏の発言は、参院で多数
を占める野党の反対によってテロ特措法の延長がはばまれ失効する事態に備えての発
言とみられている。

 「野党の反対で同法が失効する場合に備え、民主党が主張する人道支援策を盛り込
むなどして同党の協力を引き出す狙いがあるとみられる」(朝日新聞)というわけだ
が、二階氏は新法案提案に関連して、先走って「政治は一方的な形では成り立たない。
相手の意見も十分聞いて対応すべきだ」(共同通信)などと口にしている。いかにも
目先のことばかりに汲々としているブッシュ政権の忠犬グループらしい対応である。

 米軍の戦闘作戦を徹底支援するためのザル法の継続は許されない。自衛隊の海外活
動の既成事実化をもって改憲の一里塚としようなどという姑息なやり方を金輪際ゆる
すわけにはいかない。ブッシュの戦争の終結を、世界が望んでいるのである。本来、
日本はその先頭にたち、ブッシュ政権の矛を収めさせる大役をつとめる立場にあるの
だ。

 それを忘れて、ブッシュ米政権の「対テロ先制攻撃」を支援するテロ特措法につい
て、いまさら「政治は一方的な形では成り立たない。相手の意見も十分聞いて対応す
べきだ」も何もないのである。

 繰り返しておこう。
 言論の自由などいらないとする言論に、自由はない。日本国憲法などいらない、憲
法を変えて戦争に参加すべきだとする言論を為し、改憲を先取りしてその既成事実化
を企図する者は、日本の国会にその席をおくことはできない。戦争に加担することば
かり考え、国民の命、生活などには責任をもたない、むしろ弱肉強食を奨励し、弱者
をあえて増大させんとするような政治屋に、政治家、政党としての未来はない。

 小泉~安倍自公連立政権の改憲派及びそれに盲従する政治屋諸氏は、自分たちの言
い分どころか、すでに世論の反対を押し切って戦争協力行為を強行しているのである。
それを継続するために「政治は一方的な形では成り立たない。相手の意見も十分聞い
て対応すべきだ」などといい始めること自体、自らの発言と行為にまったく責任をも
とうとしない、子どもじみた非常識なルール違反であることを、この際、肝に銘じる
べきである。

 北朝鮮の核問題をめぐる米朝作業部会の協議も動きが急である。2日、ジュネーブ
で行われた協議を終え、北朝鮮は今年末までの核施設の無能力化と、核計画すべての
申告に合意したと伝えられている(AFP)。

 英国では9月1日、2日と米国のイラク政策をめぐって、英軍の司令官による米政
府への批判が噴出している。
 世界は日々、刻々と前に進んでいるのである。前にといっても、それが正しい方向
かどうかは定かではない。それでも時代は進んでいく。それを正しく軌道修正してい
くのが政治の役割ではないか。

 メディアは民衆の側に立って、進行方向に光を当てて先を照らし出し、権力や政治
の監視を行い、政治家を選出する主権者である国民の認識の構成に公正に寄与する使
命を担っている。目先のことに汲々、ドタバタ騒ぎを繰り返すだけの子どもじみた政
権に振り回されることなく、きっちりと聞くべきことを聞き、ぶつけるべきことをぶ
つけていかねばならない。それをもって、いま伝えるべきことをいま伝え、いま言う
べきことをいま言う(新井直之)という、ジャーナリズムの担うべき役割を果たして
いけるのだと思う。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
◇ 日本ジャーナリスト会議(JCJ)のご案内
http://www.jcj.gr.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
[JCJふらっしゅ]
http://blog.mag2.com/m/log/0000102032/


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。