真実を教えない国は滅びる/上智大学・雨宮 剛

2006-06-08 12:34:48 | 教育
犯罪都教委&3悪都議、断固、闘う増田です。「増田さんの不当解雇撤回要求!緊急4・28集会」の時の雨宮 剛先生のスピーチ原稿をいただきましたので、ちょっと長いですが、ご紹介します。私の紙上討論授業を生徒達が大好きになる理由が、ここにあるような気がします。

「真実を教えない国は滅びる
          ―増田先生の不当解雇に想うー」
                   上智大学名誉教授  雨宮 剛

 昨年秋来日した元西ドイツ首相ヘルムート・シュミット氏は、そのスピーチの中
で、日本人聴衆に向かって単刀直入に批判しました。「日本人は戦争責任の問題をあ
まりに軽くあしらっている。(その結果)悲しいことに日本人には本当の友人は国外
にはあまりいない」と。戦後のドイツは、あの忌まわしい過去と戦争を断絶しよう
と、血の出るような努力をしてきました。

 ところが日本はその努力を怠りました。その結果が、今日、私たちが目の当たりに
している「すべて」なのです。真実を教えたための増田先生の不当解雇をはじめとす
る恐るべき一連の事態は突然起こったのではありません。戦後60年の間、過去はい
つも私たちと同居していたのです。過去は克服されないまま、地下で息を潜めて台頭
の機をうかがっていたにすぎません。

 国も国民も、過去と決別することなく、過去の真実と向き合うことを怠ってきまし
た。元凶は国であり文部省であることは論を待ちませんが、その責任の多くが学校教
育と教師にもあることは否めないと思います。戦争の加害責任を問うことはほとんど
ありませんでした。確固たる歴史認識が欠落していたのです。真の教育は、勇気を
持って過去を直視し、負の歴史こそ語り継いでいかなければなりません。さもなけれ
ば同じ過ちを繰り返し、最後には亡国という破局を招くことになります。したがって
教師に真実を教える権利を認めない教育は、国に対して、国民に対して、なかんずく
子ども達に対して重大な犯罪行為です。

 ますます加速する我が国の右傾化や拝外思想の背後には「万世一系」の天皇制など
という幻想を与えようとする勢力、ウルトラナショナリズムがあります。「日の丸と
君が代」を天皇の象徴として国民に強制するなど、天皇制を利用して日本人を血統的
心情的に天皇中心に結束させ統一しようとする勢力です。彼らの理想とするモデル
は、かつての天皇制国家です。この天皇制と日本の排外的体質は表裏一体をなしま
す。日本を日本人だけが住む国とし、よそ者を排除する社会は決して健全とは言えま
せん。精神的にはひどく病んでいるといえるでしょう。

 若者が今、一番求めているのは何でしょうか。彼らを見くびってはいけません。彼
らが心のもっとも奥底で欲しているのは、本当のこと、真実です(真実を求める心を
失った大人は多いですが)、真実を語り、真実な生き方をする真実な人です。今日の
日本の若者はきわめて不幸です。「私はこの人のようになりたい、生きていきたい」
と思うロール・モデルがないからです。だから目が死んでいます。顔に締まりがあり
ません。言動がだらけています。時間を無駄にしています。人生を粗末にしていま
す。希望がありません。生きる意味が分からないからです。真実を真実に生きる真実
のロール・モデルの存在がいかに大切であることか・・・

 改ざんされたり、フルイにかけられたり、干からびた「情報」ではなく、明暗に関
わりなく「真実」に触れた若者は、感動します。興味を持ちます。学ぶことが楽しく
なります。謙虚になります。理想を高く持ちます。優しい人になります。心が正しく
清くなります。平和を愛します。口先だけでなく行動できるようになります。物事を
正しく批判し判断します。自由を愛し、権力に屈しません。他人のことを考えるよう
になります。自分を愛するように人を愛するようになります。生きることを愛するよ
うになるからです。

 昨年秋「アメリカ公民権運動の母」と呼ばれたローザ・パークスさんが亡くなりま
した。彼女は1955年、米アラバマ州モントゴメリー、バス乗車拒否運動の発端と
なった人です。運転手が「白人が座るために席を譲れ」と命令したのに対して、彼女
は勇気を持って「ノー」と言いました。そして逮捕されました。今、教育の現場で苦
境に立つ良心的教師と重なって見えます。

 モントゴメリーでは、キング牧師を指導者とするバス乗車拒否運動は382日間に
も及び、とうとう市当局が屈して、バス内の人種隔離は撤廃されました。やがてこれ
は一切の人種差別を禁止する公民権法の成立へとつながっていきます。

 さて、日本は、どうしていったらいいでしょうか。私たちが今、ここに集ったの
は、正にそのためなのです。(4・28集会にて)



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1 コメント

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生きるとは・・・? (冬目漱石)
2006-06-09 16:29:38
はじめまして。



北海道からです。

お邪魔でしたらごめんなさい・・・・・。m(_ _)m



人(私)はどこから来て

何のために生きて

どこへ向かっているのだろう・・・?。

この世界の終末はどうなるのか?



私は、若い頃から人生についていろいろ考え、

人間はどこから来て、何のために生きて

どこに向かって生きているのかを問い続けて来ました。



神の存在、人生の意味は何か、いのちと死の問題」など

について、分かりやす聖書の福音を書き綴っています。



どうか、時間のあるとき、ご訪問ください。



  

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