日本のサポーターに「愛国心」はない?/パブリック・ジャーナリスト 安田モモコ

2006-06-17 19:31:03 | 社会
【PJニュース 06月14日】- サッカー・ワールドカップ(W杯)が開幕し、普段はサッカーなど興味もない人が青のユニフォームを着て、日本代表を応援する。その国全体で日本代表を応援する姿に、「愛国心」が感じられるとよく言われるが、それはまったくの間違いである。

 そもそも「ナショナリズム」や「愛国心」についてのきちんとした定義のないまま、サポーターの盛り上がりが「愛国心」か、どうかを決め付けることはできない。たしかに、サポーターが試合前の日本国国歌斉唱の際に、日の丸を掲げて「君が代」を歌うのを見れば、一見すると「愛国心」を感じせずにはいられない。しかし、サポーターは「日本」を思って、日の丸を掲げ「君が代」を歌っているのではない。

 あくまでもジーコ率いる「サッカー日本代表」のシンボルとして、日の丸や「君が代」を利用しているにすぎないのだ。日本代表を応援する誰もが共有できるシンボルが日の丸であり、「君が代」である。02年の日韓大会を思い出してみれば、日本各地で行われた日本以外の試合でも、日本のサポーターはイングランドやブラジルなどのユニフォームやペインティングをして会場に現れた。

 「愛国心」があるから日本を応援しているのではなく、大多数の人は「とりあえずこのお祭りに参加したい。とりあえず自分は日本人だから、『君が代』も歌えるし、日本代表なら少しはわかるし日本を応援しよう」という安易な考えで、日本を応援しているにすぎないのだ。

 また、この日本代表に対する気持ちの高まりが今後、日本の「愛国心」につながるという考えも困りものだ。スタジアムでよく見られる相手国に対するブーイング。先日の対オーストラリア戦では「アボリジニー!」とオーストラリアの先住民を罵ったような言葉が聞こえてきた。確かに、他国を見下す戦時中の自国至上主義のようではあるが、こんなことを口走る輩はほとんどなく、いたとしても心からそう思っているかは疑問である。

 つまり、日の丸を掲げ、「君が代」を歌う日本国民の姿をみて、日本のサポーターには「愛国心」が感じられるというような考えはあまりにも簡単すぎるのだ。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJニュースはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 安田モモコ【東京都】

http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2081544/detail


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