名古屋市港区・荒子川公園事件判決について/笹島連絡会・藤井

2006-04-05 22:58:17 | 社会
05年10月22日、港区の荒子川公園で小学6年の男児が包丁のようなもので頭部を切られたということで、野宿者のKさん(69才)が傷害の現行犯ということで逮捕されました。 06年3月30日、名古屋地方裁判所刑事第2部鈴木裁判官は、懲役1年6ヶ月、未決勾留日数70日の算入、執行猶予5年という判決を出しました。 以下に、私の個人的な評価と判決内容(事実認定と争点に関する判断)について、簡単に報告します。

個人的評価
 この裁判で、少年らによる野宿者への襲撃・いやがらせが、当日のみならず以前から行われていたという事実やその背景を明らかにすることが重要であったが、弁護人が少年らを証人申請したが認められず、調書のみでの審理であり、証拠として笹島連絡会による調査報告書を出したが、判決ではそれについては何も取りあげていない。 真相の究明と再発防止という意味では、きわめて不十分な審理であったのが残念である。
 しかし、判決ははっきりと少年の側から攻撃的であったことを認め、執行猶予判決となったことは成果である。
 ただし、逮捕された時のマスコミのほとんどは(気付いた範囲では1社を除いて)、Kさんが突然一方的に切りつけたという誤った報道をしており、今回判決を踏まえてマスコミがそうした誤った報道を是正することを期待したが、気付いた範囲では残念ながらそうしたことはなされなかった。非常に残念である。
 なお、弁護人は、Kさんは被害者を含めた少年らの急迫不正な侵害行為に対し、防衛行為として切りつけたものであり、結果として防衛の程度を越えてしまった過剰防衛だと主張したが、判決ではこの主張を認めておらず、残念である。

判決内容について
1.事実の認定などについて
 05年10月2日午後1時過ぎに、Kさんが荒子川公園内の散策路を自転車で公園内の居住場所に向かって進んでいたところ、被害者を含む4名の小学生が自転車に乗って横に並んで対向してきた。被告人は左側に避けてすれ違ったが、その際の小学生たちの言動に腹を立て、20メートルくらい離れた小学生らに「ちょっとこい」などと怒鳴った。それに対して小学生らは、「うるさい,はげ」などと言ったり、その中の一人であるYがエアガンで被告人を撃ったりしてきた。被害者(当時12才)は、「タイマンはったる」と言って、被告人の近くに行った。被告人は,小学生らの態度に激高し、自転車の前かごから包丁5本くらいを取り出し,右手に持った一本の包丁で,被害者の頭部を一撃した(加療約11日間を要する頭部・左手挫創)。被害者は逃げ、Yが被告人にエアガンを撃ってきた。被告人はYを追いかけたが、追いつくことができず、通報を受けて駆けつけた警察官に逮捕された。

2.争点に関する判断
(1)切りつけた回数について
 検察官は、(2ヶ所の傷があるので)2回切りつけたとするが、(弁護人の主張通りに)1回と認定した。
(2)過剰防衛について
 弁護人は、被告人が被害者を含めた少年らの急迫不正な侵害行為に対し、防衛行為として切りつけたものであり、結果として防衛の程度を越えてしまった過剰防衛だと主張する。しかし、Yによる不正侵害は認められるとしても被害者による急迫不正な侵害があるとはいえず、また被害者が被告人をエアガンで撃ったYと同一集団にいたからといってそれを一体ととしてみつことができず、被害者による不正な侵害とは言えない。よって、過剰防衛とは言えない。


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