チョムスキー、ガザ地区民間人殺害に関し米国とイスラエルを非難

2009-01-20 08:56:44 | 世界
<チョムスキー、ガザ地区民間人殺害に関し米国とイスラエルを非難>
             エリジャ・ジョーダン・ターナー  アソシエイツ・ニュース編集長  

写真説明:ノーム A.チョムスキー教授は、1月13日(火曜日)進行中のイスラエルガザ地区侵攻について講演し、
パレスチナ人やハマスとの紛争継続の根本原因は、イスラエルによる挑発だと語った。 


 言語学教授ノーム A.チョムスキー氏は、昨夜、ガザ情勢についてパレスチナ市民への頻繁な武力行使をしている
イスラエルをきびしく譴責し、ユダヤ人国家にこのような行為を悪びれもせず行なわせている米国を強く批難した。
イスラエル・パレスチナ紛争に関わるより大きな問題についても彼は触れた。(マサチューセッツ工科大学)
スローアン・ウオン大講堂でのこの講演は、国際研究センターのスター・フォーラム(公開)連続講座の一部として
行なわれたものである。

 チョムスキーは当初、言語学と心理学分野で名を成したが、今では、イスラエルとその支援国批判で、政治問題に
関心をもつ人々の間に知られている。チョムスキー講演予定の話は瞬く間に広まり、彼が4時に登壇した時には、
300席の部屋はほぼ満員で、溢れた人々はロビーでビデオを見ることとなった。

 2008年12月27日から始まった、ガザ在住の無力なパレスチナ人に対する米・イスラエルによる攻撃について、
彼が話し始めるやいなやイスラエルの軍事行動に対する彼の嫌悪感が皆にはっきり伝わった。彼は、軍事行動と
メディアのキャンペーンは
注意深く計画されたものだとして、進行中のイスラエルのガザ攻撃と2006年夏のレバノン攻撃とを比較し、
どちらも多量の民間人犠牲者を出し、不釣り合いに大規模な武力行使をしていると強い非難を浴びたにもかかわらず、
イスラエルは、過激な武装闘争者のみをねらった行動だと言い張っている、この点で似ていると述べた。

 チョムスキーは、侵攻計画に数ヶ月かけているということは、イスラエルの軍事行動がみな意図的に行なわれて
いることの証拠だという。イスラエルは意図的な計画のもと、子ども達がちょうど帰校する頃、大人達が町に出る頃を
ねらって爆撃を開始している、と語る。

 さらに、人道的支援物資を積んだ船が二度もガザ地区接岸を阻まれたことに言及し、船はガザ地区近辺で
「イスラエルの犯罪的封鎖を突破しよう」としたが、イスラエル側は、「適正な通報もせずに領海内に侵入した」から、
というお決りの理由付けで阻止行動に出ている。国際水域で進入を妨害して船を攻撃することはソマリア沖の海賊行為より
悪いのに、このことは、ほとんど報道されない、とチョムスキーは言う。

 米国メデイァは、他国のそれと同じく、ほとんど政府が作った基準をなぞっているにすぎず、イスラエルの軍事行動
など・・・これも報道はほとんどされない・・・目新しことでも何でもない、と結論付ける。あくびでもして聞くべきものだ、
と彼は言う。

 イスラエルの軍事活動の規模を描写するのに良い言い方を見つけようとしてチョムスキーは、「テロリズム」や
「侵略」は最早不十分だ、レバノン侵攻や今のイスラエルの攻撃規模を表現するには、「ありふれた」ものとするのが
よいと言う。2005年のガザ撤退について、彼は、あのときイスラエルはイスラエル植民者も他地区に移した、と語る。

 アルエル・シャロンは、この撤退のために、聖なるパトロンと言われているが、彼がねらったのはガザを世界最大の
刑務所に変えることだったのだ。
イスラエルは、また、西岸地区に狙いをさだめ、イルラエル人居住地と防御壁によって切り取られた土地を併合しようと
望んでいるとも言う。イルラエルは、さらに、ガザ地区東端のヨルダン川谿谷地を取りあげ、パレスチナ人の土地を
イスラエル人入植地と検問所によって細分化し、生きてゆけないようにすることを目論んでいる、と批難する。

 イスラエルは、撤退後も、米国の助けを借りて今後もガザ地区住民を殺し、苦しめ続けるだろうと彼は語る。
ハマスがパレスチナ議会で多数を占めた時、イスラエルは、ガザに封鎖所を設けた。ご主人様の言うとおりにしなかった
ことへの見せしめとして。

 チョムスキーのもっとも烈しい批難は、イスラエルと米国との緊密な関係に向けられる。この二国を彼は、しばしば
「やくざ国」と呼ぶ。彼の話で何回も出てきた米国・イスラエル関係の主要な要素は、国連安保理事会のイスラエル非難
決議にアメリカが拒否権を行使したことに現れている、と言う。

 パレスチナの数百という民間人犠牲者に注目しつつ、彼は米国が国連停戦決議を支持する力がないこと批難し、また、
バラク・オバマ氏もイスラエルに同情的だとして憂える。昨年6月に成立したハマスとイスラエルの停戦合意を米国と
イスラエルが共に反古にし、また、過去10年間に登場した数々の和平計画を後退させたとして両国を強く非難する。

 チョムスキー氏は、イスラエルは安全保障より拡張政策を選んでいると言う。しかし、イルラエルが和平を目指さない
とは言わない。イスラエルは和平を望まないのではない。もちろん、平和を求めている。誰だって平和を求める。
ヒトラーだって。

 数十年にわたる紛争の解決策として、チョムスキーは、米国が国際社会と歩調を合わせ、一般市民に向けたイスラエルの
軍事攻撃を非難すべきだという。確かに、ハマスがロケット攻撃をしていることは犯罪的だ。しかし、イスラエルが
別に取るべき方法があるのに、懸案の紛争問題を武力行使で解決しようとすることは正当化できない、という。

 イスラエルは自己を守るために、もっとまっすぐなやり方があるはずだ。犯罪的な占領地区での軍事行動を止めること、
ガザ封鎖を止めること、アラブ近隣諸国が提案しているように、グリーンライン沿いの国境地帯にパレスチナの国家建設を
許すこと、それをするべきだ。チョムスキーは、結論として、ガザにおいて、もしイスラエルが勝利したとしても、
「血にまみれた化け物」というイメージだけが残るだろうと言う。

 イルラエルを支援する国は、事実上悪徳を支持する国だ。

(増田都子先生から「友人による和訳」としてAMLに投稿された。)
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関連
ノーム・チョムスキーが昨日行なった講演の要旨/マサチューセッツ工科大学・学生新聞

Chomsky Condemns U.S. and Israel For Civilian Deaths in Gaza Strip
By Elijah Jordan Turner
http://tech.mit.edu/V128/N63/chomskytalk.html


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