ブッシュに対するチャベスの不意打ち/Emerging Revolution in the South

2005-09-24 13:59:11 | 世界
9月中旬に行われた国連総会に参加することに当初ウゴ・チャベス・ベネズエラ大統領は乗り気ではなかった。なぜなら、その種の首脳会談は時間の無駄だと感じていたからだと言う。彼が国連総会に出席することを決断したのは、在ベネズエラ米国大使館が彼の派遣団にビザを期限内に発行しなかった時であったという。「米国政府が私たちの国連への旅行を妨害しようと試みていたのは確かであり、このことにより私は、行くべきだという衝動に駆られた。だから私は『彼らは私に来て欲しくないのだから、私は必ず行く』と伝えた。」(以上venezuelanalysis.comの9月21日付英文記事より)こうしてチャベスは米国に乗り込み、国連で演説をした(演説翻訳記事)。その演説以外に彼が米国に持ち込んだものについての記事を以下、翻訳・掲載。

Emerging Revolution in the South
http://agrotous.seesaa.net/article/7208141.html

ブッシュに対するチャベスの不意打ち
〔Chavez' Surprise for Bush:Original Article in English/ZNet原文

ホアン・ゴンザレス〔Juan Gonzalez〕;New York Daily News;2005年9月19日



今冬、ガソリンと灯油価格の急騰に不安を感じますか? それなら、石油に富んだベネズエラの扇動的な大統領であるウゴ・チャベスは助けたいと望んでいる。

元軍将校であり、2度大勝利のもと、大統領に選出されたチャベスは、彼の徹底的な社会的政策の為に、ブッシュ政権の標的になった。先月、右翼の宣教師であるパット・ロバートソン〔Pat Robertson〕が公然と彼の暗殺を勧めた。だが今チャベスは驚くべき武器を使い、ブッシュとロバートソンに反撃を始めた――米国の貧しい者への安い石油である。

昨日の独占インタビューにおいて、ベネズエラの指導者は、彼の国がまもなく灯油とディーゼル燃料を市場価格以下で米国の貧しい共同体と学校に輸送し始めると述べた。「私たちはまず、試験的計画を10月14日からシカゴのメキシコ系米国人共同体で開始する」と、国連会議の為〔ニューヨーク〕に滞在しているチャベスは語った。「その後、11月に私たちはその計画をニューヨークとボストンに拡大する。」

その計画の一番目となるニューヨークの地域は南ブロンクス地区であり、そこで今日チャベスはホセ・セラノ〔Jose Serrano〕下院議員のゲストとして講演をする事となっている。このベネズエラの指導者は、アッパー・イースト・サイドに位置するベネズエラ国連大使の住居での広範囲にわたるインタビューの中で、新たな「貧しい者のための石油計画〔oil-for-the-poor〕」についての詳細を明かした〔訳注1〕。「もし貧困を撲滅したいのなら、貧しい者を物乞いの様に扱うのではなく、彼らに力を与えなければならない」とチャベスは述べた。

その1時間にわたるインタビューにおいて、彼は他にも、イラク戦争に対し攻撃の矢を向け、彼を殺すことでベネズエラの石油に対する米国の支配を新たに主張しようと試みたとブッシュを非難し、ハリケーン「カトリーナ」の被害者に対する支援を申し出、国連は世界の貧者の事情に疎いと皮肉った。彼のお気に入りの米国作家である、急進的言語学者ノーム・チョムスキー〔Noam Chomsky〕を繰り返しながら、彼は「米国人は彼らの生活の仕方を再整理しなければならない」なぜなら私たちの、特に石油に関する「理性を失った」消費を「この惑星は維持できない」のだから、と警告した。

チャベスが語ったことの多くを彼は既に以前から述べている。だが、彼のこの国における貧しい者のための石油という斬新な着想が、彼をブッシュ政権のさらなる標的にする事は確かだ。これを宣伝の為の汚い手口であると嘲笑する者は考え直すべきである。石油価格が記録的水準に達している今、チャベス政府は金の中を泳いでいるのである。その非常に高い燃料価格は、とりわけ議会が今冬の通例である燃料援助計画〔訳注2〕をハリケーン「カトリーナ」の被害者に向けた今、低所得の地域に深刻な影響を与えることは避けられないであろう。他方、ベネズエラは、カトリーナによる損害をまったく受けなかった、1万4千のガソリンスタンドと8つの製油所を米国内に所有する、Citgo石油〔Citgo Petroleum Corp:訳注3〕と言う名の主要な米国子会社を有している。

チャベスは「仲介者を取り除く」ことによりCitgoの価格を激減させる余裕があると述べた。彼の計画はCitgoの製油所により生産された80万バレルの石油の内10%をとって置き、その石油を配分するために直接、貧しい共同体の学校、宗教団体そして非営利団体に送るというものである。同じ方法がカリブ海において成功したと彼は述べた。その地域の十数の諸国に対し、ベネズエラは既に大幅に助成した石油交付を行っている

石油価格を下げることは、巨大石油会社と彼らのブッシュ・チェイニー・ホワイト・ハウスの相棒らにとって最悪な種類の急進主義に映ることであろう。しかしこれらの燃料会社による価格搾取に辟易した一般の米国人は、もし彼の「貧しい者のための石油計画」がうまくいけば、チャベスに対する見方を変え始めるかもしれない。それでも、チャベスは私たちが将来のことを考えなければならないと警告する。米国人は世界人口の5%であるにも関わらず、世界の石油の25%を消費している。今週ケネディー空港からマンハッタンまでのドライブの最中、チャベスは「私が見た100台の車の内、99台がたった1人しか乗せていない。彼らは燃料を使い切っている」と言った。「彼らは環境を汚染している。この惑星はその様な生活様式を維持できない。」この様なメッセージが人を殺させるご時勢である――あるいは少なくともホワイト・ハウスの方々により危険な狂人とレッテルを張られるのである。



ホアン・ゴンザレスはDaily Newsのコラムニストである。


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訳注1:このインタビューの英文テキスト(パート1パート2)、mp3音声ファイル、及びストリーミングビデオによる動画はDemocracy Now!のウェブページにおいて配布されている。

訳注2:ここで言及されている燃料援助計画の正式名は「Low Income Home Energy Assistance(LIHEAP)」であり、日本語訳は「低所得世帯・緊急援助プログラム」あるいは「低所得世帯エネルギー援助計画」。

訳注3:Citgo石油はベネズエラ国営石油公社PDVSAの子会社。




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