チョムスキー、ピーター・シンガー、ウィキリークスのアサンジへの支援を表明/HPP BLOG から

2010-12-22 12:58:49 | 世界
(許可を得て、以下の記事を訳しました。The Raw Story: Chomsky, Singer declare support for WikiLeaks' Assange http://www.rawstory.com/rs/2010/12/chomsky-peter-singer-wikileaks-assange/)

Hongo Political Philosophy
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二人の高名な学者兼運動家のノーム・チョムスキーとピーター・シンガーが、火曜日にオーストラリア首相への公開の手紙に署名した。オーストラリアの市民でありウィキリークスの創設者であるジュリアン・アサンジを暗殺しろという主張を政府は批判すべきだという内容だ。

ピーター・シンガーはオーストラリアの哲学者で、プリンストン大学の生命倫理学教授。動物権利運動の創造に関わったことでよく知られている。ノーム・チョムスキーは、米国MITの言語学の教授で、政治理論、言語論、哲学に関する150以上の著作を持つ。

この公開の手紙では、米国の多くの保守派が、アサンジをテロリストと決めつけていること、また、彼を殺すべきだという要求さえしていることが記されている。

「われれわはアサンジ氏を他の重要なテロリストたちと同様に扱うべきだ。彼を殺すのだ」と、保守派の評論家のジェフリー・T・クーナーはワシントン・タイムズに書いている。

米国下院議員のピーター・キング(共和党、NY)が、ウィキリークスを外国のテロリスト団体に指定すべきだと主張したことについて、チョムスキーは「馬鹿げている」とコメントした。

チョムスキーはエイミー・グッドマンによるデモクラシー・ナウのインタビュー(http://www.democracynow.org/seo/2010/11/30/noam_chomsky_wikileaks_cables_reveal_profound)の中で次のように述べている。「ウィキリークスが公開した資料からわれわれが知るべきことは、ペンタゴン文書の場合と同様のことです。すなわち、政府が何事かを秘密にしておく重要な理由の一つは、政府を自国の市民から守るため、ということです」。「たとえば、ペンタゴン文書には、交渉についての資料があり、これは現在進行中の活動と関係する可能性があったため、ダン・エルスバーグはこれを公開しなかった。この資料は少しあとで公開されました」。

ペンタゴン文書とは、米国のベトナム外交の歴史に関する防衛省の最高機密文書が編纂されたものであり、ダニエル(ダン)・エルスバーグによって漏えいされたものである。

「ところが、ペンタゴン文書自体をよく読むと、アメリカ国民が知っておくべきであったが、政府は国民に知らせたくなかった事柄があるのです」とチョムスキーは言う。「そして私の知る限り、ウィキリークスの資料を自分で読んだところ、かなり同じことが今回の事件にも当てはまるのです。実際のところ、少なくともわたしが読んだ限りでは、今回の漏えいで最も興味深いのは、外交活動がどのように行なわれているかを知ることができることです。」

ピーター・シンガーはアフガニスタンの戦争に関する文書と、ペンタゴン文書との間に「明らかな類似点」があると言う。

より大きな透明性(情報公開)はいくらかの悪い帰結を伴うと認めつつも、シンガーは、「公開の気風によって、政府や企業がより倫理的に行動する可能性が高くなる」と結論している。

「テロリストが虐殺を行い、今後も続けると脅迫するような世界では、政府の完全な透明性を求めることはユートピア的発想だ」とシンガーは8月にプロジェクトシンディケートに書いた(How Much Transparency is Too Much? http://www.project-syndicate.org/commentary/singer65/English)。「ときには、秘密にしておかないと良いことができないという場合もある。しかし、全般的には、より透明なコミュニティの方が、より良いものになる可能性が高い。そして、同じことがより透明な世界についても言えるのだ」。

他にも、何名もの高名なオーストラリア人が手紙に署名している。

たとえば、ボブ・ブラウン上院議員、スコット・ラドラム上院議員、陸軍の内部告発経験者ランス・コリンズ、レイモンド・ゲイタ、クリストス・チオルカス(Tsiolkas)、ヘレン・ガーナーなどのオーストラリアの作家、オーストラリア軍の諜報部隊のランス・コリンズ中佐(退役)など。

オーストラリア以外でも、多くの知識人や活動家がアサンジの支持を表明している。

ペンタゴン文書の内部告発を行ったエルスバーグは、アサンジを支持していると述べ、ウィキリークスをサーバから追い出したアマゾンを強く批判した。

エルスバーグはウェブサイトに次のように書いた。「ジョー・リーバーマンや他の議会の右翼の脅迫に屈して、ウィキリークスのサイトのホスティングを急に終了したアマゾンの臆病さと奴隷根性には吐き気がする。」(Daniel Ellsberg's Website http://www.ellsberg.net/archive/open-letter-to-amazon)「中国のような情報管理と内部告発の抑止を目指す立法府と行政府の役人を勢いづかせるようなことをする企業とは、今後一切関係を持ちたくない。」

フェミニズムの活動家を長年しているナオミ・ウルフも、インターポール(国際刑事警察機構)によるアサンジの逮捕状を批判している。ウルフは、「交際中の女性に対してナルシストの愚か者のように振る舞う男を捕まえて訴追しようと、地球規模の人探しに協力している」インターポールに感謝すると皮肉な言い方をしている。彼女はハフィントンポストに次のように書いている(ulian Assange Captured by World's Dating Police http://huff.to/ecFzcU)。「インターポールに再度感謝したい。米国だけでも、わたしが個人的に知るだけでも、130万人の男性について似たような訴えがなされている。テキサス大学にはすぐに逮捕しないといけない連中が大勢いる。インターポールは彼らについても地球規模の人探しを優先的にやってくれることだろう。」

リベラルの映画監督マイケル・ムーアは、CNNのラリー・キングとのインタビューの中で、22歳の陸軍の諜報アナリストでウィキリークスに文書を漏えいしたと訴えられているブラッドリー・マニングを賞賛した。ムーアは次のように述べた。「彼がやったことは基本的に、ニュルンベルク原則に従っただけです。」「この原則によれば、こういったことが起きていることを見た場合には、戦争犯罪が起きていることに気付いた場合には、国家が戦争をするために嘘が付かれていることに気付いた場合には、あなたはそれに反対して声を上げないといけないのです。」

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(以下、公開の手紙の内容)

オーストラリア首相へ、

ウィキリークスのジュリアン・アサンジに対する人々の発言がますます暴力的になっていることに懸念を覚えています。

「われれわはアサンジ氏を他の重要なテロリストたちと同様に扱うべきだ。彼を殺すのだ」と、保守派の評論家のジェフリー・T・クーナーはワシントン・タイムズに書いています。

ダン・クエイル元副大統領のチーフスタッフであったウィリアム・クリストルは、次のように述べています。「ジュリアン・アサンジと彼の協力者が、どこにいるにせよ、米国の資財を使って彼らの邪魔をし、捕まえて無能力化してしまえばいいのではないか?」

有名な米国の評論家のジョナ・ゴールドバーグは「ジュリアン・アサンジはなぜまだ死んでないのか」と書いています。

ライト・ウィング・ニューズというサイトで、ジョン・ホーキンズは「CIAはすでにジュリアン・アサンジを殺していてしかるべきだ」と述べています。

大統領候補になりそうなサラ・ペイリンは、アサンジをアルカイダのリーダーになぞらえています。ペンシルバニア州の元上院議員で大統領候補になる可能性のあるリック・サントルムは、アサンジが「テロリズム」を行っていると批判しています。

他にもいろいろあります。

このような発言は、単なる大げさな表現だと言って済ますことはできません。ここ10年の間に、「囚人特例引き渡し」(誘拐)や「強化尋問」(拷問)まで、かつては考えられなかった超司法的な措置が通常化するのをわれわれは経験してきました。

このような状況においては、われわれはアサンジ氏の身柄の安全に関して大きな懸念を抱いています。

ウィキリークスをめぐる政治的議論がどのようなものであれ、アサンジ氏は自分のやっていることを安全な状態で行う権利を持ち、また、彼に対していかなる法的措置を行うにせよ、手続き的正義を享受する権利があります。

よく知られているように、アサンジ氏はオーストラリア国民です。

したがって、われわれは、首相のあなたが、オーストラリア政府の代表として、アサンジ氏に対して身体的な危害を加えるべきだという主張を批判することを要求します。

また、こうしたアサンジ氏に対する違法な脅迫が個人的なものであろうと国家によるものであろうと、アサンジ氏は彼に保障されている権利や保護を受けることを確約する、と明言することを要求します。

われわれは首相のあなたに、オーストラリアが政治的な表現の自由を保障していることを公の場で確認することを要求します。また、以下のことを明言することを要求します。アサンジ氏のパスポートを、そうすべき明確な証拠なしに無効にしないこと。アサンジ氏の援助を与え、彼を代弁できる者をつけること。また、彼に対していかなる訴訟が行われる場合でも、訴訟が法原則と手続き的正義に十分にかなったものであることを、あなたの力の及ぶ限りで最大限保障すること。

以上のことを首相であるあなたが発言することは、難しいことではないはずです。以上のことは、結局、民主主義の原則と法の支配を受け入れているということにすぎないからです。

われわれの考えでは、この事件は、ある種の分水嶺だと考えています。その影響は、アサンジ氏とウィキリークスを超えたものとなるでしょう。この地球の多くの地域で、論争になる文書を公開したり広めたりしようとする人を沈黙させるために、暗殺の脅迫が日常的に行なわれています。アムネスティ・インターナショナルのメディア賞の受賞者でもあるアサンジ氏に対するこのような暴力の呼びかけが許されてしまえば、ゆゆしい前例が英語圏で確立されることになるでしょう。

このような重要な時期において、首相のあなたとあなたの政府が断固とした発言をすれば、大きな影響をもたらすことができます。

あなたの対応を期待しています。

(以下、185名の署名が続くが、省略)
http://www.hongopp.com/modules/d3blog/details.php?bid=25


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