ブラジル : 貧困地域の女性たちが治安悪化で苦境に/アムネスティ発表国際ニュース

2008-05-02 23:57:38 | 世界
アムネスティ・インターナショナルは、本日発表の最新の報告書で、ブラジルの無法状態のスラム街での生活を強いられ、そこで子どもを育て、正義を求める闘いを進めている女性たちの、語られることのなかった事実を明らかにした。

「ブラジルのスラム街に住む女性たちの実態は破滅的である。彼女たちは、数十年にわたってスラム街を恐怖で支配してきた犯罪組織と警察による暴力行為の知られざる被害者である」とアムネスティのブラジル担当調査員ティム・カイルは述べた。

周縁化された地域には事実上国家は存在せず、多くの場合人びとと政府の唯一の接点は、武装警察の散発的な襲撃だけである。

連邦政府は新しい計画を打ち出しており、このような現状を生み出した長年にわたる放置政策に向き合うという約束をしたが、そこに住んでいる女性たちの要求を調査し是正するような措置はほとんど取られていない。

「警察はスラム街に住む女性たちを保護するどころか、女性たちはしばしば男性警官による違法な捜索、暴言や差別的発言および脅迫などの被害者となっている。とくに、親族を守ろうとして間に入った際にそうした被害にあいやすい」とティム・カイルは述べた。

子どもや夫に代わって正義を求め先頭に立って闘う女性たちは、警察によるさらなる脅迫や嫌がらせを受けることになる。

「国家が存在しない状態のために、大多数のスラム街では麻薬密売組織や暴力団の幹部たちが法そのものとなっている。彼らは罰と保護とを使い分け、また女性たちを戦利品や取り引き材料として利用している」とティム・カイルは述べた。

麻薬組織によって運び屋あるいはおとりとして利用される女性たちは、犯罪者だけではなく腐敗した警官によっても使い捨ての道具とされている。

アムネスティが得た情報によると、不貞を理由に頭を剃られたり、借金を体で支払わされたりする女性たちがいる。また過密で非衛生的な刑務所に収容され、身体的または心理的な虐待を受ける女性が増えており、刑務所内で強かんされた女性もいる。

犯罪や暴力の連鎖反応は社会全体に悪影響を及ぼしており、医療や教育などの基本的な社会サービスに深刻な打撃を与えている。地域の診療所が敵対する暴力団の支配下に落ちれば、女性たちは遠く離れた医療機関に通わなければならない。産院施設、保育所、学校が警察の作戦行動や暴力犯罪のために長期間閉鎖されることもある。医療従事者や教師は、犯罪で荒廃した地域で働くこと恐れ、しばしば職場放棄につながる。

貧困層地域の女性たちは信じがたいほどのストレスに直面している。ある女性は次のように話した。「ドラッグに頼って暮らしています。精神安定剤(ジアゼパム)を飲んで眠っています。正気だったら怖くて眠れないから。ドラッグをやって娘の体を抱きしめ、銃撃から身を守るため床に身を投げ出して眠ります。娘はおしゃぶりをなくしたら一晩中泣くから、私は夜8時になったら何があっても家を離れません」

「国家は3通りのやり方でスラム街の女性たちの人権を侵害している。すなわち、結果的に殺害行為につながるような警察活動を支持し、利用不可能とはいわないまでも利用が非常に困難な裁判制度をそのままにし、また彼女たちにきわめて過酷な窮乏生活を強いている」とティム・カイルは述べた。

ブラジル政府はいくつかの積極的な方針を打ち出しており、マリア・デ・ペーニャ法の施行により家庭内暴力に苦しんでいる女性の保護強化などに取り組んでいるが、その実施はきわめて不十分なものである。

女性に対する暴力に取り組むためには、周縁化された地域に暮らしている女性たちの生活向上を目ざす、広範囲で長期的な政策が緊急に必要である。その第一段階として、アムネスティは新しい治安計画である「国家治安市民計画」(PRONASCI)に女性たちの要求を盛り込むことを、ブラジル連邦政府に要請する。

背景情報:
この報告書は、バイーア、セルジペ、ペルナンブコ、リオデジャネイロ、サンパウロ、リオグランデ・ド・スルの6州に住む女性に対して、2006年から2007年にかけて実施した聞き取り調査に基づくものである。

報告書「ブラジルの都市における女性たちの暴力体験」は以下からご覧になれます。
http://www.amnesty.org/en/library/info/AMR19/001/2008/en

アムネスティ発表国際ニュース
2008年4月17日

http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=469

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国連:飢餓で爆発寸前の地域
    小麦、米、ソルガム(コウリャン)、トウモロコシ、大豆など主食の値段が急上昇したことが引き金と
なり、およそ40カ国で動乱が広がると国連は見ている。
http://www.news.janjan.jp/world/0804/0804296001/1.php

国連:気候変動は先住民族にとって「生死に関わる」問題
http://www.news.janjan.jp/world/0804/0804295996/1.php

バングラデシュ:豊作に願いを託す
http://www.news.janjan.jp/world/0804/0804295992/1.php

改革インドネシア 世界的コメ不足 政府も調達難に
http://www.news.janjan.jp/world/0804/0804280963/1.php

コメ輸出大国でも急騰 2日間で価格2倍 ベトナム
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-04-29/2008042907_01_0.html

米国 コメ小売りを制限 価格急騰、輸出に転用か
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-04-27/2008042707_02_0.html

ラテンアメリカ:楽観から憂慮へ
http://www.news.janjan.jp/world/0804/0804285949/1.php

サンディエゴ:アースデイに考える食糧問題
http://www.news.janjan.jp/world/0804/0804285946/1.php

国連専門家バイオ燃料は食料危機招く
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-05-01/2008050107_02_0.html

映像:シンポジウム「穀物争奪戦:バイオ燃料と食料」
http://www.news.janjan.jp/world/0804/0804250726/1.php

アジア:コメ価格急騰で貧困悪化
http://www.news.janjan.jp/world/0804/0804255734/1.php

北朝鮮:直面する食糧危機
http://www.news.janjan.jp/world/0804/0804245655/1.php

バイオ燃料計画を中止したドイツ
http://www.news.janjan.jp/world/0804/0804235563/1.php

食料自給率 英、60%でも危機感
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-04-30/2008043007_01_0.html

飢餓で爆発寸前の地域
http://www.news.janjan.jp/world/0804/0804205307/1.php

米国:アグリビジネスに搾取される農民と消費者

ミズーリ大学のメアリー・ヘンドリクソン氏の研究によれば、米国におけるアグリビジネスの影響力はとみに増
している。大豆の粉砕においては上位4社が市場の80%を独占し、小麦製粉では上位4社が60%を独占して
いる。また、種子供給ではトップ2社が市場の58%を占め、食料小売部門の約半分はわずか5社が抑えてい
る。

農業問題の専門家ラージ・パテル氏によると、この20年間で食物生産は毎年平均2%伸びているにもかかわら
ず、農民の収入は4割減ったという。また、全米農民同盟(NFU)の推計によると、米国の消費者が食物のため
に支払う1ドルのうち農民や牧畜業者の手に渡るのはわずか20セントである。その他の部分は、加工・流通・
小売業者が手にする。

このような市場の寡占状態は消費者にとって決してよい結果を生まない。競争がなくなって企業が食物価格を不
当に釣上げることができるからだ。

 消費者だけではなく農民も巨大アグリビジネスに支配されることになる。たとえば、農民は種子や肥料の入手
に関して巨大企業に依存せねばならない。種子の知的財産権をこれらの企業が保有している場合、農民は種子を
貯蔵しておくことを許されず、翌年新しい種子を買いなおすことを迫られる。

 こうしたアグリビジネスの独占体質は、みえない外部環境を破壊することによってしか成立しえない。水資源
の浪費、肥料の大量使用による土壌の破壊、モノカルチャーの推進による生物多様性の喪失など、さまざまな問
題が発生している。
http://www.news.janjan.jp/world/0805/0804306097/1.php
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国民生活を追いつめる、物価上昇はなぜ生じたのか 森永卓郎

ブッシュ大統領の「犯罪」はもう一つある。それは金融資本主義を世界中に広めたことだ。穀物や原油価格を上
昇させているのは、直接的には金融資本主義が創り出した巨大な投機マネーだ。彼らの儲けのツケが、世界中の
消費者にまわってきているのだ。
http://www.magazine9.jp/morinaga/dai026/dai026.php


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